【奈良の闇⑬】ワケあり元女性職員の市駐車場不正使用が議会で追及 上司に自転車を買わせた過去も!

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By Jun mishina

「不条理すぎてやっていられない」。こう不満を吐露する大和高田市職員の心中は痛いほど理解できる。昨年から報じてきた女性職員(3月末で退職)による市駐車場不正使用問題が6月19日の議会で取り上げられた。当日、植田龍一市議は関係者の処分等を問うたが、市側は「個人情報」を理由に「非公表」を貫いた。その内幕をレポートする。

駐車場不正使用問題が議会で追及

連続企画【奈良の闇】では大和高田市・森本尚順市議の怪しい人脈を中心とした問題点をレポートしてきた。だが取材を深めるたびに新たな怪人物たちが登場するのはまさに「闇」。

森本市議の親族で、大和高田市土庫の総代を務める森口昌義氏の妹Nが会計年度任用職員(アルバイト)で市役所に勤務していた。市役所内では森口氏に対し「忖度」があったのは否定できない。というより明白だ。

その理由は以下の事情が考えられる。第一に森口氏が総代を務める土庫という歴史的背景、解放運動の参加、そして元暴力団組員という過去。これは職員の判断能力を鈍らせるに十分だろう。

その妹のNは今年3月末で退職したが、日常の勤務態度は芳しくなく、さらに在職中に市駐車場の不正使用については過去記事でもお伝えした。市は決して手をこまねいたわけでない。

担当部署の職員がNを注意したところ森口氏が逆上。昨年10月、Nも同乗させ車で担当職員を襲撃したのだ。幸い大事には至らなかったが、森口兄は逮捕され罰金刑を受けた。駐車場不正使用の非を反省するどころか、腹いせに報復とは言語道断だ。

しかも森口氏は取材に対して「役所に喝を入れるため」と悪びれないが、車で人を狙うなど一歩間違えれば死傷事故になる。それに同乗するNの神経を疑うが、事件以降もごく普通に市役所勤務を続けたことは職員らも呆れた。

話は尽きない。森口兄の自宅裏は市の所有地と隣接している。わずかでも草が生えると市役所にクレームをつけた他、勝手にカーポートを設置していたことも判明。市の所有地の無断使用だ。

無断でカーポートを設置。

今年3月末でNは退職したわけだが、駐車場の不正使用はお咎めなしでは済まない。それに職員襲撃の現場にも居合わせたのは反省のない証拠だろう。

昨年7月、市はNに対して処分の通知文書を渡したが、これを受け取り拒否。また3月にも堀内大造市長が処分を下していたにも関わらず、これを担当職員がNに渡さなかった可能性が指摘されている。となると処分を通知しなかった担当職員の責任論も当然、浮上する。Nの逃げ得に手を貸したと指摘されても仕方がないことだ。

このため本件は市側の妥協で幕引きかと思われた。だが今月19日の議会で、植田市議がNの駐車場不正使用を追及することになった。植田市議は従来の最大会派「改新高田」から離脱し、新たに新会派「あたらしい風」を結成した議員だ。植田市議が質問に立ったことは「意外だ」との声も一部で囁かれた。

これには議会内の対立関係がある。筆者が森口兄妹のトラブルを把握したのは森本尚順市議一派追及の過程でのこと。それならば本来は議会でも森本市議と森口一族との関係を問うて欲しいところだ。

しかし植田市議は「森本市議や萬津市議の絆・維新会派と同じで反市長派」(市民オンブズマン)という事情がある。植田市議の質問の目的は森本一派の追及ではなく、市長の管理責任を追及するのが狙いというのだ。また森口氏が市の所有地に無断でカーポートを設置したことも問われるべきだと考えるが本件は議会で取り上げられなかった。

そして同日の議会。

「傍聴席にはN本人もいたのですよ。プレッシャーのつもりでしょうか」(同オンブズマン)

当事者が傍聴に来るとはその強心臓ぶりに驚く。何やら波乱含みで植田市議の質問が始まった。

全て個人情報を理由に回答を拒否

岡崎市のケース。同種案件だが「懲戒処分停職3月」という厳格なもの。

植田市議の質問は「Nに対する処分について」「Nと直属の上司たちにどのような処分が下されたのか」「減給処分された職員もいるが公開されていないこと」などである。

補足しておこう。通常、自治体職員による公共施設の有料駐車場の不正使用は他地域でも起きている。この場合、懲戒処分というケースが大半。ところがNの処分は「訓告」との情報もあった。訓告は口頭または書面で注意する軽い処分だ。

またNに対して処分が通知されているにも関わらず直属の上司(部長級)にはその報告がなかったという。つまりこの状況では現場で有耶無耶となり、実際にNが処分されたのか分からない。

しかも、だ。Nに関係した課長職、部長職2名が減給処分になったという。そもそも不正使用の当事者が放置されたにも関わらず、上司というだけで部課長2名が減給というのはおかしい。

疑問は尽きない。減給処分は「公表」を前提にしたものだ。ところがこの減給処分については市は公表していない。ある意味、とばっちりとも言える部課長の処分の公開を隠蔽した、という可能性もある。

ところが植田市議の指摘に対して市側は「個人情報」を理由に回答を控えたのだ。「同和」の背景があるとは言え明らかに森口一派の行動は不当である。なぜ市側の対応は鈍ってしまったのだろう。

「処分が正式に下されていないという事情もあるでしょう。しかしやはり森口は怖い、という噂が噂を呼んで職員たちが後手に回ってしまったのではないでしょうか」(前出オンブズマン)

さらに興味深い過去も見逃せない。「市職員らを恐喝して多額の金銭を脅し取っていた美絆(うるは)会事件をご存じでしょうか。実は美絆会の首謀者を抑えようと市側が森口兄に依頼したのですが〝返り打ち〟になってしまったのです。依頼した職員は退職して雲隠れしたといいます。市側にすれば森口氏を利用したうしろめたさがあるかもしれませんね」(同前)

奈良の闇というにふさわしいエピソードだ。美絆会事件についてはまた別稿でのレポートに譲るとして、話は森口一派に戻る。

森口氏を退けた美絆会。

森口兄妹のクレームを受けて市職員が私費で自転車を購入

過去記事で本件をレポートした時にNが市駐車場を不正使用したいきさつについて、Nがケガをしたため一時的に自動車通勤を許可されたと報じた。しかしこの経緯についても不可解な裏話が潜んでいたのだ。

元市職員が内情を明かす。

「Nが自転車で通勤していたところケガをしたというのです。歩行者しか通れないような道でしたから本人の責任に違いありません。ところが〝市の管理が悪い。自転車まで壊れたやろ〟と森口兄と妹Nが役所に来て激しく詰め寄りました。その上で〝だったら車の通勤を認めろや〟と言うのです。しかしそれはさすがに認められないと市側は拒否したのですが、もちろんおいそれと引き下がる人たちではありません」

奇しくも奈良の闇と言えば「奈良市部落解放同盟員給与不正受給事件」(2006年)の当事者、中川昌史氏が市道の段差でポルシェが傷ついたと補償を求めたことがあった。少なくとも当サイト読者ならばご存じの事件だろう。自転車とポルシェの修理という程度の差こそあれNの要求は中川氏と酷似する。

その顛末は信じられないものだった。

「担当者が自腹でNに自転車を買い与えました。これは職務規定上、かなりの問題行為でしょう。そうは言っても担当者の心労を思うと気の毒です。市内部でも知られた話ですが、問題にならないのは職員間の情けかもしれません」(前出元職員)

自転車を購入させられた担当職員とは実は先述した減給処分を受けた一人である。減給処分が公開されないのも市側が擁護した可能性が高い。ただし森口氏らからの圧力という事情を考慮すると単純に「隠蔽」と断じるのも心苦しい。

当の担当職員も自腹で自転車を購入したことを認めた上で「(森口氏からの圧力について)それは激しいものでした」と苦しい胸の内を明かした。同和行政の暗部を見た思いである。

長年、市側が森口氏らに忖度してきた積み重ねが「自転車を買い与える」という誤った判断に至らせたのだろう。心情的には同情を禁じ得ない。しかし適切だったとはとても言えない。それならばNの採用に関わった人物にも責任をとらせるべきだ。

その人物とは元部長職のO氏というのが関係者の一致した見方。

「O氏は土庫出身で森口氏と幼馴染なんですよ」(前出元職員)

こうした背景からしてもNの採用に関わった可能性は高まる。O氏を直撃した。

ー森口氏の妹Nさんの採用にOさんが関わったという指摘があります。

そんなことはありません。(Nは)ハローワークで応募してきたんやから。

ー議会でNさんの市駐車場の不正使用問題が取り上げられているのはご存じですか。

知らない。いつ起きた問題かも知らんしね。

ー約2年前から起きた問題ですよ。去年、職員を車で狙うという事件もありました。

私が市役所を辞めた後だから分からない。

ーNさんは勤務態度が悪くて評判が悪かったですが在職中はどうでしたか。

本当に知らない。当時の課長たちから報告がなかったから。

ー兄の森口氏とは知り合いですよね。それでも勤務態度も不正駐車も知らないと。

確かに森口とは幼馴染だけど知りません。誰がそういうことを言うの。

ー市職員、事情を知る市民の間で広く言われています。

いい加減なこと言わんで。

ー確認しますが、本当に部下の方から報告はなかったのですね。

ないです。

Nの採用について最も関与が疑われた元幹部だが、関係を否定した。しかし市職員が恐れる存在である森口氏と幼馴染という間柄で〝何も知らない〟というのは無理がありすぎる。関係者によれば市側は議会でNの処分について明言を避けたものの、今後も弁済を求めていく方針だという。

ここで毅然とした対応をしない限り冒頭のような職員たちの憤りは収まることはないだろう。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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