2024年4月、熊谷市の同和補助金が安倍元首相の国葬反対デモ参加者に日当と交通費が支払われていたことを報じた。その後、同年の10月議会で石川広己議員等から使途が不適切ではないかという旨の質問がされたのだが、何も変わっていない。
最近の同和補助金の使途について情報公開請求したところ、出てきた資料から分かるのは相変わらず反原発や平和運動の集会やデモのような政治活動、研修と称した温泉旅行、身内団体への上納金や交付金、さらには筆者が被告となっている裁判への大量動員にも使われていることが分かった。
熊谷市議会で「国葬反対デモ」のことが触れられ、多額の預金がある疑いも
実は2024年10月の熊谷市議会で、示現舎の記事が話題となった。石川広己議員(無所属)が、記事を引きあいに出しつつ、補助金の使途として適切だったのか、人権政策課と監査委員事務局に見解をただした。これに対し人権政策課長は、部落解放同盟側に説明を求めた結果、「66.5%補助金を充てており、補助金の支出の充当先として適切でないものについては補助金を充当していないという認識でございます」と答弁した。一方、監査委員事務局長は、2023年度については人権政策課の監査がなく、「資料のほうは確認しておりません」と述べている。
石川議員が重ねて「疑義が生じた場合には団体の責任者等から実際の内容を報告して聞き取りをし、そこで確認する必要がある」とただしたのに対し、人権政策課長は「補助金の実績報告は、その団体の熊谷市協議会の全体の収支が出てきますので、そこについて充てられていないということを確認しました」と答えるにとどまった。
しかし、市側の説明はおかしい。筆者は同和補助金の実績報告の全ての資料を入手したのだが、少なくとも提出資料の上では、個別支出ごとに補助金と独自収入の内訳は示されていない。もし本当に補助対象外の支出を完全に除外しているのであれば、その切り分け表や按分表があるはずだが、今回開示された資料からは確認できなかった。
分かっている事実は、大半が公金で運営されている団体の資金がデモや集会などの政治活動に支出されているということである。また、後述するが、66.5%が補助金で残りが33.5%の独自収入ということについても額面通りに受け取れない。
桜井くるみ市議(共産党)の追及は鋭かった。桜井市議は、部落解放同盟の2023年度の決算に500円の預貯金等利息が計上されていることに着目した。超低金利のご時世なので、普通預金であるとして当時の金利から逆算すると数千万円が口座に入っていることになるし、少し上がった今の金利でも数百万円はあることになる。それに対して市側は「預貯金の利息が500円という雑入についての報告は受けておりますが、元金が幾らかというのは定かではございません」と答えている。

解放同盟の実績報告では年度末の残額は多くても10万円程度で、500円の預貯金等利息があるのなら、何らかの形で多額の預金が存在する可能性が高い。
筆者を訴える裁判に日当を払って毎回約20人を動員
資料の中でも特に異様なのは、筆者が被告となっている「部落探訪」削除裁判への動員に日当が支払われていることだ。東京地裁での裁判に日当と交通費を払って数名が動員されていたことは過去の記事でも指摘していたのだが、埼玉地裁への動員規模はさらに多い。

部落解放同盟熊谷市協議会の実績報告書と支出内訳書には、2023年12月6日の「『部落探訪』削除でさいたま地裁に提訴・報告集会」に20人、4万円、2024年2月13日の「『部落探訪』削除求めた国会集会」に1人、5680円、同年3月13日の第1回口頭弁論・報告集会に19人、3万8000円、6月26日の第2回口頭弁論・報告集会に19人、3万8000円、9月18日の第3回口頭弁論に20人、4万円が計上されている。さらに8月30日には「裁判支援する会参加案内文発送」として840円まで出ている。確認できるだけで合計16万2520円。
さいたま地裁には毎回のように解放同盟側の多数の傍聴人が押しかけ、警察の応援まで来て警備するような事態になっていたのだが、少なくともその一部は自治体の補助金によって行われていたということである。

異様なのは裁判動員だけではない。たとえば部落解放同盟熊谷市協議会では、2024年度同和対策振興補助金の申請自体に「日当2,000円×3人=6,000円」が計上されている。要するに、補助金をもらうための申請作業にまで日当が出ている。
税金を身内で回し合い
解放同盟熊谷市協議会の2024年度の決算を見ると、突出しているのは「交付金」や「負担金」といった名目の支出である。要は身内の団体への上納金や交付金である。それらを合計すると500万円を超え、支出の半分にもなっている。収入の6割超が補助金なのだから、さすがにこれに税金が入っていないとは言い逃れできないだろう。

「図書費」とされるものも、解放新聞や身内が作成した啓発パンフレットの購入費であり、名目上は支出のように見えても、身内の団体をぐるぐる回っている。
身内で領収書を切り合えば、当然ながら最終的な資金の使途は分からなくなる。そのため、66.5%という補助金の比率も実態を表しているのか、かなり疑わしい。報告されている独自収入に実は税金が入っていたり、報告されていない税金を原資とする収入があるのではないかと疑う理由は十分にある。実際に、報告されていない多額の預貯金の可能性を指摘されているのだから。
反原発・平和運動への支出も相変わらず
2024年10月の市議会での指摘を受けて、2025年はどう変わったのかが気になるところだが、ほぼ何も変わらずに平常運転を続けている。

2025年の行動計画を見ると、憲法9条改正反対の平和集会や、再審法改正を求める政治的活動が計画されている。例えば「9条改憲NO!平和と命と人権を!5.3憲法集会」に5,320円、「冤罪62年を許すな!『再審法』改正を求める中央集会」に60,000円という記述がある。


温泉ホテルでの研究集会や、反原発集会も相変わらず。群馬県安中市「磯部ガーデン」での研修に125,000円、「反核非核&埼玉平和行進」に9,300円、「さようなら原発全国集会」に8,600円といった記述がある。
これらについては、既に熊谷市が交付決定済みなので、既に行われているのだろう
無論、問題は部落解放同盟だけではない。2024年10月20日に鬼怒川スパホテル三日月で研修会を行っていた「北埼・埼葛「同和対策」運動連合会熊谷支部」も場所は明示しないながらも研修会をすることを事業計画に入れている。

「埼玉・県北同和会妻沼支部」(議会議事録ではフルネームが出てくるが、なぜか開示文書では妻沼が黒塗りされている)は2024年9月29日に群馬県みなかみ町で研修を行っているが、またみなかみ町や日光で研修を行うことが計画されている。
ただ、変化もある。「部落解放愛する会熊谷市協議会」は2023年度は三日月シーパークホテル勝浦、ホテルニュー伊香保、福島県母畑温泉「八幡屋」で研修をするなど活発に活動していたが、2024年度以降は補助金を申請していない。
「埼玉県地域人権運動連合会熊谷市協議会」は2024年度まで活動が確認でき、2022年7月29日に群馬県内で宿泊ありの研修をしていた。2023, 2024年度は県外研修を計画していたものの、実績に記されていないので何らかの理由で中止したのであろう。
いずれにしても、税金で温泉旅行はもちろん、デモや裁判へ人を動員するために日当を出すなど極めて不適切なことである。今後も熊谷市や埼玉県下の同和補助金の動向には注意していきたい。



