2002年に終了した国の同和対策事業。今では同和地区への特別施策は、国としては行っていない。
もっとも、国においても、「地方改善事業費」という名目で厚生労働省から各自治体に補助金が出ている。同和対策であるとは明示されていないが、ほとんどの隣保館は同和対策を目的として同和地区に設置され、現在でもその状況は変わっていないので、事実上の同和対策と言えるだろう。また、人権教育や人権擁護活動といった名目で、事実上同和団体の政治的活動を国が支援している実態もある。
しかし、露骨に「部落民だから」という理由で個人に利益供与する、いわゆる「個人給付的な」事業が全く残っていないかと言えば、そんなことはない。それが本稿が取り上げる、同和地区住民に対する雇用保険の上乗せ支給である。これを「同和上乗せ」と呼ぶことにしよう。