【辺野古沖転覆事故】利権化した沖縄修学旅行 がちゆん騒動で見えた平和学習の闇

By Jun mishina

辺野古沖転覆事故は沖縄の修学旅行、平和学習、平和関連事業の暗部を露呈した。これらの事業をターゲットにした企業・団体は県内外に存在している。特に平和学習は沖縄県が観光客の誘致策として重視する事業だ。平和学習が転覆事故の直接的な原因とは言えない。しかし左派的な主張に偏重した上、利権化した点は否めないだろう。(写真=がちゆんSNSより)

遺族の神経を逆なでに

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note「辺野古ボート転覆事故遺族メモ」を引用。

マスコミが辺野古沖転覆事故について〝報道しない自由〟を行使中だ。また転覆した抗議船の運営団体、ヘリ基地反対協議会に擁護的なメディアも少なくない。

しかし遺族にも配慮したいと考えたのだろう。メディアは犠牲者、武石知華さんの遺族が思いを綴ったnote記事を引用している。だが事故の検証や修学旅行のあり方といった核心部分に触れないこたつ記事に過ぎない。報じたという体裁を整えるアリバイ仕事だ。

逆に遺族側が積極的に情報発信を続けている。note記事「辺野古ボート転覆事故遺族メモ」(4月12日)によれば事故後、3月16日に遺族が沖縄入りした際、ツアー会社から知華さんの遺品を受け取ったという。ところが衣類などが無造作に破れた段ボールに詰められていたというから驚きだ。

noteの記述は事実なのか、なぜこのような対応になったのか東武トップツアーズ広報担当に聞いてみると―――。

「ご遺族様との対応に関わる部分もあり、回答を控えさせていただきます」

遺族は東武トップツアーズの引率者が乗船していなかったことも問題視していた。この点については学校側の責任が大きいのではないか。

「学校様が直接企画・手配を完結された自主プログラムであるため、内容については把握しておりませんでした」(同)

抗議船乗船は学校関係者とヘリ基地反対協議会の関係で組まれたコースだ。運輸局に無登録で無保険の抗議船に生徒を乗せた学校側の責任は大きい。

対してマスコミ報道ではヘリ基地反対協議会、平和学習に対するフォロー的な記事が散見される。特に4月8日、『琉球新報』に掲載された辺野古基金共同代表の菅原文子氏のコラムは問題視された。引用する。

ちなみに、事故に遭った船の運営や資金の提供に「辺野古基金」は全く関わっていないことを、正確を期すために事務局に電話で確認した。

辺野古基金の報告書にはヘリ基地反対協議会の名がある。また2016年1月1日、同紙は「ヘリ基地反対協がグラスボート導入 サンゴ群落確認」と報じた。記事を引用する。

グラスボートは辺野古基金で購入した。ヘリ基地反対協議会の所有で、名護市東海岸地域でエコツーリズムなどの活動をする団体でつくる「名護市東海岸エコツーリズム推進協議会」がグラスボートの管理とボートを活用したガイドなどを行う。

辺野古基金とヘリ基地反対協議会は関係があるとはっきり書いてある。ならば菅原氏のコラム内容は誤りではないのか。またなぜ過去、琉球新報は辺野古基金からヘリ基地反対協議会への支援を報じておきながら、関係を否定したのか同社に質問した。すると編集局次長から回答があった。

コラムは、辺野古基金とヘリ基地反対協議会が無関係であるかどうかに言及したものではなく、今回の転覆事故を起こした2隻の船舶(「不屈」「平和丸」)の購入などに基金の資金が使われていないという意味で、筆者もヘリ基地反対協に確認した内容を記載したものです。掲載にあたっては、事実関係の確認や誤解を与えない正確な記述を期すことについて筆者と担当編集がやり取りをしています。(原文ママ)

つまり過去、辺野古基金はグラスボートの購入に際しヘリ基地反対協議会を援助したが、事故を起こした不屈・平和丸に基金は使われていない。よって辺野古基金とは無関係という考え方のようだ。

確かに不屈・平和丸は辺野古基金と無関係なのだが、果たしてこの説明で万人が納得できるだろうか。次いで平和学習の問題点について考えてみたい。

修学旅行誘致は政財界と活動家の協業

沖縄にとって修学旅行誘致は重要な経済政策。1954年に設立された「一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー」は沖縄観光政策の拠点。玉城知事に近い前中城村長・浜田京介氏が昨年、会長に就任した。

内部で設置された「沖縄県修学旅行推進協議会」が修学旅行のプロモーションに関わる。「平和学習」「商品造成・PR」「宿泊機能」「輸送機能」「教育旅行民泊」の5つの分科会を設置。

平和学習の普及についても同会の役割は大きい。転覆事故を受けて同協議会は緊急会議を開催し、再発防止策について討議している。

沖縄県修学旅行推進協議会に現在の状況を尋ねたところ担当窓口は沖縄県観光振興課だという。

同課に事故対応についてこう説明する。

「今回は学校側がツアー会社を通さないで直接、知り合いに依頼して起きた事故です。交通・宿泊・プログラムで安全管理体制を見直してもらうよう注意喚起をしていく予定です」

一方で平和学習のあり方についても聞いた。特に今回の転覆事故は反基地運動に高校生を巻き込んだ結果ではないか。「船に乗ったことが〝政治闘争の参加〟とは言えないと思います。また平和学習の内容については学校側が決めることなので県から指導する立場にありません」(同課)という見解だ。

別稿でもまた一部メディアでも指摘されているが、平和学習は特定の思想に偏重しすぎた点は否めない。県としてはあくまで学校の判断という見解だ。

では学校側が中立的な立場で平和学習プログラムを構築しているのだろうか。沖縄県内外の活動家が本土でプロモーションするケースもある。10年以上も前からヘリ基地反対協議会は沖縄県への修学旅行に関与してきた。

セクトとの関係が指摘されてきた「NPO法人POSSE」の平和運動部門「セイピースプロジェクト」もその一つだ。2017年末には解散した団体だが、かつては沖縄での反基地闘争で存在感を示した。また朝鮮学校無償化問題では在日コリアン青年連合(KEY)と共闘関係にあったのだ。

また同団体は沖縄に関する平和教育に取り組みはじめ、教育教材・プログラム開発や高校・大学への 出張授業を行ってきた。2011年2月19日、セイピースプロジェクトはシンポジウム「沖縄のいま、本土のこれから〜普天間問題と平和教育を考える〜」を開催。

ここで講師として招かれたのがヘリ基地反対協議会共同代表・安次富浩氏だった。転覆事故後の記者会見で腕組みで応じた人物と言えば分かるだろう。

またシンポジウムには沖縄県教職員組合の下地史彦氏、(城東小学校教諭)、自由の森学園中学校・高等学校の現校長・菅間正道氏も登壇。自由の森学園もリベラル色の強い学校で、沖縄への修学旅行で平和学習を実施していた。特定の思想が非常に強いメンバーだ。

自由の森学園の反基地闘争への参加はあるのか同校の菅間氏に取材を申し込んだが「不在」を理由に説明は聞けなかった。

いずれにしても沖縄への修学旅行に関わる団体は左派イデオロギーが非常に強いことだ。学校関係者は中立を訴えるが、「ひめゆりの塔」などの歴史遺産ならともかく基地闘争の現場を見せることが中立なのか疑問である。

また平和学習がビジネス対象になったのも否めない。2018年に起きた「がちゆん」騒動はその最たるものだ。

学生組織に修学旅行企画を任せた危うさ

2014年、当時はまだ琉球大学の学生だった国仲瞬氏が「株式会社がちゆん」を学生アルバイトを含む7名で設立した。「がち(本気)」で「ゆんたく(おしゃべり)」を掛け合わせた社名である。

同社は琉球大学地域連携推進機構のベンチャー起業講座を受講した国仲氏が設立したベンチャー企業。修学旅行プログラムの企画広報、旅行会社との折衝、プログラムの運営を主業務にしたいわば修学旅行専門のオーガナイザーといった存在だった。

「現在、平和学習プログラムを提供する新興の企業・団体が増えていますが、がちゆんはその先駆け的な存在。琉球大学キャリア共育プログラムを取り入れて修学旅行生が大学生と直接、ディスカッションできるのが特徴的でした」(ツアー会社社員)

戦争体験世代の語り部ではなく同世代の若者同士が語り合うという学習スタイルは確かに斬新である。

平和学習を事業化した沖縄県ならではの起業家だ。現在、転覆事故報道で評価された『産経新聞』もがちゆん操業当時は高く評価。2017年6月17日に「政治色を払拭 史実正しく伝える 修学旅行生が自ら考える学習プログラムも」と好意的に報じていた。

地元大学生と平和をテーマにした「ディスカッション形式」のワークショップが評価されたという。主語が大きなソーシャルビジネスが隆盛の昨今、若者向けの平和学習のようだ。

なんと設立から4年間で約100校、約2万人の修学旅行を受け入れてきた。かなり人気だったようで2018年の段階で2年先まで予約が埋まった状況だったという。

行政、学校関係者からも評価を受けた他、『沖縄タイムス』と共同で「政治キャンプ」というイベントを開催した。ところが2018年11月、長時間労働によるスタッフの疲弊で45件の予約を残して事業停止を発表したのだ。事態を重く見た県は沖縄県修学旅行推進協議会の分科会「平和学習分科会」を開催。修学旅行のスケジュールに穴が空いた学校の対応に当たった。

一民間企業の破綻を実質、沖縄県の一機関である「沖縄県修学旅行推進協議会」が尻拭いする。沖縄の県策である以上、「平和学習ができなかった」では済まされない。とはいえ半ば学生組織に過ぎない「がちゆん」に修学旅行の受け入れを託したのは無理があった。

ある地元自治体議員はこう振り返る。

「スタッフも少数で体制が脆弱なのに修学旅行生を受け入れ過ぎです。明らかにキャパシティーオーバーの状況でした。平和事業に関わるベンチャー企業の成功例として持て囃されたことが破綻の遠因でしょう。がちゆんだけの責任とは思えません。なぜなら平和学習を進めているのは沖縄県庁と沖縄観光コンベンションビューローだからです」

平和学習を観光客誘致に利用しすぎた弊害といっても過言ではない。「平和学習の歩みを止めてはいけない」などと事故後、マスコミ、学校関係者から擁護論も飛び交う。

だががちゆん騒動の段階ですでに平和学習のビジネス化は鮮明になっていた。当時、平和学習のあり方について検証されていれば、あるいは辺野古沖転覆事故も発生していなかったかもしれない。




Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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