月別アーカイブ: 2011年11月

相談員差別発言事件を考える学習会(2011.11.27)資料

By 鳥取ループ

月刊「同和と在日」2011年12月号「啓発・学習は弁護士無しの欠席裁判! 差別発言で退職に追い込まれた隣保館員」で採り上げた、学習会の資料を公開しました。以下をダウンロードして下さい。

相談員差別発言事件を考える学習会-H23-11-21.pdf

出版物やウェブサイトなどで引用する際には、なるべく「示現舎(//work.jigensha.info/)提供」などと出典を添えてくださいませ。

学校法人神奈川朝鮮学園関係資料

By 鳥取ループ

月刊「同和と在日」2011年12月号で報じた、神奈川県の朝鮮学校の資料です。

神奈川県の朝鮮学校を巡っては、授業内容を確認するために、神奈川県が朝鮮学校に提出された教科書がダミーだったと産経新聞が報じるなど、県が補助金を支出している学校の教育内容が話題となっています。朝鮮学校の実情の一端を生の資料から知りたい方のために、関係書類を公開します。


こちらから資料をダウンロードすることができます

この資料は神奈川県が公開したものなので、利用は自由ですが、出版物やウェブサイトなどで引用する際には、なるべく「示現舎(//work.jigensha.info/)提供」などと出典を添えてくださいませ。

この資料に関するコメント、情報提供はこちらまで。

月刊「同和と在日」2011年12月号発売しました!!

By 鳥取ループ

月刊「同和と在日」2011年12月号発売しました!!

ご購入はこちらから


//atamaga.jp/dz13

//p.booklog.jp/book/39654

https://market.android.com/details?id=jp.atamaga.dz13

部落解放研究集会に潜入! 現地からの実況レポート。
「橋下徹」新潮―文春報道について同盟員と直接対談。
滋賀県で隣保館員が糾弾され職を追われたことが発覚。
神奈川県の朝鮮学校の膨大な資料を独自入手!
ほか

●実況中継! 同和と在日がゆく「部落解放研究第45回全国集会」レポート
・「インターネット上の差別事件を考える」を一緒に考えよう
・同和事業になじみが薄い岐阜県が開催地
・森永卓郎氏の鉄板ギャグが滑る!? 部落解放研究集会の様相
・定番の差別事例紹介から人権啓発ビデオが流れる
・「大淀町立大淀病院事件」の遺族も出演。毎日新聞の影がチラリ
・ナチスはもういい! より具体的な話が聞きたい!
・下吉氏「鳥取ループは開き直っている」って言うけれど
・宣伝御礼! 「同和と在日」が写真付きで紹介された
・鳥取ループの登場に同盟員「同じ空気を吸いたくない!」
・隣保館職員「理論で勝てない」と泣きを入れる
・悲しきは末端の活動家と地区住民たち
・社会運動体の内部にこそ階級制度が存在するのでは?
・理解、批判、ガン飛ばし、有益だった集会終了後
・ウワサの九州の感動男登場、こんなところで青春ドラマ
・謎の「喧嘩自慢」気になるメッセージと同和と在日の意義
●「鳥取県内の同和地区(被差別部落)」を掲載した理由
・隠すという行為そのものが「情報を公開」する場合
・グーグルマップに掲載するというアイデアの源
・同和地区マップを消す方法とは
●特集・「橋下徹」新潮―文春報道を考える
・スペシャルインタビュー「地元の解放運動家はどう見たか?」
部落解放同盟豊中支部運営委員 佐佐木寛治氏
●ワイド特集「人権擁護法案クライマックスシリーズ5回戦」
・野田首相も推進派! 来期が最終章? 人権侵害救済法案の裏側
・組坂氏激白「野中さんが人権擁護法案で〝糾弾〟を抑え込もうとした」
・人権オジサン平岡法相、リンチ死遺族にお忍び謝罪
・ナゼか差別禁止法を訴え始めた元朝日新聞編集委員の無節操
・学会員もいる救済法の〝別働隊〟「反差別国際運動」
・啓発・学習は弁護士無しの欠席裁判! 差別発言で退職に追い込まれた隣保館員
●耐震工事もできない 朝鮮学校の厳しい財政事情
●滋賀県同和行政バトル日記⑫
・本誌が草津市の審議会で採りあげられる
・第七回口頭弁論 いよいよ結審か!?

月刊「同和と在日」に続々と反響が!

By 鳥取ループ


今年11月9日から3日間開催され、行政や部落解放運動団体関係者約6000人が参加した「部落解放研究第45回全国集会」で、本誌が紹介されました。本誌が繰り返し問題提起している同和地区と情報公開制度の話題で、研究会は大いに盛り上がりました。


今年11月21日に草津市で開催された草津市隣保館等運営審議会で、本誌で取り上げた草津市の隣保館嘱託職員の採用における、いわゆる「同和枠」の問題が議論されました。前回の審議会では実際に本誌がその場で配布されました。審議会では、同和枠を廃止するように委員が市に対して強く迫りました。

本誌が様々な所で議論を生み、実際に自治体の政策に影響を及ぼしています。

同和奨学金返還業務は大阪市職員の墓場?(同和と在日2011/3)

By 鳥取ループ
三品純(取材・文) 月刊同和と在日2011年3月号

「大阪市の同和奨学金返還業務の職員が激務でダウンしている」「訪問先で激しく罵倒され返還を拒否された」「職員のスクラップ工場と化している!」
 こんな情報が当編集部に寄せられたのが先月のこと。情報提供者の話を聞くと、かつての〝解放奨学生〟、そしてその保護者にオロオロする職員、こんな光景が思い浮かんでしまう。ある意味、同和事業の最大のひずみとも言えるこの同和奨学金。奨学金と言いつつも地域によっては実質的な給付金制度の場合もあり、また返還をめぐって各地域でトラブルになることも少なくない。
 実は「部落民」とは誰かという問題を検証する際に、「同和奨学金」は一つの重要なキーワードであり、解放運動とは何であったかを考える上でも欠かせないものだ。
 同和奨学金は本人や親の希望で積極的にというよりも、教師や地元解放同盟支部からすすめられて取得するということが圧倒的に多かった。同和奨学金は解放運動により「勝ち取られた」ものであるから、それを受け取ることで、部落解放同盟の行事に参加しなければならないという暗黙の圧力が生ずる。各学校では同和奨学金の受給者により解放奨学生の会が組織され、各地の解放奨学生の交流集会や合宿が行われた。そういう場面では、必然的に周囲は全て「部落民」なのである。
 すなわち奨学金を受け取ることで「部落民」であることを意識させる。というよりも誓わせる、といった方がいいかもしれない。同じ地区内で周囲のほとんどが同和奨学金を受け取っており、解放奨学生のイベントに参加しているとすれば、自分だけ奨学金を受け取らないということは難しい。受け取りを拒否する理由を説明することも困難だ。「アイツは部落の子供と一緒にされたくないと思っている差別者だ」と言われかねない。なので、地区によっては同和奨学金への加入率が一〇〇%となり、解放奨学生たちは解放運動のために協力せざるを得なくなる。そのため、同和奨学金は部落解放同盟の組織拡大策という言い方もできる。
 考えてみれば実に過酷な制度だ。奨学金によって新たな「部落民」を生み出した可能性すらある。多くの子供は、いずれそのような実情に疑問の持ち、冷めた目で見るようになるのだが、中には解放運動にすっかり染められてしまう子供もいる。そのような子供たちの行動は、さしづめヒットラーユーゲントか、文化大革命下における紅衛兵のようだ。
 水平社博物館の守安(もりやす)敏司(としじ)氏は「被差別とアイデンティティー」の中で自分の妻の経験談として、こんなエピソードを明かしている。
 高校教員だった守安氏の妻が解放奨学生の合宿研修の教員として参加していた。女生徒たちが鏡ばかりを見て、集合時間に遅れているので「集合時間に遅れるよ。あなた鏡を見るのが好きなのね」と注意した。すると数十名の奨学生に「管理教育粉砕」「部落差別をされている子供の気持ちが分かるのか」と深夜まで問い詰められたという。ところが翌朝、生徒がやってきて「先生ごめんな。うち先生の苦しみが分からんかってん」と謝罪した。この守安氏の妻も被差別部落の出だということを誰かが話したのだ。妻はこれを聞いてこれは一体何だ、と思った。彼女は管理教育の権化とされたことを正面から受け止めるつもりで、決して「部落出身」と言わないと決めていた。ところが部落出身と分かった途端、生徒たちの怒りは収まった。部落と分かれば皆兄弟仲間。こんなことが部落民の優しさなのか、と怒りよりも悲しみに包まれたという。
 一読すると「生徒たちが部落民であることを理由に時間を守らなかった身勝手さ」について批判のポイントを挙げることができるだろう。だがそれ以上に注視すべきは部落民という異様な結束と連帯感の根底にはこの解放奨学生制度があったことである。
 奨学金はいわば解放運動家養成ギブスのようなものだ。小林(こばやし)道弘(みちひろ)大阪市議は二〇一〇年九月一四日の文教経済委員会でこう述べている。

もう同和地域の中でも経済的に非常に、いわば奨学金がなくても親は子供を高校に行かせる家庭も出てきたと。そしたら、そういうところはもう奨学金は要らんのちゃうんかと。けれども、一つの運動の中で、いやいやいや、この奨学金、本来は、もともと、先ほど今課長から説明あった意義もあるけども、もう一つの側面でいうたら人材育成という目的あんねんと。人材育成という目的があるということは、これ奨学金をもらえる家庭でね、経済的に豊かであったとしても、もらうべきちゃうかと。つまり、なぜかというと、この奨学金を受給することによってさまざまな取り組みに参加するんですよ

 本来は地区内外の経済格差の解消が目的だったはずが、結局は解放運動の拡大に使われるようになった。同和奨学金にはこんな性質もあったのだ。そして大人になった解放奨学生から奨学金を回収するというのだから、それは「激務でダウン」もするだろう。さぞかし大変な惨状だろうと思い、大阪市教育委員会事務局の担当者に確認すると、意外にも若干事情は違っていた。
 同和奨学金は建前上は貸与制度であるのだが、大阪市の場合は返還金と同額の補助金を本人に支給し、それをもって相殺(そうさい)することにより、市が返済を肩代わりしてきた。実質的な給付金だったのである。しかし、この措置が市の要綱で行われていたことが後々問題となった。要綱は行政による取り決めに過ぎず、議会の議決を経たものではない。同様の措置を行っていた京都市では、市民から相次いで訴訟が提起され、その結果「同和奨学金の肩代わりは行政の裁量権の逸脱である」として裁判所から賠償命令が出された。大阪市でも監査委員会から違法性を指摘され、ついには「肩代わりする」とした過去の〝口約束〟を撤回しなければならないところまで追い詰められたのである。
「平成一三年以前に返済期を迎えた対象者は三二五四人で免除額が一六億三七四七万円。地対財特法失効後の平成一四年以降に返還期間が始まった対象者は五二三人で四億九七七九万円。いずれの場合も免除する方針でしたが、平成一八年に市の随時監査があって平成一四年以降の対象者の免除については無効になりました。そちらが返還業務とおっしゃられているのは、この平成一四年以降に返還期間が始まった方に対する業務です」
 ただし平成一四年以降の対象者も救済策があり、所得が生活保護基準で算出される額の一・五倍以下の世帯であれば五年間返済が免除され、期限がきたらまた免除申請を行う。ただし申請は必要で、申請がなければ返還に応じなければならない。
 つまり職員は、十分に返済の余力がある世帯には返済を求め、低所得世帯には免除申請を依頼しに訪問しているのだ。
「確かに大変な作業ではありますね。教育委員会所管の各部署の課長と係長がペアを組み六二のチームで対処しています」
 と、現在では一部の職員だけに負担が集中しないように、組織をあげて対処しているという。また、過酷な回収業務により歴代の担当者をつぶしてきたという伝説は、実際はかなり違っていたようだ。
「申し上げたように、これまで回収業務自体をしてきませんでした。しかし、もともと奨学金貸付業務自体がお金を扱うため神経を使いますし、市全体の業務を係長と職員二人の計三人だけで担当していたものですから、激務のためにつぶれてしまった職員がいたという話は聞いています」(同事務局担当者)
 他府県でもある話だが、もともと奨学金をしぶしぶ受け取らざるをえなかったケースも少なくないという。だがそれも奨学金を受け取った当時は、返還も免除申請も必要がないということが安心材料ではあったのだろう。一見すると申請さえすれば免除されるわけだから美味しい話ではある。ただ一方でこんな対象者もいるという。
「すでに結婚された方に免除申請をお願いする場合は、プライバシーの問題もありますから、保護者を通じて慎重にやっています。結婚相手の方に同和奨学金を受け取っていたことを知られたくないということで保護者の方も〝なんで今になってそんな申請がいるんや〟とお叱りを受けることもありますね」(同)
 これにははっきり言って「がく然」とした。奨学生たちは「部落民」を意識し、名乗ることで奨学金を受け取っていたのではないのか? 大人になるころには堂々と「部落民」と言える世の中が来るものと信じて解放運動に参加した元解放奨学生たちは、「同和地区出身」が結婚相手にばれるのではないかと恐れながら日々を過ごしているのだろうか。未だに「部落解放」を達成できない運動体と、「府民は未だに差別をしている」と言ってはばからない行政はなんと罪深いことであろう。
 数十億円を投じた結果がこの結末である。こんな複雑な思いと、もともと無理がある同和奨学金制度のツケを背負わされる市職員たち。今後も徒労の日々が続くのだろう。(三)

草津市ゴージャス隣保館ぶっちゃけ裏事情(同和と在日2011/3)

By 鳥取ループ
鳥取ループ(取材・文) 月刊同和と在日2011年3月号

自立したくても自立できない、甘やかしと甘えの構造

 本誌二〇一〇年一二月号「グラフ特集・草津市ゴージャス隣保館見学記」(示現舎ムック「同和と在日」に収録)で、滋賀県草津市の四つの同和地区にある隣保館をレポートした。そこから導きだされた結論は、作ってしまった施設は何とかして広く市民が利用するしかないということであった。しかし、その後隣保館の実情を知る地元住民から話を聞いたところ、そのような簡単な問題ではない状況が次第に見えてきた。隣保館が隣保館である以上、広く市民に使われるということはなく、さらには、隣保館こそ同和地区住民が自立できない原因だというのである。
 草津市のある同和地区の住民であり、部落解放同盟支部員でもある増田(ますだ)秀夫(ひでお)(仮名)氏からお話をうかがった。
「(同和地区は)自立できない、永遠に。自立する気ないもん」
 隣保館の事業は教育・啓発・就労の三つがセットになっている。「教育」は学校の教員による、同和地区の児童生徒を対象とした学習会である。一方、「啓発」は社会教育指導員、「就労」は職業安定協力員という市の嘱託(しょくたく)職員により行われている。隣保館の嘱託職員は、ほとんどの場合地元住民の中から採用される。つまりは〝同和枠〟である。もちろん、隣保館のトップである館長をはじめとする正職員はそうではなく、様々な部署から異動してきた普通の市職員だ。
 増田氏によれば、隣保館の正職員と嘱託職員の関係は歪(いびつ)なものであるという。
「隣保館は地域のためにあるので、館長さんも役所も地域の人にも逆らえないですよ。とくに、町会長、支部長には絶対逆らわないです」
 各同和地区に一人いる町会長は同和事業促進協議会(同促)会長でもあり、税の減免、同和住宅の入居など属人的な同和対策事業の対象者を認定する権限を持つ。「支部長」とは、言うまでもなく部落解放同盟滋賀県連合会の支部長である。これも各地区に必ず一人いる。
「支部長や町会長というのは市と対等な立場で話し合えるし、逆に市の方が気をつかいよるね」
 増田氏は、市の職員である館長について「洗脳されている」と表現する。とにかく同和地区住民が相手だと役所の職員が気を遣うというのだ。実は同和地区を一番腫れ物扱いしていて、同和地区住民を怖がっているのは、日頃一般市民を啓発する立場である行政職員ではないかと筆者は日頃から疑っているのだが、増田氏によれば、「まさにその通り」であるという。
 放課後に同和地区の児童生徒に対して行われる学習会について、増田氏は「隣の地区はそんなことやっていないのに、なんで僕らだけこんなことまでしてもらえるんだろう」と不思議に思い、特別扱いに感謝さえしていたという。しかし、中学生になって教師からそのことの意味を初めて知らされて、ショックを受けた。
 また、草津市では今でも小中学校の教師の「現地研修会」がある。教職員も、どこが同和地区で、誰が同和地区の児童生徒かということを把握させられるのである。
「そういうことをするのは、先生方に『この子らは特別に扱わないといけない』と知らしめること。半分脅しみたいなものが入っているでしょうね」
 また、草津市の同和地区には自治会館がない。自治会館といえば普通は地区の共同所有となっており、そこで町内会の活動が行われたりする。また、同和地区には公有ではあるが行政職員が常駐しない地区会館があり、地区住民の自主的な活動に利用するということもあるのだが、草津市にはそのような施設は一切ないという。隣保館自体が自治会館のような役割を果たしているのだ。例えば祭りなどの町内の行事の世話も隣保館員が行う、町内会の会計まで隣保館が手伝うこともある、地区の会合にも館長が出てくる。そのために、隣保館は夜遅くまで明かりがついている。
「こんなことしてたら、絶対に自立できない」
 増田氏はそう語り、さらに「俺らは永遠に同和で差別されるんだ、だから同和行政を続けてくれ」と言わんばかりに、行政に甘え続ける一部の住民の姿勢も問題視する。増田氏は、行政に対して同和対策事業の継続を求めている地元有力者の名前を挙げ、こう批判した。
「自立するための議論をして欲しいけど、自立してしまったら終わってしまうからね。俺らは一般市民より下でいいんやと、差別されてもいい、あいつらはそういうとこやと指さされてもいい、その代わり施策を続けてくれと。同和が好きなんや、あの人らは。税金をいつまでも奪い取りたい。過去に江戸時代に身分制度があって理不尽な扱いをしてきた先人がいる、だから施策を受ける権利があると。それなら、一般人と仲良くしたいとは思えないもんね」
 よく「2(に)ちゃんねる」等でも揶揄(やゆ)されるように「差別がなくなったら困る人達がいる」という疑いは、「内側」にも同様にあるのだ。もちろん、そういった指摘に対しては、「いや、それは逆で差別があるから施策が必要なんだ」といった言葉が返ってくる。しかし、増田氏は本当に当事者に「部落解放」に向かおうという意思があるのかについても、疑いを向ける。
「(講演などで)歳いったおっさんは『差別がなくなっても施策を続けて欲しい言っているんちゃうんや、差別をなくせと言っているんや』と、どこでも言うでしょ。でもその割には当の地区の人は誰も来てないし、無関心だね」
 啓発や講演あったとして、地区内の各戸に声をかけても人が集まらない。何とか来てもらえるように落語家や歌手を呼んで工夫しても、来るのは地区住民の一割にも満たない。
「隣保館に出入りするのは地区の者でも限られているから、例えば同盟員でも『俺らノータッチだから勝手にやってくれ』と、そんな感じの人ばっかりですよ」
 小中学校では学習会があり、解放運動に触れる機会があるが、高校生になり、そして社会人になれば解放運動との関わりが薄れる。女性であれば婦人向けのサークル活動、子供がいればPTA関係で再び解放運動と関わる機会があるが、特に独身の男性であれば、積極的に関わろうとしなければ、解放運動関係の行事に関わることはほとんどない。

同和地区と一般地区に立ちふさがる壁

 増田氏が一貫して主張するのは、「同和地区は永遠になくならない」そして「隣保館は一般の人に使ってもらえるはずがない」ということだ。
「一般の人から利用してもらうにはどうすればいいか、市の職員から相談されるけど、隣保館である以上それは無理やで。どれだけ努力しても無理」
 その理由の一つは、やはり「差別」である。
「一般の人が地区の家を買って、キャンセルしたことがある。不動産屋は、そこが同和地区なんてことは言えないもんね」「近隣の人の方が差別がすごい。なんでかというと、邪魔なんですよ。目に見えてるから」
 増田氏はそんな話をとめどなくする。そして、隣保館が一般に開かれているということも、形だけのもの過ぎないことも指摘する。
 その原因の一つは、冒頭でも触れた〝同和枠〟の問題だ。嘱託職員は同和地区の住民で、同和地区のための就労相談や、啓発活動をしているのだから、一般市民が気軽に来れるような雰囲気ではない。また、隣保館は同和地区の自治会の活動を隅から隅まで面倒を見ているが、同じことを周囲の地域にもやっているわけではない。
「〝ああゆう連中〟の施設に行けるかと周囲の人は思うよね。出入りしているだけで〝ああゆう連中〟なのかと思われてしまう」
 また、一般の人が施設を使う場合は当然使用料がかかるが、同和地区の活動のためであれば、光熱費、チラシのコピー代、料理教室の材料代まで全てタダであるという。これでは一般市民は使う気になれない。
 そして、隣保館が解放同盟が「勝ち取った」施設であることが、さらに隣保館を使いづらいものにしている。解放同盟に入っていない人は、気を遣わざるを得ない。
 ちなみに、住民と解放同盟の関係は地区によって違う。例えば、西一(にしいち)、橋岡(はしおか)地区では町内会と解放同盟支部は別だ。一方で新田(しんでん)と芦浦(あしうら)地区では町内会と解放同盟がセットになっている。つまり、町内会に入るのであれば、同時に解放同盟にも入らなければならない。
「隣保館じゃなくて公民館にすればいいかと思ったけど、それも無理やね。よく考えたら公民館は既にあるし、一集落の隣保館なのに公民館とは規模が全然違う。建物がある限り隣保館は隣保館、壊してしまうしかない」
 一二月号(示現舎ムック「同和と在日」)でもレポートした通り、草津市の隣保館はどう考えても異常であり、周囲から浮いている建物である。それは地元でも言われていることで、公民館よりも浮きすぎていて評判が悪いという。
 財政面の問題もある。現在は隣保館の運営費の四分の三が国と県から補助されてるが、公民館であればそれをほとんど市で負担しなければならなくなる。取り壊すにしても、隣保館建設にかかった費用の大部分が国からの補助であるため、その返還のために市は大きな負担を強いられることになる。結局、隣保館はそのまま続けるしかない。そして、隣保館に付随(ふずい)する啓発や就労相談などの事業も何らかの形で残り続けることになる。
「どうして自立するかという真剣が議論がないんだよ。もっと部外者の、市民の目からの意見をぶつける機会を設けてくれたらいいのに、そういう場を作らない。まあ、作れるわけないんやけど」
 そう増田氏は言う。それはその通りで、同和対策事業を批判することはおろか、同和地区名を口にするだけで差別と言われてしまうような世の中で、一般市民が意見をぶつけるなどということは期待できないだろう。
「一般の人に部落の歴史から何から勉強させるなら地区名を出すのも理解できるとか言ってますけど、そんなこと言ってたらきりないですよ」
 さらに、増田氏が指摘するのは隣保館員など啓発に関わる人が、あまりに浮世離れしていることだ。
「この前来た人権センターの人。私は高校出たときに、どえらい就職差別を受けて、県連や解放県民センターの人が動いてくれた、その恩返しを含めて職員になって働いていると。そんなんばっかりや。普通の人がそんなこと言わないよ。時代の流れに全然ついてきていない」「甲賀(こうか)の水口(みなくち)の隣保館の人が来て、結婚差別で自殺しただのという話をする。何年前の話かと思ったら平成四年か五年の話なんですよ。未だにそんな話をするのかなと。そんな話聞いてたら洗脳されますよ」
 隣保館は紛れもなく同和地区施設であり、そこで働く人も、ほとんど同和地区住民、同和問題と接し続けることになる。すると、働く人の感覚も、一般社会とはかけ離れたものになってしまうという。増田氏はそのような人を冷ややかに見ている。
「未だに結婚差別があるとか言っている人は限られてますよ。例えば会社に勤めたら、自分から同和と言うわけでもないのに、隣保館の連中は限られた世界に住んでる。だから隣保館はおかしい」
 さらに増田氏が問題視するのが、隣保館職員の採用と待遇である。
 草津市の隣保館は大きいだけでなく、職員の数も多い。例えば新田は一七人、橋岡と西一は一〇人、一番小さな芦浦でさえ七人だ。採用方法にも問題がある。
「普通は市の嘱託職員の募集があれば何十人も応募があるのに、隣保館は支部長か町会長が『あんたがやれ』と言ったらそれで通る」
 隣保館の嘱託職員の月給は一八万円。本来であれば市が定めた要綱により、嘱託職員の雇用期間は五年までで、週の勤務時間は三〇時間を超えないのが原則である。しかし、隣保館には明らかにこの原則から外れた職員がいる。
 例えば、新田会館には、かれこれ一三年間隣保館で勤務している嘱託職員がいる。また、別の隣保館のある嘱託職員は支部長をやりつつ月に一〇〇時間残業しているという(註:残業時間の問題については二〇一一年九月現在、是正されている)。
「地元採用で職員になった人が残業で金儲けしとるんですよ。それに支部長の役職の人が隣保館の嘱託をしていても、嘱託としての仕事をちゃんとまっとうしているのかと思いますよね」
 草津市職員課によれば、確かにそのような職員がいることは把握しているという。ただ、五年を超えて勤務していることについては、隣保館の嘱託職員は市長が特別に認めて長年勤務させているという。また、残業については上司の指示で行っているものなので、問題はないという。
 しかし、増田氏はこう語る。
「職業安定協力員は仕事してないですよ。これは本人が悪いんじゃなくて、もともと仕事がないのに与えている人に問題がある」
 同和対策事業終了間際に、滑り込みで国からの予算を確保して建設した隣保館。一館あたり約三億円という巨額が投じられているだけに、何とか活用の方向を模索したいところだが、考えるにつけ、どうにもならないのである。
「全部税金なのに、そのありがたみをわかっていない。だから、なくしてしまえばいい」
 増田氏は、そう切り捨てた。(鳥)