訴訟進行状況 2024年9月22日現在

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By 宮部 龍彦

抱えている裁判・審査請求が多くなり、状況の把握が複雑になっているため、今回から月に1回程度状況をまとめて報告します。前回の報告はこちらです。

新潟県情報公開審査会

2024年8月29日に新潟県庁で口頭意見陳述を行いました。

実はそれに先立つ8月23日に新潟県から関係書類が届きました。内容は、情報公開の執行停止の原因となった解放同盟新潟県連による審査請求書と、解放同盟の反論書です。審査請求の手続は非公開ということなので、書面をそのままウェブで公開することは控えています。

審査請求人の名前は従来伏せられていましたが、今回届いた書類では、部落解放同盟新潟県連合会執行委員長が審査請求したことが明らかになっています。そもそも、筆者が解放同盟新潟県連の関係する文書を新潟県教委に情報公開請求したことが発端であり、他に審査請求しそうな利害関係者はいないので、これは秘密にする意味はないでしょう。

口頭意見陳述は、筆者が公開範囲の拡大を求めて審査請求している件も含めて一緒に行われました。委員も筆者のXを見ていたようで、いろいろ聞かれました。

詳細は以下の動画で解説しています。

さらに、2024年9月18日に追加の書類が届きました。これは解放同盟による審査請求に関連して、解放同盟から出されたもので、これは新潟地裁で解放同盟が筆者を提訴している書面と、執行委員長の陳述書でした。

内容を要約すると、「宮部は新潟県内の部落探訪で知事や県内各自治体から削除要請されている」「開示された文書を解放同盟に対する誹謗中傷の材料にするつもりだ」といったものです。証拠の提出の体裁を取っていますが、実質的には解放同盟側の主張の追加なので、これに反論できるか新潟県教委に確認したいと思います。

情報公開審査会の答申と、それを受けての新潟県教委の対応が今後の注目点ですが、今のところ未定です。

大阪地方裁判所

解放同盟大阪府連が筆者を訴えた裁判。提訴は2024年7月8日で、9月1日にようやく訴状が届きました。内容は部落解放同盟大阪府連と個人原告1名が部落探訪記事の削除と1100万円を請求するというものです。

同時に訴訟記録の全部に対する閲覧制限の申立てがされています。これについては、大阪地裁はまだ決定を出していません。そこで、9月3日に筆者から閲覧制限に反対する意見書を提出しておきました。理由は、公開された記事を消せという裁判なので現時点で秘密の情報がないこと、全面的な閲覧制限は実質的に秘密裁判となってしまい憲法違反となること、訴訟の性質上閲覧制限の決定は判決の先取りになってしまうということです。

2024年10月24日15:00に大阪地裁で初回口頭弁論という予定になっていますが、どうせ東京地裁やさいたま地裁の時のように、解放同盟関係者が大量に動員されて傍聴妨害されるし、リモートでの弁論も認めないという不公正な扱いをされそうなので、移送申立をするかも知れません。

さいたま地方裁判所

2024年9月18日にさいたま地裁で口頭弁論が行われました。解放同盟側は、削除を求めている複数の埼玉県内のクエスト記事について、それぞれ原告とどのように関係があるのか説明するはずだったのですが、9月4日提出予定の書面を12日に提出した上、内容がほぼ感想文でした。

これについて、関根規夫裁判官が注意しない上に原告に主張を促すこともしないので抗議しました。裁判官は2024年12月4日14:00に次の口頭弁論期日を入れましたが、リモートでの対応を認められませんでした。また、現状では争点が不明確なので弁論準備手続を入れないのかと聞きましたが、口頭弁論でするそうです。対面で口頭弁論をする理由について裁判官から説明はありません。

日程調整やリモート対応について、裁判官が被告はおろか原告にも確認することをせずに即決するなど、他にも裁判所の対応に不審な点があるので、訴訟指揮について異議を申し立てるのと、移送を申し立てる予定です。

筆者が何を疑っているかと言うと、経験上、期日の日程調整にしても双方の都合を聞いた後に裁判官が決めるもので、それをしないのは法廷外で裁判官と原告が話し合って被告の意見を聞かずに一方的に全てを決めてしまっているのではないかということです。

現地の様子は以下の動画で解説しています。

新潟地方裁判所

解放同盟新潟県連から筆者が訴えられている件については、移送についての即時抗告の書類を東京高裁に送ると新潟地裁から連絡がありました。おそらく今、東京高裁が審査中であろうと思います。

筆者が新潟県教委による文書公開の執行停止を取り消すように求めた裁判では、新潟県教委側の反論が提出されています。内容はほとんど法律論です。これに対して筆者が10月15日までに反論することになります。

横浜地方裁判所

2024年8月22日に川崎市側の書面が届き、それに対して9月21日に原告が反論を送付しました。

情報公開条例では「事業を営む個人の当該事業に関する情報」は公開されない個人情報としては扱われませんが、「事業を営む個人」の解釈が問題になっています。市側としては「事業主」という解釈だのようです。対して筆者は、事業主に限定すると条例には書かれていない上、市の補助金がそっくりそのまま相談員に渡っているのだから相談員がまさに事業を営んでいる立場だと主張しました。

同和相談事業なのに相談先が非公開ということが一番の問題ですが、市側は「インターネットで検索するなどして、本件2団体が構成団体となっている上位団体が公表している情報などにあたることができ、これによって本件2団体に接触することは可能である」と主張しています。そこで、筆者は「本件2団体が構成団体となっている上位団体の名称、連絡先、および本件2団体に接触する具体的な方法を示せ」と釈明を求めておきました。

蛇足かも知れませんが、昨今の情報公開では印影が塗りつぶされることが多いところ、「印影の偽造の可能性があると言っても、そもそも印影が本物かどうかなんて誰も確認していないだろ」と突っ込んでおきました。

裁判など前回のイベント今後の予定
東京地方裁判所(原審)
2016年4月19日 提訴
平成28年(ワ)第12785号 他
原告 解放同盟 外211名 他
最高裁判所(係属)
2024年11月24日 記録到達
令和5年(オ)第1710号
令和5年(受)第2187号
原告 解放同盟 外234名
関連文書
2023年6月29日
東京高等裁判所判決
期日未定
上告の受理または却下
大阪地方裁判所
2023年11月6日 仮処分命令申立
関連文書
2024年7月8日 提訴
令和6年(ワ)第6807号
原告 解放同盟大阪府連 外1名
関連文書
2024年9月1日
訴状送達
2024年10月17日
被告答弁書提出
2024年10月24日 15:00
大阪地方裁判所 202法廷
初回口頭弁論
さいたま地方裁判所
2023年12月6日 提訴
令和5年(ワ)第2913号
原告 解放同盟埼玉県連 外1名
関連文書
2024年9月18日 14:00
さいたま地方裁判所
第3回口頭弁論
2024年12月4日 14:00
さいたま地方裁判所
第4回口頭弁論
新潟県情報公開審査会
(A)公開決定の取消請求
2023年7月31日 審査請求
請求人 解放同盟新潟県連
(B)公開範囲の拡大請求
2023年8月15日 審査請求
2024年8月29日 09:30
新潟県庁
口頭意見陳述(非公開)
2024年9月18日
請求人から反論書の追加資料提出
期日未定
筆者からの再反論?
情報公開審査会答申
新潟地方裁判所
2024年1月19日 提訴
令和6年(行ウ)第1号
被告 新潟県
関連文書
2024年9月13日
被告書面提出

2024年10月15日
原告書面提出
2024年10月24日 10:30
新潟地方裁判所
第3回口頭弁論(原告リモート)
新潟地方裁判所
2024年1月24日 提訴
令和6年(ワ)第23号
原告 解放同盟新潟県連 外3名
関連文書
2024年5月23日
移送申立却下に対し即時抗告
2024年7月30日
裁判官忌避申立て即時抗告棄却
期日未定
移送の認容または却下
横浜地方裁判所
2024年4月6日 提訴
令和6年(行ウ)第19号
被告 川崎市
関連文書
2024年8月22日
被告書面提出
2024年9月21日
原告書面提出

2024年10月7日 11:00
横浜地方裁判所
第2回口頭弁論
本サイトに関連する裁判などの一覧

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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