【和歌山市長選】尾崎候補の会社 コスモ加太の所有地に太陽光発電所が建設予定?市長当選なら利益相反か

By Jun mishina
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6人のデッドヒートとなった和歌山市長選(8月9日投開票)。有力候補とみられる尾崎太郎前県議をめぐり、きな臭い情報が飛び交っている。市内の工業団地「コスモパーク加太」の一画を、尾崎氏が代表取締役を務める南海観光開発と和歌山県土地開発公社が共有する。現在、同地では太陽光発電所の建設計画が進行中。仮に尾崎氏が市長に就任すれば、計画地に共有持分を有する企業の代表である一方、事業の許可行政を統括する立場だ。地元政界関係者の間では利益相反に当たると、疑問視する声が上がっている。(写真=尾崎氏の街宣車)

市長選・市議選で存在感を高める世耕氏

【和歌山自民】世耕弘成氏が復党で 保守分裂の和歌山市長選にも影響 !世耕派・尾崎太郎県議が有力候補へ

尾崎氏のブログより。

百花繚乱かどんぐりの背比べなのかは分からない。和歌山市長選(8月9日投開票)は総勢6人が立候補する予定。そのうち尾崎氏、芝本氏、浜田氏は自民党所属で保守分裂、同門対決となる。また片桐氏は電力総連の組織候補で固定票を持ち、旅田氏は高齢とは言え昭和の名物市長だ。中高年以上には知名度が高い。反自民の受け皿となれば面白い存在である。

和歌山市・元名物市長が語った「昭和・平成の金井克諭暉」

一つのカギになりそうなのが現在、自民党に復党手続き中の世耕弘成衆院議員の動向だ。尾崎氏は早期から世耕氏の復党を訴えてきた一人。世耕氏の影響力は紛れもなく絶大。昨年夏の参院選で世耕氏の応援を受けた望月良男氏(現参院議員)が二階伸康氏を抑えて当選した。

同日の和歌山市議補選でも自民公認で〝元タカラジェンヌ〟天翔りいら氏が立候補するが、同候補も世耕氏がサポートするという。

「世耕氏の秘書がついて支援者にあいさつ回りをしていますよ。選挙対策本部にはやはり世耕氏に近い望月良男参院議員、中西徹県議が入っています」(自民党員)

かつての二階王国も現在は着々と世耕色が濃くなってきた。その上で尾崎氏が市長に当選した場合、いよいよ世耕王国の到来になりそうだ。

だがそのためには、激しい市長選を制しなければならない。現在、筆者は片桐氏をめぐる牛肉投資トラブルを追跡取材しているが、地元では尾崎氏に対しても疑問が投げかけられている。

地元記者はこう明かすのだ。

「和歌山市にある関西最大級の大型企業用地『コスモパーク加太』に尾崎氏の会社が県と持ち分けで土地を所有しているのです。県議という立場である以上、あらぬ疑いをかけられても仕方がないことでしょう」

他府県の人はもちろん、和歌山県民にも「コスモパーク加太」という名称になじみのない人もいるかもしれない。開発バブルの負の遺産と揶揄されてきた事業だ。

和歌山県の負の遺産・コスモパーク加太

問題の土地は②の部分。

「和歌山県企業立地ガイド2025-2026」から衛星写真を引用する。尾崎氏の会社の所有地は②の一部だ。本題に入る前にコスモパーク加太について説明しておこう。県関係者はこう解説する。

「コスモパーク加太は、関西空港造成用の土砂採取跡地約252haに、企業、研究施設、住宅、ホテルなどを集めた『複合的な国際都市』を造る構想でした。しかし、造成が進んだ時期にバブルが崩壊。企業や研究施設が大規模な土地を購入するというプランが崩れたのです。それでも事業規模を早期に縮小せず、巨大な土地を抱え続けました」

2003年3月時点で、コスモパーク加太の借入金は約438億円に達したという。返済不能に陥った土地開発公社は特定調停を申し立て、県が公社から土地を借り、その賃料を公社の借金返済に回すスキームとなった。

民間企業に土地が売れなくても、県が賃料を払うことで金融機関への返済を続けるというものだ。

「県は土地開発公社から約109haを借り、2007年度以降は年間約6億3500万円の賃料を支払う契約になっていました。ところが外部監査からは〝貸付先が決まっていない土地まで県が借りた〟〝県の賃料以外の収益がない〟との指摘を受けました。つまり事実上、借入金返済に対する県の補助金といってもいいでしょう」(同前)

もちろんこの債務は「県民負担」で返済されている。

負の遺産として長らく問題視されてきたコスモパーク加太。2023年にはGoogleが進出を表明し、期待が集まった。翌2024年、同社の関連会社「Asa合同会社」がデータセンター用地として37haを購入した。だが収益をもたらす起爆剤とはとても言えない。

「Googleが来るといってもなんら解決策にはなりません。データセンターは大規模な土地と電力を必要とする一方、工場ほど多くの恒常的な雇用創出にはならないでしょう。高速のICから離れていますし、大型車のアクセスが良くありません。造成工事が粗く、傾斜地が多いし区画が巨大だから購入できる企業が限定されていますよ」(和歌山市内の不動産事業者)

現状はメガソーラー(大型太陽光発電所)建設、防災施設など社会基盤系の施設が目立つ。企業、研究施設を集積した複合的な国際都市という青写真とはかけ離れてしまった。少なくとも現状では、土地を所有することに大きなメリットがある地域とは考えにくい。

また県議が県と土地と持ち分けというのはあらぬ疑いをかけられそうなものだ。

そこで同地の登記簿を取得してみたのだが、やはりいくつかの疑問点が出てきた。

県開発公社が7、尾崎氏企業が3の割合で持ち分け

コスモパーク加太はもともと山林だった。

1965年の所有権保存登記では、地元住民ら106人が原則として106分の1ずつ持つ共有地として登記されていた。名義人をみると〇右衛門、〇兵衛といった名前が目立つ。歴史を感じる登記簿だ。

土地は全体(表を参照)で約35万㎡だから東京ドームが約7・5個分である。そのうち県が106分の74の約24万㎡、そして尾崎氏が代表取締役を務める南海観光開発株式会社が106分の32の約10万㎡を所有する。割合にして約7対3だ。

登記簿を元に年表化。

非常に特徴的な登記簿だった。

1965年以降、相続等によって一つの持分が複数人に細分化された例もあるため、すべての時点で共有者が正確に106人だったわけではない。しかし、もともと106口に分けられた共有林だったことは登記簿から確認できる。

1970年代以降、N社が旧共有者から持分を順次取得した。さらにN社からK社へ持分が移り、1985年4月12日、和歌山県土地開発公社がK社から106分の74を売買によって取得した。

登記簿上、南海観光開発が初めて共有者として登場するのは2011年10月19日である。

同社はT氏名義だった持分106分の1を、「真正な登記名義の回復」を原因として取得した。翌2012年3月28日には、旧共有者24人分の持分を同じ原因によって取得。これにより、南海観光開発の持分は合計106分の25となった。

さらに同年8月24日、旧共有者7人分の持分を「真正な登記名義の回復」によって取得している。

なお「真正な登記名義の回復」とは、登記名義と実体上の権利者が一致していない場合に、本来の権利関係へ戻すために用いられる登記原因だ。したがって、南海観光開発が2011~2012年に旧共有者32人から、新たに土地を購入したという意味ではない。

登記簿上、最も目を引くのは、その後の持分移転である。

南海観光開発は2012年8月23日、それまでに取得した106分の25の全持分を、南海分譲住宅へ移転した。登記原因は「1999年8月5日売買」。13年前に行われたとされる売買を原因として、2012年になって移転登記を行ったことになる。

翌8月24日、南海観光開発は残る旧共有者7人分の持分を「真正な登記名義の回復」によって取得した。

そして9月10日、その106分の7も南海分譲住宅へ移転した。こちらの登記原因も「1999年8月5日売買」である。

この結果、南海観光開発が登記名義に戻した106分の32の全持分が、いったん南海分譲住宅へ移った。南海観光開発が最後の7口を移転してから、民事再生法の適用を申請するまで、わずか9日だった。

地積が国土調査で約1.92倍になった謎 尾崎氏は…

所有権の変遷とは別に、表題部にも大きな変更がある。この点も非常に特徴的だった。

同地の地積は、以前は18万4644㎡と登記されていた。ところが2020年6月10日、国土調査の成果により35万4751㎡へ訂正された。

増加した面積は17万107㎡。従来の約1.92倍で、約92%の増加である。登記上の原因は「錯誤・国土調査による成果」と記載されている。古い登記面積が実際より少ないいわゆる「縄延び」が国土調査によって判明すること自体は珍しくない。それにしても約92%の増加というのは不可解だ。

疑問は尽きない。

「現在、コスモパーク加太に太陽光発電所の建設計画が進んでいるのです。しかも②(衛星写真参照)の部分にもさしかかってきます。仮に尾崎氏が市長に当選して、太陽光の建設が許可された場合、尾崎氏は地主であり許可権者にもなります。利益相反と指摘されても仕方がないことでしょう」(地元記者)

土地の取得経緯だけではなく、利益相反という指摘も無視できない問題だ。そこで尾崎氏に質問状を送付した。

①表題部では当初の地積が18万4,644㎡でしたが、2020年の国土調査により35万4,751㎡へ訂正されています。非常に大きな地積訂正ですが、理由をお教えください。
②南海観光開発は2011~2012年、合計32人分に相当する持分を、通常の「売買」ではなく「真正な登記名義の回復」を原因として取得しています。なぜ通常の売買登記をしなかったのかお教えください。
③南海観光開発は2012年9月に民事再生を申し立てています。土地が再生計画上いくらで評価されましたか。
④現在まで売却せず保有している理由をお教えください。
⑤現在、同地は双日の子会社により太陽光発電所の建設が計画されています。南海観光開発の所有地にも一部がさしかかりますが、仮に建設した場合、先生は許可権者であり地主でもあります。尾崎先生が当選された場合、利益相反になりますが、中立性などはどう確保されるのかご説明ください。

すると尾崎氏からこう回答(原文ママ)があった。

  1. 質問①について

南海観光開発株式会社と和歌山県土地開発公社が共有している和歌山市加太字大谷2536番地の山林(以下、本件土地という)の登記簿上の地籍が、2020年の国土調査により増えたのは、従前の登記簿記載の地籍が実測面積より少なく記載されていたこと、従前の山林の土砂を大量に採取したことにより平地面積が増えたことが原因と思われます。

  1. 質問②について

本件土地は、もと「加太北丁共有山」という106名の共有持分権者の所有林であり、昭和48年3月に南海分譲住宅株式会社(後に鏡石観光(株)に吸収合併され、その後南海観光開発株式会社に商号変更)と有限会社日新住宅が共同して購入し、売買代金を支払いました。そして、日新住宅は自社の取得分の74名分につき共有持分の移転登記を受けましたが、南海分譲住宅は同社が取得すべき残りの32名分の持分について持分移転登記手続きを取らないままになっておりました。

そこで、平成23年に大阪市の法律事務所に持分移転登記手続きを依頼しました。しかし、契約から約40年も経過しており、持分権者の多くが死亡され法定相続人の数も沢山になっているため、弁護士さんの判断で、和歌山地方裁判所に「真正な登記名義の回復」を登記原因として持分移転登記を求める裁判を起こして、判決によって持分移転登記手続きをしてもらいました。

  1. 質問③について

民事再生の申請時に、不動産鑑定士の会社に南海観光開発株式会社のすべての所有不動産について評価をしてもらい、裁判所に鑑定書を提出しておりますが、民事再生委員からも裁判所からも、本件土地の評価について疑義が出されたことはありません。

  1. 質問④について

南海観光開発の持分は106分の32ですので、単独で利用や売却することはできません。他の共有者の和歌山県土地開発公社との協議がこれまで進められてこなかったため現在に至っています。

  1. 質問⑤について

私自身は本件土地の所有者ではありませんし、共有者の南海観光開発の株式も所有していません。また、私は太陽光発電事業にも関与していません。

従って、将来本件土地での太陽光発電事業計画の許可申請が行われ、許可基準適合性を私が市長として判断することになっても、法的には「利益相反」行為には該当しないと考えます。

ただし、「和歌山市大規模な太陽光発電設備設置審議会」や市議会で私が市長として許可基準適合性について判断することについて公平性に疑念がある旨のご意見をいただいたときは、当該許可審査から回避し、市長代理者に当該事案についてご担当いただくことも検討いたします。

市長選を目前にして、応じてもらったことには感謝したい。

だが説明は十分とは言えない。地積訂正については「思われます」という推測にとどまり、35万4751㎡になった客観的な根拠を示していない。

尾崎氏は「不動産鑑定士による鑑定書を裁判所に提出し、民事再生委員や裁判所から評価について疑義は出なかった」と説明した。

「鑑定評価が争われなかった」という説明と、「評価額はいくらだったか」は別問題だろう。

現在まで売却していない理由として、「単独で利用や売却をすることはできない」と説明するのも疑問が残る。もちろん南海観光開発が土地全体を単独で売却することはできない。だが同社が所有する「106分の32の共有持分」自体は、原則として他の共有者の同意なしでも譲渡できたはずだ。

問題の太陽光発電所については…

そして最も注目された隣接地の太陽光発電所計画について尾崎氏はどう応じるか。

この点について尾崎氏は「利益相反に該当しない」という見解を示した。

確かに、土地の所有者は尾崎氏個人ではなく南海観光開発。また、許可処分は市と南海観光開発との売買・請負契約ではないため、直ちに地方自治法上の兼業禁止や契約上の利益相反に当たるとは断定できない。

だが会社の利益を図る立場には変わりない。それに市長になれば、その会社が共有持分を持つ土地に関する太陽光発電事業について、許可・不許可を判断する行政側の最高責任者となる。

そこで公平性に疑義があった場合は「許可審査から回避し、市長代理者に担当させることも検討する」と尾崎氏は、必要に応じて自ら審査から外れる可能性に言及した。

通常、こうした取材の場合、「回答は差し控える」または弁護士からの警告がせいぜいだ。選挙直前の質問でありながら、尾崎氏が許可審査からの回避にまで踏み込んだ点は注目に値する。

果たしてこのコスモパーク加太問題が尾崎氏の選挙にどの程度、影響するのか。世耕氏のサポートがあれば少々のスキャンダルはものともしないだろう。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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