前回の土庄町小海から、小豆島を北東へ進み、大部に向かった。小豆島の古村探訪の2つめである。
『香川県社会事業概要』によれば、小豆郡大部村大字大部字高良山に12戸の古村があった。この古村は漁業を行って
いた記録がある。



現地はよく整備されている。大部団地という改良住宅があるのは分かっていたが、一瞬、民間の立派めな福祉施設か何かかと思ってしまった。住宅は平屋と2階建てがあり、斜面の道路に沿って配置されている。

ここは公営住宅の配置に特色がある。一箇所にまとまっておらず、複雑な地形の場所にぽつぽつと配置されている。大部甲1541-1に大部集会所があるが、看板が出ていないので町のサイトや地図を見ないと施設の名称が分からない。

施設も立派だが、景色も素晴らしい。駐車場もよく整備されていて、ただの集会施設にしておくのは、何だかもったいない気がする。
明治期地籍図の目録では、大部村の旧字と地番が「西大道山」1447~1524番地、「高良山」1525~1603番地、「中之口」1604~1736番地の順に並ぶ。集会所の大部甲1541は、旧字高良山の範囲に入る。




2014年の土庄町議会会議録によれば、当時の大部改良住宅は県道から海側の丘陵地に27戸あり、建替事業が進められていた。
現行の土庄町営住宅管理条例施行規則には、大部団地の完成年度が2017年度から2019年度までと記録されている。かなり新しい住宅である。

ところで、写真を拡大すると、複数の住戸の外壁に赤い縦長の装置が取り付けられていることが分かる。赤い半透明のカバーと、丸みのある下端が特徴的だ。
外観はパナソニックの「EA5501 警報ランプ付ブザー(屋側用)」に酷似する。高齢化が進んでいるということなので、体調異変時の緊急呼び出し用というのがありそうな用途である。




香川県の社会資本整備計画の事後評価では、大部住宅建替事業に伴う集会場整備が関連事業に位置づけられている。現在の集会所は、住宅建替えと一体で整備された施設ということになる。





1921年の『小豆郡誌』にも、細民部落のセクションがあり、その記録は『香川県社会事業概要』と同じである。



しかし、別の昭和初期の記録では「野間西」とある。明治期地籍図の目録には、高良山や中之口とは別に「野間之坪」があり、現在も大部港海岸には高良山地区と野間の坪地区という名称が残る。
香川県の土砂災害警戒区域一覧にも、大部の「野間川」「中ノ口がある。「野間」を冠する小地名が現存することは確かである。





2022年の第4期土庄町地域福祉計画は、小海浜地区と大部地区に生活相談員を各1人置き、隣保館で相談・交流事業を行い、低額所得者へ住宅を提供していると記す。大部は現在も町の同和施策上の地区名である。
香川県全般で言えることであるが、ここ小豆島でも、部落・同和地区の存在は当たり前のように住民に知られており、具体的な場所も含めて秘密でもなんでもない。

公営住宅から少し離れた砂浜がある海岸には児童館と、作業所らしき建物がある。



