【川崎市】朝鮮学校「幼稚班」の幼稚園詐称問題、補助金を出した市は「把握していない」

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By 宮部 龍彦
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8月24日、愛知と三重の朝鮮学校が就学前の子どもを預かる施設を「幼稚園」と表記していたとして、両県警が学校教育法違反の疑いで捜査に乗り出したことを産経新聞が報じた。翌日には松本洋平文部科学大臣が「幼稚園ではない教育施設が幼稚園の名称を使用するのは学校教育法で禁止されている。今回の事例を踏まえて適切な指導を行うよう都道府県に事務連絡の発出を考えている」と述べたとされる。

しかし、事情を知る人にとっては今さらな話かもしれない。例えば川崎市の川崎朝鮮初級学校(川崎区)の「幼稚班」は、当たり前のように幼稚園と呼ばれてきた。同班はSNSでも長らく幼稚園の呼称を用いており、地元メディアも当たり前のように「川崎朝鮮幼稚園」と書いている。愛知の件を受けて、川崎市と同校に見解を聞いてみた。

捜査の端緒は、岐阜県羽島市の佐藤健市議による刑事告発である。佐藤市議は、朝鮮学校が「幼稚園」の呼称を用いているのは学校教育法135条1項に反し、同法146条の罰金に当たるとして、愛知、三重、長野、神奈川の各県警と警視庁に告発した。5都道府県警がこれを受理し、産経新聞によれば、このうち愛知と三重で捜査が始まったという。

佐藤市議は9月2日、岐阜市内で記者会見を開き、経緯を説明した。同市議は岐阜県内を中心に朝鮮学校への補助金を独自に追及してきた。岐阜朝鮮学園が岐阜市、大垣市、羽島市に補助金を多重に申請していた件も、同市議の追及によるものである。

神奈川新聞もタウンニュースも青丘社も、当たり前のように幼稚園と呼称

川崎市内では、川崎区と高津区に朝鮮学校の幼稚班がある。公式には、朝鮮初級学校の付属幼稚班である。いずれも学校教育法上の小学校や幼稚園ではなく、「各種学校」の扱いである。

学校教育法によれば各種学校は幼稚園、小学校、中学校などの名称を用いてはならず、違反すれば10万円以下の罰金である。朝鮮学校が「初級学校」「中高級学校」のような呼称を用いるのはそういった事情からだ。

しかし、「幼稚班」については、なぜか日頃から幼稚園と呼ばれることが多い。

神奈川新聞の、幼保無償化に関係した記事の見出しは「川崎の朝鮮幼稚園も対象」となっている。記事内でも「朝鮮幼稚園」「川崎朝鮮初級学校、南武朝鮮初級学校の付属幼稚園」と書かれ、写真の説明は「併設の付属幼稚園が調査対象となった川崎朝鮮初級学校」である。

川崎の地域紙・タウンニュースも同じである。記事の本文で、当たり前のように「幼稚園」と書いている。

筆者が以前に偏向を指摘した、桜本中学校の人権教育で使われた資料にも、朝鮮初級学校には幼稚園が併設されていると書かれている。

桜本で活動する社会福祉法人青丘社は2020年3月16日、「『朝鮮幼稚園に幼保無償化の適用を!』地域署名活動を行いました」という記事をブログに載せた。この記事も「朝鮮幼稚園」を連呼している。

このことからも分かる通り、公式には幼稚班でも、当たり前のように幼稚園と呼ばれているのだ。

インスタは6月に〝幼稚班〟へ

川崎朝鮮初級学校の公式インスタグラムのプロフィールには、川崎朝鮮幼稚班と書かれている。その一方で、「幼稚園1日体験などに興味がある方は~」ともある。

内容をよく見ると、興味深いことに気づいた。過去投稿の行事紹介ではずっと「川崎朝鮮幼稚園」と書かれているが、今年の6月の開放保育の投稿からは「川崎朝鮮幼稚班」に変わっている。

川崎市の補助金関連文書にも幼稚園の記述が

川崎市では現在のところ朝鮮学校への学費補助は行っていないのだが、少額ながら外国人学校児童等多文化共生・地域交流事業補助金というのを支出している。

その、令和4年度の実績報告書を見ると、「幼稚班」という名前は出てこない。代わりにこんな記述がある。

「※その他 川崎朝鮮初級学校幼稚園児 18名 保護者児童総数 37名」

「川崎朝鮮幼稚園の園児や、川崎市内に暮らす幼児たちを対象に、季節に応じたテーマで様々な活動を行った」

さすがに市に出す書類では「幼稚班」と書くべきなのだろうが、地が出てしまったのか。

川崎市に見解を聞こうとすると…

補助金の担当部署である川崎市こども未来局総務部企画課へ行き、愛知の件を報じたニュースを見せて見解を問うた。すると空気が変わった。担当者は奥へ引っ込み、相談を始めたのである。

担当者は、愛知のニュースについて初めて知ったという。呼称については承知しておらず、こども園のように呼んでいた。インスタグラムのことも知らない。「幼稚班」という呼び方もよく分からないとのこと。

今のところ、文科省などからは何の通知も来ていないということであった。

朝鮮学校のような各種学校を認可し、監督するのは都道府県知事なので、神奈川県の私学振興課にも聞いてみた。川崎市と同様、愛知の件は把握していない、文科省からの通知も来ていない、幼稚園の呼称が使われている実態は把握していないという。

だが、佐藤市議の告発を受理した5都道府県警には、神奈川県警も入っている。認可と監督に当たる県が、その実態を把握していないということである。

学校は「先生の間違い」

6月29日、川崎朝鮮初級学校に電話で取材した。応対した職員は、正式には川崎朝鮮初級学校付属幼稚班であり、自分たちもそう使っているつもりだと述べ、こう続けた。

「まあ、保護者たちだったり、便宜上『幼稚園』というふうに表現があったりはするかもしれないですけど、学校としては『幼稚班』ということで」

インスタの表記が6月に変わった理由を尋ねた。

「もしかしたらそれは、ちょっとやってる先生が間違いがあったので、あの、書いたかもしれませんね」

「そこはちょっと徹底できてなかった部分があったかもしれないんですけど」

愛知の件の影響については「ちょっと私がそこまでは」。行政からの指摘の有無は、自分では分からないので直接、神奈川県や川崎市に問い合わせてほしいという答えだった。

罰金10万円、立件されるのか

愛知、三重の件はまだ捜査が始まったばかりである。神奈川も含めてその他の地域では今のところ動きはない。神奈川県警は県内に告発の対象がありながら、動く様子を見せていない。

もっとも、学校教育法146条の法定刑は10万円以下の罰金と重くはない。立件されるとしたら、おそらくインスタグラムなどの過去の記述だろう。神奈川新聞やタウンニュースについては、あくまで朝鮮学校の外の人たちが勝手に幼稚園と言っていた、ということになる。

果たして立件されるのか注目したいが、インスタの記述が変わっただけでも、少しばかりは効果が出ているようである。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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