財政状況の悪化、リサイクル施設をはじめとする公共施設の老朽化、市立病院の経営問題…。近年の大和高田市政は、不安定な状態が続いている。ここ数年は絆・維新会派を中心に堀内大造市長への反発が強まる一方だ。そこで目下、注目されているのが〝18番目の議員〟と言われてきた幹部職員A氏。同氏はこれまでも市長選で名が挙がってきたが、8月末で同市役所を退職し選挙の準備に入るという。しかも後ろ盾というのが――。(写真=大和高田市役所)
市長と議会の対立が続く

堀内市長と議会の対立は深刻だ。
市立病院に関する予算案が3月定例会で否決された後、市長が専決処分を行ったことなどが「議会軽視」に当たるとして、市議会は辞職勧告決議および問責決議を可決した。
専決処分をめぐっては、一部メディアも巻き込んで市長への批判論が噴出した。しかし、市立病院の安定的な経営は市民生活に不可欠である。緊急の資金措置が必要な中、議会で予算が否決された後も放置するわけにはいかなかったとして、市長は専決処分に踏み切ったとされる。
地域医療の維持や職員給与、取引先への支払いの滞りを回避するため、首長として何らかの対応をせざるを得なかったとする見方も少なくない。
一方で議会側も、病院の救済自体に反対していたわけではない。資金繰りの手法として「貸付け」ではなく「一般会計からの繰入れ」にすべきだったとする議会側の反論も成立する。
問題は反市長の急先鋒が絆・維新会派ということだ。
18番目の議員と呼ばれた職員に動きが

現市長は2019年、2023年ともに無投票で当選。対抗馬を立てられなかったと不満を抱く関係者も少なくない。そこで前回の市長選から注目されてきたのが幹部職員A氏。
また戸谷仁史市議も市長選を視野に活動してきたという。その一つが、地元「FMヤマト」で毎月第3週に放送される番組への出演だ。同番組は絆・維新会派など反市長派市議と近い。
絆・維新会派内部でも戸谷氏を推す声があり「主に仲本博文市議が戸谷氏を候補に挙げた」と市関係者は話す。
ところが関係人物の間で話し合いをもった結果、市長選候補をA氏で一本化したという。
「A氏は政治家の一族で資産家。また非常に発言力があることから、周辺からは〝18番目の議員〟と評されてきました」(同前)
A氏を担ぐ動きは以前からあった。筆者は6月22日の記事でA氏に確認したところ、立候補を否定。
ところが8月に入って状況が一変したのだ。
「A氏が大和高田市役所を8月末に退職するというのです。定年でもなく、年度末ですらないこの時期に退職というのは訳ありと考えるのが普通でしょう」(同前)
すでに地元政界通の間ではA氏の動向が注目されている。「反市長派市議がA氏支援のため地元有力企業K社を訪問しています」(政界通)
A氏本人を直撃すると「市議が有力企業に挨拶? それはどなたがやっているのですか。公務員なので何も言えません。ノーコメントにしてください」と肯定も否定もしない。
取材を進めてみるとやはり絆・維新会派の市議がA氏擁立を進めているようだ。
「萬津力則市議が熱心に進めていますよ。ご本人は任期満了をもって引退する意向。その前にA氏出馬の道筋をつけるということでしょう」(前出政界通)
しかも奈良県政の有力者たちにも引き合わせたというのだ。
「萬津氏はA氏を伴い、近隣の首長経験者の他、部落解放同盟奈良県連合会常任顧問、元奈良県議会議員の川口正志氏に挨拶をさせています。着々と足場を固めていますね」(前同)
川口氏は奈良の〝同和のドン〟として地元政財界に君臨してきた。政界を引退したがまだ県政にはにらみが利く人物だ。
「萬津氏は川口氏のことを〝オヤジさん〟と呼び心酔しています。また絆・維新会派の森本尚順市議の結婚の媒酌人というのが川口氏なんですよ。A氏に挨拶をさせたのもその関係でしょうね」
萬津氏と言えば同和行政を持ち出し、市職員に対して高圧的な発言をしたことも過去、レポートした。絆・維新会派は同和と親和性がある会派だ。果たしてこうした人脈に支えられて市政改革が可能か悩ましい。
大和高田市の財政を圧迫してきた要因の一つとして、旧同和事業に伴う施設維持費や住宅資金貸付金の不良債権問題が指摘されている。共産党の向川征秀市議がYouTube上で「旧同和事業のあとしまつを」と題して報告。過去からの経緯や入居・名義、施設老朽化、住宅資金貸付金の不良債権化について解説している。
仮にA氏の市長選出馬が事実ならばこうした諸問題をどう考えるのか聞いてみたい。



