〝市役所残酷物語〟というに相応しい交野市パワハラ報告書。山本市長の支援者は「市長とA氏(加害者)は別問題」と身内びいきに終始しているが、指導力不足という批判は免れないだろう。しかも報告書にある被害者たちはパワハラだけではなく山本市政下で〝報復人事〟とも受け取れる異動に遭っていた。内情を迫っていくと市長派の市議2名、そして謎の開発ブローカーが浮かび上がる。(写真=7月13日、倉治付近で警察から注意を受けた山本氏の街宣車)
山本氏の支援者、Kグループのアルバイトか?

「うるさい。場所を考えなさいよ」
交野市倉治の密集した住宅街に山本景市長の街頭宣伝車がやってきた。道幅が狭く、街宣車を走らせる場所としては適切とは言い難い。それに事前運動の可能性もある。住民が怒ったのも当然のことだ。
住民の一人が運動員に注意をした際、「アルバイトで集められた」と説明したという。
雇い主というのが山本氏の支援者で府内で介護施設事業を行う実業家、K氏とみられる。その後、警察に通報されると現場には山本氏も駆けつけ事態は収束したというのだが、告示日前から波乱含みの山本陣営だ。
本件については会社を通じてK氏にもコメントを求めたが「普段、ここにはいません」と社員は話す。
そもそも山本氏の街宣車については市民の間でも「事前運動」との指摘も少なくない。他の自治体では禁じられているのぼり付きの自転車も当たり前のように使用されてきた。
半ば治外法権化した感もある。

パワハラ問題の報告書で山本氏の名も挙がった以上、まずは市政の正常化に注力すべきではないのか。しかし山本氏の脳内はもう市長選一択だろう。
熱烈な支援者からは「A氏の行為はパワハラだが、市長は違う」という極端な擁護論が展開されるが、果たしてそうだろうか。今回も交野市のパワハラ問題についての報告書を検証する。
てっぺんグループによる加害者擁護
山本市政を支える幹部職員について艮幸浩前副市長を中心とした「てっぺんグループ」の存在を指摘した。実は報告書内でも重要箇所で登場するのだ。報告書71ページの一部を抜粋する。

【交野市㉑】パワハラ報告書を読む 山本景市長のパワハラ認定、内部通報「1年以上放置」の内幕
そして、当時、■副市長及びU■は、人事窓口を所管する立場にあるとともに、本件手順書の策定を通じて、実質的に通報対応の検討プロセスにも関与しており、通報に関する秘密を保持すべき職責を負っている。そうであるにもかかわらず、前述のとおり、U■は令和7年10月17日及び同月18日にAからの質問に対して、内部通報がなされている事実や通報時期、市の対応状況等を明かし、さらに、■副市長及びU■は、同年11月19日の事情聴取の場において、Aに対し各被害事案の詳細な内容まで伝達し、Aの言い分を聴取した。
11月19日、副市長とU氏は事情聴取の場で、被通報者A(相関図H)に対し、被害事案の詳細な内容を伝え、Aの言い分を聴取したと認定された。この時点では、第三者委員会による正式な調査が予定されていたのに事実上、被通報者に非公式な「反論の機会」あるいは「事前聴取」の機会を与えたことになる。
第三者調査を骨抜きにしかねない行為である。
報告書は、副市長とU氏の行為について、交野市の内部通報要綱に違反すると判断した。問題はこのU氏が相関図のAにあたる総務部長であることだ。パワハラ問題を受けての市長会見にも同席した人物である。
いわゆるてっぺんグループの一員であり、仲間を擁護したと見られても仕方がない。
山本市長が反対した未来学園の担当職員は今
次の問題点は黒田前市長下で進められた施設一体型小中一貫校「交野みらい学園」整備事業関連だ。学校整備について山本市長、革新系市議や団体が反対してきた。
2021年3月14日、交野市内で開催された反対集会には市議時代の山本氏、日本共産党・皿海ふみ、藤田茉里両市議が出席。
2022年10月の所信表明で、山本氏は「小中一貫校はふさわしくないものと考えます」と表明。また山本氏は、松村氏とともに賛否を問う住民投票条例案を提出した。本人のブログ「交野第一中学校区における施設一体型小中一貫校についての反省とお詫び」(2025年3月31日)でも、その経緯に触れている。
もっとも確固たる信念があって反対したのかは疑わしい。山本市長誕生の原動力になった共産党や革新系団体が一貫校に反対していたからだろう。
市長の方針が影響したのか、具体的な指示があったのかはまだ謎だ。
だが学校の開発許可手続のプロセスは非常に問題だ。行政文書に、実際とは異なる過去の日付の受付印が押されていたことが、第三者調査委員会の報告書で明らかになった。
交野みらい学園の建設にあたっては、道路、下水道、消防、教育部門など、市役所内外の多数の関係部署と協議を行い、同意を得る必要があった。市は早い段階から調整を始めるため、令和元年7月31日、開発調整課に「事前相談書」を提出した。
ところが翌年度になり、この書類の表紙は「事前協議書」に差し替えられた。大阪府から、正式な開発許可手続の資料としては「事前相談書」ではなく「事前協議書」でなければ受理できないと指摘されたためだという。
さらに不可解なのは、令和2年度に作り直された表紙に、実際の作成・提出時期ではなく、前年の令和元年7月31日に遡った受付印が押されたことである。
報告書によれば、受付印を押した職員は、書類を当初からの資料と同じ受付番号で一体的に管理するためだったとの趣旨を説明した。誰が日付を遡らせることを主導したのか、上司の指示があったのかについては、関係者の記憶が曖昧で、明確な認定には至らなかった。
しかし、行政文書の受付印は、単なる事務上の飾りではない。いつ文書が提出され、行政機関がいつ受理したのかを示す、公的な記録である。
実際とは異なる日付を押せば、後日その文書を確認する市民や監査機関は、書類がその日に提出されたものと誤認しかねない。
しかも、この事前協議書は庁内だけで処理された内部資料ではなかった。交野みらい学園の基本設計・施工一括請負契約に関する入札資料にも添付され、応募事業者に示されていた。
資料を業者に開示した目的自体には合理性があるとしても、日付を遡らせた文書が大型公共事業の入札資料として使われた事実は軽くない。
調査委員会は、刑法上の虚偽公文書作成罪についても検討したという。
さらに内部の手続き以上に問題なのは人事だ。山本市政になると未来学園を担当した職員1は部課長級の技術職員としては異例とみられる庁外施設へ異動させられた。同職員は建設分野でありその道の専門家だ。しかし現在の職場は技能と全く無関係。報復、嫌がらせ人事以外の何物でもない。
パワハラ問題に詳しい市関係者によれば「職員1は単に未来学園のことだけではなく、Aらによるパワハラに屈しなかったということが報復人事につながったと考えられています」という。
問題になった人事はこれだけではない。
坂本議長と懇意のブローカーの讒言を聞き入れた?
職員1だけではなく理不尽な人事は他にもある。職員2もやはり部課長級だったが、異例の庁外施設へ出向させられたのだ。職員2が関わった業務を追跡すると市長派の市議が浮上する。
これも黒田市政下で進められた星田北開発事業に関わったのが職員2だ。正確に言えば開発事業は市というよりも地元の地権者らが進め、これを交野市が支援した。
星田北開発についても山本氏をはじめ、革新市議や団体が反対。
「実は松村市議の父親が星田北開発の反対派のリーダー格だったのです。元教員で政治活動家だから弁が立つのでしょう。説明会にやってきて地域住民に代わって反対論を演説していました」(前出市関係者)
松村氏は市長派市議の筆頭格。その父親が星田北開発反対派の中心人物である。その後、担当職員は理不尽とも受け取れる異動を命じられた。こうした経緯を踏まえれば、人事の背後に政治的背景がなかったのか、疑問が生じるのは当然だろう。
ところが内情に詳しい市職員はこう補足した。
「確かに外部の人から見ると市長と松村親子の政治力を疑うかもしれません。しかしそれはあまり大きな原因ではないかもしれません。別の人物の影響があったとみられます」
同職員はこう続ける。
「職員2はそれ以前に私部南地区の開発事業を担当していました。同地区の開発でTというブローカーが関わっていたのですが、自分の意向どおりに開発業務を進められないと考えたようです。すると〝妨害するのは職員2だ〟とT氏は考えるようになりました。T氏は坂本顕議長の選挙事務所にも出入りする人物。T氏は坂本氏を通じて市長とも面識を持ったといいます。その結果、T氏が市長に〝職員2は問題〟だと吹き込んだことが、人事に影響したのではないかとみられています」
地域事情に詳しいデベロッパーにT氏について聞いてみた。
「T氏? M●興産のか。中田仁公元市長の時代から役所に出入りしていたけど、まだやっていたんだね。S不動産で仕事をしているというから聞いてみたら?」
S不動産に確認したところT氏については心当たりはないという。坂本氏にもT氏との関係や、T氏が当該人事に影響を与えた可能性について事実確認を求めたが、回答はなかった。
また交野市企画財政部情報マーケティング課広報担当を通じて、市長、松村市議、人事課、報告書にも関係した職員に「職員1、2の人事について」の質問状を送付した。
松村氏については「なぜそのような人事になったかと聞かれてもお答えする立場にないというのが回答です」との反応があったが、例によって市は「貴社の報道姿勢に疑問を抱いており、取材や問い合わせに対する協力はいたしかねます」という答えが予想される。
市長や人事課から回答があれば、追って掲載する。人事が適材適所に基づくものだったというなら、市は異動理由を説明すべきだ。沈黙を続けるほど、「報復人事」との疑念は深まるだけである。



