【沖縄県庁】マスコミも連帯「沖縄県差別のない社会づくり条例」で〝吊るし上げ〟氏名公表を狙うも断念!

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By Jun mishina
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「沖縄県差別のない社会づくり条例」は差別的言動と認定した表現や発言者の氏名を公表すると規定する。日本沖縄政策研究フォーラム・仲村覚理事長は、YouTube上での発言を県から差別的言動とみなされ、同条例に基づく氏名公表手続きの対象となった。ところが仲村氏が条例の解釈や県の手続き上の問題点を指摘すると、県は8月17日、氏名を公表しない方針を本人に通知。『琉球新報』『沖縄タイムス』も巻き込み仲村氏への〝制裁〟を目論んだ沖縄県だが失敗に終わった。(写真=沖縄県庁)

行政とマスコミのタッグ制裁

うちなーの石橋学こと沖縄タイムスの阿部記者。

「沖縄県差別のない社会づくり条例」は、人種、国籍、信条、性別、性的指向、性自認、社会的身分、出身などを理由とする不当な差別の解消を目的として、2023年3月に制定された。

そのうち第11条は、本邦外出身者等に対する不当な差別的言動について、発言者の氏名や表現内容を公表する制度を定めている。

差別的言動に該当する表現活動があったとの申出を受けると、県は証拠などを確認し、「沖縄県差別のない社会づくり審議会」に意見を聴く。県が不当な差別的言動に該当すると判断した場合、法務局に通知。原則として発言者の氏名または団体名、発言・投稿内容の概要を公表する。

同様の条例はマスコミ、人権団体、朝鮮総連系など外国人団体が行政に対して制定を求め、各地で施行されてきた。ただしその運用、また差別の定義について恣意的、曖昧なパターンが多く、今回のトラブルはその最たるものだ。

誰に向けた発言か分からないのに「差別認定」

ことの起こりは仲村覚氏が2023年12月22日、YouTube番組内で「自分が泥棒をしたときに『あいつが犯人だ!』ってやるっていうじゃないですか、中国人って」と発言したことだ。この発言が県に報告され、県は専門家等で構成される審議会に意見を聴き、審議会は仲村氏の発言が「ヘイトスピーチに該当する」と答申した。

だがそもそも誰に向け、誰を傷つけたのか分からない。だが審議会の答申を受け、沖縄県は同条例に基づき、氏名および表現活動内容の公表に向けた前段階として、仲村氏に対し意見書の提出を求めた。

2026年5月、仲村氏は県の対応について「言論弾圧だ」と反論し、氏名公表の差し止めを求めて那覇地裁に訴訟を起こした。

すると県の態度が一変。

本条例はその性質上、沖縄県の区域内を対象としている。当該インターネット上の表現行為については、県の区域内にかかるものと判断するに至らなかったため。

このような理由から仲村氏に条例11条1項に基づく氏名等の公表を行わない(公表を断念する)決定を下し、仲村氏側へ通知した。少なくとも、県が当初進めていた氏名公表手続は、その前提となる地域的要件を満たせないまま終了した。

予想通り、沖縄2紙が本件を報じたが〝最後っ屁〟といった内容。

『沖縄タイムス』(8月20日)県、ヘイト公表を断念 発言者の抗議受け入れ

『琉球新報』(8月21日)「差別的言動」巡り氏名の公表せず 沖縄県「県内関係と言えず」 反ヘイト条例に運用指針

沖縄タイムスは阿部岳記者、琉球新報は南彰記者が担当。いわゆる活動家肌の記者が県の対応を批判した。ヘイト公表という見出しを用いた点からしても、沖縄タイムスの方がより先鋭的な内容だ。

いずれも人権や反ヘイトという大義名分の下なら、手続きの瑕疵や裁判での勝ち負けを超越して行政は押し通すべきという記者の思いがにじみ出る。つまり「報道」ではなく「アジテーション」の領域だ。

行政が扱える性質の事案だったのか

おそらく県に報告したのはいわゆるアンチの視聴者だっただろう。だがそもそも県が扱うべき問題だったのか疑問が残る。

県が公表している事務処理要領によると、インターネット上の表現活動を条例の対象とするには、

「県の区域内に居住又は滞在する本邦外出身者等に対して行われていると明らかに認められるもの」

でなければならない。

つまり、インターネット上で閲覧できる発言なら、沖縄県が何でも審査できるわけではない。発言の対象となった人物が沖縄県内に居住または滞在していたことが、明らかに認められる必要がある。

ところが県が仲村氏に送った通知では、問題とされた発言とYouTubeへの掲載期間は示されているものの、発言の対象者が誰であり、沖縄県内に居住・滞在していたのかは説明されていない。

仲村氏の発言が行われた場も県外だったとされる。

それにもかかわらず県は、審議会での検討を経て、氏名公表を前提とする意見陳述手続にまで進んだ。最終段階になって「沖縄県の区域内にかかると判断できない」としたのであれば、本来は手続の入口で確認すべき適用条件を見落としていたことになる。

仲村氏側が「管轄要件を欠いた権力行使だった」と批判するのも無理はない。

発言だけを切り出した「差別認定」

行政が発言者の氏名まで公表するには、単に言動が不適切だったというだけでは足りない。

条例が対象とするのは、本邦外出身者等を著しく侮蔑し、地域社会から排除することを扇動するなどの「不当な差別的言動」である。県の事務処理要領も、該当性の判断に当たり、発言の背景、前後の文脈、趣旨などを総合的に確認すると定めている。

ところが通知書には、

  • 発言が誰に向けられたのか
  • その人物が条例上の「本邦外出身者等」に当たる根拠
  • どのような前後関係で発言されたのか
  • なぜ地域社会からの排除を扇動する言動と判断したのか

が具体的に示されていない。

発言そのものは特定されているため、「根拠事実が一切示されていない」とまではいえない。しかし、二つの言葉を条例の要件にどう当てはめたのかという肝心の認定理由は、ほとんど説明されていないのである。

言葉の一部分を切り取り、その背景を十分に示さないまま公権力が「差別」の烙印を押せば、政治的な論争や批判的言論まで萎縮させかねない。仲村氏は沖縄問題や中国問題に取り組む保守派の言論人だ。不十分な説明のまま氏名公表手続を進めれば、政治的主張を理由に特定の言論人を狙い撃ちしたとの疑念を招くのも当然だ。

証拠を見る前に反論せよという矛盾

仲村氏側は、県が判断根拠となる公文書の開示決定を先送りする一方、それより前に意見書の提出期限を設定したと主張している。

となると、県は仲村氏に対し、判断の根拠資料を十分に確認できない状態で反論するよう求めたことになる。

県の施行規則では、通知を受けた者は証拠書類を提出でき、やむを得ない理由がある場合には提出期限の変更を申し出ることができる。

しかし、反論に必要な資料を県自身が保有しているのなら、開示を待たずに意見書を出させるのではなく、認定理由と証拠を提示したうえで、十分な反論期間を確保するのが筋ではないか。

情報公開請求と意見陳述が制度上別の手続だとしても、行政の公正さという観点から疑問が残る。

氏名公表は刑罰ではないが、インターネット上で個人を「差別的言動を行った者」として公表する以上、社会的信用や仕事に重大な影響を与える。それほど重い措置を予定しながら、対象者が何を根拠に認定されたのかを十分に把握できない手続では、実効的な反論の機会を保障したとはいい難い。

しかも県が「審議会で決まった」と説明するだけでは不十分だ。県は、対象者の属性、県内との関連性、発言の文脈をどのように認定したのかを、自らの責任で説明しなければならない。

審議に個人情報が含まれる以上、会議を非公開とすることには一定の合理性がある。だが、それは判断過程までブラックボックスにしてよいという意味ではない。

「公表を見送ったから問題はない」では済まされない

県は最終的に公表を見送った。その判断自体は当然である。

しかし、結果的に氏名が公表されなかったからといって、手続上の問題が消えるわけではない。行政から「差別的言動を行った者」として氏名公表を予告され、反論を求められること自体が、対象者に大きな心理的・社会的負担を与えるからだ。

県が、自ら定めた適用条件を事前に確認したのか。発言の背景と文脈を十分調査したのか。認定理由と証拠を対象者に示したのか。表現の自由への影響を慎重に検討したのか――。行政権の行使としての適正さが問われている。

筆者はまず沖縄2紙が仲村氏を実名で報じたことについて行政に代わる「復讐代行」の意図があったのではないかと指摘した。

すると琉球新報編集局の回答は思ったよりは理にかなったものだ。

「仲村覚氏は今年4月22日に沖縄県政記者クラブで会見を行い、ネット番組での発言を巡って沖縄県差別のない社会づくり条例に基づく意見陳述が求められていることを明らかにし、沖縄県の対応への反論などを表明していました。琉球新報では翌23日付の社会面で仲村氏の氏名とともに会見内容を記事にして掲載しています。今回は、沖縄県として氏名と概要の公表は行わないという判断を行い、仲村氏に通知したことが弊紙でも確認でき、報道に至っています。紙面における氏名掲載については、沖縄県条例の氏名公表の基準とは別に独自の判断となります。4月の当事者本人による記者会見を報じてきた経緯などを踏まえ、一連の問題の続報の位置付けとして引き続き実名で報じた次第です。「懲罰代行」ということではありません。

一方、より強い論調だった沖縄タイムスには阿部岳記者に直接、取材を申し込んだ。

「社の見解に関わることなので、会社から回答します」

すると編集局次長名でこのような返答があった。

取材・報道の過程につきましては、従来よりお答えしておりません。なお、本件記事の趣旨や事実関係につきましては、紙面に掲載した通りです。 

これはおかしい。阿部氏はSNS上で仲村氏批判を続けている。一方的に私見を発する一方で記事内容に疑問点を指摘されたら社の見解というのは独善的すぎるのではないか。

また本件を担当した沖縄県女性力・ダイバーシティ推進課に対しては以下の質問を送った。

1、3月時点で、対象発言が沖縄県内の誰に向けられたと認定していたのか。
2、その人物が県内に居住・滞在していたことを示す資料は何か。
3、地域的適用要件を、いつ、誰が、どの文書で確認したのか。
4、8月に「県内にかかると判断できない」としたのは何をもって判断したのか。
5、3月の判断が誤りだったのか、それとも証拠状況が変化したのか。
6、差別該当性について、審議会は発言の前後関係と対象者の属性をどう確認したのか。
7、最終判断者と決裁過程はどうなっており、担当課は審議会答申を独自に検証したのか。
8、仲村氏に対する手続開始が不適切だった可能性について、内部検証を行うのか。
9、沖縄タイムスが報じた「訴訟を恐れた」という説明を、県は実際に行ったのか。
10、沖縄タイムス、琉球新報両紙にすでに仲村氏の実名が公表されているが、県とメディアの協業による実質的な氏名公表と考えてもいいか。

すると沖縄県女性力・ダイバーシティ推進課からこう回答があった。

1~8までの項目については「個別の事案については回答を差し控えます。県として、沖縄県差別のない社会づくり条例、条例施行規則及び解釈運用指針等に基づいて公表措置の判断をすることとしております」とした。

また9~10については「個別の事案については回答を差し控える旨、沖縄タイムス、琉球新報2社には伝えています。沖縄タイムスに「訴訟を恐れた」との説明は行っておりません。氏名公表しないと判断したものについては、当該2社を含め、メディアには公表はしておりません」という説明だ。

審議会でどのような検証があったのか、何をもって差別と認定したのか、こうした説明がない限り行政としては不誠実ではないか。差別認定は行政のさじ加減一つだとすれば同条例はただの〝公的リンチ〟に過ぎない。

「人権擁護」「反ヘイト」という旗印の下、制度よりも声の大きさがまかり通るのが行政の世界。ところが仲村氏の反論によってこうした風潮に一石を投じたのは大きい。他地域の同種案件でも参考になる事案ではないだろうか。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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