【橿原市長選】自民-維新が 一騎打ち! 立憲自民、隠れ立民の 維新候補 奈良情勢は 複雑怪奇

カテゴリー: 地方, 政治 | タグ: | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

15日告示の奈良県橿原市長選は自民党が推薦する現職、亀田忠彦氏と日本維新の会・森下豊前市長という自民VS維新の一騎打ち。亀田市長といえば昨年報じた維新市議から受けた暴言の当事者である。亀田氏にとっても維新は因縁の相手だ。現職有利が首長選の常だが、自民陣営から「戦況は悪い」との声が漏れる。

維新市議が「なんじゃアホ」と 市長を 恫喝

熱心な読者でなくても覚えている方は多いはずだ。橿原市維新市議の暴言は当サイトが報じて大手メディアも後追いした。

【緊急告発】「お前、コラァ!」橿原市 維新議員が市長に 放った“ドン引き ”恫喝音声

2031年(令和13年)に国体(第85回国民スポーツ大会)を控える奈良県。2年前、橿原市議会では競技場の整備に伴い同市所有の橿原運動公園と県の施設を等価交換する計画を論議していた。

その最中、議員向けに配布される資料をめぐり原山大亮市議(現奈良県議)が2021年9月15日亀田市長に嚙みついた。

「なんじゃアホ、好きにせえボケッ」

維新議員といえば「素行の悪さ」でトラブルになることも少なくない。原山氏の暴言も“荒ぶる維新”のエピソードとして多くの人の記憶に残っているだろう。

当時、亀田市長は原山氏に対して冷静に対処したことからSNS上では激励、称賛の声が挙がったものだ。だが奈良県知事選をめぐって自民党内で亀田市長へ落胆の声が起きたという。

対する原山氏、暴言が発覚した当時はもちろん批判が殺到したものの、4月の統一地方選で奈良県議に当選。橿原市・高市郡選挙区で4人中2位という好成績だ。暴言音声が大きく報じられても当選したのは原山氏個人の人気ではなく維新人気だろうか。

それほど奈良県内でも維新旋風は強まっているとみられる。

荒井前知事派の 亀田市長

亀田市長が当選した2019年は接戦だった。

今年4月の奈良県知事選で維新候補の山下真知事が誕生。維新の躍進の象徴として政界にもインパクトを与えた。自民側が敗れた原因は高市早苗氏を中心とした県連が推す平木省氏、県連一部また県内首長らが推す現職の荒井正吾氏が立候補し一本化できなかったことだ。

「亀田市長も荒井支持に回ったのです」(自民関係者)

荒井氏は党内外から多選が問題視されてきたが、奈良県連の内のベテラン議員、地元首長が中心となり荒井氏を担いだ。荒井支持派は通常、「8人衆」と呼ばれたが 亀田市長もその一人。市長選に際して県連内部では亀田氏推薦を渋る意見も少なからずあった。

「亀田氏推薦に対して反対の声も強かったのですが、県連4役で推薦が決定。こうなった以上は県連が一丸となって頑張るだけです」(同前)

そうはいっても知事選でのわだかまり、不満は少なからず残る。

森下氏を 支持する「立憲自民党」?

対して現職・亀田氏に挑むのは2007年に同市長選で当選し、3期務めた森下豊氏。2019年の市長選で亀田氏に敗れた。現在は維新候補だがもとは2005年に旧民主党から衆院選に出馬。2007年の市長選は民主党政権で国交大臣を務めた前田武志元参院議員が支援した。

今回の市長選では先の原山氏も県議として森下陣営に参加。相手は因縁の相手、亀田氏だ。運動にも力が入るだろう。

暴言主の原山県議(右)も森下候補を応援。
ポスター掲示も原山氏がサポート。

すっかり維新カラーが馴染んだ様子の森下氏。本来は旧民主党系、特に立憲民主党の支持者に応援されてきた人物だ。そこで維新から出馬というのがいわゆる“ 隠れ民主候補”。他党での経験者を自前の候補として擁立する手法である。「身を切る改革」を信条とする維新だが、こうした政治理念を森下氏は民主時代から賛同していたのか?

政治家として生き残るため維新に活路を見出す隠れ民主党の一人だろう。

また地元政界関係者は苦笑する。

「立憲共産党という揶揄表現がありますが、奈良については“立憲自民党 ”というケースも少なくないんです。橿原市議会で言えば自民系の奥田英人議長、細川佳秀前議長も森下氏支持。なんでもアリですよ」

保守王国と呼ばれる奈良県だが、内情は保守というよりも議員の「保身」としか思えない。

対して関西地方を中心に勢いを伸ばす維新だが、果たして「改革政党」と言えるのかは微妙。顔ぶれをみると旧民主党で経験がある人物の維新リニューアルという背景もあった。

自民党と維新の一騎打ちという保守対決という構図だが、旧態依然という印象は払拭できない。

ただ士気という点では勢いがある分、維新陣営の方が高そうだ。現職に挑む維新は15日午後に吉村洋文大阪府知事が応援演説のために奈良入り。

奈良県内で維新の勢力を食い止めておきたい自民党だが情勢は厳しいという。13日の亀田氏決起集会に鈴木貴子衆院議員、15日には牧島かれん衆院議員が応援にかけつけたが橿原市民に響くとは思えない。

マイナンバー、秋本真利衆院議員の逮捕、女性局の仏視察、このところマイナス要素しかない岸田内閣の支持率低下が止まらない。立憲自民党という揶揄も今の自民の迷走を象徴しているようだ。

複雑な奈良政界の相関図は今の自民の縮図に見えてしまう。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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