【弥富市】産廃・建設残土 不法投棄の闇 木曽三川 “愛岐三魔の三角地帯”を 見た!

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By Jun mishina

2021年の熱海土石流によって産業廃棄物・建設残土の不法投棄が全国的に注目された。静岡県は首都圏由来の産廃・残土の最終処分場と化したかのようだった。そして西に向かうと東海三県が接する木曽三川の一帯は不法投棄の“魔の三角地帯”と称してもいいだろう。愛知県弥富市の“残土山 ”はそれを物語る。

「金魚の町」弥富市に あった残土の山

古墳のような建設残土(昨年9月に撮影)。

東京江戸川区、大和郡山市と並び金魚の産地として知られる愛知県弥富市。市内の県道103号沿いから東へ行くと同市東末広に至る。同地はのどかな田園地帯だが西部臨海工業地帯の一角であることから工場、倉庫、物流センターが点在する。

その103号沿いには突如として小高い丘が視界に入ってくる。高さはおよそ10m。周辺は広大な平野が広がるため一層、異様に映るものだ。まるで「古墳」のようにも見えるが、もちろんそのような名所旧跡ではない。

これは違法に持ち込まれた建設残土の山なのだ。弥富市の残土問題についてはこれまで多くの地元メディアが報じてきた。特にTV番組の特集では現場にカメラが入り残土山の光景が報道された。

もとは大手ゼネコン・熊谷組が元請けになった「弥富市新庁舎建設工事」で発生した建設残土が金魚池跡地だったこの地に持ち込まれたのだ。

不法投棄の被害にあった土地の所有者は弥富市などに損害賠償を求め2020年に提訴。すでに同市とは和解が成立しているが、裁判記録からはこの一帯が古くから不法投棄の多発地帯ということが分かる。愛知県西部、岐阜県西濃地方、三重県北勢部が接合するこの一帯は不法投棄の三角地帯といったところだ。

大型トラック(右)が小さく見える。

原告家族が 阻止しようとしたが…

「関与する業者が反社」「残土チケットを発行」「逮捕歴あり」「地主を恫喝し強行突破」

弥富市残土でも同種案件と共通点が確認できる。発端は2017年8月、交陽開発Kが原告宅を訪問して金魚池への埋め立てを持ちかけたことだ。

「リニアの工事で地下から出た土だから変なものは入っていない」

Kはこのように原告を言いくるめた。

水田造成のため道路より30cm程度低いレベルの埋め立てで原告は了承。残土の搬入は翌月末から始まったがそれは30cmを大幅に超えた。しかも地下からの土ではなく市役所工事の建設残土だ。

Kらは2018年4月までに10tダンプ1台あたり5.5㎥で合計約3000台分の残土を搬入。盛られた土はざっと2万5千㎥に達したという。擁壁もない建設残土の堆積は人が作り上げた災害リスクという他ない。

際立つのは業者の強引なやり口だ。

2017年10月に同市農業委員会から原告に対して農地改良届を提出するように連絡があった。このため原告はKに届出が提出されていないことを伝え、またKと共に土砂搬入に関わった最重要人物、業者Fとも面会。両者に残土持ち込みを止めるよう求めた。もちろん聞き入れるような相手ではない。翌年2月には現地で原告母が搬入ダンプを体を張って阻止しようとしたが、Fは「今止めると損害賠償を起こす」と恫喝した。

地権者や地元関係者が阻止し、それを業者が恫喝するというケースは過去記事でも紹介した。業者は往々にして反社の荒くれ者、逆に地権者は高齢者という場合が多くとても太刀打ちできない。原告母にすれば覚悟の行動のはずだ。

地元の札付き 業者が介入してきた

魔の三角地帯。

原告親族を恫喝したF。地元では“札付き業者 ”で通っていた。

この地方では名うての“残土ブローカー ”なのだ。熱海土石流にも関心を持って筆者と接触してきた地元業者はこう証言する。

「Fは30年以上前から不法投棄に関わってきたんや。ヤクザの組事務所にも出入りしていたよ。Fがやった造成工事は岐阜県のHPにも不正事件として掲載されているけど警告の意味が全くない。役所の指導や行政指導が行き届いていない証拠だ」

Fは1993年に廃棄物の不法投棄で逮捕されていた。91年8月頃から翌7月まで合計221回、3660tの廃棄物を三重県川越町亀崎新田の鰻養殖池に不法投棄。当時、三重県内で摘発された不法投棄では最大量だった。これで稼ぎだした額はなんと1年間で2億7千万円。しかも逮捕されたといったところで執行猶予付きで罰金300万円だ。悪質業者にすれば有罪になったとしても利益の方が大きい。こうした現象も不法投棄ビジネスでは常態化となってしまった。

しかもFの活動エリアは広範囲。岐阜県海津市、輪之内町、桑名市でも不法投棄を行ってきたが、いずれも行政の撤去命令を無視してきた。行政指導など眼中にないといった態度だ。

先の業者は愛岐三“投棄地帯 ”の特徴として「処理コストが安価」と指摘する。熱海市伊豆山の造成地に持ち込まれた残土は証言の一つとしてトラック1台5~8千円というケースがあった。

「向こう(伊豆山)は首都圏から来る土砂だし山奥に持ち込むんでしょ。運搬コストで見た場合、比較にならないけど高いね。こっちは1tで2~5千円という業者もあるよ。河川敷、山林、砂防指定地まで投棄ポイントが多いし平野部だから運搬しやすいんだ」(同前)

さらに難題が続く。

「まだ尾鷲市(三重県)があるからね。関東、関西からも船で廃棄物や残土が運ばれてくるから。まさしくこの地方は“ 全国の最終処分場”といってもいいんじゃないか」(同)

各自治体が規制強化など対応に追われるが現実は悪質業者とのいたちごっこのような状況。しかも愛岐三が隣接する魔の三角地帯には多数の関係業者、格好の投棄スポットなど条件が揃う。第二、第三の残土山ができる可能性は大だ。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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【弥富市】産廃・建設残土 不法投棄の闇 木曽三川 “愛岐三魔の三角地帯”を 見た!」への2件のフィードバック

    1. Jun mishina 投稿作成者

      本人が鬼籍に入ったという話もありますが、関係者のコメントがとれたら実名出します

      返信