【奈良市セクハラ裁判】病欠中に組合活動、職場不倫、マスコミが報じない原告女性の素顔 

カテゴリー: 市民団体 | タグ: , | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

「不祥事」とは奈良市環境部の枕詞のよう。ポルシェ中川事件こと「奈良市部落解放同盟員給与不正受給事件」以来、奈良市環境部はたびたび不祥事を起こしてきた。トラブルの巣窟と化した同部署がここ数年、ニュースを賑わしたのは嘱託職員に対するセクハラ裁判。奈良市環境清美工場の男性職員Mらからセクハラを受けていたとして元嘱託職員女性Hが2017年、市などに損害賠償を求め提訴。昨年10月に大阪高裁は市に50万円の支払いを命じた。加えて今年1月、仲川げん市長は賠償額を職員個人(M)に支払わせたと報告。市が被告になった訴訟で職員個人が支払う珍しい事例としても報道された。概要だけ見れば立場が弱い嘱託職員が理不尽なセクハラを受けた構図に映るだろう。しかし取材してみると原告女性の勤務態度はとても真面目と言い難く、職場も健全とは思えない。マスコミ報道では分からない奈良市環境部セクハラの実態をお伝えする。

原告とセクハラ職員は旧知の仲だった

#Metoo運動、フェミニスト、こうした面々は日夜、著名人の発言やSNSの投稿、創作物の表現を監視しては「怒りのタイミング」を探しているかのようだ。狙われた企業・団体、著名人らはいかに理不尽な訴えでも謝罪に追い込まれるのが常である。おそらく話題のあの一件もMetoo界隈のお怒り案件だろう。

モデルのマリエさんが18歳の頃、島田紳助氏から肉体関係を求められたと自身のインスタグラムで告発したことは反響を呼んだ。

当時の島田氏の影響力、権力は絶大。女性タレントに対して関係を求めるという話は当時も囁かれた。としてもマリエさんの告発はまだ事実ではない。ところがお馴染み活動家筋、一部メディアはすでに「事実」として扱っている。この場合、島田氏からの釈明、あるいは関連事務所への取材が必要のはず。しかしそうした確認作業は省略されている。公正さを欠くのではないか。それも報道、ジャーナリズムを標榜する人たちが、だ。こういう批判もセクハラや性被害を容認すると激怒することだろう。しかしどんな事件、問題でも事実を積み重ね真相究明をすることは欠かせないはず。「ありき」で進むのはおかしい。

「セクハラ」に限らず「人権」「個人情報」「動物愛護」こうしたフレーズは理性や判断力を鈍らせるものだ。そのような感情や観念を排除して環境部セクハラ裁判を検証してみた。

原告の元嘱託職員女性Hは2017年頃、職員Mから「離島でお前と二人きりになっても、絶対にお前なんかに手を出さない」、「下着をとったらお前の胸は絶対に垂れている」「生理があがっている」「乳首が黒い」などと言われたという。発言内容を見るに絵に描いたようなセクハラ発言だ。また正職員が立場の弱い嘱託職員に対する嫌がらせという見方もできよう。

著者自身も当初、荒くれた環境部職員が嘱託職員を粗雑に扱う――そんなイメージを抱いていた。ところが裁判記録や取材を通して検証すると異なる実相が浮かび上がる。

もともと原告Hは2004年頃から市内の弁当屋に勤務していた。清美工場にも配達をしており、職員Mとはすでに面識があった。二人は他職員を介して飲み会でも同席していたという。またHはMと同僚職員(先輩)のNと不倫関係にあった。Nから呼ばれてH宅で食事をしたこともあったというから知人以上の関係であったと思われる。

弁当配達当時からセクハラ発言はあったと原告は主張するが、双方言い分が食い違う。

原告HによればMから「弁当を売らずに、色気を売りに来ている」と言われたと主張。一方、Mは弁当屋の経営者夫妻のいずれかが「あの娘(H)は弁当を売らずに、色気を売りに来ているというから、色気でも(弁当が)売れたらお前んところの儲けやろと言った」と訴えた。この発言の由来が誰なのかははっきりしない。ただ普通、役所に出入りする業者と職員がそんな会話をするものだろうか。我々もよく行政と呼ばれる施設をよく訪問する。昼食時間に弁当を配達する業者の姿を目撃するが、忙しそうに台車で運んでは伝票を受け取って帰っていく。軽口を叩けるような余裕はまるでなさそう。

だから弁当屋の一件もある意味ではフランクで人間臭いが、ルーズな職場と人間関係にも見える。といっても5年数か月もの間、ほとんど勤務実態がなく給料を満額受給していた職員がいた職場。「弁当~色気」云々は不快な発言内容だが、おそらく挨拶や立ち話程度の感覚ではないか。

少なくともHーM間は全く見知らぬ関係ではなく少々の軽口は起こりえる間柄だったと思われる。もちろん旧知の仲だから性的な発言が容認されるわけではない。しかし双方の主張を見るにHとMは「離島で~」といった掛け合いは日常的だったのではないか。

ともかくHは嘱託職員になる以前からセクハラ発言があったと主張していた。あるいはHは職員らの服を縫ったり、靴を洗ったりしたこともあったという。

弁当屋勤務を経て2008年7月にHは清掃業務員として清美工場に勤務する。この時もMからセクハラ発言があったと主張。またMは他の清掃員に対してもセクハラ発言をしていたというが、具体的な証拠はなかった。Hは退職後、しばらくの空白期間をおいて今度は2015年7月にまち美化推進課の嘱託職員の募集に応募する。交際相手の職員Nから勧められたからだ。

この時は電話オペレーター業務の嘱託職員として採用された。普通、こうした場合の採用通知は人事課あるいは人材派遣会社などを通じてのはず。なぜか不倫相手である職員Nを通じて採用を知らされた。おそらく都市圏のコンプライアンスに厳格な自治体ならばまずありえない。しかし「ありえない」ことが起きてきたのが奈良市環境部でもある。

不倫相手と職場でパンを焼く、娘と孫を連れてくる

前述した「離島でお前と二人きりになっても、絶対にお前なんかに手を出さない」「下着をとったらお前の胸は絶対に垂れている」といった発言は裁判記録によれば2015年頃、つまりHが電話オペレーターとして勤務していた時のもの。セクハラという問題とは別にH自身の勤務態度も疑問点が多い。

Hは、不倫相手であるNと朝の始業前に職員の控室でコーヒーをいれ、トースターでパンを焼き食事をしていたという。ちょっとしたモーニング喫茶感覚だ。Hは職場でNを「S(名前)ちゃん」と呼んでいたから、職場で両者の交際は周知のようだ。またHは電話オペレーターの部屋でヘアアイロンを使っていた。Hは「朝時間がなかった」と説明していたが、なんのことはない。始業前に早く着いてヘアアイロンを使用しているのだから時間は十分あるはずだ。そして交際相手のNについて。

「Nは背中に入れ墨があると聞いています。同盟(部落解放同盟)の仕事をしているかは聞いていません」(元環境部職員)というから申し訳ないが品行方正な職員とは思えない。

またある時はHの娘と孫を職場に入れ遊ばせていたという。Hによれば交際相手のNが娘と孫を呼んだと説明。Hは、Mも同じく家族を職場に入れたことがあったと反論した。しかし誰の行為であろうと非常識な行為だ。

Hは勤務中、居眠りをしておりたびたび職員に注意されたことも。他方、Hによれば他の職員が居眠りをして起こしたこともあったという。このあたりはHに限らず職場全体が怠惰な環境だったかもしれない。しかしどうもHの勤務態度は異様なもので、担当課長を「~ちゃん」と呼んでいた。

「セクハラ発言」よりも異様な職場環境に驚いてしまう。県庁所在地の自治体の出来事としてはあまりにレベルが低すぎやしないか。

病気休暇中に関西合同労組のビラまきに参加

Hの勤務態度に対して市側は評価チェックリストの記入を求めた。Hも奈良市従業員労働組合の加入を希望したが「現業職ではない」ことを理由に断られた。そこでHは関西合同労組に労働相談をもちかけ2017年6月に加入している。評価チェックリストの記入について関西合同労組は奈良市に抗議活動を行った。

6月19日、環境清美センターでビラを配布。右から二人目の女性がH。
2018年に撮影。

関西合同労組とは個人、非正規労働者でも加入できる労働組合だ。奈良市の職員組合とは対立関係にある。

H自身も関西合同労組の活動に加わり、2017年6月19日に環境清美センター前でビラまきにも参加した。その様子は同労組の機関紙にも掲載されている。

ところが彼女は同年6月12日から21日まで椎間板ヘルニアを理由にHは病気休暇を取得していた。つまり病気休暇中にビラをまいていたのだ。明らかに「病気休暇中における療養寧念義務」違反である。ところがこの件で何らかの処分があった痕跡はない。

部下に闘魂ビンタ、スニーカーで叩く

この通り原告Hの言動についても多々、疑問を感じた。一方、セクハラ主として槍玉に挙げられた職員Mも問題行為は少なくない。

Mについては電話オペレーターらの前で他の職員をスニーカーで叩く、または後輩(部下)の頬を叩くなどのパワハラ行為も認定された。Mの主張によればプロレスラー、アントニオ猪木の闘魂ビンタの感覚で「喝を入れてください」と言われたとの説明だが、どう考えても行き過ぎている。

あるいはこれもH、M双方の水掛け論になったが、Kという女性オペレーターについて「あの子、処女やねん」という発言があったという。Mによれば「原告のHの発言」としたが、いずれかの発言かはっきりしない。

しかしMは法廷でこう主張した。

法廷でこういう言い方は適切かどうか分からないけれども、まあ見るからに、美人でもないしちょっとぽちゃっとした女の子やったので、ちょっとバカにして言ったような。あれでGACKTの追っ掛けというのは聞きましたね

M自ら「法廷でこういう言い方は適切かどうか」と言う通り、これ自体がセクハラ、中傷ではないか。美人でもないぽちゃっとした女性がGACKTの追っ掛けをして何が問題なのか分からないし、そもそも容姿は職場で何の関係もない。それ以上に驚いたのはセクハラを問われた裁判でルッキズム丸出しの証言をしてしまう。裁判官への心証が悪くなるという考えはなかったのか不思議だ。もちろん女性であるHが発したとしてもおかしい。

Hに対するセクハラは確かに認定されたが、それでも原告Hを含めてとにかく公務員、社会人としてのレベルがあまりに低すぎやしないか。これはその他の自治体のトラブルにも通じる部分があるが、とにかくプライベートの人間関係や個人的な趣味を職場に持ち込み過ぎている。

ポルシェ中川事件から不祥事の温床のように語られる奈良市環境部だが、職員のモラル、労働環境の改善が進んでいないのではないか。単にセクハラという事象のみをとらえ職員を処分しても、奈良市環境部の体質改善にはつながらないだろう。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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