金井氏の追悼式?転覆事故後 瀬嵩の浜で島しづ子牧師から平和学習を受けた山梨英和中高は「中立的」か

By Jun mishina

辺野古沖転覆事故をめぐり文科省が同志社国際高校を調査し、5月22日に結果を発表した。これに対し「教育現場への不当介入」「萎縮させる」などの批判が起きている。ならば反基地闘争の当事者の話を聞くことが公教育に相応しいのか。転覆事故の3月26日、山梨英和中高が名護市・瀬嵩の浜で平和学習を行ったが、その講師が故・金井創牧師の盟友、島しづ子牧師。そこには偏った政治主張、党派性を感じずにはいられない。(写真=日本基督教団のXより)

辺野古闘争は教育的な意味があるのか

那覇市の沖縄共産党事務所はイカつい。

辺野古沖転覆事故が起きた当初、共産党、社民党、左翼活動家の間では「新基地がなければ事故は起きなかった」といった趣旨の批判が散見された。「命どぅ宝」(命こそ宝の意)をスローガンにしてきた基地反対派の態度とはとても思えない。またマスコミも『琉球新報』『沖縄タイムス』を中心にヘリ基地反対協議会と平和学習の擁護論を展開。

ところが犠牲者の同志社国際高校、武石知華さんの遺族によるnote記事「辺野古ボート転覆事故遺族メモ」で内情が発信されるや、状況が激変。学校側の杜撰な管理体制が続々と明るみとなり、強気の野党も態度が軟化した。やはり遺族からの情報提供と検証は大きい。

共産党・田村智子委員長は5月17日、名護市内の講演会でこう謝罪した。

「修学旅行の高校生を船に乗せたこと自体が重大な誤りで、ヘリ基地反対協議会の構成団体である日本共産党として私からも心からおわび申し上げます」

すると今度は矛先が文科省に向かっていく。同省が高校側の平和学習について教育基本法違反と指摘したこと、また同校への聞き取り調査「同志社国際高等学校の研修旅行等について」について不当介入と批判し出したのだ。

つまり抗議船の乗船自体は問題だが、文科省の調査は行き過ぎという考え方である。実に賢いやり方で遺族への配慮ポーズをとりつつ、国への批判が可能だ。このため共産党、活動家、教職員組合からも判を押したように「現場を萎縮させる」「現場への介入」といった意見が相次ぐ。

しかし同志社国際高校の平和教育も特定の牧師によって行われてきたものだ。特定の活動家が教育現場に踏み込む例といえば同和教育は最たるもの。特に関西、広島、九州地区の出身者にすればトラウマといってもいいだろう。そのことは何より共産党諸氏が詳しいはずだ。

平和学習の現場が政治・教育の観点から「中立性」「客観性」を保ってきたとは言い難い。その結果が転覆事故ではないか。

驚いたことに事故直後、現場付近で金井氏の盟友を講師に平和学習を実施した学校があった。『赤毛のアン』などルーシー・モード・モンゴメリの翻訳で知られる村岡花子(1893~1968)も教鞭を執った山梨英和中学校・高等学校だ。キリスト教メソジスト派の女子中高一貫校である。

山梨英和中高が事故後に瀬嵩の浜を訪問

瀬嵩の浜。知事による献花が残っていた。

山梨英和中高のWebサイトを確認すると確かに「沖縄研修報告」というレポート記事があり、チビチリガマ・シムクガマ、ひめゆりの塔、美ら海水族館などの見学が報告されていた。

沖縄研修を報告した山梨英和中高。

ところがWebサイトには肝心な行程が書かれていない。沖縄教区関係者はこう話す。

「3月26日に山梨英和中高が平和学習で瀬嵩の浜を訪れています。転覆事故の直後でしょ。保護者は不安じゃなかったのでしょうか」

当時はまだ海上保安部による捜査の最中、また3月25日は同志社国際高校で保護者説明会が行われた。生徒、保護者にとってもまだショックが癒えず動揺していたに違いない。

若干、瀬嵩の浜についても触れておこう。4月21日、玉城デニー知事が事故現場の対岸に位置する瀬嵩の浜を訪れ、追悼した。

知事が訪れたことで注目されるようになった場所だ。これに対して「遅い」「なぜ瀬嵩の浜なのか」「事故現場と関係ない」といった批判が起きたのも記憶に新しい。

もともと同地は海上抗議の元拠点ということはあまり知られていない。辺野古闘争に参加する作家、目取真俊氏のブログ「海鳴りの島から」によると2017年2月7日に海中にコンクリートブロックを入れる作業船を妨害するため、17隻のカヌーが瀬嵩の浜から出発したという。

また浜の近くはヘリ基地反対協議会事務局長の東恩納琢磨・名護市議が運営する「じゅごんの里」がある。また東へ約1.2kmの汀間漁港にはかつて抗議船が停泊していたという。

ところが2016年頃、反対活動家の一部が重機を持ち出し、無断で港の開発を進めた。これに漁師や地元住民が抗議し、計画は止まったが、名護市からは特に指導がなかったというから驚きだ。つまりこの一帯も辺野古闘争の舞台である。

辺野古漁港と並ぶ活動拠点、瀬嵩の浜に山梨英和中高は昨年に続いて訪れたという。

訪問先は事故現場である辺野古漁港ではないし、ましてや抗議船に乗船するわけでもない。しかし瀬嵩の浜は戦争遺産でもなく、単なる闘争の根拠地にすぎない。

反対派といっても現地人の大半が離れた。そんな闘争の現場を見ることにどの程度、学習の価値があるのか理解に苦しむ。

それに同じ女子高生が目前の海で命を散らせた。それも抗議船が転覆という異常事態だ。無関係の武石さんが犠牲になったことは山梨英和中高の生徒にとっても複雑な心境ではなかったか。

もちろんスケジュールの都合もあるだろう。だがあえて同校生徒に辺野古付近に行かせる積極的な理由や必要性があるのか疑問でならない。

平和学習という意味ならば相応しい場所、施設はいくらでもあったはずだし、他のコースに変更することもできたはずだ。

さらに気になったのがその内容。研修は同校が沖縄YWCAに依頼して実施されたもので、講師を金井氏の盟友、島しづ子牧師が務めた。

また沖縄YWCAは2002年に発足した団体。金井氏も会友であるほか、事実婚の妻もスタッフとして関わり、島氏や日本基督教団沖縄教区の牧師も参加している。沖縄教区と人脈が重なるが全くの別組織だ。

金井創牧師の闇「セクハラ加担で役職解任」「沖縄教区から同志社案件を横取り」「24日に教区で謝罪も」

島氏は金井氏の下で抗議船に乗りながら学び船舶免許を取得。金井氏の著作でも紹介されていた。現在は南城市のうふざと教会の牧師を務めながら、佐敷教会の代務を務める。

島氏が牧師を務めるうふざと教会。

金井氏亡き後、島氏がその遺志を継ぐのだろう。

「新基地建設反対行動は牧師の公務」と公言する人物だ。反体制、反日を強める日本基督教団の中でも金井氏と並ぶ活動家肌の牧師である。

では山梨英和中高の生徒はどんな平和学習を受けたのか。

それは沖縄YWCAのニュースレター『うーまん世』が詳しい。編集に金井氏も関わっていたというニュースレターだ。

金井氏の追悼につき合わせただけ?

100号(4月発行)。

南城市の古謝景春前市長によるセクハラ問題、パレスチナ問題、南京虐殺、国連活動などの取り組みが会員によって報告されている。もちろん辺野古新基地反対運動も重要なテーマ。

『うーまん世』にはこう綴られている。

3月26日、昨年に引き続き、山梨英和中高の沖縄平和研修ガイドを沖縄YWCAでお引き受けしました。今回は、16日の転覆事故があった直後の研修で、お互いの心情を慮りながらのプログラムでした。瀬嵩の浜で、亡くなられた女子高生、金井牧師のための黙祷を捧げた後、大浦湾に浮かぶフロートやサンドコンパクション船を見ながら、沖縄YWCAの会員である島しづ子牧師に瀬嵩の浜、瀬嵩前浜から辺野古の説明をしていただきました。続いて、沖縄平和サポートセンターにて新基地建設の現状の講話(島牧師)と大城陽さんにお話をしていただきました。

当日は山梨英和中高の生徒も知華さんと金井氏に黙祷を捧げたという。まるで金井氏が平和活動の殉教者扱いだ。研修というよりも金井氏の追悼式に映ってしまう。

同校は例年、沖縄YWCAに依頼しているとある。どのような平和学習だったのかを取材すべく那覇市内の事務所を訪問したが不在。というよりもごく普通の雑居ビルで電話も応答がない。もし平和学習中にトラブルが起きた場合、どう対応するのだろうか。

また事情を聞こうと島氏を訪問した際も、「警察を呼びますよ」と怒鳴る。その様は説法などで見せる島氏の態度とはまるで違っていたから素が見えて面白い。

そもそも島氏は一介の活動家であり、一牧師にすぎない。安全保障や軍事知識に通じているわけでもない。それは金井氏の抗議船も同様だ。生徒に活動家の闘争を見せて一体、どのような「学び」があるのか。島氏が基地建設の説明をしたというがひろゆき氏流に言えば〝アナタの意見ですよね〟という程度だ。

昨今は地上戦を体験した世代が鬼籍に入り、現地の若者が高校生に対して平和運動を語るというスタイルが増えている。山梨英和中高も同様で島氏とともに沖縄YWCAのユース会員、大城陽氏が「沖縄に住む私」というテーマで講義した。

あたかも大城氏が沖縄の若者の代表のようだが、同様になぜ大城氏なのか明確な理由が見えない。現地で取材してみると現在の反対活動に対して疑問を持つ人、あるいは関わりたくないという人も少なくなかった。

平和学習の場面で基地問題を語るのは常に反対派。それは学習というよりも「喧伝」に近い。山梨英和中高も伝統的なキリスト教主義の学校だ。同じキリスト教仲間の活動に生徒を動員させたというのが実態ではないか。

そのため学校のWebサイトでも瀬嵩の浜訪問について省略したのではないか。島氏の場合は牧師というよりも、事実上の「左翼活動家」。しかも転覆事故によってクローズアップされた人物の一人である。となると事故直後で、しかも島氏が関係したことは外部から問題視され、指摘を受ける可能性が高い。

もし正当な平和学習というのならば堂々と公開すべきだ。

そこで学校側に瀬嵩の浜訪問について「時期的に保護者などから意見はなかったのか」「島氏との関係性」などについて質問してみた。

すると同校は「掲題の件につきましては、本校ではコメントを差し控えさせております」と回答。転覆事故の関係団体などと同様に事実関係が説明されることはなかった。

また島氏にも確認しようと電話取材。名前を告げるや否や「結構です」と切られてしまった。

島氏は以前、筆者が訪問した後、信徒らに「怪しい人が来たが毅然と追い返した」と話しているという。ならば毅然とした説明をしてもらいたい。

それにしてもキリスト教系学校の平和学習が目立つものだ。この背景については別稿で説明する必要があるが、ともかく辺野古漁港、また瀬嵩の浜という単なる活動拠点のどこに学びがあるのか見えない。

そこで思う。同志社国際高校、または山梨英和中高を含めて平和学習と言いつつ、実態は生徒を動員した活動家への激励会、表敬訪問ではないのか。何より未成年の若者が話を聞いてくれたことは活動家のモチベーションにつながるだろう。

あるいは先鋭化が顕著なキリスト教のこと。教会がテント村、聖書がビラ、讃美歌がシュプレヒコールという新しいスタイルの礼拝かもしれない。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

wp-puzzle.com logo

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)