朝日新聞記者が ぶっちゃけた 同和・部落関係報道の 読み方

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By 宮部 龍彦

メディア・リテラシーという言葉がある。この言葉には様々な意味があるのだが、多くの人にとっては、テレビや新聞等の報道機関が発する情報を正しく解釈するということだろう。メディアの流す情報をただ文字通り受け取ることは時には危険であるし、背後に隠れた真実を見逃すことになってしまう。メディアは常に中立ではないし、報道にかかわる様々な隠語、さらには記事の体裁や、報道されないことからも意味を読み取る能力が必要になる。

特に「同和」「部落」に関わる報道には様々な制約や偏向があることは、多くの人が気づいていることだろう。しかし、それが具体的にどのようなものなのかは、多くの場合察するしかないのが現状だが、珍しく記者が、あるシンポジウムで本音を語ったと思われる発言の書き起こしを入手した(記事の最後に掲載)ので紹介しよう。これを知ることで、部落差別に関わる記事を読むに当たっての注意点がより分かるようになる。

法務省委託事業

そのシンポジウというのは、今年の8月10日に、DMG MORI やまと郡山城ホールで行われた「これでいいのか!!インターネット社会と私たちの人権」で、奈良県市町村人権・同和問題啓発活動推進本部連絡協議会(略称・啓発連協)が主催した。啓発連協は奈良県内の市町村が出す分担金により運営されている組織で、なおかつこのシンポジウは法務省委託事業となっていることから、税金で行われた公的なイベントである。

その割には、配られた資料には決議案なるものが添付されており、まるで市民活動家の集会のようだ。

シンポジウには、水平社博物館館長の駒井忠之氏、朝日新聞記者の阿久沢悦子氏、ヒューリア三重事務局長の松村元樹氏、弁護士の川嶋将太氏が登壇したのだが、筆者が特に注目したのが阿久沢悦子氏である。

阿久沢記者の発言内容は、自身が記事を書き、朝日新聞で連載された「現場へ! いま、部落差別は」という連載記事についてである。シンポジウムでは筆者の名前を出しつつ、記事を書くにあたってどのような「偏向」を行ったのか説明した。

部落問題については、主流のメディアが正しく報道しないために、陰謀論や妄想の題材とされてしまっている実情があるのだが、それを改めて証明した形だ。そしてまた、「同和利権」自体ははデマでも陰謀ではなくて、報道の分野では明確に特定団体に配慮した利権が存在することが、奇しくも証明されてしまったことになる。

阿久沢記者の発言をもとに、朝日新聞が部落差別に報じた時の注意点をまとめてみた。

これが朝日新聞の部落報道を 読む時のポイントだ!

解放同盟側に寄り添った 報道をしている

これはもう説明するまでもないと思うが、阿久沢記者は解放同盟側の立場で解放同盟に寄り添った報道をしていることを隠していない。

示現舎関連サイトへの アクセスにつながる キーワードは入れない

阿久沢記者は次のように言っている。

このー訴訟について、まぁ、記事化するにあたって、自分で心掛けたのは、やはりこの地名を使った訴訟って、しかもそれがネット上に掲載されている、で、その人が差別動画等もあげているということになると、例えば示現舎っていう名前とか、宮部っていう名前をあげると、それで面白おかしく検索をしてですね、そのサイトのことをいわゆるヒット数があがってしまう。

これはどういうことかと言うと、「鳥取ループ」「宮部龍彦」「示現舎」「神奈川県人権啓発センター」等の用語を記事に入れると、その用語でインターネット検索する人が出るので、示現舎等のアクセス数が上がるということである。

無論、商業メディアにとっては、自分自身の記事へのアクセス数が重要であって、他社のアクセス数が増えようが減ろうがどうでも良いことのはずなのだが、イデオロギー的に「反示現舎」の立場に寄り添う結果としてこうなるということであろう。ただ、東京新聞、西日本新聞等、普通に実名を報じているメディアが他にあるので、朝日新聞のやり方は「記者の意地」以外に対した意味はない。

他の実名もなるべく 有料部分で掲載する

記事には潮崎織衣氏、齋藤直子氏、川口泰司氏等、主に解放同盟係の活動家や研究者の実名が出るのだが、阿久沢記者によれば「個人の名前とか固有名詞が二段落目以降に送るようにっていうことを心掛けました」ということである。

これは、無料記事にするとインターネット検索でひっかかりやすくなるため、実名とともに不用意に拡散することを防ぐという趣旨だ。

ただ、関連する実名を検索すると他のサイトがひっかかる。それでも実名を出したくないのは、連載記事全体があからさまに部落解放同盟側に寄り添ったものであるため、取材対象が「解放同盟側の人間」と思われてしまうため、記事自体が「部落解放同盟関係人物一覧」のような趣旨になってしまうことを自覚しているのではないかと考えられる。

「部落」に関係する ネガティブな記事は避ける

朝日新聞は他にも全国部落調査事件に関する記事も、部落解放同盟側に寄り添った立場で掲載されている(阿久沢記者は部落にとって「プラスの情報」と言っている)のたが、それが「Yahoo!ニュース」に掲載されるとコメント欄が、部落に関する「ネガティブ情報」で埋め尽くされてしまうことを、阿久沢記者が嘆いている。

その実例として挙げられているのが、元自由同和会神奈川県本部長の天野二三男氏が関係した熱海土石流、部落解放同盟員の森山栄治氏(故人)が関係した関西電力役員の金品授受問題である。

無論、報道はそれ自体が事実であるか、情報としての価値があるかどうかが重要なのであって、他のニュースと比較して「悪いニュースを良いニュースで相殺しよう」という発想は通常はあり得ない。そもそも、全国部落調査事件も熱海土石流も関西電力役員の金品授受問題も「同和団体」にとって「ネガティブ情報」ということにはなるのかも知れないが、「部落」や「部落民」というくくりとは無関係なものである。しかし、阿久沢記者は「同和団体」「部落」「部落民」を同じくくりのものととらえて記事を書いていることが分かる。

阿久沢記者は記事を書くにあたって、情報が事実かデマかということではなく、プラスかマイナスかを基準としているので、マイナスの情報であれば事実であっても記事にしないし、プラスであれば事実かどうか疑われるような内容でも載せるであろうことが考えられる。

本サイトの読者の方にはもはや当たり前のことかも知れないが、部落に関する報道は偏向しているものという前提で読み解いていく必要がある。

付録・阿久沢記者の発言内容

(阿久沢記者の発言)え、改めまして、えっと、私は今日ここに呼ばれましたのは、えー、今年の1月31日から2月4日迄、朝日新聞の夕刊で皆様のお手元のパンフレットにも、あの、掲載がなされています「現場へ!」という、えー、部落差別をめぐる現状についての連載を書いたことがあって、今日ここに参りました。
 で、この連載を書くきっかけとなったのは、えー、全国部落調査の、えー、第一審、あの、東京地裁判決が昨年の9月に出たことでした。で、あのー、記者になったのは、先程も申し上げましたように1990年なんですが、最初振り出しが鳥取支局でしたので、まぁ、振り出しの地からえー、その後、兵庫、大阪と転勤を重ねる中で、あのー、部落問題についてもその都度その都度、えー、取材をしてきたのですが、えーっとですね、あのー、「飛鳥会事件」とかですね「同和利権」とカギかっこつきで呼ばれるものが話題になった頃から、えー、自分の中でどういうふうにバランスを取って書いていったら良いのか、迷いが生じて暫くあのー、部落問題を扱ってこなかったんですね。
 でも、あのー、東京にたまたまたま転勤でありまして、でー、地裁判決を見に行った時に、やっぱりこれはちょっと様子が変わってきたなと。で、その様子が変わってきた一番の、あのー、原因はネットで、私がこうー、部落問題を扱わなくなった10年の間に、やっぱりネット上での差別というのが、非常に深刻なものになってきているということを、実感しまして、えー、今回、あのー、連載を書くことになりました。
 で、連載ではほんとにそのー、えー、全国部落調査訴訟第一審で扱われた意見書であるとか、まぁ、原告の方達の思いを聞いてまわるというスタイルをとりました。で、えーその中でですね、えー、私が心掛けたこととしては、えー、この全国部落調査訴訟というのは、えー、川崎市にある出版社で示現舎というところと、そこの代表である宮部という男性がですね、あのー、差別的なというか、まぁ、「部落探訪」という動画とか、それから全国部落調査にある部落の地名とかを、えー、ネット上にあげていると。
 あるいは、解放同盟の、えー。役職の人のプライバシー住所とかですね、電話番号とか家族構成とかそういったこともあげているという、この点をもってですね、えー、まずは全国部落調査のいわゆる地名総監というものに対して、出版を差し止めるということを目的に、えー、提訴されたものです。
 えー、あのー、まぁ、このー訴訟について、まぁ、記事化するにあたって、自分で心掛けたのは、やはりこの地名を使った訴訟って、しかもそれがネット上に掲載されている、で、その人が差別動画等もあげているということになると、例えば示現舎っていう名前とか、宮部っていう名前をあげると、それで面白おかしく検索をしてですね、そのサイトのことをいわゆるヒット数があがってしまう。
 で、これが、あの、差別を拡大する生産をすることになってしまうのではないか、というふうに考えまして。えー、被告側の、えー、名前を出さないとか、被告側が、えー、YouTubeにあげている動画の、あのー、ま、名前をですね出さないとか、そういうことをですね、ま、心掛けようと思いました。
 で、えー、まぁ、後でまた話しますけどちょっとこれには反省点も伴いました。で、もう1つは、えー、この記事の中で、えー、デジタル、朝日新聞デジタルにもこの記事は載るんですけれども、もう少し長いバージョンがいつも加筆されて載るんですけれども、そのデジタルになった時に、無料で一段落目は読めるんですね。
 で、二段落目からが有料課金になるですけれども、えー、個人の名前とか固有名詞が二段落目以降に送るようにっていうことを心掛けました。で、これはデジタル空間で、あのー、ただで読めるところはいくらでも拡散されてしまいます。
 えー、そういうことを、ま、防ぐために、そういった措置をとりました。で、いずれも選定はあってですね、えー、後者の方は特に、今まではLGBTQの方について、当事者の方について書く時に、あのー、ふわっとした印象論とか場所の描写から始めて、何とかさんはっていうのは有料部分に送るっていうような形で、あのー、個人の名前が拡散されるのを防ぐという手段をとってきた。
 その手稿にならって、あの、部落問題についても、えー、やってみたというところでした。で、ま、一定の効果はあったかなと思うのは、あのー、示現舎、宮部がですね、Twitterで私の連載については何も応答しなかったんですね。
 ま、彼らについて書いてないからってのが1つと、やっぱりゆう、個人情報が有料送りされているっていうことで、取っ掛かりがないので、あの、彼らがまぁ、あからさまに言うこともなければ、自分達の宣伝に使うこともできなかったというところで、1つの成果はあったかなぁと思っています。
 で、えーっと、もう一方で、あのー、ま、いわゆる、とぅ、差別する側される側、両方の意見がないと差別が立体的にに見えてこないということであるとか、まぁ、やはり、その、公平原則に関して言えば、新聞社っていうのは、原告被告の両方から話を聞いて書くのが原則でしょ?ということを、ま、いろんな方にあの、後日指摘を受けたりもして、で、それはそれであのー、正しい考え方だとは思うのですけれども、えー、そういう場合に、これからじゃぁ、どういう表現が、あのー、より差別の拡大再生産に繋がらない形でできるかなぁ、っていうのは、私の中ではまだ宿題として残っています。
 で、後者の方の、その、え、有料部分に、固有名詞を送ったケースでも、えー、後日その当事者の中から、えー、ヒヤリハットな事例を言われまして、えー、それはどういうことかというと、あのー、タグ付けされちゃったって言うんですね。その、新聞記事を写真で撮って、ほんとはそれ著作権法違反なんですけど、それを自分のFacebookにあげた人がいて、その人が「私の知り合いの何とかちゃんが出てる」ってタグ付けをしたそのタグが自分のウォールに飛んできた。
 Facebookの。そうすると自分が部落民であることを言っていない夫の親戚とかが、あのー、自分のFacebookを見にきて、「どういうこと、どういうこと?」ってなってしまうんじゃないかって言って、えー、後々そのケースについて話を聞いてちょっとヒヤッとしました。まぁ、あのー、すぐタグは外してもらったらしいんですけれども、やはり、そのー、何処でどういうふうに関連付けて使われるか分からないというところが、あの、いったん発信されてしまったWeb情報の恐ろしさかなというふうに思いました。
 で、あのー、新聞ですらこうなんですから、もぅ、皆さんが何の気なしにしている投稿とかも、基本的には何処でどのような文脈で、あのー、リツイートされたり、タグ付けされたりして、あのー、使われるか分からないし、え、文脈が全く違う形で本人の意図しない形で独り歩きするっていうことは、十分にあり得ることなので、そこの部分の怖さをよくよく、えー、知らないと、中々発信が難しくなっていくのかなというふうに今は考えています。
 で、えー、一方で、そのー、えー、連載の中で、えー、扱った人達当事者の若い方達の中に、やはりそのー、こういった時代だからこそ、えー、ネガティブな情報が今インターネット上に溢れているからこそ、あの、被差別部落に生まれ育ったこと、ポジティブな側面を出していかなければならないのか、あと、自分のあのー、ルーツについて、きちんと自分の言葉で語っていきたいとか、そういう意識を持った方達が、あの、沢山生まれている。特にあのー、私今55なんですけど、40代の前半の方達にそういう新しい動きが生まれていることを、とてもあのー、心強く思いました。
 で、あのー、ABDARCとかBURAKU HERITAGEとかいう形で、あのー、今インターネット上で、そぅ、活動している方達がいて、で、あの、松村さん、東大の松村さん、そのうちの1人だと思うんですが、そういう方達が、えー、そういう人達の発信を模索しているという意味では、あのー、ほんとにネットっていうのは使いようかな?というふうに思います。
で、あのー、今、そのー、話を聞いていく中で、1つ気になったものは、お子さんをお持ちのお母さん達に、えー、かり、あのー、いつどのような形で自分の子供に被差別部落出身にあるということのルーツを、どういうふっ、伝えていったらいいのかなっていうことを、こぅ悩まれている方が結構な頻度でいらっしゃったことです。
 で、あのー、何処からその心配がきてるかというと、今小学校1年生からタブレット端末を持たされて、何かあればすぐ検索する時代になってしまったと。で、そうすると、ま、小学校にあがる前くらいに、えー、「部落っていうのはねっ」っていうさわりだけでも話しておかないと、「お前部落民」って言われて、部落民って何だろうポチポチ検索すると、ネガティブ情報がわってあがってくる。で、そうなっちゃったら、あのー、やはり塞ぎ込まれてしまうところが大きいかもしれないので、自分の言葉で伝えるなら早い方がいい。
 でも、それはいつ?どういう形で?っていうことを心配せざるをえなくなっている。そこのところが、あのー、今まで取材してきたあの、部落問題とちょっと大きく異なってきたかなぁっと感じるところです。で、あのー、ネガティブ情報とさっき言いましたけれども、それを、そのー、えー、中々そう、ストレートな形ですると、ま、地名とかがそれぞれの形で載る削除の対象になったり、あまりに、あのー、直接的なヒントの形をとると、それは、まぁ、通報して削除されるっていう道筋もたどれるんですけど、すごく巧妙になってきていてですね、あのー、そういえば、先程申し上げた全国部落調査の第一審の判決が出た昨年9月、そのニュース、朝日新聞そのニュースがYahoo!に掲載された時のYahoo!コメントを見ると、あのー、「熱海はどうした」っていう言葉がわーって並んでたんですね。
 で、私その、前に、えー2か月前にあの、熱海の土石流が起きた時に、現場に取材にも行っていたので、あのちょっと、にわかには結びつかなくて、えっ、どっどういうことなんだろうって思ったんです。
 で、あのー、それはあの、デイリー新潮っていう週刊新潮のネット版の記事で、えー、熱海の土石流の、ま、原因となった盛土をした会社が、あっ、の社長が全日本自由同和会の会員だったことがあるっていうことが、デイリー新潮によって書かれたから、その、その事件に利用する形で差別を行うって人がその全国部落調査の判決が出た時のニュースのコメント欄に押し寄せてきたわけです。
 だから、えー、部落の人の、その、差し止め請求が認められたよっていうニュースは、その、被差別部落の人にとってプラスの情報であるのに、それを、ま、潰すかのように、相殺するかのごとく、あの熱海の責任をとれっていうようなコメントがわって並ぶと。
 で、ま、どうように、例えばあのー、高浜町、福井県の高浜町で、あの、助役さんが関西電力の役員、肩書の金券を渡していたっていう時も、その助役さんがあの、被差別部落の出身だっていうことを、ま、ネット上書き込みがあって、で、あのやはり部落問題に関して何かポジティブな発信をしたり、ニュースになったりする時にも、その、ネガティブ情報のコメント欄、コメントでコメント欄が溢れるっていう状況になっていくこういうネガティブなレッテルはりっていうのがあって、それにどう対抗していったら良いんだろうということを、まぁ、連載が終わった後も、今考え続けているところです。
 で、本当に根が深いなって思うのは、こないだあのー、お隣の西大寺の駅前で、えー、先月ですね、安部首相が狙撃された事件がありましたけれども、あの、翌日にですね、その先程から言っている事件者の三品という男性があのー、山上容疑者の周辺を探って、高校の時の写真とかも全部ネットに掲出しているんですけど、これは、あのー、明らかにあの、部落と繋がりがないかを調べて、で、あったらでかでかと書いてやろうっていう魂胆のもとにやられたことだってことが、すごく、こう、透けて見えたんですね。
 で、それがすごく恐ろしかったです。で、あのー、同じくですね、同じ事件に関して、えー、安田菜津紀さんっていう、フリーのフォトグラファーでジャーナリストの女性がですね、ま、あの、在日のルーツをお持ちの方なんですけど、やはりその、山上容疑者が在日じゃなくて本当に安心したっていうことを、その、在日の方からはよく聞いたっていう話を、書いておられました。
 で、それはそれほどの意味、やはり、今の希望社会がマイノリティに厳しいというか、え、ひとたびマイノリティのカテゴリーから犯人が出たと分かると、カテゴリーごとそうやって潰しにかかってくると、そんな圧力をもぅ日々心配しながら生きている人達っていう、存在をやはり忘れてはいけないんじゃないかなというふうに思いました。
 で、あのー、ネガティブなレッテルはりっていうのは、本当にそういう形で、あの、なんていうか、影に、表立ってはないかもしれないけど、常に心配ごととして抱えざるを得ないものとして、あの被差別部落の方達は降りかかってきているものなので、ここを、やはり切り崩していかなければならないのではないかなぁと思っています。
 で、熱海のことに関して言えば、そうやって「部落民のせいだ!」っていうふうにしてしまうことによって、今度根本的な構造を見失ってしまう、それこそ、あのー、2か月前にずっと現場を取材して、その後、行政の対応を取材したんですけど、あの盛土が崩れたのは、盛土に関する規制法を今までずっと、あの、国が作ってこなかったっていう、国の不作為が一番大きな原因なんですね。
 で、そういうところを見過ごしてしまう。で、安易に弱い者に「お前のせいだ」ってレッテルをはって、えー、世の中の物事が、全てそれで動いているかのような錯覚を起こさせてしまうっていうことで、あの、非常に罪深いものだと、私は思っています。

(阿久沢記者への質問)先程、えっと、鳥取ループ裁判の、あのー、取材の方を進められてきた中で、あの、去年の9月、その、地裁判決が出て、ま、あのー、出版物差し止めの、えー、証拠みたいのが揃ったんですけど、その、その時の事の課題とか、これからの課題みたいなのって、なんか、取材されて感じて思ったりとか、ちょっと、答えていただきたいと思います。

(阿久沢記者の発言)はい、わかりました。よろしくお願いします。えーと、あの、まぁ全国で部落調査の裁判、一審判決でですね、ま、不足しているところとすれば、えー、ひとつは、あの、県単位でものを考えているので、えー、原告が出なかった10県と、それから原告が一人で、その一人の住所が本籍地が、えー、その全国部落調査に、掲載されている地名とか、一致しなかった6県、16の県について、あのー、えー、差し止めを認めなかったんですね。
 で、その判決は、やはり、あのー、そこに、被差別部落がないわけではない。あのその、除外された6県の中には松村さんもいる、三重県があって、そんなアホな話があるかと、あの、皆さん体感で分かると思うんですけれども、判決上は、三重県の人は、原告適格がない。
つまり、そのー、地名として載っている地名に住所や本籍がある人が原告の中にいないってされてしまって、で、厳密には地名が変わってるので、区画がちょっとずれたとか、そういうことでしかない、すごく微妙な差異なんですけど、それが裁判でもきち、きちんと認定されずにですね、あの、16もの、えー、県が、えー、その、差し止めの対象から漏れてしまっているということですね。
 それから、あのー、もう1つはその、個人。えーっと、部落解放同盟関係者リストに掲載された個人の中でも、賠償が認められないから、をやりました。その方は、あのー、自分で啓発ビデオとかに出ているから、認めないんだという動画で、えー、みとめっ、プライバシー権の侵害がないと、された人なんですけれども、私が取材した福岡県の方は、あのー、ご自身、部落も部落で育って、えー、沢山結婚差別にもあってきたし、えー、それから、タクシーの乗車拒否とかにもあってきたし、いろいろいろいろ、差別体験を語ってこられているんだけれども、結婚して今は、部落外に住居をかまえていて、子供が2人いて、で、あの、子供にはまだ告げてないって状況で、で、えー、新たにその、子供の、ま、が増えたりしたこともあったので、引っ越しをしたと、そしたら、引っ越しをしたその先の住所が、また晒されたと。
 で、その間に出会ったのは、あのー、講演会に訪れたある自治体で、領収書に新しい住所書いたくらいで、他の誰も知らないはずなのに、じゃぁ、誰が晒したんだろうと。ひょっとすると、あの、行政の人から、漏れてしまったのではないかと、もぅ疑心暗鬼になってしまって、あのー、本当に眠れないっていうような、そういう苦痛を訴えていたんですけど、その人も、あの、けっ、自分が啓発ビデオに出てるからっていうことで、あの、認めませんっていう判決だったんですね。
でー、やはりそこには、その、自ら、あの、カミングアウトして私は被差別部落出身で、こういう体験をしてきましたっていうことを話すことと、人から勝手に、この人は部落民っていうふうに、なっ、名指しされてネット上にあげられることのアウディングとの違いが、全く考慮されてないってことが、あると思います。で、あのー、控訴審では、弁護側は、認められたかった16件について、ま、補充の書面を出すっていうことと、それからやはり、プライバシー侵害という、あの、観点で見るのではなくて、差別されない権利として、つまり誰からも、あの、アウディングをされない。自分の情報は自分でコントロールできるという権利を求めて、あの、控訴審は戦うと言っていました。
 で、そのー、地名に関して、その、じゃぁ、差し止められたから、差し止められたところは、もぅそれでOKかっていうと、そうではないという、え、実態があります。えっと、1つは、地名に関わってそれが差別であるかないかを判定している限り、えっと、地名は出さないっていう形で差別をするというパターンがあり得るってことです。
えっ、具体的には隠語を使うんですね。あの、えー、あるところで聞いた隠語はとても巧妙でびっくりしたんですけど、漢字2文字の地区名があったんですけど、それぞれを、あの、漢字を英訳してですね、その、カタカナの名前2文字ずつを取って、4文字の略語にして、あいつは、なんちゃらだっていう形でレッテルをはるんですけれども、もともとの地名を知ってて、それを、こぅ、悪意ある変換をしたっていうが分からないと、こぅ、例えば地名で検索してもそれはヒットしない、出てこない書き込みなんですね。それから、あのー、先程もちょっと話題に出てた探訪動画なんかも、えー、地区名がその、ヘッダーについていれば、その、動画のタイトルのところに何とかの地区とか書いてあれば、それは、あっ、これは被差別部落のことを指してる動画だなっていうふうに分かるんですけど、あの、改良地区とか、お散歩動画とかいうタイトルであがっていると、あのー、すり抜けてしまうんですよ。モニタリングの網を。
 で、あの、中々そこが、えー、見つけづらくなってしまう。で、あるいはノータイトルで、動画だけあげといて、そのー、改良地区なり、あのー、しっ、指定された被差別部落の間を動画を、車で、こー、ぬって、あっ、撮影をしたようなものがポッてあがってきて、それの、えっと、コメント欄で、あっ部落やなみたいなことが書いてある。で、これも、あのー、見過ごされてしまう。
 そこまで見ない限りは、分からないっていうような動画のつくりが、最近ちょっと目立ってきていて、その中見過ごされてしまうのではないかなってことが1つあります。で、あと、今年の5月にですね、総務省、法務省、それから法学者が、インターネット上で誹謗中傷をめぐる法的問題に関する有識者検討会というものをつくっていて、それの提言が出たんですけれども、そこでは、同和地区が、あの、特定個人の権利、利益の侵害にあたらなくても、同和地区の地名を出すことについては、原則として許されざる差別の助長にあたるという考えも十分に尊重に値する。
ま、ちょっとまどろっこしいんですけど、ま、要するに、ま、歴史的文明を踏まえれば、先程話したふうに、誰の権利侵害?というところを厳密に考えなくても、それは地名は出しちゃダメよっていうことを、1つ提言としてまとめたと。
 で、その時に、あのー、削除依頼を受けた場合には、差別を助長誘惑する目的があるかどうかに関わらず、削除を求む積極的な対応をとることが期待される。というこっ、ふうに、プロバイダーが求めているんですね。で、これの難しいところは、ま、削除するまでの時間は短くなるかもしれないけれども、判断がとても機械的になるということです。
 だから、これが差別を助長するかどうか問わないということになると、例えば、あのー、被差別部落に住んでいる人が、地名をあげて、ポジティブな情報を出そうとしっ、「うちの地区ではこんなことやってるよ」とか、「うちの隣保館では実はお買い物代行サービスをやってる」とか、「在日外国人の方の日本語教室をやってるよ」とか今、ほんとに隣保館でいろんな取り組みをしているんですけど、そういうことも地名が含まれていれば、あの、削除対象になっちゃうっていうことなんですね。
で、ほんとにこの版権(1:22:36)の部分があると思います。で、えっと、もう1つは、えーと、やはっ、やはりこれAIなんかが完成されると、えー、先日ですね、あのー、えー、部落解放人権研究所があのー、包括的差別禁止法を求める、どぅ、啓発動画っていうのをあげたんですけど、それをSNS上で紹介した人の書き込みが、Facebook社によって、ヘイトスピーチを助長する恐れがあるとして、機械的に、あの、削除の対象にされてしまったということがあったんですね。
 で、こういうものは、やはりAIでは判断できないので、えっ、人間がやはりどこかの段階では介在しなくちゃいけない。で、その時に、その、当事者だけ、やはり当事者は分かるんですよ、これが差別か差別じゃないか。
 でも当事者の目だけでは、とても足りないし、あの、あがってくる動画の数、書き込みの数に対して、その被差別部落の人だけが、それを集中して見続けるってこと、とっ、とても無理なことなので、あのー、部落の外の人達、一般の人達が、やはり、そっ、これは差別やろうか。これはあかんやろと言って、あの、外から削除要請をかけられるような、あのー、知恵を打たなくちゃいけないんで、そのバックグランドを育てるためにも、先程皆さんがおっしゃってたみたいな、教育・啓発っていうのが、あのー、ま、そもそも重要になってくるんじゃないかなって思います。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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朝日新聞記者が ぶっちゃけた 同和・部落関係報道の 読み方」への23件のフィードバック

  1. 菅四ジャイアンツ

    「私が取材した福岡県の方」はこの方ですかね。実名で「福岡市の被差別部落で生まれ育つ」と明記されています。

    https://archive.ph/wip/0F2c3

    まさに「顔面に入墨」理論。みずから公表している情報の掲載が「プライバシー権の侵害」にあたるという驚くべき理屈です。「そんなアホな話があるかと、あの、皆さん体感で分かると思うんですけれども」というセリフはそのまんま解放同盟に投げ返したいところです。

    要は、同和関係者に対して腫れ物に触れるような扱いをしない限り差別とみなすというのが解放同盟の基本姿勢で、それに寄り添おうとすると、同和関係者に不都合な事実はそのままでは報道できなくなるという歪んだ構図です。

    返信
    1. 宮部 龍彦 投稿作成者

      顔面に入れ墨というか、裁判において「裸の王様」理論がまかり通るようになりました。
      紙とネットは違う、あそこで公開されていても別で公開するのは別問題みたいな。
      2000年代後半から知る権利よりも秘密保持を優先するようになっています。
      一方で情報技術はあらゆるものを検索可能にする方法に進んでいて
      法律上のタテマエとは正反対の方向に進んでいるのですけどね。

      返信
      1. 菅四ジャイアンツ

        >2000年代後半から知る権利よりも秘密保持を優先するようになっています

        きっかけは何でしょう? 昔はほぼ無条件で尊重されていた「表現の自由」という理念の値打ちが、近年どんどん下がっているように感じます。

        返信
      2. 秘密保持を優先

        宮部さん
        よかったね
        あんたの親族の件は頑なにあんた秘密保持だもんね

        返信
  2. 菅四ジャイアンツ

    朝日新聞の上丸洋一記者が八鹿高校事件の報道について書いていたことは、1998年の記述ですが、2022年現在もそのまんま通用します。いや、1998年当時は赤旗が公然と解放同盟を批判していましたが、今はそれも休止状態になっているので、状況はむしろ解放同盟に有利になっているかもしれません。

    「発生当時新聞は、この事件を兵庫県内の読者に向けて地方版に小さく報道しただけであった。なぜ社会面に書かなかったのか。事件から20年あまり経った95年、取材にあたった元新聞記者たちを訪ね歩き、話を聞いた。ある元部長は電話口でこう言った。『はっきりゆうたら逃げたんですよ。あまり関わりたくないという意識がありましたな』。ところが、その後じかに会ったとき、彼は『部落差別は深刻だ。被差別者の立場に立って…』と何かを警戒しているかのように、固い口調で繰り返した。その変わり様は不可解だった。別の元記者はこの事件の報道を再検討すること自体、けしからんことだ、といった口調だった。『部落解放のための糾弾を普通の暴力事件のように書けば、解放同盟が暴力集団のように見られてしまう懸念があった。だからできるだけ抑えた』と語る元支局部長もいた。 (中略)天声人語の筆者深代惇郎は、八鹿町を管轄する豊岡支局に電話をかけ、『なぜ、もっと書かないんだ』と若い支局員をしかったという。新聞は自らの主体的な判断で、事実は事実としてしかるべき紙面にきちんと書くべきだった。それが新聞の役割であり、書かないのは暴力の黙認に等しかった。いや、当時の記者にもその意識はあったに違いない。実際、多くの関係者が『いま思えば、もっと書くべきであった』と振り返った」(『脱常識の部落問題』)

    返信
    1. 菅四ジャイアンツさんへ

      菅四ジャイアンツさん

      あんたさー
      記事が立ち上がるとすぐに筆者よりのコメント入れるのは良いが
      他の人のコメント見てないね
                ワハハ

      返信
  3. 鵜飼洋志

    と、ヒトモドキの被害者面です(笑)。日本社会その物に対して取り返しのつかない名誉棄損しておいてどの面下げてほざいてんだというね。

    返信
  4. 宮部さんダメ

    宮部さん
    あんたやっぱ、ダメ
    説得力に欠ける
    ジャーナリストは取材をもとに発言しないと
    あんた、部落民とほとんど接していない
    机上の空論・・最近つとにヒドイ

    あとさ、阿久沢記者の発言内容の
    「えー」「あのー」‥の連発記載は読みづらいし、人を小馬鹿にしてるようで人間性を疑われますよ。

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    1. 匿名

      宮部のやることはこの程度と笑ってやってください
      相手が馬鹿だと思えば腹が立ちませんよ
      有る事ない事をまくしたて
      同和問題で小銭を稼いでるちっちぁい男と思ってやってください。

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  5. 貼り付け

    匿名 2022年8月20日 6:09 AM
    三品さん
    ご返信ありがとうございます。
    差別の実態と隣保館??楽しみにしています。
    敢えて言うなら
    某市の人権を扱っている部署や、学校教育委員会などが
    差別の実態をよくご存じだと思いますので、こういっ,,たところの取材をお願いしたい。できれば多くの部落民と接してもらいたい
    (宮部氏は避けているのか、取材できないのかはわかりませんが)

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  6. Ramseyer fun club

     宮部さん、本当にご苦労様です。口述とはいえこんな繰り言のような長い駄文を丁寧に読んであげて読者に紹介してくれるのはありがたいです(自分で読めと言われても、全く不可能です)。
     こうなって来ると、素人目には何かsocial psychoanalysisなどという世界に近い感じです。宮部さんがとても辛抱強く診察してくれるお医者さんのように見えてきます。

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    1. Ramseyer fun clubへ

      あのーー君ね
      口述を文にしたのは宮部
      駄文は宮部

      フォローになってないよ

      わはは

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  7. 匿名

    次元舎必死の戯言
    裁判2審も有罪だよ
    当事者(善良なる部落民、それも赤の他人)から嫌われる活動はダメですよ

    VS解同は勝手にどうぞ

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  8. よく言うよ 宮部さん

    メディア・リテラシー
    ですって、、Www

    あんた、何の新たな情報も無いでしょ
    ひところ前の情報と妄想だけで記事書いてるんじゃないの。
    ろくに取材もせずに、ネットで調べたり部落をほっつき歩いてるだけでは生の情報は入らないでしょ。
    解放同盟の不祥事を記事にするのはどんどんやってもらいたいが、
    あんな団体なんて部落民のごく数%の人の団体でしょ。

    あんたの記事はね
    数百万の部落民=解放同盟員(他同和団体も含む)=悪
    と言うとんでもない勘違いを読者に起こしてるのだよ。

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    1. 匿名

      (あんたの記事はね
      数百万の部落民=解放同盟員(他同和団体も含む)=悪
      と言うとんでもない勘違いを読者に起こしてるのだよ。)

      同意します。
      過ぎたるは猶及ばざるが如し
      宮部氏の論展開は多分に普通の部落民を犠牲にします。

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  9. 本論を避ける宮部

    この記事で、シンプジウムの本論について何故
    宮部はさけるのか

    インターネットで差別は助長されるか否か?

    5ちゃんを筆頭に
    誰でも答えはイエスでしょうね。

    しかし宮部は
    最近アップされた宮部氏のユーチューブでも
    【解説】何度でも言う!部落差別は悪質デマ、プロパガンダ、妄想、願望なのである

    と言い張る、困った男

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