今月初旬に党に無届でロシアを訪問した鈴木宗男衆院議員が10日、処分を待つことなく日本維新の会へ離党届を提出した。28日、札幌市内で開催された自民党の集会で「お陰様で維新から足抜けできた」と動じない様子だ。党を離れても地元・北海道では圧倒的な存在。最近では陰謀論支持者からも支持されている。

90年代から 根拠のない ロシア賛美

【ウクライナ情勢】ミハイル・ガルージン駐ロ大使が 語った「特別軍事作戦」講演録

昨年10月10日、同月５日に参議院会館で開催されたミハイル・ガルージン駐日ロシア連邦特命全権大使の講演をレポートした。言うまでもなくウクライナ侵攻についてロシア側の立場を主張する内容だ。講演会には鈴木氏も出席。ガルージン大使とは“旧交を深める ”といった雰囲気だった。

大使の講演が終わると所見を求められた鈴木氏はこう訴えるのだ。

「侵攻したロシアが悪いという一方的な声と可哀想なウクライナという声で日本が二分されているけれどもこれは果たして公平かどうかということ。日本の経験からいくと先の大戦でも日本は戦争を仕掛けたけども日本にも理由があったんです。ですから私はウクライナ・アメリカ・ロシア、こっちは良い悪いではなくてですね。

ここは先ずは停戦だというのが一番かと思っているんです。私は戦争で一番、犠牲になるのは子供・女性・お年寄りだと思ってます。先の大戦でも日本何て言いました。一億総玉砕だ。竹やり持って戦えといったのが大本営の発表じゃないでしょうか。その結果どうなったでしょう。

先の大戦で日本が降伏していれば東京大空襲も沖縄戦も核が落ちも事もなかったんです。この経験からも私はウクライナにですよ日本と同じような悲惨な目にはさせてはいけないし、してほしくないという思いがあります。そういった意味では私は１にも２にも停戦なんです。

9月21日、プーチン大統領の演説。そして30日の演説。プーチン大統領には共通していることがあります。それは敵はウクライナじゃないんです。アメリカ、アングロサクソンという表現までしたんですね。私はやはり武器の供与をしてるしかもミサイル含めてですね、極めて攻撃的な武器をアメリカは供給している。だから戦争が長引くんです。

武器の提供をやめれば、私は戦争はなくなると思います。国連も冷静にですね、私はこの欧米諸国、日本を含めてですね考えるべきではないかと。特にプーチン大統領は30日の演説でも停戦を呼び掛けております。その停戦は先ほど大使も触れたミンスク合意からの話でもあります。私はそれはひとつの理にかなっている話だと思っています」

９月21日（2022年）の演説とは国民向けにテレビで語ったもので予備役動員を明言したもの。また30日の演説はウクライナ東部、「ドネツク州」「ルハンシク州」「南部ザポリージャ州」「ヘルソン州」４州を併合すると一方的に宣言。明らかに徹底抗戦を呼びかけ、戦線拡大という内容であり日本国内でも大きく報道された。

鈴木氏のスピーチも停戦を呼びかけて一見、中立の立場のようで基本的にロシアの主張に沿ったものだ。

開戦当時、親ロ派の学者らが唱えた「ミンスク合意はウクライナが先に破った」論は現在ではほとんど聞こえなくなった。しかし鈴木氏の主張はそうした親ロ派と酷似したもの。

なぜか 陰謀論界隈から 支持される 鈴木氏

「ロシアの勝利を確信している」

先の発言は「停戦」を求めるなど一見は中立を保っているようにも映る。しかし北海道文化放送ニュース（10月６日）によればロシア国営メディア「スプートニク」が鈴木氏に同月３日にインタビュー。その中で鈴木氏は

「ロシアの勝利、ロシアがウクライナに対して屈することはない。ここは私は何の懸念もなく、100%確信を持って、ロシアの未来、ロシアの明日を信じているし、理解している」

と語っていた。インタビューは日本語、英語、フランス語、アラビア語でも配信されロシアの立場を世界に広めてしまった。

日本維新の会としても処分せざるを得ない発言だった。もっとも無所属であっても強い支持基盤を持つ鈴木氏。このため「お陰様で維新から足抜けできた」と強気発言につながった。また維新を離党したとしてもダメージは小さいとみられる。

しかも鈴木氏の訪ロによってさらに妙な支持者を増やしたのである。

DS（ディープステート）、国際金融資本といった陰謀説に詳しいウォッチャーの話。

「実は反ワクチン、反DS、反アメリカ金融資本といったネットユーザーたちの間で鈴木氏の人気が高まっているんです」

それはプーチン信奉とも関係しているという。

「陰謀論界隈の主張の一つに５Gの通信サービスが健康被害をもたらすというものがあります。ロシアのプーチン大統領が５Gを全面禁止したというデマが広まっています。『X』ではコミュニティノートがつく場合もありますが、オープンチャットなどではいまだに信じている人は多いですよ。その割に集会やデモなどで５G対応のスマートフォンユーザーをよく見かけましたね(笑)」（同）

反ワクチン界隈のロシア信奉は以前も報じた通り。活動家に取材を申し込んだところロシア製アプリ「テレグラム」を介してのやり取りが条件だった。

そんな人々が繰り返してきた「プーチン大統領はDSと戦う光の戦士」といったフレーズ。プーチン信奉者にとってその代弁者である鈴木宗男氏には必然的に支持が集まる。

特徴的なのは維新、参政党、日本保守党、れいわ新選組など団体の垣根を越えて同調者が存在することだ。

反ワク、改憲阻止、DS、原口一博を 熱烈支持…反ワク チャットグループは 個人情報収集が 目的！？

立憲民主党・原口一博衆院議員も同様の主張を続けていることは過去にも報じた。

いっそ鈴木氏が党首、原口氏が幹事長で日本大スラブ党でも結党してみては？　こう毒づきたくもなるのだ。