奈良の闇シリーズ第2弾。前回は森本尚順大和高田市議会議長を取り巻く黒い人脈を告発した。その重要人物が中和地域のフィクサー的存在、高倉忍氏(服役中)、そして葛城市・生野吉秀元副市長だ。生野元副市長は官製談合で逮捕歴がある人物。三者は葛城市内のS組という会社でつながっていた。
森本氏‐高倉氏‐生野氏がS組でつながる
日本維新の会奈良県総支部前幹事長で現在は大和高田市議会議長を務める森本尚順市議の黒い人脈を追った第一弾はこちら。
【奈良の闇①】大和高田市議会・森本尚順議長(維新奈良 県総支部元幹事長)の “黒い人脈”を 告発
今回は森本氏と福祉施設の工事に伴う脅迫、恐喝で逮捕された高倉忍氏との関係性、背景についてお伝えしていく。
さて筆者の手元に「S組の役割について」という資料がある。高倉氏&森本氏に事業を持ちかけられた葛城市内の業者が作成したものだ。資料にはS組に関わった森本氏、高倉氏、葛城市元副市長・生野吉秀氏の相関図だ。生野氏について補足をしておくと、「道の駅かつらぎ」(同市太田)建設工事に伴う官製談合事件で2018年に逮捕された。
資料には各氏の人物像に関する説明文がある。
高倉氏について「世間的に信用がある人を連れて融資や事業を持ちかける」としている。生野氏は「自治体に顔がきくなどと話を大きく展開させる」と特徴を挙げている。
そして肝心の森本氏についてはより具体的だ。
「新庁舎(大和高田市)建設で業者の選定ができる人物として高倉氏が連れてくる。森本氏が所有する物件を事務所などに貸借し改装費などといい金銭を高倉氏に請求させる」
市議、副市長経験者という表社会の看板を高倉氏が利用していたわけだ。
S組は本稿が初出なのでこれも説明しておく。すでに解散した会社だが、代表取締役は女性名になっている。この女性というのが高倉氏の事実婚の妻だ。
そして生野氏が同社副社長、そして森本氏が顧問を務めていた。S組の所在地は葛城市南藤井118。関係人物の間では「葛城の坂にあるところ」で一致する。
そしてS組関係会社は大和高田市に移動してきた。
前回、使用した森本氏が所有するモリモトビル(正確には親族名義)全景を再掲載する。3階に「サミットインターナショナル㈱」(旧名サイファ―ソリューション)が入居しているが、同社の前所在地はS組と同じの葛城市南藤井118。S組の関連企業というわけだ。サミットインターナショナル㈱の当初の代表取締役は高倉氏の事実婚妻、つまり元S組社長である。
サミットインターナショナルは高倉氏が逮捕(2018年3月12日)された直前の同年1月11日にモリモトビルに移転してきた。このことも森本氏と高倉一派の関係性を示す。
モリモトビルはまるで高倉一派の“ 避難所”のようだ。もちろんこれ自体に事件性があるわけではない。かといって市議として有権者にとても誇れるような話ではない。
高倉氏は元自由同和会高取支部長
取材こぼれ話にもなるが、森本氏周辺についての事実関係は一致するのに「高倉忍」といっても通じない関係者もいた。重要人物なのに説明に苦心したものだ。しかし事情を知って得心した。もともと高倉氏は別の姓だ。債務などの事情で離婚した両親の父方の「高倉」姓に改姓した。事実婚の妻が代表取締役を務めていたのも欠格事由、または高倉氏の信頼性の問題だろう。
それから当サイト読者ならば“同和要素 ”を期待するだろう。10年以上前に除名されたが高倉氏は自由同和会高取支部長の立場にあった。こんな背景もある。
「地元の同和有力者、部落解放同盟奈良県連・川口正志委員長が高倉氏の媒酌人やったんや」(事情通)
高倉氏の人脈にはコロナ融資強要で逮捕された自由同和会兵庫県元支部長・山崎晃平氏も浮上。山崎氏は大阪府四条畷市田原のトトロの館の主である。森本氏は同会会員ではないが、影響を受けたのか議会で同和事業にも触れている。
大和高田市議会平成30年12月定例会で
大和高田市議会平成30年12月定例会で部落差別解消推進法、障害者差別解消のための法律、ヘイトスピーチ解消法の人権三法の具体化について質問した森本氏。
部落差別解消推進法に基づく取り組みの強化を求めた上で
その上で次の点についてお答えください。2016年1月に鳥取ループ・示現舎が全国部落調査復刻版を出版しようとしている事件が発覚しましたが、市長はこの事件や行為者に対する所感をお示しください。
と問うた。
民主党系・社民党系の会派議員ではなく維新会派の森本氏の質問というのが興味深い。森本氏が所属する会派絆・日本維新の会には自由同和会奈良県支部会長の仲本博文市議も所属している。なおこの質問があった年は森本氏の盟友、高倉氏が逮捕された年だ。
人権を説く一方で恐喝、脅迫で逮捕された人物とつながっている。こうした胡散臭さはいわゆる人権界隈の議員でありがちなことだ。
森本‐高倉両氏と中和グループ
「森本さん、PTA役員の時は熱心に活動されたとは思います。ただ行事やイベントでも派手なことを計画するので“ ちょっとつきあいきれんわ”という保護者は少なくなかったですね」(地元関係者)
PTA活動や自民党議員の秘書を務めた森本氏。この経歴からしても政治家を志していたのだろう。そんな人物がなぜか怪しげな人脈を築いていく。
契機になったのが中和地域の実業家・岩尾氏(仮名)との関係だ。岩尾氏は親族に地元自治体の議長経験者がいる。この地方の有力者といったところ。森本氏が自民党議員の秘書時代に面識を持ったという。そして2014年頃、森本氏は岩尾氏から高倉氏を紹介される。また先の事情通によれば森本氏が生野葛城元副市長と知り合ったのも同時期のようだ。
ここでは便宜上、「中和グループ」とでも呼んでおこう。このネットワークには大阪の暴力団組織の関係者も連なってくる。
岩尾氏に確認したところ森本、高倉氏と親交があったことを認め、また同氏企業がS組敷地を貸していたという。「療養中で森本氏らとは長らく会っていない」ということだが、本件のきっかけになった日本タイムズの記事を知っていた。何らかの情報は耳に入っている様子だ。
中和グループには生野氏以外にも前科を持つ者がいる。その一人、大和高田市内にあるB社の実質的経営者K氏は朝鮮系の民族名を持つ元暴力団関係者。2008年、K氏とその妻(別の民族名)らはルイヴィトンなどの偽ブランド品1万6千点の密輸を図ったとして、奈良県警に関税法違反で逮捕された。
こうした過去があるためK氏はB社に名義上の社長を置いている。この同社長は先の岩尾氏の同級生である。
奈良県HPには「奈良県社員・シャイン職場づくり推進企業」として紹介されている他、大和高田市指定ごみ袋製造の業務委託を受けている。B社が訳アリ企業と知る地元住民は少なからず存在するがコンプライアンスにうるさいこのご時世、同市はこうした背景を把握しているのだろうか。
また森本氏の行動について党コンプライアンスとして問題はないのか現在、日本維新の会本部へ確認中だ。しかし今のところ同党本部から返答はない。
(次号に続く)
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