「安倍晋三」終焉の地、奈良の 元組長が 語った「非常に 特質な地域」の 意味とは?

カテゴリー: 地方, 政治 | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

安倍晋三元首相の終焉の地「奈良」。訳アリ地域なのは弊社の過去記事をご参考に。今回は“ 解放化する奈良自民”なるテーマで取材を始めた。そんな矢先、岩田國夫県議(自民会派)が奈良新聞社を相手取った民事訴訟を検証する中で、倉本組元組長・津田功一氏の証言は胸に去来するものがあった。

岩田県議と奈良新聞の 訳アリ名誉棄損裁判

“解放のふるさと ”御所市を抱える奈良県。かの地で同和行政にまつわる事件、トラブルが横行してきたのはご存知の通り。弊舎も関係記事を多数、掲載してきた。今後、お伝えするであろう「解放化する奈良自民」というテーマも“解放のふるさと ”なる事情が影響する。

解放化する奈良自民とは特に県議会自民党会派で特に顕著。その中心に自民に推薦願いを出した “解放のふるさと ” ドンの本音(前編)でも指摘した部落解放同盟奈良県連合会委員長、川口正志県議の存在が大きい。さて川口県議と交流が深い県議会議長・岩田國夫県議(98代、103代議長、天理市選挙区)が2018年4月、暴力団関係者との交際を奈良新聞に報じられたのはご存知だろうか? 

「黒い交際」報道はシリーズのように連続して報じられた。岩田県議との交際が指摘されたのは、山口組系倉本組二代目組長、津田功一氏のこと。

その後、岩田氏は名誉棄損だとして同紙を訴えた。最高裁まで争われ昨年10月、岩田県議に55万円の支払いを命じる判決が確定した。裁判ではくだんの暴力団組長との接触は認定されたが「親しく交際とまではいえない」と指摘。

また奈良新聞は証言者、情報提供者のみの証言で報じた点も失策だった。大々的に「黒い交際」を報じるならば写真、音源、あるいは電子メールやLINEなどのやり取り、などの物証が必要だ。

しかしこの裁判は実に奈良県らしい“ 事情”を含んでいたのである。

株式会社三国建設の前身「岩田組」の創業者である。

京都の会食に誘った 先輩議員も“ 指がない”という現実

奈良新聞とは発行部数約10万部の地方紙だ。昨今の地方紙は朝日・毎日新聞といった全国紙に倣えとばかり、イデオロギー全開の記事を掲載することも。もっとも本質的には県庁、各自治体、警察の報道発表、果ては地域の祭りや運動会、ソフトボール大会に新酒発売を漏れなく報じる“ 街の伝書鳩”といったところ。

関係者におかれては失礼だが、没個性的な地方紙の奈良新聞が「黒い交際」という『週刊文春』『FRIDAY』なみの刺激的な独自報道は当時、目を見張った。マスコミで流行りの【独自】というものだ。

意欲的な報道は敬意を表するが「物証」がないし「裏付け取材」が決定的に欠けている。通常、週刊誌の情報提供の場合、「音声」「現場写真」「SNSやメールのやり取り」「当事者の証言」これらの“完パケ ”が基本。交際という以上、ツーショット写真は最低限、必要だ。

匿名の情報提供者の証言ベースで「黒い交際」というのはかなり厳しい。逆にこの手の話が大手週刊誌に持ち込まれてもまずボツだろう。

岩田県議が2017年7月、第98代県議会議長に就任した際、近鉄奈良駅近くホテルの喫茶店で津田氏と面会したというのが「黒い交際」の発端。その後、他議員を交えた会食などが指摘された。

地方紙独自の脱力エピソードも。岩田氏が議長に就任した際、同紙から挨拶記事を提案されたが、掲載料込みなので岩田氏は断ったという。まさかこの程度の話を逆恨みし「黒い交際」報道に至った訳ではあるまいが、岩田県議の反論通り「交際」とまではいかない。

喫茶店で面会した際、岩田県議は津田氏から天理市のメガソーラー入札不正事件について助言を受けたという。事件は市議が自殺するなど陰惨なものだった。

また津田氏との接点については2003年、岩田氏が二期目の時に先輩県議S氏(故人)から誘いを受け、京都市内で会食していた。

ところがこのS元県議も“ 小指がなかった”ことで知られる。隠語ゆえに意味は各自でご判断を。

奈良新聞会長が 同席は「黒い交際」ではない?

さらに“斜め上 ”を地で行く話が続く。岩田県議が「黒い交際」「暴力団との関係」との批判を受けた根拠の一つとして約15年前にS元県議宅で開催されたマツタケ会食がある。地元議員、名士ら5人がマツタケ料理に舌鼓を打った一席。

会食風景。裁判資料をもとに作成。

その内訳は岩田氏、現役組長時代の津田氏、S元県議、I県議(故人、県議会議長経験者)、そして奈良新聞・西島欣志会長が同席していた。西島氏は同社“ 中興の祖”とも評価される人物で地元政財界からの信頼も厚い。

妙な話になってしまう。岩田氏が現役組長と会食したことについて「黒い交際」と報じられた。だが報じた新聞社トップが同席していた謎現象。

これも理解に苦しむ事実だが、それが「奈良」としか表現のしようがない。ここは当の津田氏の言葉を借りておこう。

津田氏の意見陳述は実に興味深い。一部を抜粋する。

「奈良県は非常に特質な地域で県会と暴力団とのつながりはずっと初代からありました。いろいろな意味で奈良県は特殊な地域でありますんで裏社会とうまくつながっているのがいかにもステータスがあるがごとく、そういう誤解があった地域で今はなくなりました」

特殊な地域とはもちろん部落問題も意識したのだろう。だからこそ「特殊な地域」と直接的な表現を避けたとみられる。

暴力団、反社組織に対して政治的、社会的にも厳格になったこのご時世。国政、地方議会いずれも暴力団との交際は“一発退場 ”すなわち政治生命を断たれる可能性が高い。

そうした世相にあってこの津田氏の証言は「政治と暴力団」「奈良の政界」について示唆するところが大きい。“特殊な地域 ”奈良、実に取材のしがいがある街だ。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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「安倍晋三」終焉の地、奈良の 元組長が 語った「非常に 特質な地域」の 意味とは?」への5件のフィードバック

  1. 匿名

    いつもの「三品さんいいぞー宮部と別れろー」がいない記事で寂しく思ったのでコメント

    国葬のデモか献花で忙しかったからでしょうか

    奈良県で不思議に思うことは街宣車が奈良ナンバーが多いらしいこと

    だとすると街宣車を通す車検場や街宣車のディーラーが奈良にありそうなものですがどうなんでしょ?

    無車検車両ならさすがに警察も摘発してると思いますが、国会議員でも発覚してましたね。めんどくさい人には無車検でも放置なんでしょうか。

    でもこの事件は「非常に 特質な地域」だから起こったようには思えません。警察でなければ業務上過失致傷もありうるのではないですか。

    地方議員で警備の待遇を問題にしてる人いましたよね?
    場所の選定から連絡体制までよく考えられてなかったのでしょう。

    それとも「非常に 特質な地域」だから遊説に来たのでしょうか。もしそうならこの演説後の飲み会参加予定者が気になりますね。

    返信
  2. 匿名

    奈良と言えば「山本病院事件」というのがあります。
    ホームレスに声をかけては生活保護にして不要な手術をしていた事件です。

    医療ガバナンス学会に出羽厚二教授が奈良県警を告発していたことが書かれています。容疑者の医師が死んでしまっていて取調べで暴行があったようにも見えるそうです。

    詳細は原典をどうぞ。

    なぜ事件を解明するはずの重要な証人が死んでしまったのか。そして警察官の不起訴。

    森友問題も残土問題があったんですよね。
    残土で予算を水増しするみたいなのはどこでもあるかもしれません。
    これも架空請求ですけどカラ出張など役所がらみの裏金不祥事を見る限り日常的に思えます。

    公共事業や小田原の土石流の類例を探せばたくさん出てくるのではないですか。そのきっかけになりそうな森友問題だったのかもしれません。

    返信
      1. 匿名

        山本病院事件の取り調べ中不審死。
        事件が事件だけにあまり同情はできないが、ここ数日の実弾紛失自白強要の報道見てると、取り調べ中の暴力があってもおかしくないように思える。
        奈良佐川急便事件しかり、奈良県警も闇深そう。
        奈良佐川〜でも名前が出てくる右翼団体。
        関連警備会社を使った某大手スーパーが問題になったこともあったり、関連会社がホテル等観光業手広く手掛けてたり、あちこちあらゆるところに密接。
        やっぱり奈良ってそんな土地。

        返信
  3. 匿名

    たぶん、この人の発見が発端だったのだと思います。
    原昌平(はら・しょうへい)読売新聞大阪本社編集委員。

    貧困と生活保護(32)患者が食い物にされていた安田系3病院事件
    https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160526-OYTET50017/2/

    >院長室を地検が捜索した時には数億円分の札束と、金の延べ板が多数見つかりました。

    >実態解明を妨げる重要な装置になっていたのは「安田記念医学財団」でした。以前に区医師会長を務めた安田院長が衆院選に出て落選し、買収容疑で逮捕された後、30億円の基金を出し、がん撲滅をうたって設立しました。この財団の理事、顧問、評議員、参与には、大学の学長、医学部長、医師会長、高名な研究者、国会議員・府議・大阪市議などが多数、並んでいました。安田院長は「政治家を使う側になる」と口にしており、政治家には別途、病院側から政治献金もしていました。

    >そして厚生省・大阪府・大阪市が3病院への一斉調査を準備していると、院長から頼まれた当時の厚生省の局長、衆院議員、府議らが延期を求め、調査つぶしに動いたのです。

    どんな懲りない面々だたんでしょうね。

    朝倉病院事件というのもあります。
    https://tabi-and-everyday.com/archives/31600

    特に奈良だけではなく、全国的な政官?の資金源だったわけです。もっとおかわりするには医療費のひっ迫を演じなて予算を増やさないといけない。

    返信