【津市相生町 自治会長事件】田邊哲司著『津市役所の闇』を ファクトチェック【前編】

カテゴリー: 津市相生町自治会長事件 | タグ: | 投稿日: | 投稿者:
By 三品純

12月13日、津市内限定で発売された『津市役所の闇 津市自治会問題』(田邊哲司、三重タイムズ編集部)が地元関係各氏の間で話題だ。お騒がせ書評家・豊崎由美風の「田邊哲司はご存知? 知らなかったらおバカさん、無知蒙昧な文盲さん」このフレーズは同市内ならあたらずといえども遠からず? 田邊氏を直撃した際は本書について「真実本」と説明していたが、その通り“ 真実”があったのか検証してみよう。

誤字に 行政文書の 羅列…誰得本? 

合計211ページ、2200円。一般書としては高額な部類である。田邊氏から本書の出版計画を聞かされた時は市幹部、市職員の不正を示す大量の資料や画像を保有していると聞いた。何が飛び出すのか期待したが、本書の大部分が津市の報告書、百条委員会議事録の転載だ。田邊氏の証言に関係する行政文書を転記するという構成で進むが、事件について知見がない人が読んでも事実関係を理解するのはまず無理だろう。

編集部が独自に解説文を併記するならまだしも、読者からすれば単なる“ 文字列”にしか見えないはず。おそらくページ数を埋められなかった窮余の一策とみた。とにかく制作上の努力や工夫がみられないのは、山口憲司→山口兼史や大西直人→大西直彦、松下正直→松島正直と職員名を誤記している点にも表れている。

結局のところ田邊氏の居直り作文に過ぎず、手持ちの情報をただ詰め込んだと思われる。だから編集側も内容について絶対的な自信はあるのか疑問だ。三重タイムズ編集部名で書かれたまえがきは

本書では生々しい議論の一端や、田邊氏の反論と証言を、できうる限り取り上げたが、今後新たな証言や証拠が出てくる可能性は大いにある。そうした意味では、本書は調査不足のそしりは免れないし、批判を甘んじて受ける覚悟である。

『三重タイムズ』(2021年2月12日号)に掲載された田邊氏インタビュー

今年2月、三重タイムズは田邊氏の単独インタビューを掲載。「法に触れるやましいことは無い!」と訴えたが結果はご存知の通り。同記事も本書も田邊氏の言い分をそのまま流しただけで、いずれも田邊氏を「冤罪」とするだけの証明にはならない。版元ですら本書の真偽についてリスキーだと認識している。“誰得本 ”というのが率直な感想だ。もっとも発売日には地元読者から「売り切れ続出」といった声が寄せられた。出版不況のご時世、書店に対する泡沫うたかたのカンフル剤になったことだろう。

前葉市長証言の ウソだけは 本書で証明された!

一部議員に対する刑事告訴、インターネット掲示板『爆サイ』に投稿したユーザーに対する発信者情報開示請求など着々と田邊氏の反撃が始まっている。公選法違反(寄付行為)の疑いで書類送検された加藤美江子津市議会議長などは最たるものだ。自治会長事件に至るまで議員らによる刑事告訴も不受理が続いた中で議会での発言が名誉棄損だとして受理される不条理さ。無論“特定の力 ”の賜物だろうか。

確かに田邊氏の不満も一面理解できる。なぜなら本来は刑事事件に発展したであろう市幹部、市職員が逃げ切った。田邊氏ですら「オレと関わったことがない職員がなんで処分されたんや?」と不思議がったものだ。一方で田邊氏を最もサポートしてきた盆野明弘副市長は辞任し、南勇二元理事は退職金とともに役所を去った。

市側にも問題があるにしても本書の記述を鵜呑みにするわけにはいかない。確実に“ 真実本”といえる要素があるとすれば前葉泰幸市長と田邊氏の関係性だろう。田邊氏との関係を問われた前葉市長の見解は「千人の自治会長の一人で特に印象はない」だ。しかし事件発覚前から選挙協力を受けていたことが本書ではっきりした。

私が前葉の選挙に関わったのは、二期目(平成二十七年四月)と三期目(令和元年四月)の二回。二回とも無投票だったが、中央市民館に地元住民を百五十人ぐらい集めて演説会を開いた。前葉市長の後援会長である辻正敏(津商工会議所副会頭)の身内の者が「応援してくれ」と、選挙用のリーフレットを二百枚ほど持ってきた。同じ敬和地区にある敬和小学校の同窓という縁もあった。前葉市長は相生町の町内イベントにも参加してくれて、親しい深い関係とは言わなくても、まんざら知らない関係ではない。

辻正敏氏は株式会社辻󠄀工務店(津市大門)の代表取締役会長だ。敬和地区は外国籍住民も多く高齢化といった問題もあるがそれでも世帯数が多いため有力な票田である。その町の有力者である田邊氏に協力を依頼するのはありえることだが、少なくとも「千人の自治会長の一人」という証言は明らかに誤りだ。

また掲載された写真には現在、三重県議会議長職にある青木謙順県議も。青木県議に田邊氏との関係を確認したところ「田邊氏の印象はバスケットの支援者の一人という程度」と説明していた。しかし選挙活動にも同席していたことを考えれば「バスケットの支援者」の範囲を超えているのではないか。

橋本英樹理事が狙い撃ちされている

本来ならば市長、副市長クラスに関する情報が掲載されると期待していたが、田邊氏が自治会長に就任した前後で名が浮上した役職者については言及されていない。個人的な印象として最も狙い撃ちされた役職者が橋本英樹政策財務部特別滞納整理推進担当理事だ。

JAZZ誕生日会。中央に橋本氏。左は市民部人権課・大川祐喜課長。右の女性は従業員。

田邊氏が実質的に経営していたJAZZは自治会長事件においても重要な行事である。市職員へのプレゼント、誕生日会といった出来事は当サイトも報じてきたが田邊氏証言によると

幹部らがドッとJAZZに来るようになったのは、南勇二が人権担当理事になってからや。毎月誕生日会をやるようになって、千円ずつ余分に集めて、三十人で三万円。私は毎月名古屋へ誕生日のプレゼントを買いに行った。南が仕切って、若い職員たちは三千円、南ら部長クラスは七千円で、会費が違った。ところが人権担当理事になった橋本英樹が仕切るようになって、会費を七千円均一にすると、若い者から苦情が出るようになった。ジャズに入る金は最初から変わっていなかった。橋本と職員Hがケンカして、おかしくなってしまった。私は職員Hにやめるなと言った。このごたごたで彼はメンタルがおかしくなり、市役所を辞めることになった。

職員Hとは津市役所報告書にある「中堅職員」こと萩原慎也氏のことだ。自治会長事件で告発者の一人とされる元職員。この記述で田邊氏は萩原氏に同情的だが、田邊氏との関係に悩み退職したというのが実態だろう。ここでは橋本氏との関係が原因としていた。

上記の写真はJAZZで開催された橋本氏の誕生日会だ。確かにJAZZ運営に橋本氏の名は頻出である。飲み会について田邊氏は強要したつもりはないと説明し、市職員側は「渋々」だとか「動員」のようなニュアンスで証言していた。双方の言い分は食い違うがしかしJAZZ飲み会の中心に南氏、橋本氏がいるのは紛れもない事実。

市職員がJAZZで 働いていた内幕

「暴露らしい暴露」といえば他にも大西直彦氏(元建設部長、監査委員)のエピソードが面白い。重要人物に違いないが本書では「大西直人」と誤記されているのも痛々しい。あえて仮名にした訳でもなさそうだ。

JAZZで働いていた女性がトラブルで店を辞めた際に職員Hがその代役を連れてきた。

「本では津市の女性職員とありますが、保育園の職員、通称M嬢なんです。その頃は北口保育園に勤務していたはずですが…」(地元関係者)

同書の記述から抜粋する。

その娘を島崎町のドンキホーテに連れ出して、いやらしいものを買ってきたのが、当時常勤監査役だった大西直人(*直彦)である。夜の遊びは知っているようだった。

いやらしいものとは「大人のオモチャ」である。当時の状況を知る田邊氏周辺によれば「田邊氏がMちゃんに“大西とドンキにアダルトグッズを買いに行け ”といったはずです。早い話がハニートラップのようなことですが(笑)」という証言を得た。

証言したのはもちろん田邊氏に反感を抱く人物。しかし大西氏が「いやらしいものを買った」という事実は一致している。あまりに迂闊ではなかったか。

今後も事件を究明する上で本書のファクトチェックを続けていく。なぜならまだ相生町自治会長事件は火種が残っている。もともと弊社に対して告発文が送られた際に問題視されたのは「環境パトロール」だった。確かに最も額が大きな事業であり、また実施に至るプロセスも疑わしい点が多い。環境パトロールが刑事事件の対象にならなかったことについて疑問を持つ市民は多いはずだ。ところが

「本でも名前が出てくる職員が環境パトロールについて事情聴取を受けているんですよ。展開次第ですがもう一波乱ありそうですがね」(市関係者)

自らの冤罪を訴えるのと市側の不正を告発する目的で出版された「真実本」だが、逆に“ 燃料投下”になってはいないか、と。

三品純 について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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【津市相生町 自治会長事件】田邊哲司著『津市役所の闇』を ファクトチェック【前編】」への4件のフィードバック

  1. うましかの一つ覚え

    お金出してまで読む価値はなさそうですね
    示現舎の記事読む方が価値がある

    返信
  2. 匿名

    『同和の会長』殺人未遂事件: 金と女と部落解放運動 (示現舎)を200冊買ったほうが、ためになる。

    返信
  3. 匿名

    地元記者は市長に「田邊氏に選挙応援を依頼してましたよね」と質問してほしい。
    三重タイムズは黙ってみすごすのか?

    返信
  4. 匿名

    三重県の警察は手ぬるい。
    赤福の期限切れの巻き直し詐欺も逮捕者無し。同時期の岐阜県の牛肉偽装、丸明は社長逮捕。
    詐欺の利益は比べ物にならないほど赤福なのにな。
    法の下の平等じゃ無いね。今回逮捕者出したら赤福逮捕者無しが忖度と思われるしね。赤福は行政との癒着かな??

    返信

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