一般社団法人LGBT理解増進会(繁内幸治代表理事)は6月13日、東京千代田区の経団連会館で第一回「LGBTの人権文化を育む2018」を開催した。同会は自民党のLGBT施策のアドバイザーとして活動しており、顧問には古屋圭司元国家公安委員長、田村憲久元厚労相、新藤義孝元総務相、稲田朋美元防衛相、橋本岳衆院議員、石田昌宏参院議員、宮川典子衆院議員が名を連ねている。LGBTと言えば野党や左派団体の”運動の具”になりがちだが、本フォーラムは保守派からLGBTに取り組みである。つまりややもすると「人権問題」を野党・左派の「側」にとられがちな保守派の逆襲というわけだ。取材を通して保守派からのLGBTの意味と課題を考えてみた。
今回のフォーラムの司会進行はゲイをカミングアウトした松浦大悟元参院議員、日本文化チャンネル桜でキャスターを務める佐波優子氏。自民党から古屋、稲田、宮川3氏が登壇。稲田氏が政調会長時代、自民党内に「性的指向・性自認に関する特命委員会」を設置したが、古屋氏が委員長、宮川氏が事務局長を務めている。参加企業にはトヨタ自動車、三菱商事など有力企業100社、後援は各省庁他、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、東京新聞が名を連ねる。申し訳ないが会場が経団連、保守系議員、大手企業の担当者、この陣容を見るに予定調和的な会合になるかと予想していた。特に稲田朋美という存在に疑問を抱かざるをえない。防衛相時代、護衛艦「いずも」や潜水艦「こくりゅう」を視察した際、ハイヒールで艦内を歩き回った。また昨年の九州北部豪雨の被災地訪問では機能性重視というよりもファッション性の高い防災服で登場。防衛相という本来、最も緊張感が持つべきであろう役職にも関わらずこの耐え難い軽薄さ。稲田氏は東京レインボープライドにも参加するなどLGBTの関心を寄せるが彼女の存在がどれほど効果的かは分からない。
しかし今回は保守系の同和団体、自由同和会中央本部の平河秀樹事務局長もスピーカーとして登壇。そして平河氏の登場によって一種の緊張感をもたらした。その前に、まずは各議員の発言を紹介しよう。
罰則よりも理解 LGBT理解増進法を求める
自身の子息の友人にLGBT当事者がいて、その話を聞く中で「目覚めた」という稲田氏。党内ではLGBTに対して理解が進んでおらず「なぜ稲田さんのような保守派がこの問題に取り組んでいるか理解ができない」という声も挙がったとか。また自身が会長を務める「伝統と創造の会」でもLGBT当事者の講演を企画しても周囲から「会長待ってください」と難色を示されることもあったそうだ。そうした現状を踏まえ、与党内での取り組みを訴えた。
次いで教員出身の宮川氏は「いじめ防止対策推進法ができてもいじめはなくならない。他者との差異を教育の中で教えていくことが必要。LGBT理解増進法は施策がついているわけではなく理念法だ」と罰則ではなく理解を深めることが重要との認識を示した。また「各省庁に33の項目を挙げ、改善してほしいと提出した。例えば国交省はホテルにゲイやレズのカップルは同じダブルベットのホテルに泊まれない。これは法律禁止されているのではなく、受け入れる側の印象の問題だ。LGBTの問題は基本的に法律の運用でなんとかできる。33あるうちの16はクリアしている」と現行法や現在の制度で改善できると説明した。
また両氏から遅れて登壇した古屋氏は「LGBTの組織は偏った形の皆様が運営していることが多い。だから当事者の方はどこに駆け込んでいいか分からない。これは非常に問題だった」と指摘した上で「カムアウトする必要のない社会、多様性を認め合う社会を目指す。罰則規定がついた法律作りではなく基本理念をうたった法案が必要だ」と述べた。
罰則規定なしのLGBT法案というのは従来の自民党の説明通り。もともと人権施策の法案に罰則規定を設けるのは野党や人権団体が主張してきたことだ。この風潮は「相手を屈服させ謝罪させる」ということ自体に意味を見出す“人権派マインド”としか言いようがない。特に部落解放同盟、あるいは一部在日団体にも共通することではあるが「罰を与える」「制裁を加える」「屈服させる」ことが実は彼らのアイデンティティの確認作業になってしまっている。その結果、社会が彼らをタブー視するようになったのは言うまでもない。罰則規定をつけるのはLGBTのためならずと考えたとすればそれはとても賢明な判断と思う。
それから自民党各氏の話を聞いて痛感したのは「人権」を左派・野党に握られてきたという苦々しさだ。心情的には理解できる。しかしこれは保守派、与党の責任でもある。LGBTへの公的支援が十分ではなく政府がケアしきれない少数派・弱者を野党や左翼団体が抱えてきた面も見逃せない。加えてLGBTの場合、「少子化を助長する」「家族制度を崩壊する」といった見当違いの主張も保守派からLGBTを遠ざけてしまった。だからこそLGBTだけは「野党と左翼に渡してはならない」という思惑も3氏の発言から感じ取れた。このことは保守派議員のLGBTへの本気度とも解釈できるが、逆にLGBT内の分断を招きかねない。ややもすると政治闘争化しがちな「人権問題」の同じ轍を踏まないような対応が求められる。という指摘をした上で、自由同和会・平河氏の話に繋げるとより「人権」が抱える問題点が浮き彫りになるだろう。正直な話、同氏の話は衝撃的だった。
平河氏「同和がたどった歴史をLGBTが繰り返してはいけない」
16兆円。これは同和事業で投入された税金だ。野党や左翼団体は政府がケアしきれない弱者を抱えたと先述した。しかし同和の場合、まるで話は別だ。長年、政府や自治体に手厚く支援されてきた。その恩恵を最も受けたのが部落解放同盟のはずだが、なぜか彼らは「反体制的」だ。しかも同和事業の過程の中でたびたび起こした不祥事でも「自己批判」というものはまず聞かれない。
そこで平河氏はまず同和事業の反省から始めるのが、あまりに“ぶっちゃげた”内容に驚いた。平河氏はこんな風に話を切り出した。
「私どもがたどったあやまちの運動の歴史をLGBTが繰り返すをやめてもらいたいという思いできた」
“私ども”という当事者意識に驚いた。通常、同和事業で不祥事が起きると「運動体の中にエセ同和行為を働く者がいた」こんな風に総括される。つまり当事者意識がまるでないのだ。
「皆さん(企業関係者)は部落解放同盟の活動には参加されていると思うが、私どもと部落解放同盟は全く違う」
今回の参加企業を見ると「同和問題企業連絡会」(同企連)の会員とほぼ一致する。おそらく平河氏は同企連の活動を意識してのことだろう。そしてこれまでの解放運動の問題点と反省点を挙げていく。
「寛容と忍耐、これがなかったために部落解放は達成されなかった。(理由は)同和問題をタブーにしてしまったこと。あれも差別、これも差別、差別をあげつらい差別的な言動があればすぐに糾弾する。いつの間にか同和問題が遠ざかったということだ。差別した相手にも人権があるが、それをないがしろにして追い込んでしまう。それを繰り返してきた。確かに差別されると怒るのは簡単だが、本当の意味での理解は得られないと思っている。人間全て完璧ではない。それを考えれば同和団体が人間失格みたいな抗議活動はやめるべきだという認識に至り、昭和61年に新しい団体を作った」
補足をしておくともともと自由同和会は、全日本同和会(同和会)から1986年に分派した団体だ。当時、同和会は不祥事が相次いだため、これを問題視した岐阜、四国の各県連が脱会して結成された。
それにしても刺激的な発言が相次ぐ。当初、平河氏がどんな話をするのかとても興味があった。それもLGBTの講演会で、だ。もっと通り一遍の教科書通りの人権論を語るのかと思いきや、かなり突っ込んだ内容だ。それもこのフォーラムに参加するのは大手企業、行政などただでさえ「同和」という存在に対して恐怖心を抱く人々だ。おそらく集まった報道陣ですら「自由同和会」と「部落解放同盟」の違いを理解できているのかどうか。それはともかく平河氏の講演は会合に緊張感をもたらすのと同時にLGBT理解増進会の“本気度”を感じた。話はさらに続く。
(次回に続く)
>差別された相手にも人権があるが、それをないがしろにして追い込んでしまう
この「された」は敬語でしょうけれども、受け身と紛らわしいですね。
平河さんの発言がそうなっているなら仕方ないですが、
「差別した人にも人権がある」と書いたほうがわかりやすいのでは。
これは創価学会や民団に代わる票田確保なのだと思います。
創価学会は投票場に行かなくなっているそうです。(とある区議の証言)
高齢化が進み崩壊の危機にあっているようですよ。
https://signifie.wordpress.com/2018/02/01/子どもと創価学会/
DV法で母子の行方がわからなくなっていて、
その支援事業に公明党が頑張っているのは、
創価学会の立て直しをやっているのかもしれません。
成年後見制度を使うと後見人が代理投票出来るんですよ。
それにしても酷い政治ですね。
https://www.komei.or.jp/news/detail/20170818_25320
LGBT法連合会という団体がありますね。
票田にしたくても数千人でしょうね。
うまみはどこにあるんでしょうね。
http://lgbtetc.jp/