【熱海市 土石流】“同和系列” 天野二三男、不動産ビジネスの ウラに「天野塾 」

By 三品純

死者10名、行方不明者18名(7月11日時点)―――多数の犠牲者を出した熱海市土砂災害。土石流の原因と囁かれる宅地開発の業者、新幹線ビルディング元社長・天野二三男氏周辺や関係施設に報道陣が殺到するが現在も“ 雲隠れ”だ。熱海市から小田原市を中心に神奈川県内で広域的に不動産取引、宅地開発を続けてきた天野氏だがビジネスの裏に通称、“天野塾 ”なるものが存在していた! 

自由同和会神奈川県本部は崩壊状態

現在、弊社も天野氏へ接触を試みているが、残念ながらまだ直撃できていない。欠席裁判ではなく携帯電話番号も入手し連絡を取っている。一部メディアは電話取材だけ成功しているが「元幹部」と紹介されており実名を伏せているのが共通点。すでにSNS上では会社登記簿や本人の関係情報が散乱しているのにあくまで「元幹部」とするのが不思議で仕方がない。もしや同和案件への忖度というものか? こう邪推してみたが事情は異なった。電話取材で本人に“ あてた”記者によれば

「記事にする際に“ 元幹部”にするのがコメントの条件なんです」

と取材上の理由だった。もっとも“元幹部 ”こと天野二三男氏が自由同和会神奈川県本部会長であり、熱海市議会で「同和系列の会社」とされたことを主要メディアは報じていない。実名報道はともかく同和回避はまぎれもなく存在している。

一方、自由同和会側も天野氏の報道について苦慮しているようだ。

「ウチ(自由同和会)が関与しているかのように書かれるのは困ります」(同会役員)

「毎年の新年賀詞会にも出席されていますが(天野氏は)温厚な紳士という雰囲気です。そちら(弊社)の記事で状況を知って心配しています」(別の役員)

温厚、紳士的という評価も多数聞いたが、解放運動・人権活動について天野氏が積極的に関わった話は伝わってこない。

『HumanJournal自由同和会神奈川県版』(2014年9月)全日本同和会の不祥事を指摘。自身も逮捕歴があるが。

『HumanJournal 自由同和会神奈川県版』(2014年9月)で天野氏の“ お説”が掲載されている。教科書通りの内容で特に目新しい話や独自情報はない。ただ自由同和会の前身、全日本同和会の不祥事に言及しているのが面白い。こんな実例を紹介しておこう。部落解放同盟の場合、対立する共産党を批判をする場合、「某政党」との呼称を用い直接名指しをすることはない。同和団体間には微妙な空気と距離感があるものだ。だから名指しされた全日本同和会側も「そちらが言うか?」と失笑するかもしれない。

というのは2009年に天野氏は違法なデリバリーヘルスへ事務所を貸し出したとして組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)で逮捕されている。現在、天野氏の元住居を使用している男性は「事件を起こすような人だとは思えませんでした」と話す。実際に機関誌などに残る天野氏の素顔も老紳士という風情。表と裏の顔があったかもしれないが、2009年の時点で自由同和会本部は何らかの対処ができなかったものか。

本件は直接的に自由同和会が関わっているわけではない。あくまで天野氏個人の問題といえる。ただ同会兵庫県本部元会長による公庫職員への職務強要、奈良県在住の中央本部理事による逃走犯に対する詐欺、和歌山県本部前会長の持続化給付金詐欺—――こう不祥事が相次ぐと団体と関連付けられるのはむしろ自然という気がしてならない。

天野案件について自由同和会をフォローしておくと決して神奈川県本部の運営状況を問題視しなかった訳ではない。現在、同本部事務所は機能しておらずすでに電話も休止。かろうじてHPは閲覧できる状況だ。内情を探ると異変が起きていた。

自由同和会東京都本部役員の話。

「天野さんは県本部の会議にも出席していなかったというのです。神奈川県本部自体が機能していませんでした。神奈川本部副会長の渡辺一幸さんはもともと東京本部の所属ですが、応援の意味もあって神奈川県本部の役員をしていたんですよ。ところが神奈川の状況が悪いので“気の毒だからナベちゃん(渡辺氏)を東京に戻してあげよう ”ということで、現在は神奈川県本部所属ではありません」

神奈川県本部自体が天野氏の“個人商店 ”といってもいい。そして実質的な運営作業を担当していたのが事務局長の八木橋聖一氏。機関誌の編集人にその名がある。

「渡辺さんの神奈川県本部退会の手続きも八木橋氏からのFAXでしたね」(同前)

実はこの八木橋氏もキーパーソンの一人。自身も天野氏に被害に遭い“天野案件 ”について情報発信を続ける男性はこう語る。

「八木橋氏は天野氏の麻雀仲間でもあり、また仕事仲間でもあるんです」

自由同和会の会長‐役員の関係というよりも、ビジネス上の片腕といった方が適切かもしれない。さらに自由同和会神奈川県本部の運営をたどっていくと不可解な事象が確認できる。同会が運営する人権図書館(小田原市城山3)のことだ。

天野館長・人権図書館を訪ねてみると

付近住民もメディア対応に苦慮していた。

自由同和会神奈川県本部では人権図書館がある、らしい。「らしい」としたのはまず“訳アリ ”であることが想定できたからだ。館長は天野氏。「図書館」として利用されているのか謎施設だ。

エセ同和行為完全撲滅というのも味わい深い。
郵便受けには「湘南オーガニックファーム城山支所」とある。

機関誌に記された所在地に行ってみたが、特に人権図書館といった案内はない。ところで天野氏取材で興味深いのは「同和案件」ながらいわゆる「メディアスクラム」が形成され関係各所には多数のメディアが殺到していること。同地にも多数の報道陣が訪れた痕跡があった。近隣住民の「取材お断り」の貼り紙はよくよくのことだろう。

郵便受けには「湘南オーガニックファーム(株)(城山支所)」の名がある。湘南オーガニックファーム(小田原市久野)も実質、天野氏が経営する体験型農園のこと。

近隣住民によると「あそこもロジック合同会社の所有と聞いています。たまに外国人も滞在していましたが、私が確認した時はフィリピン人女性でした」と話す。

それから周辺住民らは「人権図書館」なるものの存在を全く知らなかった。それ以前に「自由同和会」という名称自体、寝耳に水という反応。もっとも「人権研究センター」「世界人権研究会」などやたら仰々しいネーミングでその実、ただの民家というのは定番の光景だ。

仮に同所が図書館として機能していたとしても、周辺は非常に道が入り組んでおり、初めてここを訪れる人はかなり迷うはずだ。ここまで来て書籍を借りるというのは一体、どんな利用者なのか逆に興味が沸く。しかも未返還398冊(写真参照)とは不思議というより、シュールである。

しかしそれよりも問題なのはこの住居の建築状態だ。

「不法侵入」というつまらない指摘を想定して家屋住民の立ち合いのもと撮影しています。

同施設の奥部分は庭のようになっているが、一部が敷地を越え鉄骨で支えられていた。近隣では倒壊の恐れがあると不安の声が少なくない。

「石垣部分からはみ出しており違法ではないかと思うんですよ。市役所がどういう形で許可を出したのか不思議です」(住民)。

鉄骨は経年劣化があり錆も目立つ。万一、崩れたら無論、近隣に被害が出るだろう。そもそもこの一帯が高台で家屋等の倒壊リスクも捨てきれない。

一応、建設業者にこの写真を見てもらったところ「写真だけでは判断しにくいが、境界線はおそらくセーフ」とした上で「鉄骨が脆弱だからいずれ補強が必要になるでしょう。それに高低差がある住宅の密集地域でこんなやり方はしない方がいいと思いますよ」と解説した。

鉄骨設置は果たして市の適切な判断があったのだろうか。この疑問は単に同和団体役員への忖度だけではなく、実は天野氏兄の天野昇氏(故人)は「小田原市元理事・建設部長」という関係にある。熱海市がいうところの同和系列に、身内が市幹部、疑念を抱かせる要素が満ちている。加えて前稿でも指摘したが天野氏は市内に多数の不動産を所有しており、関係企業も少なくない。実はそれを支えるのが通称、「天野塾」と呼ばれる会合の存在だ。

不動産業ノウハウを伝授する謎の天野塾

「天野塾」。その実態は天野氏が不動産、開発ビジネスのノウハウを伝授する集まりなのだ。証言者によっては参加者を「塾生」と呼び、また別の証言者は「門下生」という。ビジネスセミナーの類は巷に散乱している。おおよそイメージとしては“ 意識高い系”の起業志望者が「キミにもできる」と自己啓発風の辻説法を聞かされる。そんなところだろう。

対して天野塾の場合は“ 実学志向”のようだ。

「天野氏から教えを受けた門下生たちは不動産業を開業する人が少なくありません。しかし単なる開業や経営ノウハウなら経営本でもネットでも知りえますよね。そうではなく例えば新規参入の不動産会社への妨害方法、あるいは外国人労働者を住まわせ利益を得る方法だとか、そういう裏テクニックを伝授するのです」(地元業者)

門下生らはやがて協力者になっていくという。また気になるのは「外国人を住まわせる」という証言。これは天野氏物件の特徴である。そこで役立ったのがあの新幹線ビルディングの所在地にある「自由同和会神奈川県本部 外国人支援センター」かもしれない。人権団体と外国人支援、いかにもありそうな組み合わせである。実学志向と表現した意味がお分かり頂けただろうか。

あるいは応用編もあるという。「上下水道代を支払いたくない場合“ 水質検査をしていないから”と水道局にゴネてウヤムヤにするとか。あるいは市役所や税務署と交渉する場合、どういう対応をしたらいいのか、などですね」(前同)

こと行政対策は長けているかもしれない。「行政に対しては延々と自説を述べたり、独自の法令解釈をして相手の根負けを待つという方法ですね」(同)。そこはかとなくエセ同和臭が漂うやり方だ。言うなれば「天野メソッド」。例の熱海市議会でも天野氏・新幹線ビルディングについて「ちょっと普通の民間会社と違いますので」との印象だが、熱海市でも独特のメソッドが発揮されたに違いない。

同和を背景に、独自の経営感覚、加えて自身の身内に市役所幹部職員がいた――。表の経営セミナーでは学べない手法を天野塾では習得できそうだ。この通り、小田原市内では異様な存在感を放つ天野氏。しかし不動産ノウハウに精通する同氏の手がけた開発事業が土石流を誘発したと批判されている。この点を本人、関係人物たちは今どう感じているだろうか。もちろん同和系列として対応が鈍った行政の責任も大きい。

先に掲載した『HumanJournal 自由同和会神奈川県版』(2014年9月)で天野氏が全日本同和会の不祥事を指摘した部分の一節を引用しよう。

この事について、自由同和会神奈川県本部が意見、抗議することはやめましょう。何故ならこの施策に関わった人達は皆その事を知っていて触らぬ神に祟りなしと目をそらしているからです。

何より天野氏本人が「行政は同和に遠慮する」という特徴を語っているのは大きい。同和団体に対する行政の姿勢が「触らぬ神に祟りなし」とは至極真っ当な指摘。ただそのことは天野氏自身にも当てはまることではなかったか。熱海市開発はもちろんのこと、あるいは小田原市と天野氏の間で何らかの「特別な関係」があったのか今後も追跡していく。

【熱海市 土石流】“同和系列” 天野二三男、不動産ビジネスの ウラに「天野塾 」」への3件のフィードバック

  1. Eテレの無料化を

    デリケートな時期に詳細な取材ありがとうございます。
    自民党系の同和団体の幹部という言葉が独り歩きしていて、「エセ同和行為」を知らない或いは興味がない層が今も存在する同和問題に対してアレルギー反応を示すことに危惧を抱いています。

    森友学園問題でもゴミが出て来た話と籠池氏が奈良県職員の経歴があるのを聞いた時点で嫌な予感しかありませんでしたが、やはり人命に関わる問題である以上はこれ以上恥部を隠すために腫れ物に触る姿勢は改めるべきではと個人的には思っています。救われるべき人が全く救われていませんから。

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  2. 松本イヨマンテ

    人権図書館って昔は鴨宮の歯科医院のまえにあった。いまは紀伊国屋不動産がはいっている。皮肉にもまた不動産。ちなみにその歯医者はむろんAとは関係はないけど、かつて共産党系の市長候補となった経験がある方が以前やっていた。

    返信
    1. 三品純 投稿作成者

      ありがとうございます。
      紀伊国屋不動産の前がAさんの旧宅です。
      その裏手あたりにお兄さんの家。
      Aさんの家を購入したのが紀伊国屋さんです。

      返信

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