【沖縄県知事選】下地幹郎氏を直撃「小沢さんってどこから出た話?知事選には出ません!」

By Jun mishina
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「左翼活動家の楽園」「シルバー左翼の終の棲家」と化した沖縄県。辺野古沖転覆事故の責任問題で揺れる沖縄だが、9月13日に県知事選を迎える。3選を目指す玉城デニー知事、前那覇市副市長の古謝玄太氏、農業関連会社代表の木下隆政氏が立候補を表明。また元郵政民営化担当相で沖縄ファースト政策研究所所長、下地幹郎氏の出馬も囁かれている。そのため下地氏に対して保守層から「古謝氏と票割れする」との批判も強い。そこで下地氏本人を直撃してみると――(写真=愛知県内で演説する下地氏)

現職優勢だが、オール沖縄は減退

沖縄県庁。

玉城氏は辺野古新基地建設への反対、普天間飛行場の危険性除去、子どもの貧困対策などを訴える。もちろん辺野古問題については「大きな争点の一つになり得る」との認識を示している。現職優位に加えて共産党を中心とした革新政党、またオール沖縄という絶対的な支持層を持つ。

古謝玄太氏は前那覇市副市長で、保守系の候補者選考委員会によって擁立された。公式サイトでは「沖縄を、前に。」を掲げ、経済、福祉、教育、子育て、若者の挑戦環境などを前面に出す。元総務省、元長崎県財政課長、前那覇市副市長という行政経験がアピールポイントになる。

保守候補としてはかなり若く、2022年の知事選に立候補した佐喜真淳・現宜野湾市長のような従来型の保守候補とは異なる印象付けができるだろう。基地問題一辺倒ではなく、経済、子育て、教育、産業振興、行政実務を前面に出せる点は強みと言える。

また木下隆政氏は『琉球新報』(3月14日)によれば「政治と生活が分離されると利権団体しか投票に行かなくなる」といった問題意識を訴えたが、中心になるのは玉城氏、古謝氏だろう。

現職でなおかつ革新勢力が強い沖縄で玉城氏の優勢は否めないが、しかし支援団体であるオール沖縄が減退しているのも事実だ。今回の知事選の最大ポイントは「オール沖縄 vs 自公」という単純な図式ではなくなったことだ。2026年2月の衆院選で自民が沖縄4小選挙区を全勝し、辺野古反対勢力である「オール沖縄」は小選挙区議席がゼロになった。

特に革新の議席、沖縄1区を失ったことは大きい。1区を足場に様々な団体、活動家がぶら下がり反基地闘争を展開した。活動の根拠地を失ったことが、選挙戦にどう影響するのか。

辺野古反対だけで広範な票を束ねる力が弱くなった。翁長雄志知事時代は「保守も革新も、辺野古反対でまとまる」という方針に求心力があった。ところが基地問題への関心が残る一方で、物価高、所得、観光経済、子育て、医療、離島振興など、生活課題の比重が上がっている。

それを象徴するのが2024年9月の宜野湾市長選。「オール沖縄」勢力の支援を受けて出馬した桃原功氏は生活支援、福祉政策に力点を置き辺野古問題を避けた。このことから〝辺野古隠し〟と囁かれたのだが、裏返せばオール沖縄勢力ですら、基地問題が票に直結しないとの判断だ。

また玉城氏にとって直接的な関与とは言えないにせよ転覆事故の影響は少なくない。辺野古での反基地活動が「命を守る運動」ではなく、安全管理を軽視した政治的体験学習だったのではないかという見方が広がると、玉城氏本人ではなく、玉城氏を支える政治文化全体への不信に転化する。すなわちそれがオール沖縄だ。

辺野古地区テント村のオール沖縄の掲示板。勢いを感じない。

転覆事故は、辺野古反対運動を「平和の象徴」から「安全管理と説明責任を問われる対象」へと変えた。玉城氏の固定支持層は大きく揺らがないとしても、無党派や中道層には、反基地運動への違和感として蓄積される可能性がある。

強力な支持基盤を持つ玉城陣営だが、現時点でプラス要素が見当たらない。

古謝氏は経験不足を問う声も

一方、古謝氏は行政畑としての経歴はあっても、一般有権者への浸透は十分ではない。だからこそ陣営は「若さ」「刷新」「国との連携」「実務型」を前面に出している。

那覇市副市長は確かに大きな行政経験だがあくまで補佐役。これが沖縄以外の県ならば「若さ」でも突破できるかもしれない。しかし沖縄県知事は危機管理、国との交渉、基地問題、離島政策までを背負う重責の上、左派勢力からの突き上げが待つ。

古謝玄太氏は、県知事候補として見れば経験不足は否めない。前那覇市副市長、元総務省官僚という経歴は行政実務の裏付けにはなるが、県政トップとしての指導力、危機管理能力、議会対応力、基地問題をめぐる政治的胆力は未知数。むしろ若さと経験不足を長期化した玉城県政に対する「刷新感」として有権者に訴えることが重要になりそうだ。

現状は玉城氏を追う古謝氏という構図だが、ここに元郵政民営化担当相、下地幹郎氏がクローズアップされている。

下地氏はIR事業を巡る現金受領問題で2019年に日本維新の会から除名処分。2024年に政界引退を表明して、久米島オーシャンジェット社の会長職、そして沖縄ファースト政策研究所の所長として政策提言に専念すると表明した。

下地氏をめぐっては「沖縄自民とは口もきかないほど犬猿の仲」(沖縄政界通)と保守層とは一定の距離があるようだ。しかし維新時代は面倒見の良さで定評があった人物。

「脆弱な組織の中で選挙区に入って応援演説をしてもらったり、アドバイスをもらった。腹を割って話せる数少ない政治家。維新内部ではお世話になった人は多いんじゃないかな。音喜多(駿)氏なんて国政進出に当たって下地氏からサポートを受けた。維新内での貢献度は高いのに、ひどい切り方をしたものだな」(愛知維新関係者)

現在、無所属の下地氏だが、経験や人脈を頼る地元議員も少なくないため地元政界にも影響力を持つ。

そんな下地氏に2026年の知事選立候補説が浮上した。

もとは4月14日の『琉球新報』が下地氏の「必ず第三極が出てくる」というコメントを報じたことだ。また同紙は6月7日に「知事選「第三極」に関心 下地氏「引退」撤回あるか<潮流 沖縄政治の現在地6>」と報じ、下地氏の動向に注目した。

6月13日には『沖縄八重山日報』が、下地氏が立候補を示唆したと報道。

6月18日の『琉球新報』で下地氏が出馬を否定するも、記事中では、周囲に出馬意欲を漏らしていたとの趣旨も記されていた。

また6月21日の『女性自身』は「沖縄県知事選、下地幹郎氏が出馬報道を真っ向否定!小沢一郎氏“暗躍説”にも『事実無根』」と小沢一郎前衆院議員の関与を報じたが、あくまで匿名関係者の伝聞レベルだ。

「下地氏出馬」は本人を介した確定情報ではなく、第三極待望論、周辺から漏れた観測、メディア報道が重なって膨らんだ話のようだ。

動向が注目される中、下地氏は6月23日の「選挙ドットコムちゃんねる」に出演。元朝日新聞記者で政治ジャーナリストの今野忍氏から県知事選への出馬を問われた。

ところが下地氏は出馬についての明言を避けた。

今野氏は「これが下地幹郎という政治家ですよ。結局、散々1 時間聞いたけど、沖縄知事選に出るか出ないか最後まで分からないんですよ」と老獪な話術に舌を巻いた格好だ。

果たして下地氏の本音は? 本人にコメントを求めた。

「知事選? 安心してください。出ませんよ。小沢さんってどこから出た話なんだろうね。だいたいあの人と面識もないんだから」

豪放な下地氏らしくあっさりと否定した。もちろん一寸先は闇なのが選挙の世界だが、出馬説を打ち消すコメントを得られたのは大きい。

仮に下地氏がこのまま不出馬となれば保守票割れの可能性はなくなる。確かに沖縄の革新勢力は強固だが、古謝陣営にとっては安心材料と言えそうだ。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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