国民民主党幹事長代行の岸本周平衆議院議員(和歌山一区)は、今年12月に任期満了を迎える和歌山県知事選に出馬することが周辺への取材で判明した。岸本氏出馬の背景は仁坂県政に不満を持つ自民党同県連の思惑も見逃せない。また長らく自民党の対立候補を退け、一区の議席を守ってきた岸本氏が“卒業 ”となると、自民党議員による仁義なきイス取りゲームへ発展するだろう。二階王国・和歌山の再編が始まるのだ。
知事選を想定した政治活動
岸本氏の和歌山県知事選出馬は二階俊博が 次期知事選、岸本周平擁立の “噂の真相 ”(2022年3月18日)で紹介したが、地元政界では既成事実として動いてきた。当の岸本氏も知事選を意識した活動を展開。現在、自民党と距離を縮め連立を模索する国民民主党だが立ち位置は明確ではない。また一方で国民民主党は4月、日本維新の会との参院選協力を破棄した。
ところが岸本氏の動きは“一人連立 ”といってもいいだろう。
2月27日の紀の川市長選は、岸本健現市長(自公国民推薦)を支持し、自民党関係者も居並ぶ中で応援演説に立った。
さらに高野町(伊都郡、4月17日投開票)町長選で自民推薦の現職候補の応援に訪れたというが
「紀の川市長選は党推薦だから応援するのも分かります。しかし全く無関係の高野町町長選というのは知事選を意識したとしか思えません」(和歌山政界通)
という指摘は岸本氏の本気度が伝わってくる。近日中に国民民主党から離党し、出馬表明する予定だが前の政界通によれば
「22日に後援会、支援者へ説明会を行った後、23日にダイワロイネットホテル和歌山(和歌山市七番丁)で記者会見を開きます」
というスケジュール。永田町・議員会館の岸本事務所に確認したところ「こちらは全く承知しておりませんのでお答えしかねます」という回答だ。
岸本氏出馬は 中央政界も左右する!?
岸本氏は東大法卒、大蔵官僚上がりの絵に描いたようなエリート。当選回数5回の実績もある。それに対して国民民主党では選挙対策委員長(旧)、選挙対策委員長を歴任し現在は幹事長代行という微妙すぎる処遇だ。
キャリアに反して党内の存在感は薄い。というのも自民党・二階俊博元幹事長と懇意にしており、地元では「事実上の二階派会員」とも揶揄されている。過去記事でも紹介したが
「維新の有名議員が和歌山で講演会を行った時に“岸本(周)さんは国民民主党内で干されている ”と話すと会場は大ウケでした」(地元記者)
この通り、他党議員からもイジられるほど。もっとも国民民主党自体、先行きは心許ない中で国政よりも県知事でキャリアハイを狙うというわけだ。
さらに岸本氏の出馬は自民党和歌山県連にとっても歓迎すべき話。
「和歌山一区から岸本氏が抜ければ自民党候補を同区に押し込めるということ。先の総選挙で落選した門博文前衆議員議員などは岸本氏の応援に動くということです。ホンマ、もう何でもアリで呆れますわ」(事情通)
対する仁坂吉伸知事は当選回数4回でなおかつコロナウイルス対応でも評価された。
「正確には保健技官が有能という話なんですが(笑)」(前出事情通)
と疑問視する声がある一方で有権者にとっては仁坂知事の手腕とみる向きが強いだろう。盤石そうな仁坂知事だが脛に傷も。
「IR(カジノを含む統合型リゾート施設)計画が頓挫したのは百条委員会設置まで囁かれました。当然、岸本氏もIRを追及すると思います」(地元記者)
予定されている23日の出馬表明。岸本氏からどのような意気込みが語られるか――。