録音録画禁止 反論は「マイクロアグレッション」と差別認定 密室化・先鋭化する 部落問題講演会

カテゴリー: 地方 | タグ: , | 投稿日: | 投稿者:
By 宮部 龍彦

各地で自治体が行っている、人権・同和関係の講演会。以前から「撮影禁止・録音禁止」とアナウンスされる例が増えている。そして最近はコロナの影響でネット配信されることが多くなったが、それでも事前の申込み者に視聴者を限定し、撮影録音はもちろん、SNSで拡散することを禁止する例が多い。

宮崎県日向市で行われている「第38回日向市人権・同和問題市民講演会」もそのような一例である。どのようなものなのか、映像を入手したので紹介しよう。

このように、冒頭で市長が挨拶し、紛れもなく公的な講演会であることが分かる。当然、税金で運営されるものだ。

そして、録音・録画の禁止、SNSでの拡散禁止というテロップが出る。

一方、講演者である上川多実氏が筆者が提訴されている、全国部落調査事件の原告であることが紹介されている。

なお、上川多実氏は東京地裁の判決では一切の請求が認められておらず、全面敗訴している。講演を全て視聴したが、その事には全く触れられていない。

筆者としては私的なことで係争中の利害関係者が、公的な講演で一方的に自分の主張することには正直なところ受け入れられない。

また、法律上は著作権法40条各項により政治上の演説や陳述は自由に利用することができるし、地方公共団体による演説や陳述は報道のために利用することができる。無論、この講演会自体が日向市が主催する演説や陳述に該当することは疑いないので、録音録画禁止、SNSでの拡散禁止といったことには法的根拠がない。

それ以前の問題として、地方公共団体が行う以上は「公権力の行使」に該当するのだから、それに対する記録も反論も許さないというのは、そもそも憲法が定める表現の自由に反しているだろう。

ところで、あまりにもインパクトがあるため「5ちゃんねる」等で時々スレットが立てられ、他のSNSでも定期的に話題になる上の画像がある。当たり前だが、面倒くさい、関わりたくないという感想が殺到し、「被差別部落出身者」に対する偏見を広めるような内容である。

これも実は公的団体により作られたもので、元ネタは公益社団法人鳥取県人権文化センターが公開している「No.42 フツーの人の「自覚無き差別」〈4枚組〉」という人権啓発パネルである。

「部落差別なんて気にしない」と言うことには何の問題はないと思うのだが、このパネルによれば「マイクロアグレッション」という差別の一種なのだそうである。

こんなことを真面目に主張する「被差別部落出身者」がいるのかと思ったら、実際に存在するのである。それが日向市の講演に出ている上川多実氏である。

以下が上川多実氏が同様の主張をしている場面である。

ここまでくると、もはや「被差別部落出身者」を自称する者に対しては全て同調しなければならず、何か意見をしただけで「差別」ということになってしまう。

ただし、このような主張は目新しいことではない。1979年に故・町田宗夫曹洞宗宗務総長(当時)が「日本には部落差別はない」と発言したことで、解放同盟に糾弾されたことがあり、それ以来多くの宗教団体が解放同盟の言いなりになってしまった。「マイクロアグレッション」という“横文字”を使っているが、40年以上も前からある解放同盟の言いがかりの手法の焼き直しに過ぎない。

同様の主張は、今年2月18日にから行われた、「令和3年度大分県人権啓発重点課題講演会」でも川口泰司氏によって主張されている。極端な考え方が、あたかも部落出身者全般に共通しているかのように言うことは、偏見を広めることはあっても、部落問題に対する正しい理解にはつながらないだろう。

それにしても、公金を使って係争中の問題に対して一方の意見を垂れ流し。それを記録し、公の場で話題にすることも許さない。そして、反論することも「差別」。

今に始まったことではないが、こうやって密室化した人権啓発は一切の批判を受け付けないために先鋭化し、ますます異様なものとなっている。

繰り返しになるが、地方自治体の公権力の行使である講演会の録音録画禁止には何の法的根拠もない。録音・資料等があればぜひ示現舎に提供して頂きたい。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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録音録画禁止 反論は「マイクロアグレッション」と差別認定 密室化・先鋭化する 部落問題講演会」への19件のフィードバック

  1. 菅四ジャイアンツ

    上川多「実」ですね。

    町田発言以前、なだいなだが部落出身と自称する女性の人生相談に

    ・そんなつまらぬことで悩むことはない
    ・今ではもう部落民なんてものは人間の観念の中にしかない
    ・私は部落民などという存在を認めてない

    と回答して解放同盟に糾弾された例があります(1967年1月27日付と2月4日付の『毎日新聞』朝刊の人生相談欄「悩みのコーナー」)。

    返信
  2. junshi

    まさにパネルのAさんそのもの!

    三重県の津市や伊賀市にも、このような異常で異様な人権パネルありそうですね。

    返信
  3. 第三者

    んー。何だか面倒くさい方々ですな。
    みんな本音では関わりになりたくないけど、言うこと聞かないと厄介なことになって仕事が増えるから、講演させてあめ玉しゃぶらせているんでしょう。
    あと上川さんのまばたきの多さが気になりました。
    まばたきについてググってみるといろいろ出てきますね。

    返信
  4. 匿名

    部落差別は駄目だけど無くなっては困る!という彼らの矛盾が凝縮されていますね…
    こんな異様な世界がまだ残っていることに愕然とします。

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  5. 匿名

    マイクロ・アグレッション

    よく知りもしない相手の、心に引っ掛かりそうな事を予知して、物言いを加減しろ、ということ?

    そんなの妖怪の「さとり」でも無理じゃない?

    そんな明確に、相手のコンプレックスや内心の痛いところを見透かせたら、ユリゲラーも三船千鶴子も裸足で逃げ出すレベルの超能力者だろ(笑)

    返信
  6. 匿名

    自分の部下から相談があって、部落出身だと打ち明けられたことがある。
    なんか活動してんの?と聞くと、母親からその手の団体には参加するなと言われていたのでずっと避けていますと言っていました。
    俺はまったく気にしないが解同のやり方は好きではないと言うと、そういうのをご存知なんですね、と言って涙ぐんでいました。
    それから色々と面白い話も聞かせてくれたけど、現在は一般の地区に家買って家族4人で普通に暮らしています。
    こういう生き方でいいのではないかと思いますが、こういうのをあっち側の人たちはよく思わないのですかね・・・

    返信
  7. ひー

     動画の削除要請についてご留意頂ければ幸いです。
     というのも、会の主催が公共団体であれば、講演の著作権は無いという訳ではないからです。
     字数が多くて申し訳ないのですが、原則として(ご承知かも知れませんが)、著作権法第10条第一項に「講演」が著作物である旨が規定されています。一方、宮部さんが言及する第40条第二項は、著作権が及ばない例外規定として「国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人において行われた公開の(政治上の(第40条柱書))演説又は陳述」を挙げているだけです。この典型例は証人喚問時の参考人の陳述です。
     つまり、公共機関が主催する公開の場での講演でも、政治上の講演でない限り、学術学会で行った発表と同様に著作権が発生し、複製権(複製されない権利)や公衆送信権(公衆に向けて送信されない権利)が自動的に発生することになります。なので、主催が公共団体だからと言って一律に配信フリーという訳ではないと思います。

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  8. 武士の出

    まるで今の韓国人みたい。
    ウンザリする。
    同化して分からなくなるより、目立って被害者になりたいみたい。
    被害者ビジネスでしかない。

    返信
  9. ヒロティ

    (上川氏)自己の自己執着を、他者へも自己執着にかかわれ、との願望症。(川口氏)相変わらずの詭弁論法。じゃあ、差別はいつ、出現した(?)文系・理系を分ける根拠は(?)。洗脳家。そうやって、上九一色村は、荒らされた。
     両者、執拗に“ない”ものを“ある”ことにする。目下の、ロシア指導者が、当該国のネオナチの存在、虐殺を戦闘の理由立てにするようなもの。“かかわってほしい”の心情は、京都久世の老婆の恨めしい発声に見い出せる。
     (上川氏)“一生、自分の肩にのしかかってくる”のは、誰のせいでもない、他ならぬ、あなた自身がさせること。目の前の、現下の辛さ(があるとすれば)をわざわざ、将来へひきずらせようとしているのは、あなた自身。周囲の者が、差別は存在しないと言っても、どうしても、差別の二文字の刻印を消したくない、それがなければ、自己存在も肯定できなければ、周囲の誰も、振り向いてくれない、執着してくれない。だから、その(妄想の)差別や恣意的な心の闇からは、いつまでも解放されない。
     英語表現にもある。It doesn’t matter(関係ない)It’s not my business(私には関係ない)。matterでもなく、businessでもない。occur(発生する)はない、まさに、cause(ひき起こす)しかない。

    返信
  10. 末代まで責められるマジョリティ

    マイクロアグレッションなる造語が、
    メディア上でも見かけるようになってきましたね。
    21世紀の朝田理論とでも呼びたくなるような
    この主張を無批判受け入れるメディアは、
    異論を差別にすり替えて封殺される危険性に
    晒されていることにたいして無自覚すぎて怖いです。

    返信
  11. 匿名

    解放さん「部落差別ヤメロヤメロヤメロヤメロー!!!同和教育浸透させろキエー(癇癪)!」
    主さん「手伝うよ!」
    解放さん「差別じゃねえかおい訴えるぞゴラ」
    解放さんの友達「そんなの関係ねぇ!」
    解放さん「それも差別だヤメロオマエ」
    パンドラボックス:(

    それと主さん、上川さんと住んでる区同じでマッポンで検索したらまあまあ近かったです笑

    #7f1b68f99f715da1d73c5eef582adeae

    返信
  12. 末代まで責められるマジョリティ

    宮部様
    昨年くらいから福岡のシンポジウムなどで見かけるようになりました。
    西日本新聞も無批判に報道していて、暗澹たる気持ちです。
    先日は地元FM局のPodcastにも取り上げられています。
    https://lovefm.co.jp/culture_view/blogs/podcast
    福岡を拠点に書籍の出版・編集を行う里山社より2月に刊行された書籍「〈寝た子〉なんているの?ー見えづらい部落差別と私の日常」を題材に、2週にわたって“部落”のことを考えてみる特集をお届けします。
    「〈寝た子〉なんているの?」の著者・上川多実さんは関西の被差別部落のご出身であり、解放運動をする両親とともに東京の部落ではない町で生まれ育ちました。家では日々不条理な部落差別の現実が身近に聞こえてきては自身の将来に言い知れぬ不安を抱いていた著者。しかし誰かにそのことを打ち明けたくても、学校の友人たちは部落の存在すら知らず、学校の先生には部落差別はもう無いと断言されてしまう。日々異なる認識の板挟みで引き裂かれ、混乱しながらも、自分なりの部落差別との向き合い方を探っていきます。やがて2児のシングルマザーになった彼女は、自身の子どもやママ友に対してどのように部落のことを伝えるのか——。
    番組では著者の上川多実さん、そして里山社代表の清田麻衣子さんをゲストにお迎えしてお話を伺います。
    #b2507fc5780eab929aa0860daac76b59

    返信
  13. 末代まで責められるマジョリティ

    宮部様
    コメントへのレス、ありがとうございました。
    後編もアップされたみたいですね。
    以下に紹介のコピペを貼っておきます。
    先週に続き、書籍「〈寝た子〉なんているの?ー見えづらい部落差別と私の日常」を題材に、“部落”のことを考えてみる特集の後編をお届けします。前編に続き、ゲストは著者の上川多実さんと里山社代表の清田麻衣子さんです。
    番組前半では、上川さんがご自身のお子さんやママ友に対してどのように部落のことを伝えたか。その対話とリアクションから見えてくる変化の可能性について考えます。そして後半には、書籍のタイトルにもかかわる「寝た子を起こすな」の考え方について。部落の問題に取り組む際に必ず直面するこの発想で、問題は本当に解決し得るのか?マイクロアグレッションやマジョリティ特権といったキーワードも交えながら考えます。そして今回、部落のイシューを番組で取り上げるにあたって製作陣も直面した困難なども実例としながら、今後どのようにして部落のことも対話可能なイシューとしていけるのか、そして部落以外の問題にも共通する「差別の構造」を私たちはどのように乗り越えられるかなどについて触れていきます。
    #b2507fc5780eab929aa0860daac76b59

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