【熱海市土石流】“元所有者 ”天野二三男氏インタビュー(前編)

カテゴリー: 熱海土石流 | タグ: , , | 投稿日: | 投稿者:
By 三品純

「私の責任にしないと行政問題が発覚するから役所は、恐れているんだ」。昨年発生した熱海市土石流の起点となる盛り土工事を行った元不動産会社代表、自由同和会神奈川県本部前会長の天野二三男氏がインタビューに応じこう訴えた。現在、行政や議会による検証が続くが原因究明は難航している。天野氏が同和団体幹部という背景から県や熱海市が開発行為について“忖度 ”した可能性も排除できない。一方で天野氏のみに責任を問うのも無理がある。そこで同氏を直撃してタブーなく語ってもらった。

天野氏「同和系列の議会答弁は知らなかった」

「こちらも検証を続けているので年明けにお会いしましょう」

昨年末、天野氏との電話連絡の中で取材を約束してもらい今回、実現した。「取材の前に示現舎という組織体を知りたい」という天野氏。とりあえず会社方針や編集方針などを合わせて説明した。特に同和問題になるとメディアは報じない、という説明に天野氏は反応した。

「それはものすごくあるね。今回の事故も政治が絡むから新聞社の政治部長や文春も書けないといってきた。だいたい解放同盟あたりの不祥事はメディアが受けない。そういうこと(同和取材)をやっているのはたいしたものだ。事実なら書けばいいんだよ。オレも人権問題をやっているけど同和なんていくつかの項目のうちケツの方だ。自分ができる人権運動をすればいいんだよ。同和団体なんて解散すればいいというのが僕の持論だ」

弊社の取材活動についてはある程度、理解を示してもらったようだ。「同和」について印象的なのは、土石流発生後、熱海市議会建設公営企業委員会(2007年8月7日)の「新幹線ビルディングそのものがですね、同和系列の会社でございまして」という水道温泉課長の答弁は広く知られた。むしろ同議事録の存在によって本件が同和絡みだと印象付いた。

昨年、『デイリー新潮』(8月20日)は下請け業者の話として天野氏の

「大丈夫だよ。俺は同和だから。静岡県や熱海市は何も言わねえよ。俺の言いなりだから」

との過去発言を報じた。行政側が同和の“圧 ”に無抵抗なのはご存知の通り。同和を交渉材料にしていたのか? この点について尋ねてみると

「そういうことを作れば、面白いよな記事は。それが面白半分でやられたら困る。印象を作ってしまう。実際に今、難波喬司副知事が仕組んでいるんだから。アイツを許さないよ」

と反論した。

現在、弁護士も交え反論する資料作りを作成中という。また妙なことに先の2007年の同和系列答弁について「知らなかった」という。議事録では当時、熱海市は旧新幹線ビルディングに対して是正指導を行ったとしているが、通知文なども受け取っていないそうだ。この部分も天野氏と熱海市の主張が食い違う。

熱海市は百条委員会を設置し、天野氏を招致する予定。強い調査権限を持つ百条委員会だが、行政・議会ともに同和への忌避意識は強い。とはいえ違法な開発について“同和の看板 ”がどこまで作用したのかは現状、百条委員会での解明を待つとする。

そして話は熱海市伊豆山の造成工事について。今回は限られた時間ということもあり、熱海市との間にあった覚書と崩落地点の開発事情の2点に絞って質問させてもらった。

「開発協力覚書」は存在したのか?

熱海市伊豆山への不法投棄問題。原因解明にはまず静岡県の特殊性を理解しておく必要がある。富士市内の関係業者によれば

「山間部が多いから東京や神奈川から来る業者の絶好の投棄スポット」

と断言するが、それならば山梨県や長野県という可能性もありえるはずだが?

「山梨や長野は交通の便が悪く遠い。東京、神奈川から富士市までなら一日二往復できます。富士宮市だと行き過ぎ。熱海? 山林が多いし距離的にも最適の場所ですよ」

つまり東京・神奈川の業者にとって最も都合がいいのが富士市や熱海市ということだ。

実は天野氏が土地を所有以前から伊豆山は“投棄スポット ”と化していた。静岡県警の家宅捜索先は10社を超えるが、投棄運搬に多数の業者が関与したことを示していないか? ひいては原因の特定、真相究明を困難にしている一因でもある。

ー伊豆山の土地についてもともとの話になりますが、河野こうの(仮名)という人物にお心当たりはありますか? 天野さんが所有される以前から河野さんが投棄をしていたという話がありましてね。

河野、知ってるよ。

ーご存知で?

2週間ぐらい前に会ったから。アイツとは金で揉めてるからさ。詳しいことは勘弁してよ。

ーへえ、会ったんですか? どんな方でしょう。

ダンプ屋だ。いいこと教えてくれたね。そういえば会った時にワケ分からないことをいい出したんだ。“天野さんよぉ20年以上前にあそこ(伊豆山)にはゴミを運んだ業者がいたんだ。そのオヤジはもう死んだけどなぁ”ってそんなことをいっていたよ。場所は分からないけど(天野氏が)土地を買う前のことなんだ。そりゃあの土地を買った時はゴミだらけで不法投棄禁止という看板が設置されていたり、赤い車が捨ててあった。ここはゴミだらけだよ。

ーそれから以前もお聞きしましたが、千場せんば(仮名)という人物も残土投棄に関与したと聞いております。また造成工事の内情を知りメディアも関心が高いようですが、まだ表に出ていません。どんな人物か教えてください。

御殿場のN(西がつく苗字らしい)という残土ブローカーみたいなのがオレのところに来て“ 天野さんの土地(伊豆山)は穴ぼこだらけらしいから工事を任せてもらえないか”と頼んできた。話を聞いてみると、Nが“私、源田実げんだみのる先生(故人・元参議員議員)の秘書官をやっていたんです ”と自己紹介した。本来ならそれが何なの? で断る話なんだけどね。ところが源田先生が参議員議員時代に小田原で講演された。その時に(天野氏が)司会をやったんだよ。源田先生に“キミ、頑張ってるな ”と声をかけてもらって親しみがあったの。だから無下にもできなくて、そしてNが連れてきたのが千場なんだよ。

ー千場さんと連絡がとれるんですか。

とれるわけないだろ。トンズラこいたんだから。

ーこの人物が造成工事をしている時に残土権のチケットを業者に売っていたという話を聞きました。この点についてはご存知でしたか。

ウチはチケットを発行した覚えはない。

ー天野さんがやったという意味ではなくて千場さんがですよ。

やったんでしょうよ。(工事を)任せたんだから。実行行為者はあくまで千場。うちはいいですか? この場所を千場に貸したんだから。何をやったのか分からないよ。伊豆山の工事は小田原の業者に声をかけたけど“ あんなところ行かねえよ。やだよ。大渋滞でしかも坂道だからガソリン代も食うから”って断られたの。というところに千場がやって来たから任せたというのが実態だよ。

ーそういえば以前、お話した時に千場さんは、沼尾さん(勝男氏、トランスファー代表)の紹介だと勘違いを申し上げてすみませんでした。

そうだよ。沼尾は関係ないから。沼尾が伊豆山に行く時は是正を求められた時だけ。一度、もめて離れたけど平成25年頃にウチに戻ってきたんだ。“ 千葉で大赤字を被った。もう一度、社長(天野氏)のところで働かせてくれ”といってきたよ。それでトランスファーごとウチの社員になった。代表取締役を娘婿にしてその男はうち(新幹線ビルディング)の総務課長になった。だから名義会社という位置付けだね。トランスファーは建設免許を持っているからそれで工事の申請をさせている。そのせいでいろいろなところで名前が出るんだな。

ーありがとうございます。次に「覚書」についてお聞きします。県が公開した文書の一つ、平成15年(2003年)2月25日の上申書があります。熱海市・内田滋市長(当時)と前所有者(天野氏以前)の間で「当該土地において開発を計画するときは、可能な限り協力する」との覚書が交わされたとあります。ここには「当該土地が第3者に売却された場合にも承継される」と明記されていますが、天野さんはこの覚書を所有されていますか。

これ(上申書)ウチが出したの? 平成15年だろ。ヨソから出てるんだべ? ウチじゃないよ。

ーそんなはずは。確かに天野さん側から出た上申書だと思いますが。

ウチじゃないよ。これはFさん一族から出たものじゃないか。まあどっちでもいいや。オレが出そうが出そまいが。核心部分じゃないだろ。

ーいえ。この覚書によって行政側の対応が後手になった可能性がありますので。

Fさんの時代の契約書なら引き継いでいるよ。探したらコピーをあげてもいい。だけどFさんの時代の契約書ならあるけども、覚書なんてないよ。

ー確認ですが覚書はない?

(一読して)。分かったよ。これがウチが出した上申書だ。次の文で分かるんだ。いいか。「以後、道路築造のため熱海土木事務所、熱海市役所と16回を越える風致地区内行為の許可申請について協議し許可に基づいた工事を施工してまいりました」とある。「隣接する」に続く黒塗り部分はFさんということになるね。それから債務者であるの次は箕輪不動産だな。ミノワ、ミノワというコマーシャルをやって有名なところだよ。

ー箕輪不動産が交わした「覚書」を承継していませんか。第3者に売却された場合にも承継されるという一文がありますが。

箕輪不動産に(覚書が)あれば引き継ぐけど。分からないよ。

ー最初に造成工事を行ったジィーズという会社が承継したという可能性はありますか。

箕輪不動産に対して市が何らかの文書を発行しているんであればジィーズに引き継がれた可能性がある。でもジィーズなんてもう紙切れ一枚残っていないからね。

ー上申書にもありますが、民有地に水道管が通っているという話はこれまでも報道でありましたね。

民有地に熱海市の水道管が通っていること自体がおかしいから。そこは役所と話をした。こういう権利の状態はよくないよ、と。道を作るからそこで移管し合ったら肩身の狭い思いをしなくて済むだろうって。ゴルフ場(熱海ゴルフ場)までの道をつけてそこから先は(行政が)買収しろってね。これなら伊豆山の住民は熱海の混雑渋滞を通ることもなく伊豆山高山から函南あたりに抜けるまで10分ぐらいになるから、と説明したんだ。ウチが道路さえ移管してしまえば開発に対して軽減措置になる。ウチはそれを狙ったんだよ。

ー確認しますが。覚書は持っていないと。

ないよ。なくたってオレは構わない。何が出ようとオレが知ってる限りだ。アナタがいいたいのは覚書があったから優遇されたといいたいんでしょう。そりゃ優遇措置もあるでしょうよ。怖いだとか、同和だからじゃないよ。優遇するかしないかは役所の勝手。全く関係ない。

ー報道で知りましたが、百条委員会にも出席されると聞きましたが?

バンバンいく。喜んでいくよ。最高の発表の機会じゃん。

ーそれからもう一点。崩落個所の手前部分の土地についてです。この地点に盛り土があったら土石流が拡大した可能性があります。それで行政側の説明は「開発したと“ 聞いている”」という具合で曖昧です。手前個所は造成開発されましたか。

ウチは触ってないね。工事はしていないよ。

伊豆山開発をめぐり造成工事→是正指導が繰り返され、行政の対応が鈍った裏には「覚書」の存在が影響したのではないか。そう考え天野氏に確認してみたが、所有していないということだ。また崩落個所の手前も造成工事を行ってないとの見解だ。この点、行政側の説明とやや食い違うが、ともかく天野氏の認識を確認した。

続編は自由同和会、そしてメガソーラーに関する天野氏の疑問に迫る。

三品純 について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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【熱海市土石流】“元所有者 ”天野二三男氏インタビュー(前編)」への4件のフィードバック

  1. 匿名

    会話の主体がうまくつかめませんので今後は文頭に括弧付きで
    (三)(示)(○○:取材対象)
    などと発言者を明記して下さい。

    返信

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