【夏の特別読み物】国連で展開される自己都合的論理――「琉球先住民族」論は情報兵器だ!

By Jun mishina
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国連が特定の政治活動家の独壇場になってはいないか。特に沖縄をめぐっては1990年代からロビー活動が行われ、「日本政府は先住民族である沖縄人に同化政策を強いてきた」などと主張してきた。こうした見解はマスコミや左派政党によって広められる一方、異論を唱える沖縄県民の声は十分に報じられていない。こうした状況を受け、第19回会期派遣沖縄県地方議員団は8月12日に記者会見を開き、一連の国連活動が抱える問題点を訴えた。(写真=米ニューヨークの国連本部)

1990年代から沖縄の活動家が国連に進出

国連は1982年に「先住民作業部会(WGIP)」を設置。ここが、国家代表だけでなく先住民族団体や支援NGOが国際的に主張する主要な場となる。日本関係では、アイヌ民族の代表が1980年代から国連活動を進め、その経験や支援ネットワークが、後の沖縄・琉球関係者の参加にもつながったという。

1988年には部落解放同盟の呼びかけで国際人権NGO「IMADR(反差別国際運動)」が設立。差別や人権差別や人権侵害の撤廃を求め、国連などで活動を展開してきた侵害の撤廃を国連などで活動を展開してきた。

アイヌ、沖縄、部落問題、朝鮮学校問題など様々な活動家が国連で「差別」「人権侵害」と訴える。それをマスコミが追従して報道する構造だ。

沖縄に関する動向について、経済学者の松島泰勝氏、1996年に琉球先住民族として初めて国連人権小委員会の先住民作業部会に参加した述べている。また近年、注目されたのは2015年9月、当時の翁長雄志沖縄県知事が国連人権理事会で辺野古問題について発言したことだ。

先住民族派の発言者は国連で日本への同化政策によって、琉球人としてのアイデンティティを否定されたというのが定番の主張。日本政府に対して「琉球・沖縄の人々を先住民族として正式に認めるべきだ」と要求し続けてきた。

このような一部先住民族派の活動に反論を試みる動きがある。

2026年7月13~17日に国連ジュネーブで開催された「先住民族の権利に関する専門家機構(EMRIP)」に対抗する立場の沖縄県内の保守グループや国際歴史論戦研究所(杉原誠四郎会長)らが参加した。8月12日には宜保安孝・豊見城市議会議員を団長とする派遣団が那覇市内で記者会見を開催。国連参加の活動報告を行った。

政治課題を先住民族で説明する

民族総合独立研究学会のスピーチ。

会見では一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム・仲村覚理事長が民族総合独立研究学会の活動家が国連でどのような発信をしているのか紹介した。英語によるスピーチの和訳を以下に掲載する。

私たち日本の先住民族には、単なる逸話や物語を語っている時間はありません。研究草案への情勢の盛り込み、および最終版に追加すべき2つの提言に関して述べます。まず、10ページの第42段落において、新米軍基地の建設に反対票を投じた沖縄の住民投票に関する文言を追加することを提言します。次に、提言7に関して、諸施策には十分な財源が措置され、先住民族とのパートナーシップのもとで策定・実施されるべきである、という旨の文言を盛り込むことを要請します。最近、日本政府は軍事基地由来の物質によって汚染された私たちの水を浄化するための資金拠出を撤回しました。私たちは、先住民族の厳しい窮状を含めた研究報告が人権理事会へ提出されることを期待しています。私たちには、自分たちの水環境を含む清潔で健康的な環境を享受する権利があり、また、新たな米軍基地を容認するかどうかを決定する民族自決権があります。最後に、加盟国に対し軍事的緊張を緩和するよう強く求めます。東アジア全域の先住民族は、紛争前夜のような情勢の中で暮らしているのです。

軍事基地由来の物質によって汚染された水というがこれは今、新しい左翼活動のテーマになったPFAS(ピーファス)のことだ。2023年、宜野湾ちゅら水会の照屋正史氏が国連「先住民族の権利に関する専門家機構」で米軍基地周辺のPFAS汚染を訴えた。

これらの問題を「琉球先住民族に対する植民地支配」や「先住民族の主権侵害」というストーリーにして、国連の先住民族関連機関で主張している。

そもそもPFAS汚染の問題と、沖縄県民が先住民族と定義する主張は全く別問題である。あらゆる政治課題を全て「先住民族」の問題へとすり替えるのが、ロビー団体の常套手段だ。

こうした手法について仲村氏は5つの認知戦テクニックと分析している。

もはや外交戦争の兵器だ!

記者会見配布資料より。

第一のテクニックは「カテゴリの転換」である。

沖縄には、米軍基地の集中、PFASによる水質汚染、辺野古の埋立て、観光開発、先島諸島の避難計画など、個別に検証すべき政策課題がある。

ところが先住民族派の国連発言では、これらが通常の環境、公衆衛生、安全保障、土地利用の問題としてではなく、「琉球先住民族に対する植民地支配」や「構造的暴力」として説明される。

たとえば、PFASへの行政対応が不十分であれば、それは単なる行政上の不備ではなく、「先住民族として認められていないために救済を拒否された」と解釈されるのだ。

第二のテクニックは、「正常化と連帯」である。

先住民族派の発言者は、沖縄をハワイ、パプア、カナックなど、先住民族や脱植民地化の問題を抱える地域と並べ、「海洋民族」としての連帯を表明している。

国境を越えた連帯自体は、市民運動として珍しいものではない。だが仲村氏は、異なる歴史的・法的背景を持つ地域を同列に並べることで、「沖縄も脱植民地化されるべき地域である」という認識が自然なものとして受け入れられていくとみる。

ここで留意すべきなのは、植民地支配を受けた地域の一覧に沖縄を繰り返し加えることで、「沖縄=植民地」という前提が刷り込まれる点である

第三のテクニックは、「被害者性の独占」である。

沖縄は地上戦によって甚大な被害を受け、戦後も広大な米軍基地を負担してきた。こうした歴史的経験は軽視できない。

しかし仲村氏は、その被害が特定の政治イデオロギーに正当性を持たせるために利用されていると訴える。

先住民族派が自らを「日本と米国によって抑圧されてきた琉球人の代表」と位置づければ、その主張に反対する人は、単なる政策上の異論者ではなく、「被害者の声を否定する者」や「植民地支配を擁護する者」として扱われかねない。

この構図では、誰が沖縄を代表しているのか、主張の根拠は正しいのかという問いを出すこと自体が、被害者への攻撃とみなされる。

第四のテクニックは、「専門用語の再定義」である。

同じ出来事でも、どの言葉を使うかによって受け手の印象は大きく変わる。

米軍基地を「軍事施設」と呼ぶのか、「占領」と呼ぶのか。日本への編入を「琉球処分」と呼ぶのか、「植民地化」と呼ぶのか。有事の住民避難を「避難計画」と呼ぶのか、「祖先の土地からの強制的な切断」と呼ぶのか。

先住民族派の国連発言では、「植民地化」「軍事化」「強制」「構造的暴力」「主権侵害」といった国際人権法上の強い意味を持つ言葉が用いられる。

第五のテクニックは、「制度への埋め込み」である。

国連で一度発言しただけなら、それは一つの団体による意見にすぎない。ところが、その意見がEMRIPの研究文書や勧告に取り入れられ、人権理事会へ送られ、特別報告者や継続的な報告制度の設置につながれば、意味が変わってくる。

民間団体の主張が、国連機関による制度的な問題認識へと変化するからである。

先住民族派は、軍事化が人権に及ぼす影響を扱う特別報告者の設置や、国連による継続的な関与、先住民族が特別報告者を直接招請できる仕組みなどを要求している。

仲村氏は、これを活動家の主張を国際制度の中に定着させ、日本政府に対する恒常的な監視と圧力の仕組みを構築するものだと警鐘を鳴らす。

人権団体には自らの立場から国連で発言する自由がある。しかし、限定された団体の見解を沖縄県民全体の総意として提示したり、争われている歴史的・法的前提を確定事実として扱ったりする場合には、代表範囲と根拠を明示する責任がある。

ところがそうした論証抜きに認知戦テクニックを駆使して国連に訴えかける。活動家による「外交戦争」と化しており、これらの手法はもはや日本を揺さぶる〝情報兵器〟といっても過言ではない。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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