学校法人岐阜朝鮮学園(休校中)が、岐阜、大垣、羽島の3市に同一の領収書を提出し、補助金を重複申請していた問題。学園側は「事務処理上のミス」と説明するが、単なるミスとは思えない。過去には総連映画製作所からの物品購入に補助を出したケースもあり、自治体の甘い対応が際立つのだ。教育上の配慮というよりも行政が朝鮮学校を腫れ物のように扱ってきた結果と言ってもいいだろう。(写真=岐阜朝鮮学園玄関)
岐阜県と愛知県は朝鮮学校天国

岐阜朝鮮学園への補助金問題については以前から問題点を指摘してきた。
岐南町、笠松町は通学者がゼロなのに補助金を交付し続けてきたのだが、背景には平成元年に学園側と覚書が交わされており慣例化して支払いが続いたのだ。税金の使途が十分に検証されてこなかったことを示す証左である。
むしろ同校への補助金は教育上の配慮というよりも〝なし崩し的〟に行われたものだろう。
【岐阜朝鮮学園】岐南町&笠松町内の通学者ゼロなのに補助金支給は平成元年の協議から慣行化
そして同学園による補助金の3重申請が発覚したのだ。


産経新聞によると、岐阜朝鮮学園は教材費などに関する同一の領収書を、岐阜、大垣、羽島の3市に提出した実績報告書でそれぞれ使用していた。その結果、3市から交付された補助金の合計額が、学園が実際に支出した事業費を上回る状態になっていたという。
このうち羽島市は、補助金の交付額が事業費を超過しており、不適切な支出に当たると判断した。市は年間4万9500円、2年度分で計9万9000円の返還を求め、学園側は5月12日に納付した。
学園側は市に対し、「悪意はなく、事務処理上のミスだった」と説明したという。
しかし、単なる事務処理上のミスとして済ませてよい問題だろうか。
補助金は、対象となる事業に実際に要した経費を基に交付される公金である。同一の支出を複数の自治体に重複して報告すれば、申請者の実際の負担額を超えて補助金を受け取ることになりかねない。
今回の重複申請が判明したのは、地元市議らが羽島、岐阜、大垣の3市に提出された関係書類を入手し、その内容を照合したことが大きい。
裏返せば、自治体間で申請書類を突き合わせなければ、同一の領収書が複数の補助金申請に使われていることを見抜くのは難しいということだ。各市はそれぞれ提出書類を審査していたはずだが、少なくとも自治体をまたいだ重複申請を防ぐ仕組みは機能していなかった。
さらに、補助金関係書類には朝鮮語で記載された領収書も含まれていた。
外国語の領収書を提出すること自体が、直ちに問題というわけではない。問題は、市の担当者がその内容を正確に確認できる日本語訳を入手し、支出先や品目、補助事業との関連性を十分に検証していたのかという点である。
手書きの領収書について、誰が翻訳し、どのような方法で原本との整合性を確認したのか。申請者側から日本語の説明資料が提出されていたとしても、その内容を行政が独自に検証していなければ、実質的な審査とは言い難い。
北朝鮮のプロパガンダ団体に支出する羽島市

3市のうち唯一、補助金の返還を求めた羽島市だが、以前から不可解な支出があったのだ。2018年1月24日付で提出された領収書には総連映画製作所に5000円とあった。
品名には「제50차 재일조선학생중앙예술경연대회 우수작품발표모임」とあり一見では何の商品か分からない。
日本語に訳すと第50回 在日朝鮮学生中央芸術競演大会・優秀作品発表会だ。果たして補助金に資する内容なのか疑問だが、それ以前になぜ総連映画製作所への支払いが認められるのか不思議でならない。
総連映画製作所は、朝鮮総連の活動、朝鮮学校、在日朝鮮人社会などを取材し、映画や記録映像を制作してきた。公式説明でも、総連の活動と在日同胞の生活を描く作品を制作し、北朝鮮の映画や映像作品も紹介するとしている。現在は動画サイト「エルファテレビ」を運営し、独自取材映像に加えて、北朝鮮の朝鮮中央テレビ、映画、ドラマ、音楽公演などを配信する総連の映像事業部門だ。
主に「北朝鮮との友好、祖国統一、金日成体制への肯定的描写朝鮮学校と「民族教育」の意義」「在日朝鮮人が受けた差別や植民地支配の歴史」「朝鮮総連の活動や祖国への貢献」「日本社会や日本政府に対する批判」などをテーマにしてきた。
朝鮮総連というよりも北朝鮮のプロパガンダ団体といった存在だ。敵意をむき出しにする北朝鮮のプロパガンダ機関に〝ハイ、喜んで〟と支出してしまうのはおかしい。しかも先述した通り、朝鮮語表記だが、一体どのように精査しているのか謎だ。
朝鮮語を解する職員がいるのか。近年なら領収書をスキャンして画像データをAIにかけて翻訳もできるが、市職員がそこまで精査するとは到底思えない。
朝鮮語の領収書をどのように確認したのか、総連映画製作所への支出を補助対象と判断した理由は何か、結果として朝鮮総連系組織を利することにならないか――。こうした点を羽島市に質問した。
「岐阜県が岐阜朝鮮学園を学校法人として認定していることを踏まえ、羽島市補助金交付規則及び岐阜朝鮮学園に対する補助金交付要綱に基づき事務を行っております」(原文ママ)
回答になっていないし、市側から問題意識が伝わらない。
もっとも補助金の申請手続きで関連書類が朝鮮語表記というのは他自治体でもあることだという。東海地方は朝鮮学園への補助が手厚いが、特に愛知県は手厚い。春日井市のケースをみてみよう。
令和7年分は101万2500円を支給したが、一自治体としてはかなり高額な部類だ。



提出された領収書の多くが朝鮮語で記載された。一部は日本語もあるのに、なぜ日本の行政に提出する書類に朝鮮語が必要なのか。つまり日本語で記載することも可能なはずなのに、あえて朝鮮語を用いる意図は何か。それを当然のように受け取る春日井市の態度も疑問である。
同市総務課はこう説明する。
「学校側から補助金等交付申請及び補助事業等実績報告において、事業計画書や収支予算書、収支決算書、領収等の写し等を提出されていますが、ハングル表記ではなく日本語表記が主となっています。領収書等の写し等で一部ハングル表記がありますが、その内容を保管する形で①のとおり日本語での資料提供もありますので、特段、法令に違反する点は無いものと考えています」(原文ママ)
その上で今後も朝鮮学校への補助金を継続するとした。
朝鮮総連とは無関係じゃなかったの?
今回、岐阜朝鮮学園の取材で一つはっきりしたことがある。それは朝鮮総連との関係だ。朝鮮学校への補助金問題、あるいは無償化に関して紛糾し、法廷闘争にも発展した。また朝鮮学校側は過去、文部科学省の審査に対し、朝鮮総連から教育内容について指導を受けていないと説明したものだ。
筆者が過去に学校を訪問し、コメントを求めた際、学校長は不在という回答だった。一方、産経新聞が朝鮮学校に問い合わせたところ「朝鮮総連愛知県本部に尋ねてほしい」との回答があり、愛知県本部は「担当者が不在で分からない」と答えたという。
まるで朝鮮総連愛知県本部が運営責任者のようである。朝鮮学園は朝鮮総連の影響下にあると認めたようなものだ。
岐阜朝鮮学園内の展示物を見ても一目瞭然である。

展示物にはこう書かれている。
총련결성 70돐을 열렬히 축하합니다!!
「朝鮮総連結成70周年を熱烈に祝賀します!!」
補助金を支給していた自治体の職員は定期的に同校を視察していたというが、朝鮮総連を賛美したスローガンを確認していなかったのか。それとも容認したのだろうか。
現在、岐阜朝鮮学園は休校状態にあり、再開の目途は立っていない。だが同一の領収書が3市への実績報告に使われ、交付額が実際の事業費を上回った事実は重い。問われているのは学園側の説明だけではない。
長年にわたって補助金を交付しながら、自治体間で申請内容を照合せず、支出先や外国語領収書の内容をどこまで検証してきたのか。追及はまだ必要だ。



