8月に福岡県が道路整備事業で必要な土地を適正価格の5倍で地権者から買収していた問題は大きく報じられた。その地権者とは部落解放同盟福岡県連の原伸一副委員長。『全国部落調査』の原告の一人である。こうした背景から県が原氏に忖度したのは明白だ。昨年、買収中に原氏ら福岡県連は県側と部落問題に関する団体交渉を行っていたという。交渉内容を追ってみると…。
毎日新聞が放ったスクープ記事

同和対策特別措置法が終了しておよそ四半世紀。それでも県庁側が部落解放同盟の役員に過剰な配慮をするのは同和行政の根深さを物語るだろう。また配慮、忖度という点ではマスコミも同様で解放同盟の主張をそのまま報じるものだ。しかし毎日新聞が8月13日に「福岡県、適正価格の5倍で土地買収 地権者の団体幹部にそんたくか」と報じたのを皮切りに連続で詳細を報じた。
記事によれば昨年10月16日に福岡県土整備事務所と交渉し、事業補償として430万円が提示されたが地権者側が拒否。また12月5日に578万円に増額されたがこれも拒否。同月25日、2165万円に増額した結果、承諾を得た。今年4月に契約し6月に売買が終了。県側は増額のため委託業者に希望単価を示し、土地評価をさせたことも判明。行政らしい狡猾さが際立つ。
記事では実名こそ伏せられたが団体幹部とは部落解放同盟福岡県連副委員長と報じた。幹部は弊社の『全国部落調査』裁判の原告の一人、原伸一氏のことだ。また同氏にインタビューを行い「「価格をつり上げた認識はなく、誤解されるのは迷惑だ。解放運動の社会的信用を失墜させるような行為はできないので、自分の立場はおくびにも出していない。増額に影響はないはずだ」というコメントを引き出した。
このことはマスコミの最後の矜持、良心として記憶しておこう。
また記事で興味深いのは土地買収の交渉中に原氏ら部落解放同盟福岡県連が県側と団体交渉していたという点だ。どのような内容であったのか福岡県に情報公開請求してみた。
住宅の老朽化に対して「特例」を要求
公開文書は8月に申請し、延長期間を経て今月入手した。「2024年部落解放同盟福岡県連合会との話し合いまとめ」との表題の概要版と議事録が公開された。議題は10項目。同和行政、解放運動が関連する項目は「5 公営住宅の老朽化について」「6 外郭団体に対する研修について」「7 宅建業者への部落差別メールについて」「8 入札制度等について」の4つ。このうち6と8は団体にとって直接的な利益になるから重要だ。





会合はこんな開会挨拶で始まった。
ご多忙のところ本日の交渉に臨んでいただき敬意を申しあげる。いずれの部も老朽化の問題が喫緊の問題である。県内の市町村は1/2負担でこれらの老朽化問題に対応できるかというとできない。小泉総理の前には、地方交付税が22〜23兆円あった。今は16兆5千億円程度。地方交付税が削減されたため、県内の市町村は非正規雇用で日常の行政に対応せざるを得なくなっている。どう国に対して復元を迫っていくか。それを抜きにしてこの老朽化問題の解決はできない。同和地区の劣悪な環境を見ることによって、もともと持っている偏見が増大し差別意識が増大する。この問題の解決のためには何としても劣悪な環境を改善しなくてはならないということで、1969年に特別措置法が制定され今日に至る。一般対策に移行したが残された課題、これらの劣悪なものについては引き続き事業を推進せねばならない。そのためには一般対策に創意工夫を凝らす必要がある。皆さんたちこれらの劣悪な老朽化の問題についてどれほど創意工夫と知恵を出してきたのかということが問われる。国にどれだけ迫ってきたかということも問われる。今喫緊の課題は老朽化の問題。この問題の解決なくして部落問題の解決はあり得ないというようにしっかりとらえていただきたい。今日の環境セクション交渉が実のあるものになるように、私たちも頑張るので皆さんも最大の努力をしていただくことを要請する。
老朽化とは公共施設や市営住宅のことだろう。劣悪な環境によって差別意識が増大するというが、福岡県連の顔と言える人物が県内屈指の資産家で大臣まで務めた。「同和地区の劣悪な環境」とはどの地域を指すのか教えてほしいものだ。
同特法下で莫大な予算をかけて公共施設や住宅整備を行ったが、老朽化すれば今度はそれが差別を助長するという。これではまるで〝永久機関〟のような理屈で永遠に同和事業を継続しなくてはならない。次いで県連側が挨拶した。
予算がないのに自治体に知恵を出せと言っても難しい。小泉内閣の改革で自治体が疲弊している。自治体が知恵を出しても具体的な財政支援がなければうまくできない。非常に大きな問題として国に対して要望がある。また、●●の住宅の問題については長年やってきている。何らかの特例措置として考えていく必要がある。県が一定程度の助成を行うことで●●の負担を軽減する。それによって家賃が高くなるのを防ぐ。部落差別をなくすのに必要。観念は実態の反映である。幕藩時代、士農工商穢多非人という身分制度があったが、部落の人々は百姓町人が住みづらいところ、急傾斜地や遊水(湧水?)地帯などに住んでいた。部落が圧倒的多数の農民等のしずめ石として使われていた。明治以降も産業が発展する中で、労働者の賃金を低く抑えるためのしずめ石として使われていた。これが部落の実態である。まだまだ厳しい人民分断、人民相克の流れがある。このことをしっかり考えてほしい。部落の環境というのはあまりよくない。友人知人を家に呼べるような環境にしなければならない。更なる努力が必要。2000年の人権啓発推進法、2016年の部落差別解消推進法、県の条例。これは部落差別をなくすために国、地方公共団体がどうするかということが明確にある。県はもう一度実態調査をしなければならないと思う。国がやったのは意識調査だけ、意識というのは実態の反映。実態がよくなるためにはまず環境がよくなって、教育をしっかり受けさせて、安定した仕事につける。私生活を充実させる。そして部落の人たちも一生懸命努力する。そういうことが行われなければ差別をなくすことができない。自分が受けたようなつらい思いを後輩たちにさせてはいけないという思いで私は頑張ってきた。ぜひ、今日の交渉で一歩でも二歩でも前進するよう誠意をもって回答していただくよう強く要請する。
そして協議に移るのだが、最も強い要求だったのが、住宅の老朽化問題だ。
【建築都市部案件】
●●(県連側)
●●の住宅について、住宅が老朽化してどうにもならない。建替えると家賃が高くなる。県が補助をして家賃を軽減するべきだ。●●の住宅建替えを要求して十年になるが、展望も見えない。県としても特例措置として財政支援をするべきだ。(高良住宅計画課長)
ご指摘いただいた市町村営住宅の老朽化問題について、県としても非常に重要な問題だと認識している。市町村営住宅の建替え、環境改善を計画的に進めていくためには国による制度改正がなされることがまずは重要であると考えている。従って県としては国に対して、国費率の嵩上げ、修繕費用についての交付対象化、地方債への交付税措置等の制度の拡充について要望を行っているところ。国からは財政負担を軽減するモデル的な事業の実施について、「国としても地元・地方公共団体と一緒に、地区を選定し、地区の課題を抽出・整理した上で、その解決策を検討していきたい。」という趣旨の回答を得たところ。県としては、国の実施状況を注視しつつ、その状況を県連とも情報共有させて頂きたいと思っている。昨年、●●の話があったが、事業が進むように少人数で話し合いをする場について、県連とも、開催についてご相談させて頂いているところ。このようなことを通じて、市町村営住宅の建替えについて促進していきたいと考えている。●●(県連側)
これは十年来の懸案事項。どこかで解決しないといけない。十年前からいくらか県が積み立てる等していれば金もたまっているはず。国への要望は我々もやっている。国はなかなか考えていないだろう。国は1/2、残りの1/2の1/2を特例として県がいくらか持つのかどうかだ。県がいくらかバックアップすれば●●も踏み出せる。何度も言うが、意識を変えると言っても環境が変わらないとだめだ。これを放置していたら部落差別を助長することになる。なぜ県として知恵を出さないのか。これは重要な問題なのでいったん協議してもらいたい。~休憩(10分間)~
(永山建築都市部長)
先ほど委員長の方から特例措置という提言があった。住宅をはじめ施設の老朽化対策は県としての大きな課題となっていると思っている。住宅のほか様々な施設があり、建築都市部を含め様々な関係部局と共通の課題であると認識している。建築都市部単独で特例措置について、「できる」「できない」ということを今この場でお答えするのは難しいので、どのようなことが行えるかということを、住宅を含め全体を取りまとめている人権・同和対策局とも協議、相談しながら、県連ともご相談させていただきながら検討してまいりたい。●●(県連側)
今は●●の問題に絞ってやっている。だから特例と言っている。そこだけでもまずやるということ。最初から全体に広げるのは無理というのはわかっている。まず自分のところの担当の住宅、特に●●の問題について、もう一度回答をお願いする。(永山建築都市部長)
●●の●●の住宅等で具体的な検討をしてはどうかということだが、これについては昨年度の話し合いの場でも県連の方から提言をいただいた。少人数の関係者で集まり話し合いを行って、どのようなことができるかを検討する場を設けるということで、それに向けて、県、●●、県連、地元の地区協議会を入れて話し合いの場をできないかということを県連と継続して相談させていただいているところ。具体的にいつ、どのようなことができるかというようなところまでは至っていないが、引き続きどのようなことができるか検討してまいりたい。●●(県連側)
小委員会はよいが、問題は財源。県として案をもって小委員会に臨まなければどうしようもない。総務部と話はしているか。(永山建築都市部長)
していない。●●(県連側)
していないならばだめだ。およそいくらになるか、そういうことを総務部と話し合って小委員会にのぞむのであればよいが。そうでなければ何回やっても意味がない。前進した案をもって小委員会にのぞむのか、それだけ教えてくれ。(永山建築都市部長)
財源をどうするかということは一つの部で判断できることではない。本日いただいた提言を総務部とも共有して、何ができるかということを検討させていただきたい。●●(県連側)
小委員会はまだ開いていないので、財政問題も含めて考え方を明らかにしていかないとこの問題は前に進まない。●●だけの問題ではない。施設の老朽化の実態調査を行い、この問題が出てきたわけだから、そのまま放置しろというのは差別である。根っこは財政問題。真剣に検討して小委員会にのぞまないといけない。強く要望する。また外郭団体の研修の問題について、建築都市部も県土整備部と同様と回答があったが、違うと思う。建築都市部は宅建協会を管轄しているのだろう。いまだに土地差別はある。インターネットでの問い合わせなど、宅建業にかかわる差別事件は後を絶たない。部落問題と土地の問題はリンクする。宅建業を所管する部としてちゃんとした認識をもたないといけない。外郭団体に対する研修についての回答の内容は県土整備部と違っていないといけない。(永山建築都市部長)
県の外郭団体、例えば、建築住宅センターや住宅供給会社などであるが、そういったところへの研修について、県土整備部と合同で行っている。一方で、宅建業の問い合わせ等の問題については、宅建協会やその他の宅建業の団体に対して、それぞれの団体の研修の場において、県の職員が出向くなどにより研修を行っている。
県の外郭団体に対しても、不動産を扱う職員もいるため、ご指摘いただいた内容を改めてきちんと伝えてまいりたい。県土整備部と同様という回答は軽率だった。お詫び申し上げる。
「何度も言うが、意識を変えると言っても環境が変わらないとだめだ。これを放置していたら部落差別を助長することになる」といった主張は行政側を屈服させる定型句と言える。県連側は住宅整備について「特例措置」を求めた。これに県側は「人権・同和対策局とも協議、相談」と応じたのもこの協議のポイントだ。つまり単なる住宅整備事業ではないことを物語っている。
オーガニック要望?鈴木宣弘氏講演の影響か
県連側は県土整備部に対して同和問題以外でも要望を行ったが、特に目を引いたのは「農林水産部案件」だった。県連側はこう訴えるのだ。
農事組合が頑張って収益が上がっている。種子法の関係がアメリカのせいで、おかしくなってきている。インドでは多くの国民がいるが年間10万人が自殺している。これはアメリカの種子の企業が特許を持っているから、今年買った種籾は、毎年、買わなければいけない。そして私の田んぼから●●の田んぼに種が飛んで行っているのを見つけたら、種子法違反で裁判に負けて金で払う。だから自殺して金をもらって払う、ととんでもないことを考えている。そういうなかでも福岡県は頑張っているが、さらにしっかりと頑張ってほしい。遺伝子組み換えについては、アメリカの農家の約8割はキングコーンという遺伝子組み換えで3倍とれる品種を作っている。これを飼料として食べた動物の肉を食べた子どもが、アトピー、小児喘息になる場合が多いと。日本にも入っている恐れあり、危ないのではないかと心配している。この問題は、農林水産だけでなく保健衛生を含めて、県民の健康を守る、そういうものがはびこらないようにしなければならない。また、ヌードチキンなど、処理が面倒なので毛がないものをアメリカ、そして中国も作っているけど、解体したらわからなくなるから危ない。またキングサーモン、3倍のサーモンがとれる、という恐ろしい時代になっている。
食料だけでなく、福島の原発の汚染水、処理水というものも安全なら堂々と流せばいいじゃないかと、これも注意が必要。気仙沼の桟橋が富山湾で見つかった、そういう状況がある。河川の環境、木曽川だと思うが、漁民と沿岸住民が協力して河川浄化に取り組んでいる。札幌のニシンが獲れなくなっている。森の開発によりエサになるようなプランクトンがいなくなっているからという説がある。漁民と下流、中流、上流の河川沿いの住民がタイアップして河川の環境を考えていかなければならない時期に来ていると思うが、考えをお示しいただきたい。
(水田農業振興課、林課長)
種子法廃止にとどまらない、本県では農林水産業・農山漁村振興条例、米・麦・大豆種子の安定供給に関する基本要綱に基づいて、種子の生産と安定供給の事業に取り組んでいる。引き続き、農業者の皆様が安心して生産に取り組んでいただけるよう、優良種子の安定供給に努めてまいる。
遺伝子組み換え作物については、食品の安全性として食品衛生法、食品安全基本法に基づき、国の食品安全委員会で安全性を評価し、問題のないものについて販売を認めているということで、国の審査が肝要と考えている。県は国の動向を注視するとともに、農林水産部としては、県産農産物を生産拡大・基盤強化に取り組み、安全な食料と農産物の供給に努めていきたい。
まるで参政党や消費者団体のような要望である。インドで10万人が自殺しているのもアメリカの種苗会社が特許を持っていることが原因だという。これはインドの環境運動家、ヴァンダナ・シヴァ氏の主張を踏襲したものだろう。
「主要農作物種子法」(種子法)への批判については過去、『解放新聞』でも取り上げられたが、県土整備部との交渉ではそれよりさらに踏み込んだ主張だ。いわゆるオーガニック系の消費者団体の主張と酷似する。
県連と県土整備部の団体交渉に先立つこと同年5月のこと。佐賀市で開催された「部落解放・人権確立第43回全九州研究集会」で参政党のブレーン的存在、東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授の鈴木宣弘氏が「タネと食と命と人権」と題した講演を行った。
鈴木氏が主張してきた改正種苗法の反対派、無農薬有機栽培の推奨、反TPPなど部落解放同盟が加盟する「平和フォーラム」の取り組みと一致している。この年の解放研で学んだことを運動方針に取り込んだのか。あるいは今後、新しい取り組みとして「農業問題」を重視していくのか。解放運動の中心地である福岡県連の主張が全国的に広まっていくのか注目に値する。




商売するなら同和になろう!!
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赤村出身をウリにした演歌歌手がいましたね
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土地買収で1700万以上の公金をむしり取る一方で、費用捻出に行政が苦慮していることを知っていながら公共施設や市営住宅の老朽化を差別に置き換えて威圧するのはえげつない。
人権プロへの金銭的支出も多額だが、行政が対応している事務コストも大きいですね。
これからもこういった交渉事は表に出し続けてほしいです。
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こんなことやっているから、いつまでも童話差別がなくならないんだよ!
この記事、実に興味深いね。福岡県、部落解放同盟、三者択一かよ。土地を5倍で買収するのと、同和行政の特例措置を要求するの、どっちがコラボだと?老朽化した住宅の特例、种苗法の問題、まるでオーガニック農業のセミナーに参加したかのようだ。鈴木宣弘氏の影響か、解放同盟も環境問題に目覚めたのか?まあ、行政側は「国と相談」でいつもの一貫策かな。まさに現代の「永遠機関」問題だ。quay random
この記事、面白すぎるじゃない!福岡県、部落解放同盟、三者択一かよ。土地を5倍で買収するのと、同和行政の特例措置を要求するの、どっちがコラボだと?老朽化した住宅の特例、種子法の問題、まるでオーガニック農業のセミナーに参加したかのようだ。鈴木宣弘氏の影響か、解放同盟も環境問題に目覚めたのか?まあ、行政側は「】。đếm ngược online