2年目の 熱海土石流 進まぬ 裁判・遅れる 宅地復旧「9割補助」に 戸惑う被災者

カテゴリー: 熱海土石流 | タグ: | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

今日で発災2年目を迎えた熱海市土石流。結論からいえば遺族・被災者支援、原因究明は進んでいないのが現状だ。尾根の谷間の扇状地に宅地が広がる独自の地形という事情があるとしても対応が後手なのは否めない。特に市が掲げる被災宅地復旧補助金「9割補助」をめぐり被災者、専門家からも疑問視されている。問題点を追った!

自然災害なのか 人災だったのか?

発災から2年経つが発生原因をめぐって専門家、行政の間で論議が続く。復興計画についても住民からの不満が募る。もし成果というものがあるとすれば熱海土石流によって盛り土・産業廃棄物投棄、あるいはメガソーラーの乱立が注目されたことか。盛り土については各地で規制強化が進む。

そのきっかけとなったのが熱海だった。

不幸なことに他の災害と比較しても特異な点がある。やはり前所有者・天野二三男氏、現所有者・麦島善光氏という一筋縄ではいかない人物が関係していることだ。静岡県・熱海市が適正な指導をして早期に盛り土を対処していれば防ぐことができた災害なのは明らか。

自然環境、地形、そして傾斜地に密集した宅地という背景に「人間関係」という要素が加わった災害だとも言える。熱海市役所付近の宅地は麦島善光氏、万葉俱楽部創業者・高橋弘氏、村山憲三市議名義の土地が隣接する。高橋氏は発災現場の伊豆山出身者で同市にホテルを所有。村山市議は高橋氏と懇意で両氏のツーショット写真は村山氏のブログに掲載されている。

熱海の名士3人が隣り合って土地を所有。

もちろん土石流とは無関係の土地だが、関係人物が不思議とつながるのが熱海だった。「人災」の可能性もある上、人間関係も検証を複雑にしている。

2021年、遺族・被災者は前・現所有者を提訴したが、原告からは主要人物である天野氏、麦島氏も高齢者で裁判の継続が可能なのか、といった声が漏れてきた。この辺りが人間関係の要素と評した点だが、被害者の会にとっても重要な問題だ。

発生原因の解明以上に遺族・被災者にとっては「補償」という現実的な問題がある。どこまで前現所有者の責任能力を問えるのかという懸念は当然だ。一方、熱海市が提示した被災者救済案に対して疑問、批判が殺到している。この問題は他地域の住民にとっても“ 我が事”として考えてもらいたい。

対象家屋の ハードルが高い 支援制度

6月23、24日、熱海市が開催した被災者への説明会で怒りの声が木霊する。表題の「9割補助」に対してのことだ。正確には「被災宅地復旧補助金」という制度で、被害にあった宅地の復旧工事費用の9割を補助するという。当初、熱海市は被災家屋を買い取って、造成後に分譲する方針だった。だが土地の確保で難航し「必要とする宅地の30%しか取得できなかった」(市関係者)と計画は頓挫。そこで9割補助という方法に変更した。

そもそも被災者にすれば逆に1割でも負担しなければならないのか? こういう疑問が生じるのは当然のこと。しかも制度を検証してみると、異常にハードルが高い制度なのが判明した。

尾根にまるで家屋やホテルのシールを貼り付けたような独特の景観を持つ熱海。特に伊豆山地区は斜面の擁壁に立つ家屋が散見される。こうした住宅事情が制度の利用の障害になってしまう。伊豆山開発でも「擁壁」の設置が問題になったが、復旧でも「擁壁」がキーワードとなる。

復旧工事に詳しい専門家は制度の問題点を挙げるが、対象者が極めて限定的になりそうなのだ。

「例えば建設物の一部に見なされる擁壁は対象外です。あるいは擁壁を活かした地下式駐車場などでも対象外ですね。この場合、被災者自身が擁壁を自費で建設した上でということになります」

擁壁のイメージ。このタイプも対象外だ。
二重擁壁。そもそも技術基準を満たしていない。

あるいは擁壁を活用した「地下駐車場」も同様に対象外。これは熱海に限らず全国各地に存在するだろう。土地を有効活用するための地下駐車場だから熱海にもよく見かけたタイプだ。

擁壁が全て崩壊しゼロからの建設でも9割補助の対象になるのか不透明な点が多い。仮に擁壁の一部が破損した場合でも同様に面倒な事態になるかもしれない。

熱海土石流によって宅地造成に伴う土砂崩れなどを防ぐため今年5月から宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)が施行された。同法では擁壁の基準も強化されたが、仮に損壊箇所が一部だったとしても現在の基準を満たしていない場合、擁壁そのものを撤去する必要が出てくる。もちろん撤去費用も本人負担なのだ。

こんなケースも考えられる。被災家屋の隣に未整備の擁壁が残地され復旧工事に支障が出た場合だ。この際は、被災者自らが交渉して擁壁の撤去を求めなければならない。というよりも宅地復旧で隣人と交渉や合意形成が必要な場合、基本的には「被災者本人」というのが熱海市の9割補助なのだ。

それも専門家らが調べた結果、複雑な制度ということが判明したに過ぎない。それでも市側からは『伊豆山復興まちづくり通信』(6月)で通知されたのみ。これでは突然、説明会が紛糾するのも無理はない。なぜ熱海市は「9割補助」を選択したのか? 一つには東日本大地震の被災県の一つ、宮城県内の自治体が「9割補助」で成果を上げたので踏襲したものと思われる。

もともと9割補助は東北のような集団移転を余儀なくされた住宅街の被災者向け制度だ。ご承知の通り、東日本大震災は津波の発生で住宅街が「損壊」ではなく「壊滅」になった。

このため新たに基盤整備から始める被災地に適しており、熱海のような集団移転を伴わないケースで効果的なのか疑問が残る。

この通り津波によって壊滅した東北の被災地と熱海市とでは被災、損壊状況も違う。どうも熱海市の9割補助プランは見切り発車した印象がある。

先に挙げた熱海市説明会の参加者はこう証言するが、それは拙速さを象徴するかのようだ。

「擁壁工事や家屋の建築になった場合、業者に心あたりがないという被災者の意見に対して市は“熱海市役所が紹介する ”と言ったんです。これはマズい発言でコンプライアンス違反の可能性もあります。なぜなら紹介した業者からのキックバックが疑われるでしょ。そういう意図で発言したとは思いませんが不用意発言でしたね」

つまり説明会を開くにあたっても想定問答が十分ではなかったかもしれない。それ以前に9割補助という計画が性急すぎて職員も理解が追い付いてない可能性も高い。

熱海土石流によって盛り土や宅地造成の規制が強化され、長らくタブー視された盛り土への厳しい目が向けられるようになった。しかし現状の復旧策では伊豆山の犠牲者、被災者は盛り土規制の“ 人身御供”に終わってしまうだろう。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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2年目の 熱海土石流 進まぬ 裁判・遅れる 宅地復旧「9割補助」に 戸惑う被災者」への4件のフィードバック

  1. 匿名

    さすが三品さんその三人の相関図見事にあばいてますね。
    M市議はこの前の選挙で見事落選。
    伊豆山の例のT市議は参戦しないで何処か湯河原あたりにいるらしいです。(被災した伊豆山の人は皆怒ってますからね被災原告団の先頭と思っていた人なのに)その写真の土地は以前熱海に有った大きな反社I会が持っていた土地(昔は旅館噂では賭場)だったと思いますよ。M市議の評判熱海市民に聞いたら開口一番誰でも?市議っていいますよ。
    #47448335fe182cc7a9541db1dcee5d1d

    返信
    1. Jun mishina 投稿作成者

      ありがとうございます!
      地元の方ですか?よろしければ情報交換をさせていただきたいのでご連絡いただければ

      返信
  2. 匿名

    返信ありがとうございます。
    あの場所は?あの人は?などの質問なら
    わかる範囲でお答えは致します。
    人から聞いた確証の無い物ばかりでお役に立てないと思いますが。
    メール頂ければわかる質問は返答致します。
    宜しくお願い致します。
    #47448335fe182cc7a9541db1dcee5d1d

    返信
  3. 匿名

    守備範囲を超えて、熱海の復興についても深堀りされているのは何故?

    タイトル前半の「進まぬ裁判」についてのレポートも期待しています。
    何が裁判を遅らせているのか、三品様がどこまで真相に迫れるのかに注目いたします。

    #a545d1a8287214e5817a39ed6d017415

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