維新旋風、自民の自滅? どちらにしても 二階さんは やっぱり政界の ドンだった!

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By Jun mishina

奈良県知事選は大阪府以外で初の維新公認知事が誕生。大阪W選では維新が圧勝、府議選・市議選でも単独過半数を獲得した。関西では圧倒的に強い維新、対して自民党は「自滅」の印象だ。各地で与野党の泣き笑いが伝わるが自民党・二階俊博元幹事長の存在感が際立つのだ。二階さん、やはりアナタは政界のドンだった!

多選の 荒井奈良県 前知事を 抑えきれず

昨日13日、2025年大阪・関西万博の起工式が開催され岸田首相、岡田直樹万博相、西村康稔経済産業相ら政府要人他、吉村洋文大阪府知事、そして自民党・二階俊博衆院議員が出席。なぜここに二階氏が? そう感じる人も多いだろう。「2025年大阪万博博覧会を実現する国会議員連盟」の会長として万博開催に尽力してきたからだ。

統一地方選後半、衆院補選(4)と参院補選(1)を控える中で岸田首相と吉村府知事が起工式に立つ。見方によってはまるで“ 維新プロモーション”のようだ。

しかし二階氏にすれば念願の万博さえ達成できれば維新、自民も無関係。なにしろ奈良県知事選では県連、そして高市早苗県連会長が推す平木省氏を封じたのも二階氏の黒幕説が囁かれる。確かに二階氏と荒井前知事は昵懇の仲。二階氏が2015年に開催した大訪中団に奈良県日中友好協会名誉会長の荒井氏も参加していた。

平木陣営の恨み節はむしろその他、党幹部に向けられた。一人は【統一地方選特集】奈良知事選 自民分裂の裏で 安堵町“同和のドン ”は 現職支持に回った!で指摘した森山裕選対委員長。県連には平木氏の公認を約束しながら、荒井氏に向けては激励するという二枚舌だ。

「奈良県知事選については茂木敏充幹事長もおかしい。党内の維新びいきの一人ですが、知事選の投開票の開始して間もなく側近たちが“ 山下(現知事)が勝った”と触れ回っていましたね」

ところが二階氏の場合、こうした露骨なエピソードが出てこない。そうした巧みさは和歌山補選でも発揮されている。

高取町兵庫地区のメガソーラー。荒井前知事の責任も大きいので別途レポートします。

15ポイント先行する 門氏は選挙区で初勝利?

大阪府内では維新圧勝、奈良は維新公認の知事が誕生。隣接する和歌山県にも維新の勢いは近づいている。

和歌山衆院1区補選(23日)は維新の風か、自民の底力が試されるだろう。

維新は昨年の市議補選でトップ当選した林佑美氏を擁立し、自民候補の門氏に挑む。昨年、自民党県連が実施した補選に関する世論調査は門氏と維新候補はほぼ拮抗。

ところが「現在のところ15ポイント差で門氏がリードしています」(党関係者)と話す。

門氏といえば衆院時代も選挙区で当選したことがない。要するに選挙が弱い。

加えて過去、中川郁子衆院議員との“路チュー”を写真付きで報じられた他、二階氏に補選公認のおねだり音声を報じられるなどスキャンダル多数。このため「創価学会婦人部からは反発が強い」などマイナス要素が目立つ。

しかしここに来て門氏優勢との声が伝わる。県内でオール支援体制が構築された。それは霞が関人脈にも飛び火したようだ。同時期には「財務省関係者からも岸本氏へ門支持を依頼した」という情報が入った。岸本知事は旧大蔵省、財務省OB。

真偽はともかく旧大蔵省人脈が動いたのは確かである。

4月10日、和歌山城付近にて。二階氏との二連ポスター。

昨年、二階派を退会した片山さつき参院議員が4月10日、和歌山入りし門氏の応援演説に立った。

地元関係者が片山氏に声をかけたという。

「門氏よりも片山さんの方が元気でしたよ。“ 門さんの応援よろしくお願いします。私も岸本(知事)さんに(門氏を応援するよう)直接電話したの”と話してました。それよりも“私はTwitterのフォロワーが25万人(29.3万人)もいるのよ ”とえらくご機嫌でしたよ」

片山氏にとって岸本知事は旧大蔵省時代の先輩。こうした縁で直接電話をしたようだ。

面白いもので電話の依頼は証言だけではなく、片山氏の場合は本人が公にしている。

同日のTwitterで岸本氏へ「直電」で門氏支持を依頼したことを公にした。財務省関係者から岸本知事への要請はまんざらでもないような…。では官僚を動かせるとすれば「あのお方」以外に考えられない。

対して岸本知事の本音は自身の県知事選で奔走した鶴保庸介参院議員を推したい。しか補選候補争いに鶴保氏は敗北。鶴保氏には義理がある岸本知事だが、ここで自民党の意向に反した場合、県政運営の障害となる。

しかも門氏を支持といっても実際に形で示さなければならない。要するに票を出せ、ということだ。

そこで衆院時代の岸本知事を支えた通称「岸本党」にはかることになる。

4月12日、アバローム紀の国で岸本周平後援会の会合が開かれた。この施設名、過去記事にも登場する。自民党の候補選定で使用された。そんな場所で後援会会員らと今後の対応を協議しようというわけだ。

岸本知事は支援者たちにこう呼びかけたという。

「昨日の敵(門氏)は今日の友だ、と門支援に理解を求めました」(参加者)

これには2つの意味がある。岸本知事と門氏は2012年の総選挙以来、和歌山1区を争ってきた。両者の間に遺恨があるのは当然のこと。しかし自民の方針に従わざるをえない。

そのため「昨日の敵と表現したのは門陣営に対すささやかな抵抗」(岸本知事支援者)というのも頷ける。

そしてもう一点、これで補選は俄然、門氏有利になった。というのは維新の基礎票は岸本後援会=岸本党だ。もちろん後援会全体が門支持に従うわけではないだろうが、にしても少なからず岸本党票は門氏に流れるだろう。

こうなると風だけでは維新も立ち行かない。

二階氏の意向よりも 目立つ鶴保氏の失策

それにしてもよくできた話だ。昨年、大きく報じられた門氏の二階氏への公認おねだり音声の流出問題。門氏が側近市議を伴い二階氏に補選の公認を依頼した際に、同市議が二階氏と会話を録音した。それが外部に漏れ週刊誌ネタになったのだ。

【和歌山 衆院補選】門博文「公認おねだり音声」流出で 見えたドン二階の 落日

当初から二階氏は補選候補を門氏に選定する意向だった。ところが音声流出で門氏の公認は白紙と思われた。そこで参院議員から衆院へ鞍替えを狙う鶴保氏との補選公認争いが勃発。

門氏、鶴保氏の選定をめぐって県連が割れる。門氏には県連幹部の世耕弘成、石田真敏両氏がついた。とはいえ門氏には音声流出という大失態がつく。

それでも鶴保有利にならなかったのは理由がある。昨年の記事に戻ってみよう。

【政局】仁義なき 和歌山県知事選 小谷氏擁立はドン 二階&世耕の 大芝居だった!

昨年8月12日、知事選候補をめぐり二階氏、世耕氏、石田氏が都内で会合を開いた。当時、岸本氏か青森県庁総務部長の小谷知也氏の名前が挙がった。

実はそこで鶴保氏は3氏から不信感を持たれたのだ。

「岸本氏は懇意にしている評論家・寺島実郎氏と二連ポスターを作製していました。それが自民党の掲示板や県連に貼りだされたのです。まるで知事候補は岸本氏、だと言わんばかりにです」(党関係者)

寺島氏は左派のオアシス、清涼剤的番組『サンデーモーニング』(TBS)の常連コメンテーター。まさか自身のポスターが自民党の政争に使われているとは思うまい。あるいは自民党から支援を受け大阪府知事選を戦った谷口真由美氏も同番組コメンテーター。反体制でウリにするサンモニ出演者が自民党の政局に絡むとは妙なものだ。

話は脱線したが、この通りスタンドプレーが目立つのが鶴保氏。

対して門氏の場合、二階氏、世耕氏という有力者に絶妙な距離感を保ち公認を得た。

俳優、杉良太郎氏が激励に。

門事務所に俳優の杉良太郎氏が激励に訪れた。事務所によれば「二階先生と杉さんがお付き合いがあり、そのご縁で門も親しくさせて頂いております」と説明する。

どうあれ二階氏人脈には違いない。しかしTwitterに投稿された写真には世耕氏の為書きがひと際目立つ。もちろん世耕氏への配慮とみる他ない。

自身の後援会幹部を 維新候補陣営に送る

4月11日、和歌山駅前の決起集会。

4月11日、和歌山駅前で門氏の出陣式が開催された。和歌山選出の衆参両院議員、岸本知事、和歌山市長、オール和歌山という陣容である。大阪府知事選で自主支援、奈良県知事選で自民が分裂を意識してか世耕氏が「和歌山は一つ」を強調。また門氏は2012年、自民党が政権奪回をした際、故・安倍元首相が掲げたスローガン「日本を取り戻す」を街頭演説で採用した。安倍氏を意識した演出も安倍派の領袖、世耕氏を意識したのだろう。

世耕氏、門氏と反目する鶴保氏が同じ舞台で応援演説に立つ。屈辱的に違いない。それぞれの思惑の中で鶴保氏の動向はなぜか漏れてくる。

今回、門氏を当選させてはもう自身の衆院鞍替えの可能性は閉ざされる。そこで鶴保氏、自身の後援会幹部N氏を維新の林陣営に送り込んだ。現在、N氏は林氏後援会会長代理という肩書で活動中だ。

実はこのN氏、和歌山・奈良ではちょっとした有名人。「地元ラジオ番組のパーソナリティや政治活動に関わる人物。ローカルタレントといった存在ですね」(地元住民)。

この手の人物はえてして毀誉褒貶が激しいもの。同氏をよく知る地元記者は「毀と褒」部分を強調した。

「市議選にも出馬したS氏という筋の良くない実業家がいたんです。臓器斡旋や怪しい民間医療を行っていましたね。とある元市長の子息の病気に独自療法を勧めたところ、気の毒なことに子息は失明。元市長が激怒してS氏の弾劾文書を配布したのです。そのS氏の『後援会幹事長』だったのがN氏」

奇怪なエピソードだが、これだから紀伊半島案件はやめられない。

そこでN氏に事実関係について確認したところあっさり鶴保後援会幹部であることを認めた。

「ええ、確かに私は鶴保さんの後援会役員ですよ。今回はね、門さんではダメだということで林さんを応援しています」

大阪では無敵の維新だが和歌山では組織力が脆弱。そこで選挙ノウハウを持つN氏を派遣した。

明らかに敵に塩を送る、利敵行為だ。しかし鶴保氏にすればやむを得ないのだろう。今回の補選で門氏が当選した場合、今後衆院への鞍替えは閉ざされてしまう。

N氏派遣で維新の林候補を当選させて、新1区となる次期総選挙で自身が出馬し維新候補を倒すというシナリオを描いた。ところが肝心の盟友、岸本知事が

「昨日の敵(門氏)は今日の友だ」

こう白旗を挙げた。林氏支援で次は自分(鶴保氏)という青写真も見事に散った。

やはりこれまでのスタンドプレーがむしろ首を絞めた格好だ。逆に「強い者になびく」というシンプルな対人スキルを発揮した門氏には処世術すら学んだ思いである。

それに反して二階氏の老獪さだけを痛感した。奈良県知事選、補選についても二階氏には「黒幕説」「暗躍説」が飛び交うが具体的にそれを示す痕跡は残さない。

それでいて録音流出という大失態を犯した子飼いの門氏をしっかり補選候補に導いたのである。しかも維新旋風の中、どうにか和歌山補選については自民がリードしている。

「老い」「落日」これまで様々な表現を用いて二階氏の影響力低下を疑ったが、ところがこの存在感と威光はまだ絶大だ。やはり二階氏には政界のドンの称号が相応しいか。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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