「究明し修正をしてやっていくべきだと思いますが、自民党はビクともしないよ」。8月24日、都内で開催された講演会で自民党・二階俊博元幹事長が統一教会問題についてふれこんな強気発言。統一教会で揺れる党内にあって泰然とした様子だ。二階氏が動じないのは「複数メディアが二階氏と統一教会の関係を調べても何も出てこなかった」(政治記者)という内情があるかもしれない。地元、世界統一平和家庭連合・勝共連合関係者を調べると二階氏ではなく“子飼い ”の名が浮上しただけだった。
世界統一平和家庭連合奈良県本部が通常業務へ
7月8日の安倍元首相暗殺から2か月が経とうとしている。事件現場、近鉄西大寺駅近くの世界統一平和家庭連合奈良県教会は、関係者によれば昨日から通常業務に戻った。マスコミの取材攻勢などで混乱したというが教会に連絡してみても応じる気配はない。なにしろテレビの情報バラエティ、ワイドショーではいまだに統一教会報道が活発。平素は韓国贔屓のはずのマスコミが韓国の暗部をフォーカスするのは社会的な関心が高く視聴率も好調ということだろう。もちろん自民党への風当たりは強い。
そんな逆風の中でも二階氏は
「電報を打ってくれって言われりゃ打つんですよ。応援してやろうと言ってくれたら、よろしくお願いしますっていうのは、もうこれは合言葉ですよ」
とそれはもう清々しいほどだ。多くの自民党議員が戦々恐々としている中で二階氏が強気なのは一つに統一教会について親韓議員ながら“シロ ”という点が大きい。
「二階先生はそんなもの(統一教会)に協力してもらう必要がないんですよ(笑)」(周辺)
端的だが実に説得力ある言葉だ。しかし和歌山県のドン、二階氏の威光も明らかに陰りを見せている。次期和歌山県知事選(11月27日投開票)に出馬表明した岸本周平前衆議員議員は、二階氏の“推し候補 ”だ。二階氏と岸本氏はウマがあいかつては二階派特別会員として迎えることも囁かれた。加えて長らく和歌山一区の議席を岸本氏が守り続けたため、岸本氏に知事の花を持たせ自民党候補に一区を譲る、という目論見だ。もちろん二階氏側近の門博文前衆議員議員にとって岸本氏は長年の宿敵だが、知事に収まってほしい。
逆に「岸本知事」となると二階派の発言権が増大する。そこで自民党県連の反二階グループが青森県総務部長の小谷知也氏を知事選候補に擁立しようと調整中だ。『産経新聞』(8月31日)によれば
県議27人のうち、19人が独自候補擁立を求める連判状を県連会長の二階俊博元党幹事長宛てに提出するなど主戦論も強まっている。
と県連を二分する問題だ。党関係者はこう話す。
「明日3日、ホテル『アバローム紀の国』で自民党県連の緊急総会が開催されます。そこで知事選は『自主投票』ということになるでしょう」
勢いがある頃の二階氏ならば反対派を封じたかもしれない。二階氏にすれば統一教会ネタを突かれるよりもよほど苛立つのが小谷氏擁立だろう。
紀の川市現市長に 勝共連合役員を紹介された
「世界日報の取材を受けた」「祝電をもらった」。相次ぐ統一教会報道だが、浮上する政治家の小物感も否めない。そこで二階氏と何らかの接点があればニュースバリューは絶大。このため各メディアが躍起になったが“ 空振り”のようだ。
しかし二階氏周辺を探る中で旧統一教会、国際勝共連合人脈が連なったのは事実だ。
地元自治体議員はこう話す。
「私も統一教会関係者から接触があったのは事実です。10年以上前、現紀の川市長の岸本健氏(元民主党衆議院議員、元自民党県議)に教会関係者A氏を紹介してもらいました。メリットがないと感じ疎遠になりましたがその後、貴志川町で開催された日韓トンネルの勉強会の案内状が届いたのを覚えています」
岸本市長は自民、公明、国民民主党が推薦し今年2月に当選。二階派議員、岸本周平氏の支援を受けた首長だ。内幕については弊社記事「国民・岸本周平(衆)が 和歌山県知事選出馬表明へ二階王国再編の シナリオ」が詳しい。
国政・地方選いずれも統一教会人脈が浮上する議員は選挙で当落線上というケースが散見された。岸本市長も選挙で長らく苦戦した政治家だ。統一教会が入り込む余地は大いにある。
またA氏について地元記者は「国際勝共連合の関係資料で名前を見たことがありますよ」と耳打ちする。
同氏は国際勝共連合和歌山県本部の幹部だった。ならば二階氏との秘話を教えてくれるかもしれない。勇んでH氏に話を聞いてみた。
ーAさんはいろいろな議員を仲介していると聞きました。
誰が言ったんですか。違います。確かに岸本さんは面識がありますが、仲介だとかそういう訳ではありません。
ー門博文さんとも面識があると伺いました。
面識と言われると…。会合や集会などでご挨拶したことはあります。
ー二階元幹事長などはいかがですか。
二階さんとは一面識もありません。
他の政界関係者について認めたものの二階氏については完全に否定。A氏に限らず地元関係者からも二階ー統一教会ルートは確認できなかった。それも「二階さんに必要ない」という点に尽きるだろう。
だが仮に知事選で接戦になった場合、さすがのドンも“ 禁じ手”にすがりたくなる? なにしろ応援には「よろしくお願いしますっていうのは、もうこれは合言葉」というほど、である。
一方、仮に岸本氏を知事に送り出し仇敵がいなくなった門氏。来年4月に予定される衆院補選へ立候補の見通しだが「統一教会」「国際勝共連合」関係で追及を受ける可能性は大だ。
もっともその頃まで統一教会に対し世間やマスコミの関心が保たれているのか興味深い。
自民県連、小谷氏の擁立決定 和歌山県知事選
9/3(土) 17:58配信 産経新聞
任期満了に伴う和歌山県知事選(11月10日告示、27日投開票)を巡り、自民党和歌山県連は3日に和歌山市内で会合を開き、同県出身の青森県総務部長、小谷知也氏(43)を擁立することを決めた。近く党本部に推薦願を提出する。
小谷氏は京都大を卒業後、総務省入りし、昨年8月から現職。
知事選には、国民民主党を離党し、衆院議員(和歌山1区)も辞職した岸本周平氏(66)も立候補を表明しており、選挙戦となる見通し。
自民県連では、一部で岸本氏を支援する意見があったが、独自候補擁立論も根強く調整が難航していた。
4期目の現職、仁坂吉伸知事(71)は多選などを理由に今期限りでの引退を表明している。