これまで当サイトが追及してきた日本維新の会の寄付行為「身を切る改革」は選挙区をまたいだ相互利益の疑惑が浮上! 林隆一和歌山県議の離党処分に関わった市議の寄付先は父親(泉佐野市議)が監事を務めるNPO。さらに奇妙なことに寄付先は泉佐野市、泉南市内に集中し選挙との関連を匂わせるのだ。
寄付先に カタリバまで 登場した!
「これで疑惑は深まった!」とはマスコミ、立憲民主党議員らが“ エビデンス(根拠)”なき追及で放つ捨てゼリフ。しかし本件「身を切る改革」については“ エビデンス”があり「相互利益」そして「選挙対策」を疑いたくなる。
身を切る改革=寄付のあらましについては前回記事が詳しい。
【続報】維新 和歌山県議「離党勧告」騒動 身を切る 改革杜撰な ルールと 党略に迫る!
発端は日本維新の会和歌山県総支部の立ち上げメンバーでもある林隆一県議に対して先月、離党勧告が下されたこと。理由は期限内に寄付を実行しなかったことだ。しかし過去記事でも指摘したが同県議が寄付を履行したことは県総支部も認めたこと。
ところがまるで同県議への“離党勧告ありき”で処分が進んだように見える。林県議の反論に対して離党勧告に関わった山野麻衣子和歌山市議、中庄谷孝次郎同市議も記者団に領収証を公開。自身の正当性を訴えたが逆に公開した領収証は疑問点がある。
今回は中庄谷市議が公開した領収証を独自入手した。そもそも議員が「選挙区外」とは言え「寄付行為」を行うのは非常に危ういものだ。しかし党公認であるし、正式な手続きの上なら寄付行為自体は隠す理由はないはず。
このため中庄谷市議は自身の公式サイト上でこう紹介文を掲載している。
先頭にある「NPO法人カタリバ」は公金とNPOの関係を検証する際、浮上する団体。当サイトが追及する「日本財団」の助成を受けている。
その他は泉佐野市など大阪府内の団体が確認できた。しかしこの中に含まれていない団体があるのだ。それが「NPO法人キリンこども応援団」(泉佐野市、水取博隆代表理事)。同団体も日本財団から助成を受けている。
父親が役員の 団体に 寄付は「公益」か!?
同団体について詳細を見ていこう。中庄谷市議から30万円の寄付を受けた昨年1月27日付けの領収証がこれだ。
同団体は子供食堂、フリースクール、高校資格取得のサポートなど児童、青少年の支援を行う。活動自体は若人の未来のためにご尽力頂きたいところ。ただし「政治絡み」となると別問題だ。
キリンこども応援団の定款によると監事に「中庄谷栄孝」という人物が名を連ねる。実はこの人物は中庄谷市議の父で泉佐野市議(保守系無所属)なのだ。栄孝氏は飲食業を展開する「天国グループ」(岸和田市)の創業者でもある。地元の名士といったところだ。
キリンこども応援団は若者支援という事業の性質上、「公益性」はあるかもしれない。しかしそこに親族、それも議員が役員を務める団体に寄付というのは違和感を禁じ得ない。
中庄谷和歌山市議に確認すると
「キリンこども応援団の活動が私の政治信条に近しい活動内容であるので応援したいとの思いから寄付させて頂きました。 父が監事をしている事は事実ですが、キリンこども応援団から父へ報酬などは一切無く問題ないと考えております」
と説明した。
また同団体はこう見解を示す。
「中庄谷幸次郎氏から直接ご寄付のお申し出をいただいたもので 経緯等は分かりかねます。 監事である中庄谷栄孝氏には、監査時に確認していただいております。 しかしながら、理事・監事を含めて役員から中庄谷孝次郎氏に 寄付を申し出た事実はありません。 なお、中庄谷栄孝氏は監事を務めていただいておりますが 無報酬の役員であり、監事のため業務遂行権もございません。 そのため、当団体としては、寄付として問題はないと認識しております」
寄付と栄孝氏とは無関係であると強調した。確かに公職選挙法に抵触するわけでもない。しかし外部から「怪しい」と誤解を受けても仕方がないこと。しかも中庄谷氏は同団体が「政治信条が近い活動」としたが、しかし同種の活動を行う団体は他にもある。自身が共鳴した団体は奇遇にも父親が役員だとすれば不自然だ。
維新寄付→県外団体→地元維新支援?
いずれも問題がないという回答だが、このご時世で「政治とカネ」という問題に無頓着という気がしてならない。キリンこども応援団は「フードバンク泉佐野」の運営を泉佐野市から委託されている。同市・千代松大耕市長のブログ(昨年8月14日)で紹介された。
千代松市長は無所属からの立候補だが維新系の議員に違いない。その泉佐野市に他県の維新議員が寄付をする。確かに「選挙区外」の寄付だが、現地の維新議員に対する後方支援にならないか。
では別の例を示す。次いで福祉施設「ケアホームAQUA」(泉南市)の運営会社「AQUA株式会社」(久寶照光社長)に対する令和2年12月18日付の36万円、翌年8月21日付の76万円の領収証だ。総額112万円と高額である。
泉南市も維新が強い。全国の自治体首長で初の平成生まれで知られる山本優真市長も維新。ケアホームといった民間施設まで「公益性」に含むのは範囲を広げすぎだ。しかしそうした疑問よりも政治、選挙との関連性に注目したい。
山本市長が市議時代、2020年10月20日のFacebookは興味深い。当時は市議選の最中で街頭演説の様子を投稿した。
投稿のコメント欄をみるとAQUA株式会社・久寶照光社長が「応援してます」と投稿。支援者であることが分かる。
「身を切る改革」は自身の選挙区以外で公益性がある団体が条件という。確かにいずれの団体も「和歌山市外」には違いない。しかし寄付先は維新の選挙に関わる自治体だ。加えて寄付先代表者は維新系市長の支援者。選挙とは無関係という説明に納得できる有権者がどれほどいることか?
それに全国各地には財政難に苦しむ自治体などいくらでもあるだろう。「公益性」という意味でも選挙区外の自治体ならば寄付できよう。にも関わらずなぜ市議の父親が役員を務めるNPOや代表が維新支援者の企業が寄付先なのか。
さらに寄付先に高齢者向け施設があるのも気になる。というのは介護施設の場合、施設内で投票することも可能だからだ。“囲い込み ”とまでは言わずとも施設内では好感が持たれることだろう。投票にも少なからず影響があるかもしれない。
実は寄付という名目の「相互利益」というのが「身を切る改革」の実態ではないのか。本部側が「除名処分」を持ち出すほど厳格なのも選挙対策上、重要な取り組みだからだろう。
井上総支部代表「誤解を 生まないようにする」
何をもって「公益性」とするのか悩ましいが、寄付先を民間の福祉施設まで含めるのは行き過ぎだ。こうした疑問を井上英孝和歌山県総支部代表に質問してみた。
ー寄付先が「一般社団法人」というのは公益性の点で疑わしい面がありますが問題ないでしょうか。また中庄谷市議の寄付先は父親が役員ですが「身を切る改革」の団体に相応しいとお考えですか。
寄附先について党として公職選挙法に反しないようと指示はしておりますが、個別の寄附先について 詳細な取り決めがある訳ではありません。国会議員団も災害地が中心ではありますが、多種多様な団体へ寄附を行っております。 ただ、中庄谷議員の例はご指摘の通り、監事とは言え、他所からみると身内への利益誘導と誤解される可能性はあり、違和感は ありますので、今後、総支部として内部ルールを定めていく必要を感じますし、遺憾です。 ご指摘の「公益性」はルールとして定めておりませんが、有権者からみて誤解を生まないように総支部内規もしくはルールを 所属議員に明示し、指示してまいります。
ー中庄谷氏の寄付先の一つ「ケアホームAQUA」(泉南市)の代表者・久寶照光氏は泉南市・山本市長の支援者 です。相互利益の関係になってはいないでしょうか。
推測で問われても困りますが、問題無いと考えております。
中庄谷市議父が監事を務めるキリンこども応援団については寄付先として不適切、逆にケアホームAQUAのようなケースは問題なしとの見解だ。そうだろうか。例えば「議員が選挙区外団体に寄付→団体が地元議員を支持→地元議員が寄付議員に協力」という関係も起こりえる話。「憶測」だけとは思えないのだ。
誤解してほしくないのは寄付を行う地方議員を責めているのではないこと。むしろ厄介な制度に四苦八苦しているのではないか。維新の有力支援者もこう苦言する。
「選挙になると地方議員らも運動員とお揃いのウインドブレーカーを着て運動をします。要するに本部の意図は“お前らはコマでいい ”ということですよ。身を切る改革に不満を持つ議員がいたとしても“ ほな、辞めたらええやん”で終わりでしょう」
地方議員に対する厳しいノルマとなる「身を切る改革」には維新本部の“地方議会軽視”が透けて見える。4月の統一地方選挙以来、好調の維新だがその足元は決して盤石ではなさそうだ。
一般的な族議員にありがちな便宜供与の感もあります。
支持母体や支援者に尽くすのは間違いではありませんが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」で、非難も当然浴びるでしょうね。
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千代松泉佐野市長は、橋下徹のシンパ。古くからのシンパで、橋下氏が大阪市長時代に、「公募区長制」を導入したときに、千代松氏が区長候補者の最終面接者だった。