解放同盟三重県連委員長による 伊賀市八幡町市営住宅 駐車場収益横領疑惑

アバター By 鳥取ループ

2006年に大阪市の飛鳥地区で発覚した「飛鳥会事件」は、解放同盟飛鳥支部の小西邦彦が大阪市の市有地の駐車場の運営を委託を受けたものの収益を過少申告し、差額を横領していたというものである。

そして、それに近いことが伊賀市八幡町やはたちょうでも行われてきたことが市議会等で指摘されている。八幡町に多数ある市営住宅の駐車場の管理が地元自治会と解放同盟支部に委託され、事実上収益が両者で折半されており、うち解放同盟支部の取り分が、支部長でもある松岡克己解放同盟三重県連合会委員長個人の収入となっているのではないかという疑惑である。

八幡町は旧上野市街のすぐ近くにあり、台地状の特徴的な地形をしている。詳しくは「部落探訪(70) 三重県伊賀市八幡町」をご覧いただきたい。

件の駐車場収益の問題については、2019年6月議会以降共産党の百上ももがみ真奈まな議員から質問がされている。市議会で主に指摘されているのは、市に納めるべき市有地の使用料が極端に減額されていること、そして駐車場管理の会計報告が適切にされていないことである。特に同年の9月議会では重要な指摘がされている。

私、平成17年3月25日に八幡町自治会と部落解放同盟八幡支部とで交わされた覚書を入手いたしました。それによりますと、伊賀市との土地賃貸借契約に当たり、自治会と部落解放同盟八幡支部で駐車場管理のための管理組合を設立する。収支決算については、両者立ち会いのもとで精算し、清算後の残額は自治会、解放同盟、それぞれ2分の1の額を配分する。平成16年度の総額及び平成15年度以前の駐車場の積立額については、両者2分の1ずつとし、覚書交換後、自治会が解放同盟に支払う。このような内容です。
 この当時、駐車場収益の積立額は数千万円あったと思われます。それまでは、自治会が駐車場管理をし、駐車料金は全て自治会に入っていました。ところが、平成17年3月、当時の人権政策部長から自治会長宛てに八幡町地内駐車場に係る今後の管理運営についての協議依頼が出され、3月15日に開かれた会議で新たな組織の立ち上げが市から提案され、その10日後の3月25日に先ほどの覚書が交わされています。つまり、行政職員の提案により、自治会と解放同盟八幡支部とで構成する新たな管理組合ができ、駐車場の収益が自治会と解放同盟八幡支部に分けられる仕組みができたのです。

上がその覚書だ。一部が松岡委員長個人の収入になっていたことについては市議会では明言されていないが、これが単なる噂ではないことには根拠がある。

本件を告発する文書が出回っている。その中に銀行の振込受付書のコピーがある。上は八幡町自治会の第三銀行の口座から、解放同盟八幡支部の百五銀行の口座に2000万円を振り込んだ時のものである。この2000万円の振り込みの趣旨については後述する。

そしてこれが、駐車場の収益100万円を振り込んだ時のものである。前出の振込受付書によれば八幡町自治会と解放同盟八幡支部はそれぞれ銀行口座を持っているにもかかわらず、なぜか駐車場を運営している八幡管理組合の伊賀北部農協(現伊賀ふるさと農協)の口座から松岡委員長の第三銀行の個人口座に送金されている。

この問題が表面化したのはもっと前で、2013年10月に八幡町の一部有志が自治会の運営方法を巡って、自治会に対する提訴に踏み切った時と考えられる。その裁判記録と関係者の証言をもとに、時系列順に説明しよう。

解放同盟が「勝ち取った」駐車場収益

問題の根源は、今から約40年前の1980年頃に遡る。当時から既に八幡町内には今のような市営住宅が立ち並んでいたのだが、マイカーが普及し路上駐車が横行していたため、駐車場の確保が課題となっていた。

解放同盟八幡支部で「開発実行委員会」が立ち上げられ、解放同盟支部が上野市から市有地の無償使用の権利を得て、駐車場を運営してその収益を運動資金とする仕組みが作られた。つまり市有地からの駐車場収益は解放同盟が「勝ち取った」ものだ。その時の自治会長は上野市の市議会議員でもあった上田たかつら氏であった。

しかし、上田氏が死去すると、次の自治会長は駐車場の運営権を解放同盟支部から自治会に移した。そして、駐車場の収益は丸々八幡町自治会に入るようになった。そしてそれは、自前の自治会館の建設費用として貯蓄された。

この体制は約10年続き約4000万円の現金が自治会にプールされた。

しかし、2000年頃から再び風向きが変わり始める。もともと解放同盟支部が「勝ち取った」ものである駐車場の収益を支部と自治会で折半するように解放同盟支部が自治会側に提案したのだ。しかし、これに対して自治会は反発した。

そして2002年に同和対策の特措法が期限切れになると、従来のような土地の無償使用の状態を緩和するように市が動き始めた。

合併により伊賀市が発足した後の2005年1月から3月にかけて、伊賀市・自治会・解放同盟支部の3者で協議が行われた。そこで、次のことが合意された。

・自治会と解放同盟支部が駐車場管理のための「八幡管理組合」を設立する
・市は八幡管理組合に駐車場の用地を年間86万9000円で貸与する
・駐車場の収益から経費を差し引いた残りは自治会と解放同盟支部で折半する
・従来自治会が積み立ててきた駐車場収益の半分を解放同盟支部に支払う

そして、合意に従って2005年6月に自治会から解放同盟支部の口座に2000万円が振り込まれたのだが、これに対して一部の自治会員が猛反発した。そのため、2009年10月に2000万円が解放同盟支部から自治会に返還された。

長らく決算が市に報告されておらず、最近ようやく作られた決算書

解放同盟中央本部への告発

自治会と解放同盟支部の間だけでなく、自治会内でも対立が起きた。2013年10月に「八幡町を考える会」と名乗る有志が自治会を訴えた。

裁判記録によれば、「考える会」の要求は「2010年5月23日に行われた自治会総会決議の無効ないしは不存在の確認を求める」というものである。これは何を意味するかというと、従来自治会で重要事項を決める総会は全員参加で行われてきたが、当該総会で自治会の会則を変えて役員だけで決定するようにしたことは不当だということである。

「考える会」の不満は単に総会が行われなくなったことだけでなく、総会が行われなくなって以降、自治会費の浪費が目立つようになったということである。八幡町自治会は会費を徴収しておらず、市の各種補助金と件の駐車場収益を原資としてきたのだが、それらがおおよそ200万円強、支出もそれに合わせてきた。しかし、2010年の会則変更以降は、収入は増えてないにも関わらず、支出が900万円を超える年もあった。

その内訳は敬老会のバス旅行、慰労会や忘年会といった旅行や飲食への支出が多くを占めていた。また、市長選候補への献金が支出されているものの、領収書が存在せず、相手方の政治資金収支報告書にも記載がないという指摘がされている。

裁判はあくまで自治会の会則を巡るものなのだが、双方が金を巡って非難の応酬となった。自治会側はかつて所有していた公会堂を地区の整備のために市に売却した時の資金を含めて約6000万円の現金が自治会にあることを明らかにし、これはその金を巡っての醜い争いだということを強調した。

そして、裁判記録の中で「原告の1人が部落解放同盟中央本部に、松岡克己支部長を中傷する書面を送った」ことが触れられている。関係者によれば、この内容が松岡克己支部長が解放同盟支部に支払われた駐車場収益を横領しているという趣旨のものなのだという。

なお、裁判は2016年6月に和解で終わっている。和解内容は自治会の会則の大枠を2010年以前に戻し、総会を再開するというものである。結果だけを見れば原告の事実上の勝訴に見えるが、後述する通り自治会の貯金の浪費は止められなかった。

いずれにしても、ここで明らかなのは裁判がきっかけで駐車場収益の問題がやぶ蛇となり、なおかつ問題の存在が2015年頃に解放同盟中央本部に伝わっていたということである。

2015年の解放同盟支部の決算報告には八幡管理組合からの収入の記載がない

松岡克己支部長の独裁体制に

さて、裁判の結果自治会の総会が再開され、自治会の運営が正常化したのかと言えばそうではない。結果的に自治会の資金の浪費は止められず、6000万円ほどあった貯金はほぼなくなってしまったという。

そして、現在はなぜか渦中の人物である松岡委員長が八幡町自治会長となり、さらに行政との窓口団体として最近結成された住民自治協議会の会長を兼ねている。

八幡町地区住民自治協議会の計画書には当たり前のように「同和対策」の文言がある

現在、駐車場の収益を自治会と解放同盟支部で折半するしくみはなくなり、住民自治協議会が駐車場を運営し、経費を差し引いた金額は市に戻すようになっている。しかし、経費の部分…例えば駐車場の清掃や草刈り等の業務委託は松岡委員長が取り仕切ることになるので、駐車場の収益が解放同盟支部の「利権」になっている状態は何も変わっていないとある住民は嘆く。

実は一時期、解放同盟とは距離を置く比較的若手の人物が自治会長となったのだが、市から市営住宅の入居者リストを取得したことが情報漏えいとして問題とされその責任を取って自治会長を辞めてしまった。

その後に八幡管理組合の組合長をしていた人物が自治会長となった。なお、この人物については元暴力団員であり、小指の他複数の指がなかったとの証言がある。しかし、程なくして病死してしまった。そして、その後に松岡委員長が自治会長になったというわけだ。

よりによって疑惑の渦中の人物が自治会長になってしまうというのは不可解な話だが、こうなってしまう要因は複数ある。1つは日本全国各地で見られることではあるが、地区で高齢化が進む一方で、若者は自治会に関心がないということだ。

八幡町の特殊事情としては、解放同盟支部が行政に対しては絶大な力を持っている。実のところ、八幡町では1000人以上の住民がいる中で解放同盟員は30名程度で、なおかつ実際に活動しているのは10人もいないのではないかと言われる。しかし、市の職員など市役所と関わりのある住民は解放同盟支部に逆らうことができない。また、少数ではあるが解放同盟系の企業団体である企業連に入っている自営業者もある。

そして、何と言っても駐車場収益自体が自治会の運営を歪にしている。八幡町自治会は自治会費を徴収しておらず、事実上駐車場収益に依存してきた。さらに問題を複雑にしているのは、市営住宅の又貸しや不正入居が横行するなどして、外部から流入してきた住民がおり、そのような住民は多くの場合自治会に入らないことだ。しかし、自動車を持っていれば当然駐車場料金を支払う。

つまり、自治会の会員と、運営費を負担する人が一致していないのである。もし会員が納める自治会費で運営されていれば、自治会の資金の浪費についても住民から相当な批判が出たはずだが、自治会の歪な収支構造が余計に自治会運営への批判を出にくくしてきた。前出の裁判でも裁判の過程で、自治会費を支払っていないのに会員が自治会の金の使い道に口出し出来るのかということが裁判官から問題とされたという。

他の多くの自治会と同じく自治会費を徴収するよう転換することについて、多くの住民は賛成しているというが、現実的には今のような状態であれば自治会費の納付を拒否する人が続出してしまうだろうという。

本来であれば遅くとも2002年に同和対策特措法が切れた時点で、通常の自治会と同様の運営に転換させるべきであった。それでも伊賀市が駐車場収益を自治会と解放同盟支部で分配する仕組みを容認したのは、無理にでも解放同盟支部を存続させるためであったと思われても仕方がない。

なお、9月14日に東京地裁に行われた証人尋問で、筆者は松岡委員長に尋問する機会があり、本件についても質問した。松岡委員長によれば、駐車場収益を自治会と解放同盟支部で分配していたことは事実で「今はもうやめた」ということ。そして、核心である横領疑惑については「特定の党派が言っていること」という答えだった。

松岡委員長に対しては、暴力団との関係がないかも問うたが、それは否定した。ただし、八幡町自治会の周辺には現役のヤクザは確認できないものの、前出のように「元ヤクザ」と指摘される人物はいた。また、今から4年ほど前の自治会長は右翼団体の幹部だったという指摘もある。

筆者は、三重県と言えば解放運動が強く、同和行政や人権教育も盛んというイメージを抱いていた。しかし、その総本山とも言える解放同盟県連委員長のお膝元の支部が、ここまで俗っぽい利権構造で支えられてきたことは驚くべきことである。

当然、このような状況は「部落差別の解消」どころか部落のイメージを悪くするだけである。同和行政や人権教育が盛んなのも、善意というよりは、解放同盟を反社会的組織と見なして、恐怖のあまり協力せざるを得なくなっているだけなのではと勘ぐってしまう。

「こういったことは多くの人に知られ、一度批判に晒されるべきだ」と、取材に協力した複数の住民が筆者に口にした。

解放同盟三重県連委員長による 伊賀市八幡町市営住宅 駐車場収益横領疑惑」への2件のフィードバック

  1. アバター東京の人

    市有地の収益が特定社団と自治会(地区住民)に直接流れる?
    貸与の名目が公営住宅居住者の便益なのに?
    痴呆自治法(242条第2項)
    住民監査請求は、正当な理由がない限り当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、請求することができない。

    正当な理由あるのにね。つーか、横領だから訴訟審理中に事件化させないと。部落名公表の正当性をプライバシーの沼から陽の当たる場所に引き摺りだしください。

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