【奈良県 安堵町】“同和産廃” 違法認定の 判決が 確定 西本町長が賠償へ

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By 宮部 龍彦

1月9日、奈良県安堵町の同和地区業者の産業廃棄物(同和産廃)処理のために出された補助金が、目的通りに使われた実態がなかったとして、奈良地方裁判所は安堵町は西本安博町長に違法に支出された補助金に相当する金額を請求するように命じた。この判決に対して町は控訴しなかったため、1月31日にまでに判決が確定した。

判決の確定を受けて町はどのように対応するのか、補助金はどこに消えたのか、筆者は安堵町を訪れて取材した。

まず、以下が判決の全文である。なお、代理人弁護士の部分が隠されているのは「某団体への対応が面倒なため」ということで、事情は察していただきたい。

住民側の 全面勝訴

判決によれば、216万7200円が不正に支出された補助金で、それを町長が安堵町に対して補填することを求めている。主文では損害賠償請求を却下すると書かれているが、これは補助金の交付決定の時期が、地方自治法で定められた住民訴訟の対象となる期限より前だったため、判決の対象にならないという形式的なものである。結果的には対象期限内に支出された補助金の支出については全額違法と認められたのだから、住民側の全面勝訴ということになる。

そもそも何があったのか。

安堵町では同和地区の地場産業として靴やかしわ(鶏肉)の製造があった。かつては、それらの業者が排出する産業廃棄物を、実質的には町の費用で個人の業者が焼却処分していた。しかし、その煙が問題となり、1989年から処理組合を作ってそこから処理業者に産廃処理を委託し、それに対して町が補助金を支出する方式に変わった。

廃棄物種別の欄から、どのような業種だったか想像できる。

しかし、原告の池田忠春氏によれば、遅くとも令和になってからは全ての業者が事実上廃業しており、組合員に聞いても誰一人産廃を出している者はいなかったという。それにも関わらず、毎月30万円の補助金が町から支出され続けていた。

当然、支出された補助金が産廃処理に使われているとは考えられなかったため、池田氏が住民監査請求し、さらには提訴に至ったわけである。

住民監査請求の結果によれば、町は産業廃棄物排出の実態があると説明しており、裁判でもそのように町は主張したが、結果的に町の主張は認められなかった。

勝訴となった決め手は2つある。

1つ目は、産業廃棄物マニフェストの偽造疑惑である。裁判の中で、町は産廃が排出された証明としてマニフェストを提出したが、それは「建設系廃棄物」のもので、同和産廃業者の廃棄物の種類とは無関係なものであった。しかも、交付年月日は今回の裁判の対象となった補助金の交付期間外である。

そのため、裁判所は「産業廃棄物の排出・処理の実態がないことの疑いが増しこそすれ、排出・処理の事実を確認することはできない」と一蹴した。

池田氏によれば、このマニフェストには裁判所が指摘していることの他にも不審な点があり、偽造の疑いがあるという。排出事業者の欄に町の環境美化センターが手書きされているが、ここには本来排出した事業者の名前が入るはずであり、また他の業者がゴム印を押していることから分かる通り、そもそも手書きというのも不審であるという。そして、マニフェストは同じものが奈良県にも提出されているはずだが、奈良県に照会したところ、不存在との回答があったという。

奈良県は、安堵町環境美化センターから提出されたマニフェストを保有していないと回答。

2つ目は、安堵町議会で、同和産廃の処理の実態がないことを、副町長が認めていたことである。

2021年9月6日の一般会計決算審査特別委員会で、同和産廃について森田瞳議員から質問された堀口喜友副町長が「今から考えてみますと産業廃棄物に該当しないものがほぼほぼであったという理解を私は、いたしております」と明言している。

池田氏によれば、裁判の最終局面で、裁判官が町に対して裁判を終わらせてはどうかと提案したという。つまり、西本町長が補助金に相当する金額を町に納めれば、裁判を続ける意味がなくなるので、却下判決で終わるということだ。しかし、町はその提案を蹴り、結果的に町の敗訴判決となったわけである。

こうなった理由について、原告側の代理人弁護士は、安堵町が統制を取れてなかったのではないかと推測する。

西本町長が金を払うということは、当然町の担当者の一存で出来ることではないので、西本町長が決断する必要がある。しかし、そのことを西本町長に提案して説得できる人がいなかったことが想像できる。確かに、町が素人目にも不審であることが分かるようなマニフェストを出してきたり、一方で議会では副町長が産廃の排出実態がないことをあっさりと認めていたりと、町職員の連携がされているようには見えない。

誰も責任を取ろうとせず、誰も決断できず、そのまま町の敗訴に至ったということだろう。

補助金は どこに 消えたのか?

裁判の結果では形式的には西本町長が町に約220万円を納めることで責任を取るということになっているが、当然、現場で直接関与した別の職員が存在するはずである。同和産廃補助金は実際はどこに渡っていたのか?

そのヒントが、前出の町議会議事録にある。森田議員が同和産廃処理組合について「確か今までは通帳等については同和地区の隣保館で通帳を預かっておいたという経緯があったと説明を受けました」と発言している。

「同和地区の隣保館」とは「安堵町ふれあい人権センター」のことだ。池田氏によれば、処理組合の理事長は組合の活動に関与しておらず、通帳も名義だけの状態になっていることを認めていたという。

すると、補助金の実際の流れを知っているのは、ふれあい人権センターの職員ということになる。

ふれあい人権センターの裏手に放置された軽ワンボックス。もう10年以上この場所にある。

2月1日、筆者はふれあい人権センターを訪れた。館長に同和産廃の補助金がどう使われたのか把握しているのか聞いてみた。

「あのことは、もううちでは管理していないし、上がやっていることなので何も分かりません。どっちにしても、私から勝手なことは言えないので、町の方に聞いて下さい」

このように言われるのみだった。

そこで筆者は安堵町役場を訪れた。担当者に、住民訴訟の判決を受けての対応を聞いた。

「それについては、判決の通りにいたします」

ということは、町が西本町長に請求し、町長が判決通りの金額を町に納めることがもう決まっているのかと問うと

「そのようになると思います」

とのことだった。

しかし、町長とは別に現場で実行した職員がいるはずで、そのことを調査して処分するつもりがあるのか問うと

「未定です」

ということだった。

検察は不起訴 検察審査会に申し立てへ

池田氏は、住民訴訟に先立って、奈良県警への告発をしていた。警察の捜査により、安堵町の複数の職員が関与し、補助金を勝手に引き出していたことが分かり、奈良地検に背任の疑いで書類送検もされていた。

しかし、住民訴訟の判決が出る前に嫌疑不十分で不起訴になっていた。

今回、住民訴訟で町側の違法行為が認定されたことを受け、池田氏は検察審査会への申し立てを行うということである。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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【奈良県 安堵町】“同和産廃” 違法認定の 判決が 確定 西本町長が賠償へ」への7件のフィードバック

  1. 匿名

    文中
    >目的通りに使われなかった
    。。どのような使われ方をしたのか?
    >令和になってから産廃処理の実体がない
    。。毎月30万なら少なくとも1000万は超える額になるがなぜ裁判では220万なのか?単年度だけの訴訟?なぜ?
    >代理人弁護士の部分が隠されているのは「某団体への対応が面倒なため
    。。よくわからないですね、こんなの某団体だって調べればわかるだろうし、、、
    >ユーチューブで該当者の名誉棄損うんぬん
    これは現段階では名誉棄損に当たる可能性があるということなら不確かな情報ということであろうか?

    なんか、まだまだ不透明な記事ですね。おいおい明らかにしてください。
    #bf00db9553fe0df632c0cc54513ef802

    返信
    1. 宮部 龍彦 投稿作成者

      住民監査請求は1年前までしかさかのぼれないからです。
      それより前は裁判の対象になりません。

      返信
  2. 匿名

    宮部さん
    やっぱおかしくないかな?
    >代理人弁護士の部分が隠されているのは「某団体への対応が面倒なため」ということで、事情は察していただきたい。<

    某団体を匂わせるのであれば、さすがにこれはないのでは。
    某団体がらみなら、某団体が知っててしかるべきだと思いますが。。
    #bf00db9553fe0df632c0cc54513ef802

    返信
  3. 匿名

    総務部長兼総合政策課長(富井文枝)

    自席より失礼をいたします。本議会におきまして只今、補正予算第4号の弁護士費用について採択いただきましたところでございますが、この事件は、令和2年(ハ)第372号損害賠償請求事件といたしまして、令和2年8月6日、安堵町総務課職員による、原告 池田忠春氏の名誉を損ねる言動に対し、被告 安堵町に20万円の損害賠償請求、訴訟費用の負担を含める訴状を奈良簡易裁判所に提出されたものでございます。
    しかしながら、訴状内容の言動に対する事実は無く、原告の請求は理由がないとされ、令和3年4月23日、原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とする判決が言い渡されたところでございます。
    以上でございます。御報告、大変遅くなりまして申し訳ございませんでした。よろしくお願いいたします。
    #bf00db9553fe0df632c0cc54513ef802

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