このところ「陰謀論」という用語が一般メディア、SNS上で散見されている。ノーワクチン、ノーマスクを訴えデモ、また医療現場への直接行動を起こし関係者が逮捕された神真都Qの存在が大きい。DS、アライアンス連邦軍、世界の要人はゴム人間、奇異な主張が木霊する。その言説は従来の「陰謀論」を超えてオカルトの領域。そこで当世風に“ シン陰謀論”と定義付けた。ただこれら説を盲信することが本人たちにとって幸福なのだろうか。そこで信奉者たちを類別しその処方箋を考えてみた。
ネット時代の 陰謀論クロニクル
世界史の知見、政治知識、昭和の陰謀論はある程度の素地が必要で、それは読書階層に立脚したものだった。現在の田布施町出身の青年が明治天皇とすり替わり欧米諸国の傀儡になって日本社会を牛耳るという陰謀論に迫ったルポ 陰謀論者の楽園 「田布施システム」の真実を取材した時のこと。信奉者の特徴的としてユダヤ陰謀論、ユダヤ・フリーメーソン、イルミナティ(イエズス会をルーツにした秘密結社)に結びつけていること、支持者は元官公庁出身、大手企業退職者といった比較的、教養レベルが高い人々が散見された。政治、社会など広く知見があるが、総論としてなぜか田布施システムを支持する。不思議な現象を見たものだ。
単純に陰謀論といっても文献を読むのも一定量の知識と根気が必要となり、昭和の陰謀論支持者とは一種の活字中毒であった。
対して今回、シン陰謀論の支持者は教養的素地、活字文化と無縁の人生と思えてならない。インフルエンサーたちにアジテーションに「そうだ、そうだ」と盲従してはいないか。
厄介なことに現在、巷に散乱する陰謀論は「アメリカ同時多発テロ事件」(2011)以来、構築された陰謀論の集大成とさえ思える。
旧民主党政権誕生の直前、2008年。今でこそ旧民主系野党は先細りしたが当時は勢いがあった。官邸前、議員会館前のデモ参加の方が似つかわしい所属議員たち。立憲民主党・藤田幸久元参議院議員もそんな一人だ。この人物、陰謀論ウォッチャーの間で知らぬ者はいないだろう。2008年の参院外交防衛委員会で「アメリカ同時多発テロ事件」(2001年9月11日)について首謀者であるアルカイダ、ウサーマ・ビン・ラーディンの関与に疑義を含めた質問を行った。いわゆる「アメリカ同時多発テロ事件陰謀説」。藤田氏は911陰謀説の支持者として有名だ。
911陰謀説をめぐっては平和運動家、エコロジストのきくちゆみ氏が説のけん引役で、翻訳家としても911テロの映像作品に関わってきた。今でこそ911陰謀説は影を潜めたが、一時期は関連集会は多数。きくち氏が2008年9月11日、都内で開催した「911真相究明会」に藤田氏が登壇した。きくち氏はエコロジストでもある。いわゆる意識が高い子育て世代の女性も多く散見された他、子連れの参加者も目立ったものだ。
旧民主党が政権交代を果たすべく総選挙を求めた時分。藤田氏は政治状況について
「11月9日が総選挙と言われている。ひっくり返すと911だ」
と訴える。
聴衆は明らかに市民派・左派。エコロジストといった人々で旧民主党議員とも相性が良い。藤田氏の主張に沸く会場。今から思えば会場にいた女性たちは以下で指摘する信奉者と符号していた。911テロ陰謀説で特徴的なのはネットツールの普及期と重なったことだろう。フラッシュ、画像加工などで911に関する噂、デマが横行した。画像加工と言えば神真都QのメンバーらもSNS上、LINEのオープンチャットに投稿している。911テロは、陰謀論において画像加工、動画処理が行われた黎明期と言えるだろう。
TPPから電磁波、そして311へ
次のタームとして挙げたいのがTPPに関する陰謀説。ここで重要なのはエコライフ、ナチュラリストといった人々から自然主義、農本主義的な言説が持ち込まれたことである。ここで反TPPの中心になったのが山田正彦元農水大臣(菅直人内閣)だ。
反TPP、反種子法(主要農作物種子法)における中心人物。山田氏の集会、会合にはナチュラルライフを信条とする活動家が多く散見されたことだ。TPPといっても協定項目は多岐に及ぶが、活動家が問題視するのはまず農産物の輸出入であった。
活動家たちの行動パターンは面白い。
山田氏のグループは議員会館などでの大規模集会だけではなく、少人数によるティーミーティングも時折、行われていた。2007年にiPhone、翌年にはAndroid端末が発売され国内でも普及し始めた時期。
「スマートフォンには危険な電磁波が発生している」
目を吊り上げて訴える活動家。しかしこの人物自身がスマートフォンを所有していたのが不思議でならない。こうした言説は現在、れいわ新選組の所属議員や支持者の間で関心を集めているようだ。
反TPPには単純なアメリカ謀略説という以上に、ナチュラリストの存在が見逃せない。
そんな自然派な反TPPの活動家はこんな風に訴えていた。
「TPPが発効されると日本からカエルがいなくなります」
この理屈がよく分からなかった。要するにTPPが発効されると輸入米によって日本から水田が無くなり、田に住む生物が絶滅するという趣旨だ。「風が吹けば桶屋が儲かる」に近い論法で活動家たちからは異様な思い込みの強さを感じた。奇妙なことに不安な情報を得れば得るほどむしろ安心している様子である。
こうした活動家たちのブログ、SNSを閲覧するとおおかた重曹、クエン酸を万能薬のように扱っていた。特に歯磨きについては重曹とクエン酸は枕詞のようだ。重曹、クエン酸は神真都Qらノーワクチン、ノーマスクの活動家からも指示されているのが特徴的だ。
TPP論争が巻き起こった後、2011年の東日本大震災では人工地震といった陰謀説が流布した。今年3月、福島沖で発生した地震の際でも神真都Qのオープンチャットでは盛んに人工地震説が唱えられ、SNS上でもこれを支持する声が少なくなかった。そのためNHKが緊急的に「人工地震ではありません」 専門家が解説(3月17日)と注意喚起の記事を配信したほどである。
かつての陰謀論のような活字文化をベースにしておらず、むしろオカルト化しているのが現在のシン陰謀論。しかも過去のパターンを全て踏襲しているだけに非常に厄介な存在だ。
日常を取り戻せ、この4タイプの治し方
現実問題としてこうした説を唱えることで自身の生活に潤いはもたらされただろうか。むしろ猜疑心はさらに強まりより密室的に、より一般常識と乖離した主張に走る。場合によっては家族にまで波及しかねない。反ワクチンで医療現場で抗議をして逮捕。実際問題、一連の陰謀論によって家族関係までこじれたという家庭は少なからず存在するのではないか。そこでいくつかの信奉者から4つのタイプを導き出してみた。
タイプ①ヒステリーオーガニック
無農薬、有機野菜、マクロビオティック、あるいは犬猫の殺処分ゼロ運動といったシーンでも目立つ女性参加者。特徴としてはとにかく敵愾心が強く攻撃的だということ。こと行政、自治体職員に対しては無類の強さを発揮する。もっとも本人の自覚とは別にその攻撃力は「反論できない相手」のみ発揮される。しかし考えてみてほしい。貴女の本当の不満は自身の心のうち、あるいは家庭環境にあるのではなかろうか。そんな貴女への処方箋は「夫婦生活の見直し」である。
タイプ②ガラパゴス昭和インテリ
若い頃から本の虫。日本史、世界史の知見が深く、また戦記についても通じている。しかしいかに知識を得ようともユダヤ陰謀説からは決して離れることはできない。文献で得た知識にネットの情報が加味され独自進化をしてきたのがガラパゴス化した昭和インテリなのだ。意外と「禿同」「情弱」といったネットスラングを使うなど柔軟性も垣間見せるが「ユダヤが世界を支配」という原則論は揺らぐことはない。そんな貴方は一度、活字を捨てよう。地域の子供の見守り活動などで地域の結びつきを!
タイプ③ネットDE真実高齢者
反ワクチンデモ、それはコロナ禍で閉塞感を抱えた人たちのガス抜きの場であり、また行き場をなくした高齢者のコミュニティでもあった。何も足さない何も引かない没個性の人生の中で扇動者たちが放つ文言は刺激に満ち爽快感を得たことだろう。問題はデモに参加程度ならばまだ害はないだろう。ただ傍で見ていて判断能力が著しく劣っているように思えた。つまり特殊詐欺などのターゲットになる可能性が大いにある。家族、親族は十分なケアをしなければ大きな被害になりかねない。
タイプ④ピュアTwitter廃人
政治家、マスコミまでが強く意識するTwitter。SNSの一つにも関わらず今や世論を測る装置の扱いだ。常時、Twitterに密着し陰謀論に心酔するのがピュアTwitter廃人。ヒステリーオーガニックタイプと異なり攻撃性こそ低いが、あまりに性格がピュアがゆえに神秘的な言説に傾倒しやすいのではないか。深夜未明になぜか人工地震についてRTするその様はまさに廃人ならでは。まずはSNSから離れよう、スマホを置こう。自治体が主催する生涯学習で新しい趣味を見つけるのはどうか。
いずれかのタイプに該当すると思った方。そうした自覚を持てるだけ還俗の道は近いはずだ。
精神の病を患っておられるか知能に問題を抱えておられる方かその両方か・・・
コの手合いって、一応は高等教育受けてたりするので、知識水準で計れないトコがナントモ。
なかなかおもしろかったです!
絵は三品さんが書いたんでしょうか
ありがとうございます。
プロにお願いしましたよ
光の戦士という言葉、ロシアが起源じゃないですか?
バルト三国の人も語ってたんですよ
たしかロシアの女性名でもそんな意味の名前があったはずです
当初、ライトノベルかなにかだと思ってたんです
うーんそれはちょっと知りませんでした。
しかしあの界隈は独自解釈で使用してる気がします
んー、この記事の内容については、大雑把な感じが否めません。なんでも陰謀論に結びつけてるだけで、詳細については独自の資料や調査がありません。マイノリティー支援なんかは、世界中で行われてきた状況証拠があるため、単に陰謀論に結びつけて否定することには同意できません。それから電磁波についても、スマホそのものの通信波が短期的な影響を与えるという根拠はないものの、マイクロ波が生体に影響するという科学的証拠は、大量に存在します。パラメータや強度や曝露期間によって変わるので、一概に全て危険とは言えないものの、兵器としても使われており、精神疾患との関連性が強く疑われるため、これも詳細に学術資料を挙げて議論せず、単に陰謀論と結びつけて否定していることにも違和感をぬぐえません。顔イラストまで載せて、詳細に議論せず、ステレオタイプに当て嵌めるのも、ただの印象操作にしか見えません。