【愛知県岩倉市】街に「ひかりの輪」(旧オウム真理教)が やってきた!

カテゴリー: 社会 | タグ: | 投稿日: | 投稿者:
By 三品純

「ひかりの輪施設が豊明市から岩倉市に移転」。1月20日、NHKが第一報を報じるとSNS上がざわめき始めた。「ひかりの輪」とは「地下鉄サリン事件」を起こしたオウム真理教の後継団体「アレフ」から分派した宗教団体。旧オウム真理教で広報役を務めた上祐史浩氏が2007年に設立した。対外的には元教組・麻原彰晃元(故人)の影響を排除したというが依然と警戒心は強い。岩倉市の新施設「名古屋支部教室」や周辺地域を取材してみると逆に事件の風化を感じざるをえなかった。(写真は上祐代表(右)と名古屋教室の山口代表)

サークル、食堂、パソコンショップ、オウムは隣にいた

90年代、オウム真理教は身近な存在だった。麻原彰晃はバラエティ番組にも出演しており“ ネタ扱い”されていた。“ 日本のインド”といわれたサブカルチャーの発信地、高円寺に住んでいた著者にとっても同様。杉並道場、オウム信者の経営する飲食店、オウム関係のサークル…。あの時代、オウムと接触する機会はいくらでもあった。

そして1995年の地下鉄サリン事件。死者16人、負傷者6300人という化学テロにも関わらず破防法が適用されなかったのは現在でも論議になる。多大な犠牲を払う一方で上祐史浩氏に群がる“上祐ギャル ”また同人誌、パロディなどオウムは社会現象でもあった。

コミケでもオウムネタは格好の材料。当時、週刊誌でも紹介された。

そして2007年、上祐氏は「ひかりの輪」を設立。この当時、SNSは「mixi」が主流だったが上祐氏がアカウントを取得すると、瞬く間に友人申請が殺到。その直後の2008年、豊明市栄町上姥子に元信者名義で土地家屋を購入に名古屋支部を設けた。

同市は豊明市ひかりの輪(オウム真理教)対策会議設置要綱を策定し、要綱に基づき地域住民が豊明ひかりの輪対策協議会を設立。地域住民有志らによって見守り活動が行われた。

「アンタらが来るから騒ぎになるんやないか」

そこに降って湧いた1月20日のひかりの輪移転の報。実はすでに昨年11月、岩倉市に事務所を移していたという。同市協同安全課によると「昨年、(ひかりの輪)は本市に移転してきましたが、実際に市民の方に周知されたのは(NHKの)ニュースだったと思います。翌日に10件ほど“大丈夫なのか ”とか“ 不安です”といったご意見が寄せられました」と説明する。

豊明市も岩倉市も名古屋市のベットタウン。両市とも名古屋市へのアクセスは便利だ。ひかりの輪新事務所は名鉄岩倉駅まで約800m、市役所まで約500m。好立地といえるが、実際に訪れてみると住宅街の入り組んだ場所にあるただの民家。「ひかりの輪」を示す看板、モニュメントといったものはない。もっとも豊明時代から住宅街の一角。教団施設というよりも「個人宅」というのが現実だ。

ここが教団施設だとは誰も思わないだろう。それ以前に住所だけでは所在地の特定は難しい。

「詳しくは知らないけど…」という住民にお願いして判明した。

名古屋事務所は右奥。

車社会の愛知県にとって駐車場がないのは施設として使い勝手が悪い。同施設へ訪問者がほとんどいないことを想定して移転してきたのではないか。

付近寺院の住職によれば

「移転してきた時に挨拶に来てもらいました。反対運動? 特に聞きません。活動自体は問題ないと思いますよ。それにおたくらが取材に来るからかえって騒ぎになるんやないか」

と理解とまではいかないにせよ「容認派」もいた。

「うちには挨拶なんて全くありません。私もニュースで知ったぐらい。関わりたくもないです」と語り、住民とはいえNHKの一報が情報源とのことだ。

あるいは「ひかりの輪」の名前を出しただけでも激怒し始める近隣男性も。

「関係ない。知らん、知らんて」

ヨガや気功の専門家だという。

岩倉市の名古屋支部教室前でしらばく人の出入りを待ったが、関係者は訪れず。そこで代表者の山口雅彦氏に連絡をとってみると

「お話することはありません。申し訳ありませんが取材はお断りしています。仕事中ですしこれで」

挨拶して、名刺交換だけでもと依頼したが

「ポストがありますから入れておいてもらえますか。かとってこちらからご連絡することはないと思いますよ」

山口氏から移転の理由を聞くことができなかった。それにしても「不思議な点が多い」と訝しげに話すのはさるオウム関連ウォッチャー。

「昨年移転していたのになぜ1月になってから報道されたのか。昨年の段階で判明していたと思うんですけども」

確かに今回の移転報道は“ 降って湧いた”感が強い。そこにはひかりの輪を「警戒」したい、しかし「騒動」にもしたくない「二律背反」の思いがあると関係諸氏は説明する。オウムに詳しい公安関係者はこんな事情を明かす。

「治安上の視点でひかりの輪が警戒されるのは自然なことです。ところが、それ以上に旧オウム関連施設が来ると周辺の“ 地価が下がる”と囁かれていましてね。強い反対運動はかえって地域を世間に示すようなもの。悪いイメージがつきますから、住民としても悩ましいのです」

あるいは「危険性」といっても

「2018年、麻原が死刑執行され一部メディアが報復、奪還テロなどと書き立てました。しかしこれだけ監視されしかも旧オウム組織も高齢化が進んでおり直接行動など到底、考えられません」(前同)

かつてのオウムといえば新実智光ら殺人、リンチに関わった武闘派もいたが、さすがに今の時代、第二、第三の新実は存在しえないということか。

治安上の問題よりも地価が下がることへの懸念。これが「旧オウム関係団体」への最大の懸念だとしたら「安全」になったと安堵すべきか、またオウム事件は風化したとみるべきか。

三品純 について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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