台風19号直撃 その時あの場所は

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By 宮部 龍彦

令和元年10月12日、関東地方に台風19号が直撃した。台風は神奈川県を横断し、箱根では24時間雨量の日本記録を更新した。

実は示現舎の拠点は神奈川県にある。そして、 示現舎は以前から神奈川県内の河川敷に不思議な部落(あくまで集落という意味の部落である)があることを把握していたのだが、なかなか行く機会がなかった。しかしここにきて、水害に対して脆弱な場所にあるそれらの部落がどうなったのか気になったので、これを期にい実際に訪れてみた。

小田原市早川河川敷の謎の部落

小田原厚木道路を車で走っていると、小田原市の早川のそばにある「韓国人会館」という大きな看板のある建物が目につく。そこが、筆者が以前から気になっていた場所だ。

無論、ここがいわゆる「被差別部落」であるという記録はない。立地からすると、戦後になってから人が住み始めた場所だと考えられる。

台風直撃の翌日の10月13日、現地に行ってみた。高架下に自動車や自転車が停められている。

早川のすぐそばのところに、バラックのような家が建っている。もともと早川のこの場所には堤防がないのだが、ここは周囲から一段低い位置にある。

高架下にはこのような場所も。住民の憩いの場なのだろうか。

飲食店らしきものもあり、自動販売機もある。河川敷に適当に家が建てられている感じなのだが、これほどの規模とは思わなかった。

ただ、意外と雑然とした感じはなく。植裁は手入れされ、ガーデニングがされている家もある。

空き家は少なく、どの家も人が住んでいる形跡がある。しかし、今日は人がいる気配がしない。

しかし、ようやく住民らしき男性と鉢合わせた。聞いてみると、早川の増水を警戒して皆が避難していて、戻ってきたところだという。

この一番下の家には、50センチ下まで水が迫っていたそうだ。しかし、幸いにも浸水は免れた。

この場所は小田原市の土地なのだという。ここに家が建つようになった経緯を聞いてみたが、男性は比較的最近なってここに住んでいるもので、実は他の住民もそうなのだという。意外と人の出入りが頻繁だということだ。

従って、古くからの経緯を知る住民はいない。ただ、昔はこの近くに何か働く場所があって、労働者の飯場だったと聞いたことがあるという。

道路脇を通って、韓国人会館の方に行ってみる。

ここが韓国人会館。民団の支部である。残念ながら今日は誰もいなかった。

韓国人会館の場所からも部落の中に入れる。意外にも土地の高さは高架の反対側の住宅地とあまり変わらない。河川敷のような場所ではあるが、堤防の外というわけでもなく、比較的土地が高いことが浸水を免れた理由だろう。

なお、韓国人会館があるので朝鮮部落かと思ったが、少なくとも現在はそうではないようだ。Youtubeでコメントをくださった方によれば、ここは終戦直後に満州等からの引揚者が、住む場所がないためにやむなくここに住んだと言われているそうだ。

さらにもう一段低くなっているこの場所。昔はここにも家があったが、かなり前の台風で流されてしまったそうだ。さすがにこの場所は今回の台風でも水に浸かった形跡があった。

川崎市多摩川河川敷の朝鮮部落

そして、神奈川県内で有名な河川敷の部落がもう1つある。川崎市幸区戸手4丁目の多摩川河川敷の朝鮮部落である。

ここは1960年前後に多摩川の堤防外の河川敷に在日コリアンが住み始め、大規模な朝鮮部落ができた。

しかし、近年は南側の土地は嵩上げされてスーパー堤防となり、高層マンションが立ち並んでいる。その際、河川敷を占拠していた在日コリアンに一千万円単位の立ち退き料が支払われ、当時の住民が現在の高層マンションに多く居住しているということである。

そして、最後まで開発されずに残っているのが北側のこの場所ということなのだ。

訪れたのは10月15日。ご覧の通り、周囲の草木の泥の付き方から、1階は完全に浸水し、2階まで水が入ったであろうことが分かる。

この建物は比較的新しいが、1階は確実に浸水している。

さきほどの古紙回収業「株式会社木下」の作業場にも浸水したと見られ、従業員が片付けに追われていた。

部落内に入ってみた。一見平穏に見えるが…

どの家も1階の物は外に運び出されてガラガラになっている。

工場らしき建物もあるが、ここも確実に被害を受けただろう。

さらに多摩川に近い場所にある建物は悲惨なことになっている。

これでもまだ住み続けようというのか、屋根を修理している人がいる。

これはキリスト教会。2階まで水に浸かって壊滅状態だ。

パノラマ撮影してみた。

いずれここにもスーパー堤防が作られることを見込んで立ち退き料目当てで住み続けているのではないかと勘ぐってしまうが、こうなってしまうと、この土地に住むための費用と労力とリスクと比べて割に合うようには思えない。

キリスト教会は2020年中に堤防内に新築移転する予定なので、それに伴って住民が移動すれば、さすがにこの朝鮮部落も見納めになるかも知れない。

これで最後になるかも知れない貴重な風景をパノラマ撮影した。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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台風19号直撃 その時あの場所は」への9件のフィードバック

  1. 台風当夜、ここの路地から消防に助け出されて堤防にあがってゆく男性がテレビ中継されていました。
    これは取材いくのかなぁと思っていたら、行きましたね。

    返信
  2. 音野

    河川法という法律があり、河川区域という国や都道府県が管理する区域が定められています。通常堤外の河川敷というものは官有地にあたります。(但し堤外民有地といった例外はありますが)
    私は関東の人間ではないので土地勘はないのですが、早川は二級河川ということなので、おそらく都道府県が管理する河川であり、戸手付近の多摩川の河川敷は国交省が管理していると考えられます。動画を拝見した限り、これらの建物は建築しているところは河川区域内と考えられます。国や都道府県の許可を受けていない明らかな不法占拠です。
    市町村が管理している河川は普通河川や河川法の適用外である準用河川です。(準用河川の場合法定外公共物の扱いになるため河川敷というより水路敷となりますが。)動画内で早川の河川敷は小田原市が管理しているとのことですが、二級河川のため、小田原土木が管理している県有地になるのではないでしょうか。
    あと疑問に思ったのが、これらの建物に電力を供給したり、通信線を引き込んであるのですが、これらの占用関係は無許可なのでしょうか。通常は河川法にのっとり、河川区域内または保全区域内での掘削行為、河川区域内での上空線の占用行為は河川を管理する国や都道府県への申請が必要です。(河川法55条や24・26条.。)そこに電柱が建てられていたり、上空線を張っているということは、許可を受けているのではないのでしょうか。(管理している事務所によって申請の許可が厳しかったりします。多摩川のような国交省はかなり厳しく、国交省管轄の河川区域内での掘削行為は通常認められないことが多いです。)
    もし申請を許可しているならば、引き込み先の堤外内に立っている建築物について、土木事務所や国交省河川事務所はどのように考えているのか疑問です。反対に無許可で柱を建注しているなら、東電やNTTに問題があります。
    今後部落を訪ねられる際は、河川区域内を私有地化していないか、法河川か法外河川か、その河川の持ちぬしは誰かなど考えてみてはいかがでしょうか。

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    1. 鳥取ループ 投稿作成者

      所有者については、法務局で登記簿を取ってみるのが確実ではないかと思います。

      Youtubeにコメントしている方がいらっしゃいますが、終戦直後の引揚者が住み着いたと言われているので、当時は今よりはるかにいい加減だったでしょうね。
      その時からの既得権益になっているのと、河川敷であっても元々堤防がなく、土地の高さも周囲とあまり変わらず、特別に危険な場所でもないので黙認されてきたのだと思います。
      衣笠開キ町の砂防ダム部落に対応している京都市の職員に聞いたところでは、各地の行政事例を調べてみたところでは、同じような場所は全国にあるが、行政代執行で強制的に立ち退かせた事例は今の所ないそうです。

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    1. 鳥取ループ 投稿作成者

      それも気になっていますが、噂によればその辺りの物件は過去に何度も水に浸かっていて、しばらくするとまた復活しているそうです。

      返信
  3. とみこ

    youtube拝見しました。この学区出身のアラフォーです。この地域は2019年の台風よりずっと以前から、アラフォーの私が子供のころから台風が来るたびに流されています。台風が来るたびにこのエリアの人たちだけが近隣の学校に避難をし、それをニュースが取り上げていました。私が知る限り40年近く、毎年毎年水に漬かります。でも人は消えません。すぐに復活したり、けっこう前は高床式みたいな不思議なバラックもありました。人の入れ替わりはあるらしく、今は東南アジア系の一世が多いと聞きます。所得のあるみたいで、デリバリーの注文もけっこうあったりします。

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