ジンケンのグルメ
「京都市東九条のステーキ」

三品純 By 三品純

同和地区、コリアン街の飲食店はお値打ちで名店、ユニーク店が多し。そんな店で実食する「ジンケンのグルメ」。今回は京都市東九条のステーキを食べてみた。今回はグルメと同時に崇仁地区問題でも在日問題も少し触れておく。

東松ノ木町の周辺。

このところ崇仁地区取材で京都市を訪れることが多い。崇仁地区というと部落問題については現在、本誌で同地区の再開発問題を扱っている。今回、訪れたのは在日コリアンが多く在住する東九条だ。特に有名なのが鴨川沿いの東松ノ木町である。この地域はかつて「松ノ木町40番地」と呼ばれ不良住宅群が並んでいた。

以前も述べた通り、京都には有名な在日集落がある。一つは宇治市のウトロ地区。戦前、この地の飛行場建設に徴用された朝鮮人労働者が戦後も定住したというのがウトロ地区形成の通説である。二つ目は京都市北区の紙屋川住宅だが、この地は同和事業の対象にならなかった朝鮮人たちがこの地に移り住んだという説があるがはっきりしていない。同様に東九条についても朝鮮人が住み着いた決定的な理由はない。

最近では「強制連行」された朝鮮人が住み着いた! この手の活動家はとんと見かけなくなった。こういう指摘を左派の活動家にすると「誰がいつどこで何時何分何秒に強制連行で連れて来られたと言った?」という具合で反論をするのが面白い。なぜ在日コリアンが定住するようになったのか住民たちに聞いても要領を得ない。

東九条の住民のルーツが分かる。

東九条地区には民団系、総連系、両方の施設がある。

そのヒントの一つになるのが『京都市地域・多文化交流ネットワークサロン』(東九条東岩本町)が発行する『東九条の語り部たち 1  14人の聞き取り報告』『東九条の語り部たち 2  11人の聞き取り報告』だ。同誌は1号、2号で合計25人の戦前生まれの東九条住民に聞き取りをしている。そこから渡日理由や定住理由を抽出してみると、両親あるいは本人の出稼ぎ、あるいは密航というパターンが見られた。各地域を流れて東九条に住み着いたようだ。おそらく親戚か同胞を頼ってきたのだろう。現在は地区内に民団系の在日本大韓民国民団南支部会館、朝鮮総連系の南同胞会館がある。

コリアン食堂ポド。期待したが休業中だった。

さてせっかくだからコリアングルメでも味わってみるかと思い、オススメ店を尋ねてみると「コリアン食堂ポド」(東九条西山町)が面白いと聞いた。なんでもパンチャン(おかず)が沢山並びお値打ちだという。行ってみると韓国語講座の教室や教会も隣接しており、とてもコリアンチックな雰囲気だ。しかしポドについては店前に「当分の間お休みさせて頂きます」とある。ちょうど昼時だったから休業中というのはダメージが大きい。これまで歩き回ったから再び店を探すのも面倒だ。しかもたいして土地勘もない。「焦るんじゃない、俺は腹が減っているだけなんだ」こんな言葉が脳内をよぎる。

ポドの隣の京都第一長老教会。「統一教会、エホバの証人、モルモン教とは全く関係ありません」という貼り紙が。

ホルモン卸と食堂が併設。

仕方ないのでポドより鴨川寄りに歩いていく。それから河原町通に出てみると「生ホルモン」と書かれた大きな看板がある。荒西商店という。どうも精肉店のようだが、隣には「ARANISHI」という食堂があった。肉屋がやっている食堂というものだ。これは期待できる。レトロなショーウインドーを見ると実にお値打ちだし、なにより妙な味わいがある。この店に「ジンケンのグルメ」という要素があるか知らない。しかしこのたたずまいは抗しがたい魅力を感じる。

「ここでいい。いやここがいい」というやつだ。ではドアを開けてみる。

「お?」

ドアを開けると優雅ならせん階段が。

ドアを開けると目前にはらせん階段だ。これを上がっていくらしい。とてもワクワク感がある。街の定食屋にらせん階段という組み合わせは面白い。この店の特徴はなによりとてもお値打ち価格ということ。なにしろ日替わりサービスセット(570円)と安い。メニューはビーフカツ、エビフライ、ハンバーグと洋食風であるが、日替わりのサービスセットを見ると火曜日は「ステーキまたはレバニラ焼き」となっている。ステーキとレバニラという二択で「レバニラ」をチョイスする人はどれぐらいいるものだろう。飛行機の機内食でも「ビーフORチキン」と聞かれ、たいていみなビーフを選ぶものだ。とくだらないことを考えながらメニューを見るがとにかく品数が多い。多い上に、もつ焼き、ホルモン焼き、なぜか煮ごこりまである。これは迷う。

ステーキの誘惑に負けた。

日替わりメニューはとてもお得。

ホルモン屋の食堂だから敬意を払って、ここはホルモン系を注文すべきだろう。また東九条という土地柄、ホルモンを頼むのが常道のような気もしたが、しかし「ステーキ」(780円)が大きく立ちふさがる。というわけでステーキを頼んでしまった。ソースは和風、デミグラス、焼肉、ガーリックから選べる。人に会う予定もあったのにガーリックを選ぶ。

さてこの日は比較的、若い客が多かった。どうも朝鮮語を話しているようだ。聞いてみると日本語も話せるそうだが、仲間内だから朝鮮語を話すと言っていた。

とてもボリュームがあり780円。

待つことしばし。鉄板に焼かれたステーキがやってきた。ナイフとフォークで切りきりと思っていたが予想を反してやってきたのはカットステーキだ。ステーキの下にはフライドポテトが敷かれている。付け合わせは玉ねぎとちくわのフライ。チクワというのがなんとも泣かせる。赤身のカットステーキは実に盛り沢山だ。これはステーキを売り物にしたファミレスのそれよりもよほどボリュームがあり、旨い。思わぬところで良い店に出会えた。

おそらくこれからもこの地域を訪れることは多いと思う。またぜひ来たくなる名店であった。

ジンケンのグルメ
「京都市東九条のステーキ」
」への3件のフィードバック

  1. 名無しのナナホシ

    肉類がお値打ちで他より美味しいのが食べられる。いいですね。腎臓や肺といった部位が焼き肉用に冷凍加工された物を販売しているお店があったり。他には無い物があるので見るだけでも面白いです

    返信
  2. M

    仕事で京都地区を巡回することも多いので、大変参考になり助かります❗今度行くときに是非利用したいと思います。

    返信
  3. jwt.3zng=m

    私の住む隣町に村の住人ご用達の吉本商店という小さいお店があるんですが、そこのフクとタチのホルモンの天ぷらが絶品です‼
    煮こごりさいぼしアブラカスもあります
    吉本商店
    0743523183
    〒639-1043 奈良県大和郡山市西田中町500

    返信

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