【深層レポート】三重県津市の闇 相生町自治会長問題(1)

示現舎取材班 By 示現舎取材班

示現舎では、三重県津市の職員と市議会議員が一自治会長に長年にわたって恫喝され、市政に不当な介入が行われていた問題を報じた。恫喝していた人物が相生町という同和地区の自治会長であっただけでなく、同和問題が恫喝の材料に使われていたことから、マスメディアがまず詳細を報じないことが予想される。

そこで、示現舎では関係者の証言と資料をもとに問題の詳細と、事件の背景を解説する。

本サイトへの情報提供

示現舎が情報を把握したのは、今年8月のこと。三重県津市の一部の同和地区では行政や市議会議員を下僕のように扱う者があり、特に相生町の田邊自治会長は市役所人事や市議会議長の選出にまで介入しているというものであった。

他に挙げられている問題は、市職員の私的利用、詫びを入れるために丸刈りにされた職員は2ケタに及び土下座は当たり前。そのために市役所内は誰が味方で誰が敵なのか分からず疑心暗鬼になっている、職員を守るべき立場にあるはずの前葉泰幸市長は我関せずの姿勢だということだ。

直接的に公金が出されているという情報もあり、具体的には資源ごみの持ち去り監視を名目として市から多額の委託費が田邊会長に渡っているということだ。

本サイトは昨年11月に和歌山市芦原地区の自治会長が公共事業を行う業者から不当に金銭を受け取っており、そのことに和歌山市職員が協力していた件を報じたが、津市はそれよりもはるかに深刻な状況であるという。

しかし、まず「田邊会長」なるもののデータがとても乏しかった。とりあえず「田辺」姓だけで調べてみると相生町に「行政調査会」という団体があった。名称こそ何やら自治体シンクタンクのようだが、所在地にあるのはごく普通の民家だ。

複数の市議会議員や市職員が田邊会長の行為に加担しているということなので、まずは名前が挙げられた市議に電話で「タナベ会長」なるものを聞いてみたが一様に「名前くらいは知っている」「妙な噂があるのは知っているが詳しくは知らない」と言う。ただ、ある関係者は「田矢に聞け」とやや怒り気味に電話を切った。複数人挙げられている市議の中でも、特に田矢修介市議が田邊会長との関係が深いことだけは分かった。

現地を訪れてみた

和歌山市以上のことがあるとは未だに信じられず、特に決定的な手がかりもなかったが、ひとまず津市を訪れた。

まずは市役所総務課の資料室で関係文書を調べてみた。職員名簿を見たところ、田邊会長に加担しているとされている複数の職員が確かに実在していることが分かった。

ところで、田邊会長については下の名前すら分からなかったので、先に相生町で住民に聞いてみたのだが、「自治会のことは分からん」と言う。しかし、市役所では自治会のことなら「市民部地域連携課」で分かると案内されたので同課に行ってみた。すると窓口に妙な申請書が置いてあった。

自治会長に関する情報提供依頼書

不勉強かもしれないが他自治体でこうした文書を見たことがない。しかし、わざわざこのような依頼書があるということは、津市では自治会長の役割がそれだけ大きいものなのだろう。

とにかく「取材」目的であることを書き、「会長名」「会長電話番号」「会長在住所」の提供を依頼した。すると職員たちは相談を始め、10分程度で会長名だけが開示された。これで、フルネームが「田邊哲司」であることは分かった。

次に議会事務局を訪れ、前出の田矢市議に会った。役所を牛耳るような人物と懇意とはさぞかし猛者が、と思いきや非常に低姿勢で温厚そうな人物だった。旧民主党系の会派に所属しているという。

田矢市議は田邊会長と懇意にしており、協力者で言いなりになっているのではないかと単刀直入に聞いてみた。

「田邊会長はもちろん存じていますよ。ただ議員が自治会長さんと地域の話をすることはあります」

田矢市議にはまるで子分のような存在に思われていると告げると「そんなことはありません」と否定。この時、田矢市議は会議前でその最中に会ってもらったからこれ以上引き留めることはしなかった。

しかし、市職員に関することでさらに聞き込みを続けると、職員を丸刈りにしたのは事実であることが分かった。

また、相生町を訪れたところ「環境パトロール」と書かれた自動車が4台あり、資源ごみの持ち去り監視業務が田邊会長に委託されていることも事実であることが分かった。

「行政調査会」なる団体の住所を訪れると、多数の監視カメラが設置された民家があった。周辺住民によればこれが田邊会長の家だということだが、呼び鈴を押しても誰も出てこなかった。安濃川沿いに自治会の事務所があることも分かったが、ここもなぜか監視カメラが設置されており、誰も出てこなかった。

あまり成果らしきものは得られなかったが、最初の情報提供にある様々な固有名詞は実在しており、情報の信憑性はそれなりにあるということは分かった。

またたく間に噂が広がる

しかし、現地取材の翌日にはすぐに事態が進展した。示現舎には非通知の電話やメールなどで複数の情報が寄せられ、我々が現地に来たことが津市庁舎内で話題となり、市議の間で対策会議のようなものまで行われたと言われた。

中には情報提供というよりは、「救援要請」のようなものもあった。このような事は今までなく、当初考えていたよりも、はるかに大きな問題であることは明らかだった。

それだけでなく、問題は非常に複雑だ。複数寄せられた情報の中で、特定の人がある場面では被害者であり、別の場面では加害者と言われることがあった。奇しくも「誰が味方で誰が敵なのか分から」ない状態を取材班自身が実感することになった。

これはある意味当然のことで、一方的に被害者である人は、当然どこかに被害を訴え出る可能性が高い。しかし、同時に加害者にもさせられていれば、自分にも負い目があるので被害を訴えにくい。異常な状態は少なくとも6年前から続いていたことが確認されており、長期に渡って大っぴらにならなかったのは、多くの被害者も同時に加害者にさせられていたからだ。過去の犯罪でもそのような事例は多いし、相手も不正に加担させるのは反社会的勢力の常套手段である。

市職員や市議が、田邊会長からあからさまに不法な金銭を受け取ったような事実は確認できなかった。しかし、職務専念義務違反は日常茶飯事であり、田邊会長の力を背景に堂々と副業を行っている職員もいるということだ。

だから、率直に言えば「自分のやったことも含めて田邊会長に全ての責任を押し付けるために情報提供したのでは?」と思われるケースもある。そのため、正義感に駆られて特定の誰かを一方的に悪者にしたり、特定の誰かに味方することのないように、慎重に取材する必要がある。

問題の原点

田邊会長が市役所に食い込んだ1つの事例は、2014年11月18日の教育長室での出来事である。以前の記事でも紹介したが、改めてこの音声を聞いていただきたい。

この音声が具体的にどのようなものなのか、最初は分からなかった。そこで取材を続けると、確かにここには田邊会長の声も入っているが、大声で恫喝しているのは主に田邊会長の親族であることが分かった。

他の事例にも共通することであるが、田邊会長の手法の特徴は、自分が言うのではなく他人に言わせることである。そのことで自分の責任を回避できるし、他人を加担させることで負い目を作るのである。時には趣旨を告げずに相手に何かをさせ、知らず知らずのうちに加担させるということもあったという。

恫喝されている人物は、相生町とは別の地域で便利屋をやっている人物S氏である。S氏は頻繁に市役所を訪れては些細なことでクレームを入れるので、市役所の職員に迷惑がられていた。事情を知る関係者によれば、津市ではそれぞれの地域にボス的な存在がおり、それぞれがマウントを取り合っている状況がある。田邊会長としては対抗勢力の力を削ぎたい、市役所としてはクレーマーを排除したいということで利害が一致したのではないかということだ。

しかし、S氏は役所にとっては煩わしい人物ではあるが比較的「小物」であり、利益を求めるようなタイプではなかった。市役所としては、煩わしい人物を排除できたと思ったら、それよりもはるかに煩わしい上に利益まで求める田邊会長が増長してしまったということなのだ。

結果はどうであれ、市は庁舎内での反社まがいの恫喝行為を許してしまい、なおかつクレーマーを排除したということで田邊会長に借りを作ってしまった。この教育長室での一件が田邊会長と市役所との歪んだ関係の原点だと複数の人が口をそろえる。

当の田邊会長に電話取材したところによれば、S氏は相生町とは別の同和地区の自治会長に「同和」と発言したことから、差別をするなと叱ったということだ。音声の中で出てくる「おいちゃん」というのはその自治会長のことである。

それにしても、この恫喝の仕方は演技臭い。特に「日本全国の同和連れて来たる」とか、ましてや「日本国憲法に違反しとるんちゃうんか」といった言い回しを素人が思いつくとは考えにくい。何かしら手本があり、この類の恫喝の仕方に手慣れていると見るべきだろう。

田邊会長の周辺には右翼団体の存在がある。前出の田邊会長が代表者となっている「行政調査会」の会計責任者が鳥居町の右翼団体「大日本皇國会」の代表者と同一人物という事実がある。

なお、田邊会長自身は「同和」ではないと言われる。その理由の1つは部落解放同盟に所属していないこと。そしてもう1つは相生町の生まれではないということだ。周辺の複数の人物は四日市市の出身と言うが、田邊会長自身は松阪市の出身で母方が同和だと主張している。しかし、別の機会に説明するが、愛宕・相生および周辺地域はもともと部落というよりは都市スラムに近く、戦後も多くの人が移住してきている。別の人物の言葉を借りれば、同和かどうかは「言ったもの勝ち」だ。

市職員の私物化と公金詐取疑惑

実質的に田邊会長が設立した「フードバンク三重」というNPO法人がある。この団体には2つの問題がある。

1つは設立と運営についてで、これを市の職員にやらせ、さらには集めた食料品の一部を市の施設である中央市民館に保管していることである。田邊会長の周辺では同様の公私混同は日常茶飯事で、市の職員が「こういう事ができますよ」と田邊会長に提案するので、ますます手口が巧妙になるというのである。

もう1つは食料品の一部が田邊会長が、津市最大の繁華街である大門で実質的に経営している店に流れているという疑惑である。これは複数の証言があり、NPO法人の代表理事は田邊会長が実質的に経営している居酒屋の女将である。

そして、公金の詐取と言われているのが、相生町のあちこちに設置されているゴミ箱のことである。ごみ集積所の設置には実費の3分の1、最大15万円まで市から補助金が出ることになっている。田邊会長はゴミ箱1つ45万円で見積書を出して最大額15万円を受け取り、実際はネット通販で15万円よりも安価なものを買って、差額を得たのではないかということである。

確かに、相生町に置かれているゴミ箱はAmazon.comで10万円程度で買えるものであり、高いものは15万円程度するがそれでも45万円ということはまずあり得ない。しかもその設置作業も市職員にやらせたということなのである。

田邊会長には大門商店街商業協同組合理事長という別の肩書きもある。前書の大門の店は複数あり、今は閉店してしまったが「ジャズ」という店はいつも市職員で盛況であったという。そして、現在は2軒の店があり、そのうち1軒はごく最近開店した。ご承知の通り現在はコロナウイルスの影響で繁華街はどの店も厳しい状況の中での新規開店ということで、大門では「市役所でごねたら、うちの店にも市の職員が来てくれるのか」とぼやいている人もいるということだ。

(次回に続く)

【深層レポート】三重県津市の闇 相生町自治会長問題(1)」への7件のフィードバック

  1. アバターうましかの一つ覚え

    なんかもう同和っていうのはファンタジーで、そのファンタジー悪用して利益を追求してる人達にしか見えない

    返信
  2. アバター某奈良県民

    教育長室での音声を聞きました。

    大声で畳みかけるように恫喝して心理的に追い込んだうえで、諭すようなちょっとやさしいトーンに替えて、落としどころに持っていく。
    やり口が完全にヤ○○ですね。

    記事に書かれている、何かしら手本があり、この類の恫喝の仕方に手慣れているというのは全く同感です。
    というか、トラブルの種を見つけて(もしくは作り出して)は、こうやって「型にはめて」自らの要求を押し通してきたのでしょう。

    実体のない「同和」をうまく利用して、
    これを飯の種にしている、プロあるいはセミプロのゴロツキという印象です。

    返信
    1. アバター鳥取ループ

      いろんな人に聞いてみると、相生愛宕界隈ではああいう手法がよく知られているみたいです。
      もしかしたら、解放同盟が活動していた頃にああいうことをしていたのではないかと思います。

      返信
  3. アバター獅子男

    津市に住んでおります。
    私の知り合いもジャズに行ったことがあるそうです。
    かなりの曲者らしく逆らえる人はいないらしい…
    この記事は素晴らしいです。
    なんとか公にして頂き、明るい未来ある津市に変わってほしいです

    返信

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