すでに速報した通り、新興宗教団体「幸福の科学」の大川隆法総裁が死去した。享年66歳。大手メディアも続々と報じ関心の高さを伺わせる。1986年の設立以来、信者数を伸ばし現在は国内約460か所の拠点、学校、政党「幸福実現党」を持つ。宗教団体として歴史は浅いが巨大化した背景を読み解くには「女性信者」と「自己啓発」が重要だ。
伝説のフライデー事件、ヘアヌード抗議
80、90年代の幸福の科学は現在よりもはるかにインパクトがある教団だった。エッセイストの故・景山民夫氏、女優の小川知子氏ら著名人が先頭にたち当時、幸福の科学を追及した講談社『フライデー』に抗議活動を展開。そのデモの様子はテレビでも報道されていた。
また90年代は週刊誌に掲載されるヘア・ヌード写真を問題視し、東京・大阪・名古屋で抗議デモを行ったのも象徴的な活動だ。
当時は今よりエキセントリックな宗教団体でマスコミからも注目された。一つには歴史的偉人が大川総裁を通じて語る「チャネリング」は1991年の流行語大賞になったほど。現在では「霊言」の方が馴染みがあるだろう。90年代は超常現象ブームで、こうした時代背景も幸福の科学を拡大させた一因だ。
ではどんな教義なのか正確に知る人は少ないだろう。端的にいえば大川総裁が得た「仏法真理」を通じて地上にユートピアを建設するというものだ。
一般的な教団のイメージは有名人の「霊言」、あるいは幸福実現党、保守的な政治主張、こういった活動の印象が強いだろう。とりわけ米・トランプ前大統領の応援デモでも幸福の科学信者が多数参加していたのは印象的だった。この通り近年は保守色を強めている。
だが教団が拡大した背景はこうした政治主張ではなく、ヘア・ヌード反対活動の影響が大きいという。都市圏で「女性信者」を獲得したことが成長の要因なのだ。
永代供養費用の返還訴訟が示すもの
先の米大統領選・トランプ氏の敗北を受けて日本国内でも同氏の応援デモが各地で開催された。こうした取り組みに幸福の科学が関与していると聞き取材している最中、関係者から妙な話を聞いた。
栃木県那須町にある広大な教団施設「来世幸福園」。同園には信者用の墓地、永代供養用の納骨壇があるが、この供養料・使用料をめぐって2012年から返還訴訟が起きたのをご存じだろうか。2015年、一部とはいえ返還が命じられたことは教団にも衝撃的な事態。同年7月31日の『ザ・リバティWeb』で「宗教界の根底を揺るがす重大な「違憲判決」と反論した。
裁判資料をみると原告の大半が女性信者。この背景について元信者はこう解説した。
「現在の幸福の科学は設立時に入会した主婦層がとても多いのです。返還訴訟の原告も多くは女性です。中には法人化する前からの古参信者、また地域部長、伝道部長といった役職経験者もいます」
先述したヘア・ヌード反対運動は都市圏在住で教育に関心が高い世代の女性が共鳴したのだ。
来世幸福園で供養料を支払ったのもこうした女性らが中心。
「夫に内緒で宗教活動をしていた人も少なくないんです。納骨壇を買ったと知った夫や家族は“来世幸福園には入りたくない ”として菩提寺を選びます」(同前)
ということは教団の納骨堂は不要となる。返還訴訟の裏にはこうした事情もあった。強い保守的な主張を展開する幸福の科学、あるいは幸福実現党だがベースには「女性信者」の存在が見逃せない。
そしてもう一点、注目したいのが教義よりも「自己啓発」の色が濃いことだ。
先の元信者がいう。
「週1~2回、行われる大川氏の講和をWEBを通じて視聴していました。講話や教義というよりも国際情勢やビジネス関係の話が中心です。実際は宗教というよりも自己啓発セミナーに近いでしょうね」
女性マーケティングが注目される昨今、早期から女性信者を獲得し、そして教団が持つ自己啓発性も今の世相と相性がいい。時代を先どった教団かもしれない。「経営者」として捉えた場合の大川隆法総裁は実に「有能」。
だがそんな総裁の突然の訃報。後継者も見えず今後の教団運営は厳しくなりそうだ。
もし大川総裁の霊言ができるならば残された教団、信者になんと助言するだろうか。
・主婦層が多い
・自己啓発系
確かにその面が強かった印象です。
そしてもう一つ、元妻派閥の手腕も大きかったと思います。
離婚騒動時のあれやこれやで、隆法氏のストッパーが少しずつなくなり、上記主婦層から落胆の声が多くなっていました。
#000b9419818edff537170a8dfc71c3ad