「質問が手ぬるい」「追及できていない」。津市・前葉泰幸市長が証人として出頭した5月24日の百条委員会に対して傍聴者や読者からこんな感想が寄せられた。同日は現地で傍聴したが市長を追及するだけの「物証」が乏しかったこと、追及の手詰まりを感じた。それ以上に本件の本質的な問題である「同和行政」に言及しないのも原因だ。マスコミ報道でも「同和」という文言をお目にかかったことはあるだろうか。田邊被告が増長した最大の要因は「同和行政」なのであってこの追及無くして検証はありえない。そこで田邊+津市による「差別」を悪用した工事妨害の動かぬ証拠を入手した!
差別発言で業者糾弾に関わったのはあの元市幹部
昨今、強まる言葉狩り、ポリティカル・コレクトネスの風潮。特に同和問題が絡むと過酷なのは過去の部落解放同盟の「糾弾史」を見れば歴然。不思議なことに仮に密室の言った言わないの水掛け論にも関わらず「ありき」で進むものだ。かつて弊社は石川県金沢市内の中学校で起きた差別発言についてレポートした。その際、同市と部落解放同盟の確認会の中で運動体側の役員が「生徒の記憶(差別発言があった)の記憶を優先したい」と発言していたことに耳を疑った。このことは「差別発言」の類がいかに恣意的に解釈されているかの証左であろう。
相手の発言の一部を切り取る、言葉尻を捕らえる、こうした手法は運動体やマスコミならば日常茶飯事の話。しかし津市という公的機関が全く同じ手法、というよりもさらに理不尽なやり方で業者を詰問していたのである。もちろんそれは田邊被告の意向を受けたのは言うまでもない。ではなぜ業者に対して「差別発言」と吊るし上げたのか。それはズバリ「工事妨害」のためである。
なぜ工事妨害が必要なのか疑問を抱く人もいるだろう。自治会長とは言え自身も「住民」だ。ということは自分の町の道路工事や公園整備が遅れては困る――。普通はこう考えるはずだが裏事情がある。
公共事業を請け負った業者は工期までに工事を終了しないと指名停止処分や遅延損害金などのペナルティを課されてしまう。その心理を突いて「工事を順調に進めたいなら金を出せ」というわけである。裏返すと仮に本当に工事が遅れても田邊被告も町も何ら差し支えない。なぜなら工事自体がそもそも不要不急というもの。生活基盤のためではなく自治会長を利するためだから。
さて田邊被告による公共事業の介入の全貌は全て把握できたわけではない。しかし公共事業の20%が自治会長の懐にて市内S社による田邊被告へのキックバックを説明した。同社の被害については業者間でも広く知られた話だ。
本来は彼ら事業者の告発を待ちたいが、津市との関係悪化を恐れ内情を語るのを拒む。取材をしてみるとまず「S社に聞いたら」とこういった反応が目立ったものだ。今回、S社がいかに田邊&津市に無理を強いられたのかその音声を入手した。
平成28年9月26日のこと。田邊被告の工事妨害に悩んだS社は相生町関係の工事を受注するのを拒んだ。すると田邊被告から工事を断ること自体が「差別」と激怒された。そして津市との話し合いの場が持たれたのである。
とりあえず今回、公開できるのはここまで。話はおよそ2時間半に及んだという。雑音がひどくて申し訳ないが発言主は南勇二人権担当理事(当時)だ。当時のS社は相生町関係の公共事業をよく請け負った。このため田邊被告としても使いやすい会社だからなんとしても同社にやらせたい。また「息のかかった企業じゃないとキックバックの仕組みが外部にバレてしまう。むろん市役所としてもそれはまずい」と他業者は耳打ちする。
そこで持ち出したのが「差別発言」である。相生町の仕事を断りたいのは「差別」なのか意味不明だ。声の大きな者と行政の「差別」の定義がいかに恣意的なのか物語る。
なお情報提供者によると全音声データはすでに警察にも提出されたという。ただ市と警察という関係性を考えるとお蔵入りする可能性も捨てられない。
意に沿わない業者をでっち上げの「差別発言」で吊るし上げとはエセ同和行為の何物でもない。しかしこのような形で田邊被告や津市側から問い詰められたのはS社だけではないのだ。
津市北工事事務所も差別発言で工事妨害に加担
津市北工事事務所。これまで当サイトも田邊案件の窓口と指摘してきた。やはり同所も「差別発言」を理由とし田邊被告の工事妨害に加担した。
市内のある業者は語る。
「相生町関係の仕事を受注した時に仲間内で私が“今度相生町やったるわ ”と言ったそうなんです。その時は酒席だったので私自身もそう発言したのかどうか分かりません」
ところが後日、なぜか田邊被告が差別発言だと騒ぎ出した。
「北工事事務所、人権担当の職員との話し合いがあって“ その時にいた人の記憶を全て消してこい。でなければ工事を再開されられない”というのです」(同)。
この一件について関与した北工事事務所の職員に確認したところ否定。また人権担当者は「そのような差別発言はなかったと自治会長(田邊被告)に説明しています」という。同業者の場合、屈しなかったというのは大きいが、ある意味稀なケースとも言えよう。北工事事務所職員は“差別発言の記憶を消してこい ”との発言を否定したが、先のS社の例を考えても信憑性は増す。
市関係者は言う。
「田邊被告と業者の関係は共通点が多いですね。まず市職員が業者を連れ添って自治会長事務所(自宅)に挨拶と工事の打ち合わせに行きます。この際、まず田邊は業者と会話をしません。その後、業者と市職員が現地確認に行き再び事務所に戻ると表で市職員が待機しており“自治会長さんが機嫌が悪いから今日はここまでで ”と市職員に告げられます。その後は納得いくまで挨拶に行かされ工事は始まらない、というわけです。同様の経験をした人は多いと思われます」
まるで市職員がマネージャーのようだ。同氏はこう続ける。
「あるいは(田邊被告の)工事妨害は業者の挨拶がない、現場の警備員の態度が悪い、安全標識の看板の置き方が悪い、こういったものです。しかし人権問題を口実に工事妨害とはより悪質ですね」
行政にとって「同和問題の解決」「人権上の配慮」といった寒々しいフレーズは特定市民を利するにすぎない。その通り、相生町自治会長事件は「全国の同和を連れてくるぞ」という恫喝で始まり、同和を背景に公共事業にも絡んだ。今後、津市を追及する上で「有効打」がありえるならばそれは同和利権、差別商法の検証ではないだろうか。
市長の百条が終わったが、「知らなかった」の連発。
嘘八百。
「同和をネタにする相生町のおっさんが怖かったんです」と言えばいいのに。市内中部の人間なら、感覚的に納得するよ。むしろその方が信頼されると思う。