狭山闘争、護憲派転向、政党結成、反WHOデモ…市民運動の 回遊魚化した 小林節は止まると 死ぬ病?

カテゴリー: 市民団体 | タグ: , | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

5月31日、東京・日比谷野音で開催された「WHOから命をまもる国民運動大決起集会」は1万2千人(主催者発表)を動員し盛況だった。同集会へ賛否が渦巻く中、憲法学者の小林節慶大名誉教授の出席が話題だ。かつてはタカ派だが護憲派に転身し、狭山闘争弁護団、今度は反ワクチンに参加だから騒がしいお方である。

小林氏「陰謀論者と 言われてもいいです」

日比谷公園、日比谷野外音楽堂(日比谷野音)といえば通常はセクト、労組、解放運動など左翼団体の聖地といってもいい場所。ところが同日は日の丸が掲げられ、「立ち上がれ日本人」のスローガンが印字されたTシャツを着た参加者で溢れ返っている。

集会のゲストスピーカーには立民・原口一博衆院議員など野党関係者もいるが、体調不良で欠席になったものの登壇予定だった馬渕睦夫ウクライナ・モルドバ元大使、日本文化チャンネル桜・水島総社長、ノンフィクション作家・河添恵子氏、林千勝氏など保守論壇色が強い。会の趣旨自体は反WHO、反パンデミック条約だが、2020年末から活発になったトランプ元大統領応援デモと関係人物が一致する。

当日の様子。

開催前からSNS、グループチャットなどでは参加者の熱気は凄まじかったが、同時にオカルト言説ウォッチャーらの関心も高かった。というのは登壇者、会の趣旨が陰謀論的、疑似科学的だからだ。

多数の指摘、ツッコミが待ち受ける集会に登壇したのが小林節氏である。

「あまりよく知らないでワクチンのことを、山田正彦先生(元農水相)に連れてきましてただそこ(ゲスト席)で聞いていて勉強して分かりました。要するに今の政治がひどい利権政治になっていて、国民の命を犠牲にして国民の財産を巻き上げようという。世界資本の食い物にこの国がされそうになって。すでになっているんですけど」

小林氏より以前に登壇したのは水島総氏、河添恵子氏、原口一博氏、林千勝氏。DS、ロスチャイルド、ロックフェラーの謀略説などでお馴染みの人物たちだ。この面々の話を聞いて「勉強して分かりました」というのは短絡的だ。それにワクチンから利権政治までがどうつながるのか省略されている。学者の話というよりも活動家やメディア関係者の扇動的話法だ。

「陰謀論者と言われてもいいです、イカれていると言われても結構です、私の人生ですから!」

と言い残したのは興味深いところ。同集会が社会的にどう位置付けられているのか相応に理解していたようだ。

それにしても不思議な現象である。かつての保守派を代表する憲法学者とはいえ最近は共産党の応援演説に立つこともある小林氏。現在は護憲リベラルの論者として市民運動、講演会活動を行っているが、左旋回した小林氏がチャンネル桜の水島総氏ら保守陣営と共闘したことになる。再転向というわけではなかろうが、護憲派学者・小林節のファンにとっては疑問符がよぎったことだろう。

本来、小林氏の履歴、過去発言からすると左派の間で流行る「キャンセルカルチャー」の対象になりそうなものだが、そうした話は聞かない。小林氏が護憲派と認識され「わが陣営」という意識が作用しているのだろう。しかし今回の反WHO集会に参加したことは左派言論での立場へどう影響するのか目が離せない。

タカ派、スパルタ教育から 護憲派スターへ

まさかの反ワク戦線に参戦した小林氏。しかも集会メンバーはいわゆる保守派、参政党の色が濃い。筆者も過去、小林氏の活動履歴をレポートしてきた。

憲法学者としての実績は間違いなく一流である。かつては改憲派の論客としてTV・活字メディアでも活躍。政界で活躍する教え子も多く川崎政司参議院法政局長、自民党・長島昭久衆院議員、増田和夫防衛省事務次官、山田重夫駐米大使らそうそうたる顔ぶれだ。

ところが近年の小林氏の活動は「迷走」しているとしか思えない。

小林節氏「国民怒りの声に」に 参加者たちが怒り心頭!

国民怒りの声・小林節氏がまさかの狭山闘争弁護団に

現地ルポ 崇仁地区再開発(1)

イラク戦争を契機に護憲派に転向。近年は脱原発、平和安全法制集団違憲訴訟の弁護団長など左派の市民運動に参加している。2003年に東京・郁文館学園(現郁文館夢学園)の校長に就任した際は、学校改革を掲げ生徒・教員にも凄まじいスパルタ指導を行った。当時、TVでもたびたび取り上げられたものだ。生徒、教員、保護者に至るまで激しく叱責する様は現在なら間違いなくパワハラ案件としてバッシングされることだろう。

また2016年には同じくこの日比谷野音で開催された狭山事件の再審を求める集会に弁護団として登壇している。解放運動から反ワクまで随分とウイングが広いものだ。

狭山事件の弁護団にも加わった。

また同年、改憲阻止などを訴え政党「国民怒りの声」を設立し、第4回参院選に候補者擁立を目指した。本人も立候補するも結果は当選者ゼロ。その後、同党の政治活動は全く聞かない。ものの見事に失敗した政界挑戦だった。

まさかの手書き結党宣言。

とは言え「慶大名誉教授」という肩書きがあり、しかもすでに護憲派識者として地位を得ている。有識者として安定した立場を得たにも関わらずあえて「反ワク」という分野に進出した小林氏。行動力なのか、目移りが激しいのか。あらゆる社会問題を求める論壇の“ 回遊魚”といったところだろう。

少なくとも憲法問題に関してマスコミ御用達学者の立場を確実にしているのに「WHOから命をまもる国民運動大決起集会」へ出席するとは行動的、意欲的という評価をすべきなのか? それとも動かないと死ぬ病にでも侵されているのだろうか。

神真都Qなどの反ワクチン団体、または参政党、れいわ新選組は得てして一時的な隆盛または”盛り上がっている感“だけは伝わるものだ。小林氏ほどの人物がまさかその一側面だけをみて世界的潮流と錯覚したとすれば痛々しい話ではある。

小林氏を知る研究者はこう漏らす。

「おそらくですが、会場の多くが“ 小林節”って誰? という反応でしょうね。実績は申し分ない方であるのは分かりますが、反ワク、反WHOという世界では同じ大学教授でも井上正康大阪市大名誉教授の方がはるかに知名度があります。一般的には小林節さんの方が圧倒的に有名でしょうけどね。講演でも反ワクチン、反緊急事態条項などに“協力する ”と言っていましたが今後、具体的に活動することはないと思いますよ」

この集会自体、保守色が強い。そこで小林氏が今後、協力していくとなると左派、護憲派から反発を招く可能性が高い。現にSNS上をみると小林氏の5・31集会出席を問題視する左派ユーザーたちが少なからず確認できた。

本集会自体、右派左派で単純に割り切れない集会だったが、しかしベースになるのは先述したトランプ応援デモから反ワクチン・反マスクに連なる保守派勢力である。現在の小林氏の政治的ポジションにとって反ワク、反WHOは安住の地でもないしメリットも薄いに違いない。そして回遊魚のごとく新たな生息地を求めていくだろう。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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狭山闘争、護憲派転向、政党結成、反WHOデモ…市民運動の 回遊魚化した 小林節は止まると 死ぬ病?」への2件のフィードバック

  1. .

    小林節は生まれつき手に障害があり差別を受けてきたことから解放同盟と連帯するようになりました。解放同盟の中山武敏の自伝『人間に光あれ―差別なき社会をめざして』に序文を書いてもいますね。身体障害者としての被差別体験に基づく、やむにやまれぬ情念に突き動かされて暴走を繰り返しているようにも見えます。

    小林節は、郁文館だけではなく桜華女学院でもパワハラをおこなっていたとの証言があります。

    https://web.archive.org/web/20221202060644/https://yamatea.at.webry.info/201605/article_8.html
    より引用

    「私が勤めていた桜華女学院(現・日体桜華)高校に理事会から校長として招聘されることになった小林氏は、校長になる以前から学校に乗り込み、現校長が認めていた校地内への自動車駐車を勝手に禁止したうえ、自分は手が不自由であるから、と自動車は校地内の玄関近くに専用の駐車場を指定することを行い、2010年4月に校長となってからは、ワタミ創業者の渡邉美樹が理事長となった郁文館高校で、校長として行ったことと同じことを日体桜華でも行いました。自分の意に沿わない言動が少しでもあると、「学校長補佐」や学年主任、担任を年度途中で交代させるなどの校内人事を行い、パワハラなどで多くのベテラン教員や若手教員が辞めていきました。当時の教員によれば、聴覚障がいをもつベテラン教員に対して職員会議で、話しかけた生徒に気づかなかったことをとがめ、「俺も身体障碍者だが甘えてはいない」「おまえは身体障害者であることに甘えている」「今度、学校内で補聴器をつけていないところを見かけたら、許さん。クビにしてやる。身体障碍者であれば、生活保護を受けて暮らせる」という趣旨の発言をして、障がい者差別と受け取れかねない発言をしています。
    そして郁文館のように教職員組合を潰せなかったため、第二組合「新生桜華労働組合」をつくらせて教職員の分断を図ったりしました。生徒の前で教員を罵倒することも少なくなく、生徒のブログによれば、「始業式中は先生たちが新しい校長に怒られたりしてて、なんとも言えない空気だった」(2010年4月9日)とあり、また別の生徒のブログには「日体桜華は糞だと思った!先生を敬えとか校長は言うけど、生徒の前で校長が担任に向かって頭おかしいとか違う学校へ行けとか言ってたら敬うとか無理だろ。頭おかしいのはあんただよー」(2012年6月5日)とある通りです。
    また、金銭面でも、保護者の会から、校長への「特別支援」の名目で年間200万円、「弁護士顧問料」が年間60万円、小林氏に支出されています。校長には年俸制で別に給与が出ているはずですから「特別支援」はいらないはずですし、学校法人に顧問弁護士がいるので日体桜華には顧問弁護士はいらないはずですが、少なくとも校長であった4年間にわたって小林氏の収入となっています。任意団体である保護者会が総会で承認し、小林氏も「雑所得」として確定申告していますから、問題はないと言われればその通りですが、常識的には不明朗な収入と考えざるを得ません。」

    慶應義塾大学三田キャンパスには、解放同盟の肝いりで創設された「人の尊厳」という人権講座があります。その講座には、解放同盟埼玉県連の吉田勉が「特別招聘講師」として招かれています。慶應義塾大学は、かつて某事件で解放同盟に頭が上がらなくなった経緯があります。この辺りの事情を調べたら面白いことがわかるかもしれません。
    #60a989ee6d1e6ba87753b99e665ae65d

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    1. Jun mishina 投稿作成者

      詳細な情報ありがとうございます。
      また新しいトピックスがあったら何か始めるでしょうね。追跡します。

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