森山栄治―解放同盟 に共通する「嶺南振興局」は同和窓口?

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By Jun mishina

関西電力役職員の金品受け取り問題に関する最終報告書が発表され高浜町元助役・森山栄治をめぐる報道が再び活発だ。森山が部落解放同盟員だった経歴は昨年当サイトが報じたが、同氏が「同和問題」を背景に関電、行政を威圧してきたことは明白だ。また福井県庁職員が森山から金品を受け取っていたことから県は独自の調査報告書をまとめた。そして先日紹介した解放同盟と福井県庁の交渉記録を交え検証してみると、森山と解放同盟は「嶺南振興局」という機関で共通する。そこで同局に着目すると興味深い事実が浮かび上がった。

「この前(3月に入って)、自宅(高浜町西三松)に入る一雄さんを見たよ。さすがに報道陣も張りついていないから一時帰宅したんでしょう」(高浜町民)

一雄さんとは森山栄治の娘婿だ。関電から多額の受注をしていた株式会社オーイングの取締役でもある。問題が発覚した昨年10月頃、西三松の自宅付近は各社記者が殺到したものだ。年が明け落ち着いたため帰宅したかもしれないが、最終報告書の発表によって一雄氏身辺も再び慌ただしくなるだろう。

高浜町の森山家。

オーイング社も関電、自治体の事業に食い込んだ企業だ。一般的な関心はむしろ吉田開発(同町内)にあるが、オーイングも名称こそ出てこないが福井県庁の報告書に登場する。

福井県庁にクローズアップしてみよう。関西電力が森山を恐れ「先生」と奉った一つの要因として「人権研修」があるが、正式には「同和問題研修会」のこと。当サイトも報じた通り、同研修には福井県庁、法務局も関与している。県庁職員が研修会の講師を務めることもあったが、同時に県庁職員は森山から金品を贈られていた。電源立地自治体という関係上、関電は福井県庁にも配慮する立場だが、金品の受け取り問題では県庁も問題視されている立場だ。

健康福祉部は人権担当の部署。嶺南振興局も吉田開発への発注実績があった。

上の表は金品受け取りのリストだが、表題の嶺南振興局の名もある。福井県庁の報告書にも同局が頻出するが、また部落解放同盟と福井県庁との交渉記録でも同局の存在感は強い。

ここで嶺南振興局について補足する。同局は1996年4月に設置された機関だ。福井県は福井市を中心とする嶺北地方、そして敦賀市、小浜市、三方郡美浜町、大飯郡高浜町、おおい町、三方上中郡若狭町からなる嶺南地方に分かれている。嶺南地方は福井県庁から離れているため、県庁の出先機関として同局が誕生した。もっとも単なる出先機関では言葉が足りないかもしれない。

というのも嶺南地方は複雑な歴史を歩んできたからだ。1876年から嶺南地方(嶺南四郡)は滋賀県に含まれた後、福井県として再編された。もともとは滋賀との関係が深いことから地元では復帰運動が起きたほどだ。運動は約10年も続いたというから反発の強さがうかがえる。

県庁から遠いので行政サービスも鈍くまた産業も乏しいため、行政機能の強化と地域振興が嶺南振興局に求められた。杉本知事は同局の機能強化を公約にしており、本庁の部長経験者を嶺南振興局長に任命している。非常に重視されているのが分かる。嶺南地方の行政の中枢なのだ。

福井県庁の報告書によれば嶺南振興局は人権関連の研修会などを通じて森山氏との接点が多く、就退任時にあいさつに出向くことや中元、歳暮のやり取りがあったという。本来、人権室があり同和担当をするのは健康福祉部地域福祉課なのだが、嶺南振興局も人権対応をしていた。福井県の解放運動は嶺南地方が中心だから嶺南振興局もこうした業務を行わざるをえない。

嶺南振興局長は若狭の殿さんらしい

普通の社会人はこういう口のきき方はしない。

今度は解放同盟と福井県の交渉記録に目を向ける。同局も重要な交渉窓口だ。2001年の交渉では解放同盟側から「嶺南振興局の局長やさかいに、若狭の殿様はお前やぞ」という普通の社会人とは思えない言葉が浴びせられた。ここで言う「若狭の殿様」とはやはり同局が嶺南地方の中枢という意味で使ったのだろう。

さらに興味深いやり取りがある。

2004年9月14日の懇談会のやり取りである。

すいません、あまり喋りたくないんやけど、「10年の行動計画」の2番目の「特定職業従事者に対する研修」のところの、②の上から4行目の下りのところで、嶺南振興局職員に対する特別研修を実施していますいう回答のくだりがあるんですけれども、嶺南振興局 職員になれたら特別研修をなぜ受けな理由があるんですか?これはどういう意味ですか?いわゆる私どものような団体が有るから、こんな表現になっているんですか?意味を説明してください。わかりますか質問問。・・・この資料あるんでしょ。早くお願いします。       

男女参画・県民活動課長
さまざまな研修を実施しておりますが、いま、この嶺南振興局職員に対して特別研修を実施していることの理由、ですか?

はい

男女参画・県民活動課長
長年やってきているということで・・・

なんで

男女参画・県民活動課長
さあ

なぜ?そしたら逆の質問をすると、嶺南振興局員以外の人は特別研修はないんですか?

男女参画・県民活動課長 
いえ、あの県職員、それからその周りもございますが、いろんな形でやってきて
おります。嶺南振興局においてもやっているということで、そのうちの一つでございます。

嶺南振興局職員の同和研修について質問をしている。確かに惰性で研修を続けていることは想像できるが、とは言えここに差別性があるとは思えない。しかしこの同盟員は執拗に攻撃している。要するにここでいかに行政を“オロオロ ”させるのかが大事なのだ。また厄介なのが仮に「研修等はない」と答えた場合、今度は「意識が低い」「差別」と批判されるだろう。どちらに転んでも「差別者」と言われる拷問のような問答である。

ともかくこのおかげで同局で同和研修が行われていることが把握できた。若狭の殿さん発言といい、嶺南振興局は同和対応で重要な部署なのがお分かり頂けるだろう。

追及のキモはふれあいの浜辺整備事業!

議会でも県庁報告書でも明らかにされていないが、「嶺南振興局と森山―吉田開発案件で怪しいのが『ふれあいの浜辺整備事業』です」(関西のメディア関係者)という。同事業で開発されたのが森山の自宅すぐの「えびす浜パーク(三松海水浴場)」。総事業費45億円のうち31億1千万円が吉田開発に発注された。ところが「もとは海岸沿いの崖の崩落対策で工事をしようというのが、なぜか公園・海水浴場整備までに広がった」(前同)という奇妙な事業。だがその経緯は全く明らかにされていない。それは無論、森山案件という点に尽きるが嶺南振興局職員の関与については県側は「関係なし」との結論だ。しかし地元では同局と整備事業の関係を疑う声は根強い。

では森山亡き後の嶺南地方の公共事業はどうなるのか。見逃せないのは県が嶺南振興局の機能強化を進める方針ということ。加えて予算強化を求める声も強い。嶺南振興局が今よりも大きな権限と予算を持った時、恩恵に預かろうと第二、第三の森山栄治が現れはしないか。 若狭の殿さんと揶揄された同局が同和対策に臆して「よきにはからえ」ということがないよう祈る。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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森山栄治―解放同盟 に共通する「嶺南振興局」は同和窓口?」への3件のフィードバック

  1. 遠州屋

    いつもお世話になりありがとうございます。
    公開していただいた公文書を少しずつ拝読しています。
    部落解放同盟同盟員と福井県の官吏の方の議事録を読んでいると心が痛むと同時にならず者に対峙する術はないものかと歯がゆく思います。
    対「部落解放同盟」専門の交渉人として如何なる相手にも共感が欠落し、罪悪感のかけらもなく、どんな不幸にも冷淡に対応でき、恫喝にも半笑いで小馬鹿にできるような人材を獲得するしか当面の不当な要求をかわすことはできないと思います。

    返信
  2. 遠州屋

    先般公開された部落解放同盟による福井県官吏を吊るし上げ記録文書を毎日少しづつ拝読させていただいています。重ね重ね、ありがとうございます。
    この記録文書を読むに、部落解放同盟の一環した姿勢は「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」が平成14年(西暦2002年)に失効してしまうので、お前ら(福井県)が同和事業・同和行政を進める上で困るんじゃないのか!何とかせんといかんじゃないのか!というひじょうに厄介な人の論理(論理というには抵抗がありますが)に共通したものがあります。
    うまく表現できませんが、もやもやが募る議事録です。

    返信
  3. 三品純 投稿作成者

    ありがとうございます。
    逆に読んで頂いて感想や意見があれば
    お寄せください。

    先日非通知で抗議があって
    関西人はたいていああいう口調や
    みたいなこと言ってました。

    いやいやそれは関西の人をバカにしすぎだと思いましたよ。

    返信