IR疑獄・秋元司に向けられたもう一つの「疑惑」

カテゴリー: 政治 | タグ: , , , | 投稿日: | 投稿者:
By 三品純

昭電疑獄、造船疑獄・・日本史でもお馴染みの重大事件。戦後史を彩る政界汚職事件には「疑獄」とついたもの。IR事業への参入を狙った中国企業から賄賂を受け取ったとして逮捕された自民党衆議院議員、秋元司容疑者らに対して「カジノ疑獄」との声が。しかし悲しいかな疑獄とつくほど「大物」でもなければ「スケール」も感じない。そんな最中の今月14日、別途の賄賂を受け取っていたとして東京地検特捜部は秋元容疑者を再逮捕した。これに過去分を合算すると総額約700万円に達する。だんだん「疑獄」と称するに相応しくなってきたか!?

岸信夫衆議院議員のFBより。日台議連で映画「哲人王」(園田映人監督)の上映会を開催。李登輝元台湾総統の物語だ。

カジノ事業の代名詞のようになってしまった秋元だが、従来はパチンコ族議員というのはご存じの人も多いはずだ。逮捕と同時期に秋元が顧問を務める大手パチンコチェーン「GAIA」に家宅捜索が入った。また平成30年の政治資金収支報告書を見ても寄付者リストには

株式会社ダイナムジャパンホールディングス
株式会社オリンピア 
回胴式遊戯機商業協同組合

といった有力ホール、機器メーカー、パチスロ団体が並ぶ。こうした関係は秋元がパチンコの規制緩和などを進める通称、「風営法改正議連」の事務局長という立場にあるだろう。同議連の政策課題の一つとしてパチンコ換金の合法化がある。正しくは 「パチンコの換金を合法化するための交換税構想」 というものだ。換金したパチンコ客から源泉徴収しこれを「交換税」として国に納める。つまり税収増を根拠にし換金を合法化させる狙いだ。パチンコはすでに事実上のギャンブル。これを秋元らは「公認」させようというのだ。

カジノは二階派が政策提言し、派内にはIR通の議員も多数。同様にパチンコについても「二階派」がつきとまとう。昨年7月の参院選で元民主党議員の尾立源幸が自民党の比例区候補として立候補。パチンコ産業からの支援があったものの落選した。尾立の鞍替えについては二階幹事長の強力な後押しがあったという。

風営法と言えばこうした取り組みもある。秋元への寄付者リストを見るとナイトクラブエンターメント協会(*正しくはナイトクラブエンターテインメント協会、報告書の記載は誤りと思われる)の名も。これは従来1時までだったナイトクラブ(いわゆるディスコ)が深夜営業できるよう規制緩和した改正法が2015年6月に成立。この改正にも秋元は「ダンス文化推進議員連盟」の事務局長として政策提言してきた。パチンコ、ナイトクラブ、そして新たにカジノに関わったわけだから“ 娯楽解放”のプロというわけだ。

遊興が専門のようだ。

もちろんこうした立ち回りにも力量が必要となる。そんな中、周辺で囁かれるのがその「人たらし術」だ。その頭目である二階幹事長も「全官公庁の課長級以上の職員を全て頭に入れて季節の挨拶は欠かさない」(全国紙政治記者)という。官僚を恫喝して力を誇示するという野党的な手法ではなく関係を築き使いこなす調和型といったところだ。秋元の著書『日本の極みプロジェクト』(CCCメディアハウス)には海外の富裕層を日本に呼び込む計画として「来て(KI)」「ワクワクして(WA)」「満たされる(MI)」の頭文字をとった「極み(KIWAMI)プロジェクト」が提言されている。

すでに退職している職員もいた。

国交省内の若手職員を集め「 KIWAMIプロジェクト 研究会」を結成し、秋元代表のもとプロジェクトをまとめた。同書にも職員たちの名前が掲載されている。今となっては職員にすれば “迷惑の極み ” のような本だ。本書に紹介された2018年4月1日当時、土地・建設産業局不動産課長で現在は大臣官房、中田裕人参事官に話を聞いてみると

「(秋元が)国土交通の部会長時代から観光で地域の活性化につながるようなことを勉強できないか、ということで若手を集めて勉強会を作りました。 報道にあるようなカジノやIRなどの関係ではないので本に名前が出ていたとしても特に迷惑というほどでもありません」

という話だ。逮捕という結末になったとは言え官庁、業界団体との関係構築は長けている。地盤も看板もなく小林興起衆議院議員の秘書というのがキャリアスタートでここまで昇りつめたのは「人脈作り」の妙技にあるかもしれない。

秋元事務所に市民団体が押しかけた。

中国への情報提供役 ?

人たらし術、人脈作り、こうした評価がある秋元に対して囁かれるのが中国への情報提供役。それも「台湾」に関する情報を中国側に提供しているのではないかという疑惑だ。

実はこの話「秋元司逮捕」二階派・和歌山・中国・同和を注視せよでも僅かながら指摘したが台湾政財界と交流し、台湾情報を中国に渡すというもの。自民党の衆参両院議員で構成する「日本・台湾 経済文化交流を促進する若手議員の会」(日台若手議連)の事務局長はこれまた秋元だ。かつて台湾と断交した際に発足した議連「日華関係議員懇談会」は親台湾派のタカ派議員が並び「日華」という呼称を採用した。逆に新しい世代の日台若手議連の場合、「台湾」の国名を使っている。

日台議連の事務局長の職にありながら、同時に中国企業とのパイプもある。このことは単純に世渡り上手、人脈の広さだけで片付けられるだろうか。これは別稿でも指摘したがすでに予想されるIR参入企業はトランプ大統領の肝入りのラスベガスサンズの影がちらつく。また他にもマカオなどの有力企業が並ぶわけだが、ここに何のノウハウも有さない中国企業が参入できるとは思えない。また狡猾な中国がホイホイとムダ金を払うとも思えない。つまり秋元に渡った金は「IR」を名目にした、台湾情報の「対価」ではないか、という疑惑が囁かれ始めている。

「中国共産党の台湾工作は本当に様々なルートを駆使して行っています。情報提供者は日本で成功した在日台湾人の名士など陣容は様々。その中に日本の政治家が入っていたとしても全く不思議ではありません」

とは中国の政財界に詳しい人物。果たして捜査によってそこまで解明できるのか目が離せない。それにしても本来、中国共産党と最も対峙すべき日本最大の保守政党で政権与党の議員から出てくるのがパチンコと中国疑惑とは嘆かわしいものだ。

三品純 について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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IR疑獄・秋元司に向けられたもう一つの「疑惑」」への2件のフィードバック

    1. 三品純 投稿作成者

      特に関西の中国通の間では通説のようです。
      大阪の中国領事館の動きと二階派議員を注視しています。

      返信

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