市民運動に「安住の地」 を見つけた鳥越俊太郎

三品純 By 三品純

かつてはテレビ、新聞、全国誌などマスメディアで活躍した文化人、ジャーナリスト、作家が晩節を汚すというのはありがちな話。公約を聞かれても答えられない都知事選、女子大生との淫行疑惑などジャーナリストの鳥越俊太郎はその最たる例かもしれない。冠番組を持ちダンディ大賞まで受賞したこの御仁も「表のメディア」の出演はめっきり減少した。しかし老いたりといえどもその知名度とタレント性は健在だから、講演会・市民シンポジウムなどの類では根強い人気を持つ。むしろ舞台は「市民運動」の方が居心地が良さそうなのである。

ニコニコ動画の「鳥越俊太郎チャンネル」開設前にツイッター上でこう呼びかけたが予想通り炎上した。しかも過去の「『女子大生淫行』疑惑」まで蒸し返される始末。以前、「ネットはしょせん裏社会」と一刀両断しながらここに至ってネット文化の権化のような「ニコニコ動画」に専門チャンネルを持つのはどういう変節なのか。しかし過去の発言を自省できるパーソナリティでもないだろう。むしろ本人の意識の中ではいまだに「マスメディアでやっていた俺がネットに降りてきた」という感覚かもしれない。炎上もそうした臭いを感じ取り発生したのだろう。

かといって年齢的にも、ポジション的にも今さらテレビ番組で一線を張れるわけでもない。そんな鳥越にとって「プライドと肩書を保て、発言の機会もあり、なおかつ絶対に批判されない」という理想的な舞台がある。それは「市民運動」だ。3月8日、衆議院議員会館で「村山首相談話を継承し発展させる会」が開催した「日本反戦平和記憶国際シンポジウム」で立大教授・香山リカらと登壇した。鳥越の話を直に聞いたのは2016年の都知事選の演説以来だが、当時よりも実に勇ましく嬉々として話しているのだ。

同会は昨年9月、鳥越を団長に訪中し、南京虐殺記念館などを見学したという。鳥越の講演内容を紹介しよう。以下の通りだ。

訪中団の団長になるとは「活動家」に転向か?

私がここに立っているのは昨年、一昨年と村山談話を継承する会のメンバーとして中国を訪れ、特に昨年は南京に行って南京大虐殺の記念館まで見てきたそういうメンバーとして一言何かいえということで指名されたんだと思います。まず南京で私たちを歓迎してくれた林先生(南京師範大学・林敏潔教授)をはじめ中国からこちらいらっしゃっています。
東アジアの平和とそれから日中友好を求める人間の一人として林先生を歓迎したいと思います。私は1940年、昭和15年の生まれでございます。終戦の時、5歳。戦争を覚えている最後の世代です。空襲の経験もあります。防空壕に逃げ込んだこともあります。戦争を知っている最後の世代と同時に昭和21年、1946年に小学校1年生に入学しました。

戦後の平和と民主主義の教育の一番原点のところから受けてきた人間で戦後の歴史を全部知っている人間というのが一つです。戦後、いろいろありましたけど、政党、政治がいろいろありましたけど、戦後の歴史を知る人間として言えるのは今の安倍政権ほどひどい最悪の政権はない、これほどひどいものはないんですよ。自民党の政権はいろいろありましたけど、これだけ歴史をねじ曲げそしてうそをつき、平気で何百回とうそをついている政権は他にはない。それが一点。戦後の歴史を知る人間として戦前の日本の戦争による歴史というものを直視しなければならないことを常々、思っているものであるというのが一つ。

もう一つは私は大学で日本史を学びました。卒業論文では明治の近代史をテーマに選んでおります。最近私はあらためてまた日清、日露、日中、太平洋戦争という日本が近代史140年ぐらい、140年じゃないや、すみません100年前、70何年かの間で4つの戦争をしてきたこの4つの戦争について改めて日清戦争は何だったのか、日露戦争とは何だったのか。というのを一から最近学び直しております。その中で分かってきたことは改めて、言われてきたことですが日本は明治維新で近代化、近代の歴史に入っていく中で当時の世界中で横行していた帝国主義、つまり他国を侵略し植民地下に置きそこで収奪を行いそして自国を繁栄させるという帝国主義の真似をしたんです。

日本は近代化していくために帝国主義と同じ手法を取るという決断をしてまず日清戦争を起こして清との間で朝鮮半島を取り合いっこして朝鮮を手に入れました。そして日露戦争では朝鮮と清という国を取りっこして日露戦争に勝ってそして満州を手に入れた。そしてやがて日中戦争、中国全体を手に入れようとして日中戦争を行った。
それが原因で太平洋戦争に突入し1945年の敗戦に至る。こういう歴史を私は学び直しております。その中で見えてくるのはやはり今の安倍政権が日本の近代史について誤ったことを帝国主義と同じ手法で日本を近代化するために他国を侵略し植民地化し収奪を行ったそういう史実を絶対に認めない。こういう歴史観を持っている人たちが政権を担っているということを非常に悲しく思います。これではダメだと思っております。

それから第二点、安倍政権が当然、私たちがとんでもないひどいと思うかもしれませんが、日本はまだアメリカの支配下にあるということをみなさんは気が付いていますか?もちろん沖縄の辺野古の基地の問題でも分かるでしょう。沖縄県民がノーといっている辺野古の基地造成を日本の政権は止められない。なぜやめられない。これはアメリカから作ってくれって言われているからです。アメリカにノーと言われている。
戦争軍事専門家の方なら分かると思いますが、沖縄の普天間の基地にいるアメリカの海兵隊は常駐しているのは2千人くらいしかいない。しかも2千人もハワイやグアムに回っています。常時いるわけではない。それぐらいの海兵隊のために新しい基地を辺野古に作るんですよ。それも日本の金で作るんですよ。アメリカが作るんじゃないですよ。我々の税金で作ってアメリカに差し上げるんです。こういう被支配下に置かれている日本ということについて僕はみなさんに認識を改めて頂きたいなと思います。

それだけじゃありませんよ。日本全国に米軍基地がいくつあると思うんです?正確に数字で答えられる方はいないと思いますが、135か所あるんですよ。米軍の基地が。日本全国に。そして首都東京に米軍の基地や施設がいくつあると思いますか。もちろん横田基地があります。横田基地をはじめ7つ基地や施設があるんですよ。
それも知らないでしょ、みなさん。東京のど真ん中、六本木に米軍の基地があるのを知っていますか。ヘリコプターセンターがあるんですよ。あれが基地が。トランプ大統領が横田基地から降りてきて、羽田ではなくて横田についてヘリコプターで六本木に行くそういうことが可能なんです。かつての敗戦国、ドイツやイタリアでもないです。日本だけの現象です。これだけ屈服している国はありません。

僕はなにも愛国主義で右翼じゃないからね。そういう米軍を排斥するということで言っているのではなくて実態としてアメリカの支配下に置かれている。例えば横田空域ということをみなさんご存じですか。新潟県から静岡県まで一都七県下にわたって横田空域で空が米軍に支配されている。日本の飛行機はあそこを飛べないんですよ。

だからみなさん九州や大阪にいって飛行機で帰ってくるときに羽田につく飛行機が千葉県の方にまで回ってくるじゃないですか。いきなり西から入れないんです。それは横田空域があってそこは全部米軍の管制下なんですよ。だから民間機はあそこを飛べない。わざわざ千葉県からまわって羽田に着陸する。これは横田空域があるからです。
日本の空、首都圏の空は完全に米軍のコントロール下にあります。それについて日本は何も文句言えない。そして2020の東京オリンピックパラリンピックで訪問者が多くなる、なんとかして羽田の発着数、便を増やしたいということでなんとか横田空域を通らせてほしいとお願いしてようやく5分間ぐらいなら通ってもいいよ、みたいな話で許可を頂いた。許可ですよ。植民地じゃないですか。安倍政権もひどいけど、実は安倍政権を後ろで支えているのはアメリカじゃないですか。

今日もニュースで秋田と山口でいきなりイージスアショアを置くのではなくて一回ハワイで実験したい、アメリカが言っているんですよ。軍事産業がハワイで実験したいから日本に金を出せと言っているんですよ。アメリカの軍事産業が日本に売りつけるのだから自分で金を払えよと思うでしょ。それも日本に払えということ。日本がいかにアメリカに従属的な立場でいるかここをきっちりと見ていて私たちはやっていかないと本当の中国との友好関係、北朝鮮や韓国との友好関係もアメリカにノーと言われたらだめなんですよ。できないんですよ。その証拠に安倍政権が躍起になって北方領土の問題をやろうとしているけどしかしロシア側から北方領土に米軍基地を置かないでほしいねと言われています。それに対していや置きませんよとは安倍晋三は一言も言っていません。言えないからです。

日米合同委員会というところで日本は北方領土が帰ってきたからといって米軍基地を置かないという約束はできませんということをアメリカとの間で約束を取り交わせば、アメリカに言わされている。だから北方領土なんてね米軍基地を置かないでとロシアが言っている限り絶対に進みませんよ。その証拠に安倍晋三は何回、プーチンさんと会っているけど何も進んでいないじゃないですか。それはアメリカが北方領土が帰ってきたら米軍が基地を置くぞ、日本にはノーと言わせないぞ、ということがあるからだと僕は思っています。

三点目、衆議院と参議院は自民党公明党、与党勢力で三分の二の議席数を抑えられています。これは憲法改正の発議の要件として三分の二を超えていれば憲法改正の発議ができます。公明党は憲法問題では若干、自民党とは少し違うようですから一直線に憲法改正にいくとは分かりませんけどもしかし改憲勢力を超えていることは間違いないことだと思います。私はそういう状況を許しているのは日本の国民の問題だと思うんです。

国民の政治意識の問題で安倍政権がどんな嘘をついても森友でも加計学園でも嘘をついて財務省の文書を改ざんまでしてそれでも何のお咎めもない。こういうことを国民が許している。そして最後に申し上げたいのは野党勢力が三分の二を取られているんだったら選挙の時に一つにまとまって安倍政権を倒しそのために精一杯頑張る。世界の歴史はナチズムとの戦いにおいて一番大事だったのは中国でもそうですけど、統一戦線ということなんです。意見の違いを超えて主要なる敵に向かって統一戦線を組んで戦う。これしかないんです。しかし実際の日本の野党はバラバラじゃないですか。なぜ一本化して選挙を戦わない。そういうことをぜひみなさんが声を挙げて頂いて野党にもう少しまともになって頂きたい。

「知らないでしょ」「認識してください」とかくこういう文言が並ぶ。終始、高所からの物言いが目立つのだ。こういう人柄も反発を招く原因だろうか。しかしこの場に集まった人々は大半が高齢者。まだ元新聞社、元テレビ関係者という肩書に「ありがたみ」を感じる世代だ。
鳥越がこの時、語った歴史観は特に目新しい話でもない。「歴史を知っている」という根拠が「昭和15年生まれ」というのも浅はかだ。それに学び直したという割に時系列があやふやなのも鳥越らしい。2016年、都知事選の会見で「昭和15年生まれで、終戦時に20歳でした」といった過去を彷彿とさせる。さらに興味深いのは 「日本の野党はバラバラじゃないですか。なぜ一本化して選挙を戦わない 」といったことだ。思い出してほしい。2016年都知事選の際、立候補をめぐり宇都宮健児弁護士と対立したのは記憶に新しい。自分の選挙を総括してほしいところだが、記憶の片隅にもないだろう。

2016年9月9日の「ゴゴスマ~GOGO!Smile!~」(TBS系)で当時、宇都宮弁護士が鳥越を応援しなかった理由について「女性問題」を挙げると怒りを震わせ反論。激しい応酬になった。なにしろ両者がこの有様である。あの選挙選は鳥越―宇都宮の対立と同時に、両陣営の支援者・活動家たちの分裂も引き起こしたのだ。あるいは野党はバラバラ、一本化して戦わないとは鳥越の選挙そのものである。しかし市民集会であれば、一連の過去について指摘を受けることもない。

東京・池袋駅前で演説。公約を追加したり行き当たりばったりな印象だった。

それに中国や韓国、北朝鮮を持ち上げ、「反体制」を訴える間は決して傷つくことはない。そして雄弁に安倍、アメリカを叩けば喝采される。もはや大手メディアには以前のような席はない。朝、昼のワイドショーには常に新しい電波芸者たちが再生産されている。かといってネットは針のムシロ状態。そんな鳥越にとって最もストレスを感じないで満たさせる場所は「市民集会」なのだ。運動家とシンパに囲まれたそこに「安住の地」があるだろう。

こうしてみるとダンディ鳥越もおじいさんになったものだ。

市民運動に「安住の地」 を見つけた鳥越俊太郎」への2件のフィードバック

  1. アバターでんでん

    若かりし頃は問題提起できていたのかもしれないが、今の姿は…
    選挙演説聞いてても、我がの余生の満足の為に立候補したとしか思えないというのは厳しすぎる意見でしょうか?
    ただ、私の友人の彼のファンの方ですらそう言っていましたから…
    もう一度、多くの人に届く言葉を届けて欲しいと思います

    返信
    1. 三品純三品純 投稿作成者

      都知事選の時に鳥越さんの演説を聞いていたんですが、
      終始腕時計ばかり見ているんですよ。スケジュールが
      詰まっていたか分かりません。しかし期待した有権者が
      いるんだから聴衆に向けて語りかけるべきです。
      とにかくこの人は反体制というわりに全く民衆に目がむいて
      いないと感じました。

      返信

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