市職員155人の大量処分、盆野明弘副市長の辞任(12月3日付)。津市相生町自治会長事件で同市が下した処分に内外から不満の声が寄せられた。一つに「同和行政」に対する反省と総括が見えない点が挙げられる。これまで田邊哲司氏他3名の公判でも「同和」「部落」といったキーワードは確認されていない。もちろん津市報告書でも言及ナシ。あくまで部落問題を避け、従来通りの同和行政を継続するかと思われた。だが市側は同和の窓口こと地域調整室を廃止する方針であることが判明。特定市民のためのいわば“お客様苦情係 ”を潰すとなれば同和行政の見直しの意味を持つ。さてこの決断、吉と出るか凶と出るか。
地域調整室の重要度を 示す処分結果
津市自治会長事件の中心的人物、田邊哲司自身は運動体の活動家ではないにせよ、事件の根底に同和行政、同和地区があったのは紛れもない事実。ところが津市報告書また田邊氏(執行猶予付有罪判決)、端地満氏(同)、増田宏和被告、松下哲也被告の公判においても本人、検察、弁護人、証人からも「同和」の言及がない。いうまでもなく新聞、テレビでも“ 部落絡み”という点を一切触れていない。
今年3月9日放送の『とくダネ!』(フジテレビ系)で番組司会者の小倉智昭氏が事件にふれ
「背景がニュースできないってこともあるようですけど」
と述べたのは象徴的なシーン。
行政、マスコミともに同和はタブーで腫れ物なわけだが、実は津市は水面下で動いていたようだ。
「自治会長事件を受けて地域調整室が廃止されることになりました。関連職員がすでに敬和地区内の自治会長や住民に挨拶回りをしています」(市関係者)
地域調整室とは名称自体に同和要素はない。しかし紛れもなく「同和地区対応」を前提とした部署なのだ。
津市職員が田邊氏の親密女性が女将を務める「小梅」で飲み会をしていたリストを見ても同室職員の割合は高い。「津市の特殊事情をカバーする部署」との市政関係者の説明は言い得て妙である。“ 特殊事情”とは推して知るべしだがさらにいえば「敬和地区」(相生町を含む同和地区)の専属窓口といった存在である。自治会長事件においても処分の内訳から関連性が垣間見える。
減給2月(給料の10分の1)10人のうち地域調整室の職員は2名(室長と主幹)。同じ処分には同事件でよく名が浮上し、田邊氏の協力的な職員と目された橋本英樹理事がいる。あるいは先の小梅での飲み会など田邊氏との交流について「社会通念上」と説明しひんしゅくを買った荒木忠徳前総務部長。
それからここからは補足が必要だ。先述した小梅(津市乙部2073-2)以前に同店舗で飲食店を経営していた一般女性に対して南元理事らと圧力をかけていた松田千秋理事(当時、観光商工部長)の名も。百条委員会でも注目された職員らと同一処分という点からもして地域調整室の存在感が際立ちはしないか。
つまり自治会長を直接的に支えた部署という見方だ。同室の廃止は市と特定市民との関係を絶つ効果もある。でもなければ今後も同種のトラブルは起こりえるし、また職員の負担、心労も改善されないだろう。それ以前に人権関係の業務そのものを見直す時期にきてはいないか。
「人権業務」「同和対応」の過酷さは松下哲也被告の証言が重要だ。
人権担当理事時代、心労で倒れていた松下被告
10月25日の松下被告の証言や証拠書類からは「同和行政」の過酷さが伝わってきた。弁護士から提出された証拠書類によると松下被告は人権担当理事時代に心労が重なり倒れていたという。同理事就任時に金銭トラブルに巻き込まれ土下座させられた過去も。母親が要介護の状況で中央市民館館長の再任用はかなり消極的だったという。それでも松下被告にというのは“丸投げ ”の印象が払拭できない。なにしろ在職中は田邊氏に逆らって遠隔地勤務も辞さない覚悟というから、精神的に追い込まれていたのは容易に想像できる。
もともと松下被告の過酷な勤務状況は市職員からも同情の声が挙がっていた。
「松下さんは、田邊氏の本妻に業務委託されたさくらゆの管理業務も手伝わされていましたよ。従業員がいない時は松下さんが風呂焚きをしていたのはさすがにありえないです。あまり人付き合いが得意ではなく気弱な方なので本当にいわれるがまま。ひどい扱いでした」
理事職(部長級)経験者であってもこの有様。人権担当、字面は美しいが実際は声の大きな市民の防波堤に過ぎない。また肝心の防犯灯設置工事については田邊氏から領収書や見積書などの関係書類を渡され「書類を出しといてくれ」と命じられた。この点は松下被告に同情すべき点が多々ある。というのは松下被告が防犯灯設置の申請書類を提出したとしても本庁の責任者が決裁印を押さなければいいだけの話。松下被告に責任転嫁したとみる他ない。
無論、松下被告が上層部に相談できる立場ではなかったと考えられる。「誰が味方か敵か分からない」こういった証言は市議、職員からも多々、聞かれた。
裁判官から田邊氏の印象について聞かれると松下被告はひたすら「怖い」「面倒臭い」と証言したのも印象的だ。翌26日の市民部主幹、駒田好彦氏の証言でも「怖い、危険人物、ヤクザと聞いていた」との証言があった。怖いから妥協して要求を飲むというのは同情できる面もあるが、やはり初期対応として誤りだ。一部の職員に丸投げではなくて組織として対応すべきだった。なぜこうした事態に陥るのだろうか。
津市と同じく継続して報じてきた「和歌山市芦原地区連合自治会長事件」、また目下、注力する「熱海市土石流事件」、いずれも「同和絡み」で共通するためタブー視されがちだ。それともう一つの共通点としてそれぞれの自治体に「専属」とされる職員がいること。しかも驚くことに和歌山市役所の窓口職員は「ガン宣告」された人物だったが、市の方針で再任用された。逆にいえば同氏以外、芦原地区(同和地区)対応ができる適任者が他にいなかったかもしれない。
その点、津市の場合は地域調整室の再編という形で特定市民との歪な関係を解消しようとの方針だが、危惧する声もある。
「自治労、三重県教職員組合 (三教組)といった同和行政を継続したい団体からするとこうした再編は好ましくないでしょうね。前葉市長も支援を受けている以上、彼らの意向を汲む必要があります」(前出市政関係者)
この辺りは三重県の特殊事情としかいいようがない。一方でこんな見方も。
「元津市長で三重一区から出馬する立民・松田直久氏が比例でも当選できれば津市政にも影響を受けます。自治労や三教組から支援を受けていますから。となると隣保館を管理する“地域広報センター ”といった組織を地域調整室代わりに設置する可能性もあります」(前同)
しかし当の松田氏も選挙区はもちろん比例復活当選ならず。となると同和行政推進派が描いたプランも白紙だろう。長らく“ 民主王国”といわれた三重だが陰りが見えている。総選挙の結果も少なからず影響を及ぼすかも…。とはいえ「人権」に向き合う職員たちの惨たる日常は当面、続くか。
「津市Y地区には田邊氏と同等の面倒な住民がいる」「担当職員がその他地域のごみ箱設置の確認作業を行っている」今現在でも危うい情報が寄せられている。今後も過酷な人権業務を続けるのか、それとも正常化させるのか、松下被告の証言をぜひ噛み締めてもらいたい。
三品さん。
津市Y地区とは…気になります
ご本人に取材をしたらまたご報告します。
柳山津興でしたか。
ありがとうございます。
あの辺りは公営住宅ありますが
同和地区指定はされているのでしょうか?
実はあまり柳山は詳しくなくてすみません。
ただ自治会の役員がちょっと癖がある方だそうです。
本日朝、職場に吉田ひろやす議員が
お見えになりました。
朝の挨拶運動ですかね…
相生町百条委員会、見てましたと告げると
“私も少し喋りました“
もう同和に配慮するのやめましょにと続けると
“はい…“と。
同和と言うとやはり思考停止になりますね。
窓口廃止が吉と出ることを祈ります。
声のでかい特定市民は職員のみんなで追い払ってほしいです。
市民の方の勇気と奮起にも期待します。
職員だけでは限界があります。
本日の12月3日号の「三重タイムズ」の1面に、退職された津市役所の中堅職員(実名入り)のインタビュー記事が掲載されており、来週も継続して掲載される予定です。
この記事を読むと、「最終報告書」はうそが8割で人権担当理事の命令でしたことばかりと、生々しい内容が掲載されております。「三重タイムズ」のHPの最新記事は、1週間前の記事で本日の内容は掲載されておりませんでした。この記事は充分に読む価値があると思います。
読んでみますね。
情報ありがとうございます
本日(12月10日)の「三重タイムズ」に先週の続きの元職員のインタビューが掲載されておりました。これを読むと市長もほかの幹部と同類と思われます。2年後(実質は1年4か月後)の市長選挙は立候補するのか?これまで3期の内2回は無投票であったが、4期目は自民党が候補者を擁立との噂があるが果たして???
田邊氏の暴露本も近日発売のようですね。
ぜひ、津市立図書館にも置いてほしいですな。
主権者のクセに、事態を役所に丸投げして他人事決め込むようなヤツは「市民」を名乗る資格なし。
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