【津市】昔「同特法」、今「合特法」終わりなき 利権構造の 闇を追う

By 三品純

全国ニュースになった相生町自治会長事件は、田邊哲司氏の執行猶予付き判決、ほぼ無傷の市幹部処分、現場職員に責任転嫁という無残な結果に終わった。正常化を目指す津市政・・・のはずが自治会長事件以上の“ 闇”が水面下でうごめいていた。相生町案件が「同特法」(同和対策特別措置法)の負の遺産とすれば昨今、行政の難題なのが「合特法」(下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法)に基づく合理化事業だ。一般市民にすれば印象は薄いかもしれないが、利権と癒着の温床という批判は根強い。津市に限らず各自治体の火種なのだ。いうなれば昔、「同特法」、今は「合特法」。合理化事業の問題点をシリーズで検証していく。(タイトル写真は会合に向かう岡村市議)

岡村武市議と料亭会食に現れた田邊氏側近のあの2人

「下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法」(合特法) 。歴史的経緯も制度設計も複雑だから初見という人も多いかもしれない。同法を根拠に合理化事業は莫大な税金が投入されてきた。まずは

下水道整備によって売上分が減少したし尿汲み取り業者に対して廃棄物、ごみ収集業務などの代替事業を提供して補填する。

専門家にすれば不十分な説明かもしれないが、初歩段階ではこう理解していただきたい。

津市では長らく自治会長問題が話題の中心だったが、実は合理化事業も議会で紛糾してきた。ところが特殊な分野の上、タブー要素も相まって市民の関心を喚起するには至っていない。自治会長問題に絡み長らく津市取材が続いたが、今度は合理化事業とのお付き合いになりそうだ。なにしろ行政の暗部が集約されているので注目している。

さて相生町問題も落ち着いた頃から妙に津市の合理化事業についての情報提供が相次いだ。ピンとこないし理解が追い付かない。少しずつ基本知識を得ながら調査を開始したその矢先、奇怪な情報が寄せられた。

「岡村武市議、南勇二元理事、橋本英樹理事が10月1日に料亭「はま作」(津市垂水)で議会の対策会議を開く」

補足すると自治会長問題については岡村市議は関係人物ではない。ところが南、橋本両氏は田邊氏に近い職員。むしろ側近といっても過言ではない。田邊派とされた職員は他にもいるが、田邊哲司氏に 直撃インタビューで同氏から最も名前が挙がったのはこの両氏だ。

ところが南氏は処分なしでこの3月に退職。橋本理事は津市政策財務部特別滞納整理推進担当理事という要職にある。そんな両氏と岡村市議が「対策会議」とは何やらキナ臭い。詳細は後述するが岡村市議は合理化事業の中心人物。津市議会は12、13日に特別予算委員会、そして15日は百条委員会が開かれる。予算委員会では合理化事業が討議される予定だ。もしやその「対策」か?

そこで地元協力者と連携し、3名を追った。

はま作に入って行く南氏。
橋本理事は代行運転との説明。

はま作は岩田池のほとりにある。3氏の会合情報はガセネタかもしれないから不安だ。だが現地班が待ち構える18時18分、まず南氏が現れた。次いで岡村市議が21分、橋本理事が24分、はま作に訪れた。落ち着いた頃を見計らって18時36分、著者が岡村市議に電話を入れる。

単刀直入に会合の趣旨を聞いてみる。

「いらんこというたらあかんぞ。割り勘で飲んでるんやないか。悪い事しとるんやったら答えていいけどさ。仲がエエだけのことやんか。合特とは関係あらへん。私らの個人の話や。お前らすぐに書くやんか。あんたに説明することなんかないやろ。商売や役所の話と違うわ。橋本と代われ? なんでお前と代わらんとあかんのや。お前と仲良しか」

南氏、橋本理事に電話に代わってもらうよう再度、お願いする。

「おらへんわ。誰がいうとるんや」

入店したところを目撃したと告げる。

「張り込んどったんか。嫌らしい人間やの」

後日、橋本理事にも確認した。

「緊急事態宣言があけたので久々に4人で食事をしただけです。以前もたまに食事をしていたので。本当ですよ。プライベートの話ですので」

4人というのは?

「5人以上の会食は控えるようにということで。4人以内という意味です。私は代行運転で行っています。単にプライベートの食事会ですよ。この辺で取材を打ち切ってもらいますけど仕事の話ではありません。それだけははっきりお伝えしておきます」

せっかくなので田邊氏へのインタビューについても触れた。田邊氏に対して「取材を受けたらあきません」と助言したことも確認してみた。

「あの方にそんな言い方はできません。(取材が来たことの)相談を受けて気になるんやったら“応えなくてええとちがいますか ”という話はしていたかもしれません」

会食は「プライベート」という説明。よく聞いたフレーズだ。個々の職員のプライベートに介入する権利も理由もない。しかし思い出してほしい。田邊氏の親密女性が経営したJAZZや小梅の酒席や田邊氏との交流も関係職員は「プライベート」と説明していた。しかし本当に「プライベート」の範囲に留まれば事はここまで大きくなっていない。

それからコロナ禍で「酒席は不謹慎だ」という不毛な批判ではないことをお断りしておく。自治会長事件で特定人物との交流、交際は庁内でも問題視されたはず。にも関わらず田邊氏と交流があった幹部職員の行動としてはあまりに軽率ではないか。まるで無関係の現場職員までにしわ寄せがいった状況。3氏の会合情報が外部に流出してしまうのはそれだけ庁内で反発がある証左だろう。疑問はまだ尽きない。

実は、合理化事業で最も利益を挙げたと囁かれているのが岡村市議の親族企業なのだ。そんな人物に加え、後継者とされた元幹部、財政に通じる現役理事が会合する。怪しげな臭いが漂ってこないか。合理化事業をめぐってはすでに複数の議員らが追及しており、次の予算委員会も紛糾するとみられる。市側の戦々恐々とした様子を裏付ける地元住民の証言。

「このところ深夜まで津市役所本庁の6階に灯りがついていますよ。6階とは環境部のフロア。合理化事業の関係部署ですね。担当職員が関係資料をまとめていると聞きました」

働き方改革、また感染症予防の観点からも遅い時間の残業は控えるはずだが・・。委員会でどんな応酬が繰り広げられるのか注目だ。

南氏は岡村市議の親族企業に再就職

本人らは否定するが「対策会議」と銘打たれたこの会合。プライベートという説明を額面通り受け取る訳にはいかない。なぜなら岡村市議は南氏を自身の選挙区の後継者にする意向だったからだ。自治会長事件取材の早い段階で南氏は退職後の市議選出馬を認めていた。岡村市議と南氏が「市議ー幹部職員」という関係以上であることは明白だ。

もっとも自治会長事件の中心人物だった南氏。さすがにこのタイミングで市議選出馬という訳にもいかないだろう。そこで南氏は岡村市議の関係企業に再就職した。

「岡村さんが面倒を見るという面もあります。しかし息子さん(岡村市議の)では市役所との交渉ができないのでその辺りのノウハウを持つ南さんを雇ったというわけです」(市職員)

本来、公務員の利害関係企業への就職は厳格であるべきだが、意図が顕在的な再就職。これがまかり通るのも津市の現状だ。

自治会長氏が一線を引いたと思ったら、岡村市議という存在が出てきた。これまでの弊社取材の中で岡村市議は主要人物ではなかった。強いていえば「議会で面倒そうな人」という印象に過ぎない。

そういえば「岡村タイム」なるものをとある議会関係者から聞かされたことがある。議会で声を荒げてもある時間帯を過ぎると大人しくなっていき終了寸前では沈黙している。岡村タイムの原因については“さもありなん ”という噂も耳にしたものだ。あるいは「岡村さんは市職員の有志を集い靖国神社に参拝に行くんです」(前出市職員)という活動も同氏らしい。

岡村市議が大声で市関係者や他議員を問い詰める、エキサイトする。この模様はネット上の議会中継で視聴した市民は多いのではないか。それも単に声が大きい議員ではなく津市内の株式会社伊勢組、株式会社マルキン、株式会社ニーズの事実上のオーナー。マルキンという社名については「奥さんの実家の苗字の頭文字をとった社名です。息子さんを養子に入れて経営させています」(津関係者)。

議員活動も分かりやすい。

「以前の岡村さんは津競艇運営について“ やめてしまえ”だの批判的なスタンスでした。ところが関係会社のニーズが津競艇の警備を請け負ったところで大人しくなりましたね(笑)」(同前)

あるいは自治会長事件の“ 起爆剤”になった津市教育長室でのS氏糾弾。奇しくも教育委員会も岡村氏のターゲットになったことがある。

「市内の幼少中学校約70校のごみ(一般ごみ)を産業廃棄物としてマルキンに回収させようとしました。もちろん合理化事業です。しかし当時の倉田幸則教育長が反対したところ“ 三教組(三重県教職員組合)の支部長をやっていたやろ”と攻撃するんですよ。または教育長立候補の所信演説の文言を詰めたりとか」(同)

三教組つまり日教組のことだが、古いタイプの保守政治家にありがちな日教組批判。もっともイデオロギー上の対立で批判するならまだ心情的に理解できる。単純に利害関係上の三教組批判といったところだろう。結局、こうした無理も津市は黙認していくわけだが、前出関係者はこう耳打ちする。

「市幹部は“岡村さんさえ納得させておけば、他(他社の関係業者)も従うから ”という理由を議員らに説明しています」

岡村市議の親族企業の顔を立て、その他業者にも相応に事業を委託すれば市側としては円滑にコトが進む。声の大きな人物をなだめてメリットを与えれば市政もスムーズになるという方針だろう。こうした体質、要するに相生町自治会長事件は特別な問題ではなかったのだ。

「田邊氏が大人しくなっても第二、第三の厄介者は存在する」と懸念する市関係者、地元住民は少なくなかった。それを地でいくのが合理化事業問題といえる。

岡村市議オーナー企業に20億超の委託事業

津市の合理化事業がいかに特定の企業を優遇しているかについては今後、順を追って説明していく。また合特法自体の問題点も同時並行で検証しよう。

とりわけ岡村市議の関係企業は他社よりも注視したい。というのは議員の2親等内の企業は公共事業の請負契約を辞退するよう条例を定めた自治体もある。だが津市の場合、野放図というのが現状。平成24年、岡村市議の子息が代表者の株式会社マルキンが市と廃棄物収集業務委託を契約した。その額、4145万4千円だ。これが現在まで増額しながら現在まで続く。地元事情通の証言は生々しい。

「マルキンは産業廃棄物も扱っていますが、主業務はし尿・浄化槽・一廃廃棄物収集業者。ところが津市は一般ごみの品目を産廃に変更してまでマルキンに仕事を作ったのです。つまり津市は産業廃棄物回収業者にわざわざお金を払って回収させていることになります」

また先述した通り、岡村市議が教育委員会をターゲットにした点も見逃せない。「小学校や中学校、市役所、市関係施設等、今までは“一般ごみ ”として他の業者が収集していた物を、品目を産廃に変更してマルキンが回収しています」(同事業通)

岡村市議さえ納得させておけば市政も関係業者も波風立たぬという目論見だろう。

「令和3年度当初予算における下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法に基づく合理化事業対象委託業務一覧」を見てもマルキンへの委託業務は産業廃棄物収集から貯水槽点検、スポーツ施設の維持点検、草刈り清掃業務と多岐に及ぶ。

本来の合特法の趣旨は「し尿汲み取りの代替業務の提供」である。しかしマルキンへの委託業務を検証すると「代替」という範囲を超えてはいないか。こうした市からの合理化事業によって得られる売上は

「ゆうに20億円を超えるのではないか」

とある市議会関係者は漏らしていた。(続く)

【津市】昔「同特法」、今「合特法」終わりなき 利権構造の 闇を追う」への2件のフィードバック

  1. 伸幸

    まったくもって同感。
    議会を見てたらこの人の「お人柄」がよくわかる。
    こんな人に票を投じたこともある自分が情けない。返してほしいわ、というかこんどは絶対に入れやん

    返信
  2. 赤西 国子

    「市民の為に」って何がや。
    議会を見ていても、とても見苦しい。
    市民が納めた税金を市民の為に大切に使ってもらいたいのに。
    市長、市の職員、市議会議員の資質も問われますね。
    こんな、お行儀の悪い議員は直ちに失職するべきですね。

    返信

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