9月2日、『中日新聞』は津市議会・加藤美江子議長が 公職選挙法違反(寄付行為の禁止)で書類送検されたことを報じた。加藤議長は公明党会派の所属議員。津市公明党会派といえば百条委員会でも青山昇武市議を筆頭に自治会長事件追及の主戦派だった。田邊氏、関与した市職員から遺恨があるであろう公明党会派だが、まさかその顔役が「書類送検」という反撃が待っているとは予想だにしなかった。「ついに(田邊一派からの)報復が始まった。結局何も変わっていない」(津市民)との動揺も当然のことだろう。
菓子とハムの贈答品は 市幹部も知っていた!
『中日新聞』(同日)によると昨年7月に元自治会長の男性(田邊哲司氏)に約一万円相当の菓子やハムを贈っていたというのが公選法違反の理由だ。しかし疑念を抱く関係者、市民は少なくない。
「自治会長事件についても議員、市民らが警察に告発状を提出したのに受理されなかったでしょ。しかも逮捕されたといっても掲示板やごみ箱など本命じゃない案件ばかり。それが菓子とハムで書類送検とはどう考えてもバランスが悪いですよ」(敬和地区住民)
同氏の憤りも当然のことだ。しかも当時、加藤議長は贈答品を用意せざるを得ない状況があったのだ。加藤氏周辺はこう証言する。
「昨年7月3日、加藤さんが議長に就任されると、就任祝いとして田邊氏から立派な花が届いたのです。交流も面識もない市民(田邊氏)からの花ですが、厄介な人物だから無下にできません。そこで田邊氏と面識がある辻美津子市議を介して7月6日に御礼の品を持参したのです」
この時持参したのが問題の菓子とハム。同周辺によれば菓子とは「あられ」だったという。議員、市職員、業者を問わず田邊氏特有の“挨拶に来い ”というものだ。ところが菓子やハムで納得する訳もない。
「辻市議を介して田邊氏が“ 加藤は心がない”と不機嫌になっていると伝えられたのです。そこで百条委員会などでも問題になった辻市議の“30万円を持っていけば ”という話になりました」(同)
以前、辻氏に確認したところ「昔はそういう慣習(議長就任時は有力者に御礼を持参する)があったと紹介しただけなんです」と説明していた。
しかし昨年の状況や力関係を鑑みれば議長とはいえ屈服せざるをえない状況があったと思われる。一連の不祥事や詐取行為に対して沈黙してきたのは何よりの証拠。
ところが
「加藤さんの夫は弁護士なんです。だから“議員で法律家の女房がそんなお金は絶対に出せません”と拒否しました」(同)
これに怒った田邊氏が市職員を介して加藤潰しを画策する。
「田邊氏から菓子やハムを返すといって議会事務局に戻ってきたのです。その場には田邊氏も同席、また南雄二元理事、荒木忠徳総務部長(当時)、松下康典人権担当理事もいたといいます」(同)
これまでも指摘されてきた田邊一派幹部と同和対応窓口の人権担当理事がいる。もちろん加藤議長への「無言の圧」であるのはいうまでもない。話は続く。
田邊氏と津市の 関係はまだ続く
「8月25日に、再び田邊氏が贈答品(菓子とハム)は公選法違反だから告発すべきではないか? と再び南元理事らと責めてきたのです。ところが当時の議会事務局長の松岡浩二氏が“告発するような話じゃない ”と拒否しました」
田邊氏への贈答品は市幹部も把握していた話。また贈答品も利益供与や見返りを求めるというよりも単純に田邊氏への配慮といった程度のものだ。立件された事件以外にもまだ多くの疑惑や問題がある中で「菓子とハム」が書類送検すべきことなのか理解できない。
加藤氏への妨害は以前も紹介したが、津市鳥居町自治会長で大日本皇國会の田中茂喜氏を使って8月20日の議員懇談会の中止を求めてきた。当時、津市議会は非常に雰囲気が悪く懇談会で改善しようと加藤議長が計画したものだ。この一件からしばらくして弊社の取材が始まり、自治会長問題が公になる。
逆に田邊一派にすれば加藤議長書類送検は一年後のリベンジというわけだ。田邊氏の裁判が終わり、もちろん真相究明は道半ばとはいえ区切りを迎えた。ところがこのタイミングで加藤議長書類送検というのはあまりに不自然な話だ。「今後、公明党会派市議に自治会長事件について触れるな、というプレッシャーでしょう」(市職員)という見方が妥当だろう。
しかし今後も関係者への“ 報復”はありえると市関係者は断言する。
「田邊氏と津市職員はもはや一蓮托生。もちろん最も問題なのは田邊氏ですが、津市幹部も田邊氏を利用してきたのです。だからお互い急所をつかみ合っているようなものでしょ。おたくの記事でも紹介されていた田邊娘の自宅ですが、登記上は「小林美賀」という名義になっていますが、彼女が南勇二氏の交際相手。事実上、南氏の住居ですよ。おそらく不要になったので田邊氏が南氏に売ったのでしょう。南氏側も断れない事情があったのはいうまでもありません」
結局、田邊氏は娘夫婦らと津市乙部に新居を構えたが、「一体、どれだけ資産があるのか?」と地元住民は呆れていた。
さらに見逃せないのはなんらかの形で津市幹部は田邊氏とつながっていることだ。特に南氏などは“ 一蓮托生 ”という言葉では生易しい。嘆き節は続く。
「自治会長事件に限らず津市はもう末期症状ですよ」と憤るのは前出の市関係者。
「現在、議会で村主英明市議が出身高校に寄付をしていたとして公選法違反だと問題視されているんですよ。村主さんは市長選(2011年)に自民党本部からの公認で出馬しました。このため地元自民党員からは恨みを買っており自民党会派市議も村主バッシングに便乗していますよ。本来はこんなことをやっていないで市役所の浄化のために動いてほしいですね」
自治会長事件では存在感を発揮できなかった自民党会派の面々。本来は津市政の再生に動くべきだが勢力争い。友党の公明党会派は健闘したのに・・・。
なんで「あられ」が書類送検で市長の「バレンタインのお返し」はセーフなのか?(お返しはセーフだもの?)
なんで警察は田邊氏の意に沿うのか?(めんどうだもの?)
なんでどいつもこいつも市民を無視して私欲に走るのか?(それが人間だもの?)